ラテン!ラテン!ラテン!

渋谷からラテンアメリカ映画を発信!!


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先日、7月10日にキューバと米国の大使館がそれぞれ再開するという
ニュースが入って来ました。

そこで、本日から名古屋シネマテークで始まるラテン特集、
(特に今日はキューバ映画3連発の貴重な日なので)
2ヶ月ほど前に「女性のひろば」に書いた文章を掲載することに
しました。作品名から公式サイトの作品にリンクします。

以下、その文章です(長くてすみません)
本日7月4日上映は…
10:30  永遠のハバナ
13:00  苺とチョコレート
15:30  低開発の記憶

先日の米州首脳会議で、ついに、ラウル・カストロ国家評議会議長とオバマ大統領の会談が実現し、国交正常化交渉の進展に向けて注目を集めているキューバ。このちょっと不思議で魅力的な国が、ラテンアメリカ映画の配給を始めるきっかけを作ってくれました。
それは、2003年、首都、ハバナで毎年12月に開催されている新ラテンアメリカ映画祭で出会った「永遠のハバナ」という作品です。

habana

初めての映画祭が、「なぜキューバ?」と良く聞かれますが、それは81年から82年に留学した、メキシコのケレタロ自治大学で、学生たちを「同志」と呼ぶ教授のマルクス経済学の講義に大きな影響を受けたからです。

メキシコは、いち早く革命が起こったにも関わらず、当時は一党独裁で経済危機に喘いでいましたし、チリやアルゼンチンは軍事政権下。その中で、無償で医療や教育を提供していたキューバが燦然と輝き、いつか必ず行こうと思ったのです。

その約20年後に訪れたハバナは、映画祭の熱気と共に、人々のエネルギーが充満する街でした。当時は、まだ、街のあちこちに警官がいて、外国人と一般のキューバ人が接触するのを阻止していましたが、映画館では一緒に観るので、会話も自由。特に独りで観に来る映画好きの女性たちとの意見交換はとめどなく、その口コミ伝播力が、半端でないことも分かりました。

「永遠のハバナ」も、初めて、ハバナに住む市井の人々の暮らしがスクリーンに映し出されたことから、連日、満席。セリフなしで、街の音と音楽で綴られる1日の物語に圧倒されながら、エンドロールで観客からわき起こる拍手に胸が熱くなり、無謀にも日本で配給することに…。

その後、2009年まで毎年、映画を通して、それまで知らなかったキューバの歴史や、監督たちの想いを学ぶことになりました。

1959年の革命勝利の直後に、キューバ映画芸術産業庁(ICAIC)を設立したフィデル・カストロは、大の映画好きとして知られていますが、農地改革を初めとする政策を浸透させるために数々の映画制作を命じました。

まだ文字が読めない人々が多かったので、映像で伝えるためです。
(☆1)その意向に協力した映画監督の代表格が、トマス・グティエレス・アレアで、
イタリアのチネチッタでネオ・リアリズムを学んだ、いわゆる、ブルジョア階級でしたが、革命後のキューバに大きな影響を与え、キューバ映画の代表作
「低開発の記憶」(1968) 

memorias

「苺とチョコレート」(1993)

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を撮りました。実は、アレア監督は1961年にある作品が上映禁止になったことに抗議してICAICの委員を辞任し、教条主義に陥ることにいち早く、警鐘を鳴らしました。


キューバ革命は元々、建国の父、ホセ・マルティが提唱する「平等主義」を掲げて勝利したのですが、亡命キューバ人を使った米国の攻撃(ピッグス湾事件)や空爆で、1961年に社会主義革命を宣言。ブルジョア階級が次々とキューバから出て行きました。

この時期からキューバ危機までを描いたのが「低開発の記憶」で、キューバに残ることを決めたブルジョア階級のセルヒオを主人公に、ドキュメンタリーとフィクションの融合を成功させた例として今も各国で上映されています。

また同じくアレア監督の「12の椅子」(1961)は、オールロケで当時の街並をカメラに収めながら、国有化された椅子を追うブルジョア男の悲喜劇、


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「ある官僚の死」(1966)は、叔母の年金のために、叔父の墓を掘り起こす甥のドタバタ喜劇ですが、根底には政府や官僚主義への批判が隠されています。

