菅、仙谷両氏らの発言で政府サイドでは消費税増税論議が活発化しているが、参院選を控える民主党側は徹底拒否の構えだ。選挙優先で懸案を先送りする姿勢は自公政権時代と変わらない。政権与党として初めて策定する政権公約(マニフェスト)は、「責任ある国民への約束」というあるべき姿からかけ離れたものになる可能性が高まっている。

 仙谷氏は元々財政規律派とみられてきた。菅氏も野党時代の09年2月の衆院予算委では「税金のムダづかいを放置して消費税引き上げの議論に入ること自体、大間違い」と主張し、財政再建論者の与謝野馨元財務相らを批判していたものの、政権獲得後半年余りで増税論議に踏み込んだ。

 事業仕分けなどによる10年度予算の削減額は、概算要求段階も含めて2・3兆円。菅氏も実際に政権について「ムダ根絶」だけでは財源確保は難しいと認識したようだ。

 ところが、党側の空気はまるで異なる。

 小沢一郎幹事長は12日、消費税論議を封印した09年衆院選マニフェストの基本は見直さないと表明した。党側でマニフェスト策定の実務を統括する高嶋良充参院幹事長も「ムダ排除などに手を付けないで今、消費税論議をするのは国民に対する裏切り」と歩調を合わせた。菅氏周辺は「困ったことに小沢氏はかなり明確に発言した」と小沢氏の発言の影響力を懸念し、「財政の帳尻があわなくなる」と危惧(きぐ)する。

 小沢氏と距離を置く民主党の渡部恒三元衆院副議長は14日、東京都内での講演で「政治家は選挙で得するかどうかで政策を作ってはいけない。財政が成り立たなくなった時は消費税を上げるとはっきり掲げないと安心の政治はない」と訴えた。【大貫智子】

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