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米国のアカデミー賞外国語映画部門に史上初ノミネートされたキューバ映画「苺とチョコレート」(フアン・カルロス・タビオとの共同監督)も、同性愛者の芸術家と革命シンパの学生の間に芽生える友情を描いています。

フィデル・カストロがアレア監督を尊敬していたから、自由に撮れたのだという人もいますが、他の監督作品でも、どこかに現状への批判が隠されています。こうして、映画を通してみると、単なる社会主義国としてではないキューバが見えて来ます。

もちろん、未だに政治犯として収監されたままの人々もいますし、革命記念日には国旗を振るために動員されますが、パレード終了後は、みな、国旗を道端に捨てて行くので、回収車が出るほど。一筋縄ではいかない国民とどこか諦めにも似た政府の構図が見えて来ます。キューバと米国の関係も、互いに全く閉ざしていた訳ではなく、「永遠のハバナ」では、亡命者用のマイアミ行きのフライトがあることが分かりますし、ハバナの映画祭には米国人が数多く来ていました。

キューバに渡航すると罰金2万ドルのはずでしたが、映画祭の公式サイトには堂々と「米国からの参加者は○○旅行社を使うこと」という指示があり、米国当局にバレないようにトロント経由ハバナ行きのチケットを取ることができたのです。(当時は入国スタンプなしでした)

今、話題となっている両国大使館の再開も、実は、ハバナには米国の利益代表部のビルが、ワシントンにはキューバの利益代表部の建物があるので、決まれば早い、と言われています。「看板代えればいいんだから」と。

しかし、米国の経済制裁は、ICAICの資金不足も招き、数年前から映画監督たちは、欧州から資金を調達してインディペンデント作品を撮るようになりました。ICAICも、それは阻止できず、互いに協力的な関係を築く姿勢へと少しずつ変わってきています。

米国との国交正常化に映画関係者が期待していることは、米国でもキューバ映画が自由に観られるようになること、それによって、資金調達が可能になり、検閲が緩和されることでしょう。

リーマンショックが起こった時に、あるキューバ人監督が言いました。
「経済危機なんて怖くない。生まれてこの方、ずっと危機だから」と。

日本の閉塞感と暴走する政府に歯軋りするたびに、キューバの映画人たちの苦境を笑いとばすしなやかさ、どんな状況でも映画を撮ろうとするエネルギー、そしてユーモアに忍ばせる批判の精神が、今こそ必要だと痛感しています。

☆1その後の識字運動で識字率は世界でもトップクラス、2013年の統計では99.9%



この中で紹介できなかったのがウンベルト・ソラスの女性を主人公にした3部作
「ルシア」です

lucia4

永遠のハバナ 予告編


低開発の記憶 予告編

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フランス映画批評家組合が主催する国際批評家週間。

監督週間と同じく、カンヌ映画祭とは主催団体が違って

独立しているパラレル(並行)部門で、ひと足早く
グランプリが決定。


アルゼンチンのサンティアゴ・ミトレ監督(34)

のPaulina (La Patota) 。

afiche


映画祭でのタイトルはPaulinaになっているけれど

アルゼンチン国内ではLa Patota。1960年のダニエル・

ティナイレ監督の同名作品のリメイクなので。


時代を現代にうつした物語の主役パウリーナを

演じるのは、アルゼンチンのドローレス・フォンシ。

弁護士であるパウリーナ、判事の父がいる

生まれ故郷に戻って、荒れた若者たちがいる学校の教師と

なるのだが…。「正義のために法を破れるか?」

と問いかけられるサスペンス映画だそうだ。




最近、精力的に映画出演しているフォンシ。

ガエル・ガルシア・ベルナルとの

間に2人の子供を授かったけれど、

昨年、別れたようで、今回の撮影中に、
ミトレ監督と恋に落ちたようだ。

patota

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あ、いまタイトルに「制作」を
付け加えました。まるで新作完成したみたいに
読めることに気づいたので…すみません。

毎日、届くカンヌ映画祭からのお知らせ。

中には「どこにいるのだ、お前は?」という

セラーからのメールもありますが、

私、行ってません!ってば。


現地にいると映画観るのに忙しくて

中々、書けないので、今年は、東京で、

こちらに届いたカンヌからの便りを

ご紹介することに。


もっちろん、スペイン・ラテン系映画ですよ。

でも、最近、みな英語で撮っちゃうから

悲しいんだけど…。


そんな中、カンヌ映画祭初日に、リュック・ベッソンの

ヨーロッパ・コープが、ハビエル・バルデムとペネロペ・

クルスが共演予定の作品に出資、配給と制作にも

加わることを発表しました。



penelope_javier
© Closermag.fr
(リドリー・スコット「悪の法則」の時の写真)


今回は、コロンビアの麻薬王、パブロ・エスコバルの伝記映画

で、監督はスペインのフェルナンド・レオン・デ・アラノア。

fernando


フェルナンド・レオン監督の初長編劇映画は、

疑似家族を描いた「Familia」(1996)。

当時の六本木シネ・ヴィヴァンで開催された

スペイン映画祭(1998)で上映され、
初来日しました。


その時に通訳したこともあって、その後も

作品を追っておりましたが、これまで

「Barrio」(1998)も「Los Lunes al Sol」(2002)も

劇場未公開。
(「Los Lunes al Sol」は「月曜日にひなたぼっこ」
というタイトルで、2003年のバスク映画祭で上映)


「Los Lunes al Sol」は、

ハビエル・バルデムにルイス・トサルという

スペインきっての演技派が共演しゴヤ賞も受賞。

lunes

スペイン語が分からず観たのに
10年近くたっても思い出すという
「月曜日にひなたぼっこ」
「アジア雑語林」さんのブログ

この時からすでにスペインの失業問題は頭を

もたげていたことが分かります。造船所の
大量解雇や閉鎖反対運動は、今も続いているし。

2015年3月の失業率は23%。

25歳以下の失業率は50.1%で、
政府は改善している、と言っています。

スペイン失業率データ

Lunes al Sol


監督は、その後、ハビエル・バルデムがプロデューサーとして

制作し、世界で明らかにされていない問題を

描いた短編ドキュメンタリーのオムニバス

「Invisibles」(2007)にも参加しています。


Invisibles 子供兵士 フェルナンド・レオン


ハバナの新ラテンアメリカ映画祭で

上映された時、ハビエル・バルデムがTシャツと

ジーンズで登壇して、ハバナは他の映画祭のように

窮屈じゃないから好きだ、と言ったのが印象的でした。


自ら脚本を書き、演出するというスタイルは

変わっていませんが、最新作「A Perfect Day」は

初の英語作品で、ベニチオ・デル・トロ主演。

今回、監督週間に出品されています。

撮影は

「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」

のアレックス・カタラン。


A Perfect Day UK Teaser Trailer


パブロ・エスコバルの伝記映画といえば、

ベニチオ・デル・トロが主演した

「Escobar; Paradise Lost」は、まだ日本で

公開されていないことに気づきました。


Escobar; Paradise Lost 



南米では去年の年末から今年にかけて

公開されたようですが、米国は今年の年末予定(?)

(つい最近、リスケされたというニュースが

ありましたが…)ということで、成り行きを

みているのでしょうか。


フェルナンド・レオン監督の作品は、

2008年に出版されたビルヒニア・バジェッホ著

「Amando a Pablo, odiando a Escobar」

(直訳:パブロを愛し、エスコバルを憎みながら)を原作に

監督自身が脚本を書き、今年末にクランク・イン予定で、

こういう話題を機に、これまでの監督作品が上映されれば、と

願ってやみません。

(地味な人間ドラマに愛が見える作品です)


Amador (2010) 予告編

(主演は「悲しみのミルク」のマガリ・ソリエル)


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前回、グアテマラのジャイロ・ブスタマンテ監督だけで終わっておりました、このシリーズ、今回は、スピードあげていきますよ。(←ほんまかいな?)


まずは、コンペから。

「Ixcanul」と同様に期待していたのが、日本でも「NO」が公開された、チリのパブロ・ラライン監督作品「El Club」でした。1976年生まれのラライン監督、1作目の「Fuga」から注目しておりました。日本では、ラテンビート映画祭で上映された「Tony Manero」を覚えてらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、あの作品からすると「NO」は、分かりやすくて正統派。ガエル・ガルシア・ベルナル主演でしたし、アカデミー賞狙いに行くぜ!な感じでした。


その監督の真骨頂が戻って来た、と思ったのが、今回の「El Club」。




チリのとある小さな港町。高齢者の男性4人と40代(?)ぐらいに見える女性ひとりが一軒家で、暮らしています。最初は、小さな老人ホーム?とか思うのですが、次第に分かってくるのは、彼らが元カトリックの神父だということ。女性もシスターでした。規則正しい生活とつましい食事。でも、時にひとりの神父が犬を鍛えて、ドッグレースに出しています。それを双眼鏡で遠くから見る老人たち。そこに、新入り神父が来るのですが、その彼を名指しにして、ののしる男が、家の前に来て、幼い頃に何をされたかを叫びまくります。それに耐えられなくなった新入り神父は、静かにさせろ、と渡された銃で、自殺します。


そうなのです。ここにいる神父たちは、みな教会にいるときに性的虐待の疑いをうけ、沈黙と矯正のために、この小さな一軒家に送られてきたのです。


そこへ、教会本部から、査察官のような男が来ます。なぜ、その家に銃があったのか。何が起こったのかを調査するためと、全国にある、小さな家を閉めて、元神父たちを大きな施設に入れるために。


査察官がそれぞれから聞き取り調査を行うのですが、その緊張感たるや、最後にはグッタリするほどの映画でした。それぞれの役者がとても良くて、会話と表情で描写される「原罪」に震えがくるほど。そして最後の最後に、赦しとは何か、ということを観客に突きつけて来ます。これは、もう、真っ向からのカトリック批判です。


でも、「バッド・エデュケーション」とか「アマロ神父の罪」と違うのは、批判の質で、過去のこととしたい元神父たちの罪以上にカトリック内部の深いところで起こっていることを、これでもか、とえぐり出しているところ。一緒にいたシスターは一体、何をしたのか…。そして、査察に来た教会幹部は、どうやって罪を償わせることにしたのか。


いやはや、終わったあとには、強い酒が必要になりそうな作品でした。「NO」のように分かりやすくはないので、公開は難しいでしょうが、これまでラライン監督作品を上映してきたラテンビート映画祭に期待!です。


ラライン監督は兄弟たちと製作会社を持っていて、プロデューサーとして、セバスティアン・シルバ監督作品にも関わり、アベル・フェラーラ監督の「4:44地球最後の日」の製作も行いました。

まだ30代なので、今後がとても楽しみです。


コンペに出ていた、もう一作もチリ出身、パトリシオ・グスマン監督「El Botón de nácar」

これはドキュメンタリー作品で、前作「光、ノスタルジア」と対をなしている感じ。そうそう、「光、ノスタルジア」は、ついに、今年、10月に岩波ホールで劇場公開されるようです。パトリシオ・グスマン監督は、アジェンデのドキュメンタリーも撮っていて、ピノチェト時代にチリを出ています。妻もドキュメンタリー映画監督ですが、娘と共にキューバに亡命しました。娘は、2009年のキューバ映画祭で上映したドキュメンタリー「シュガー・カーテン」のカミラ・グスマン監督です。 父のパトリシオは一貫してピノチェト政権の傷跡を撮り続けていて、前回がアタカマ砂漠の天文台なら、今回は、海底です。何やら3部作になる予定のようで、これはアップリンク配給に期待です。


今回、ラテン関係といえる映画として「グアナフアトのエイゼンシュテイン(原題)」がありましたが、ピーター・グリーナウェイ監督作品で主に英語でした。予告編を観て、映画は観ず。


おっと、また長くなってしまった!!!

パノラマ部門の気になる1作は、また明日。

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今年のベルリン映画祭には、かなり多彩なラテン系作品が 出品されていたのですが、中でも注目を集めていたのが コンペに出品された3作品とパノラマ部門の1作品。

  個人的に一番期待していたのが、 これ。
グアテマラ出身ハイロ・ブスタマンテ監督
 Ixanul (Volcano)  あえて出身と言ったのは、監督が現在 フランス在住だからですが、この作品は全編カクチケル語で、主な登場人物はスペイン語が分からない設定です。
 
物語は、コーヒー農園があるIxanul(火山)の麓から、 山を登ったところで、土地を借りて農作物を育てる 両輪と独り娘のマリアの一家を中心にすすみます。 土地を借りているので、そこで農作物が 収穫できなければ、追い出される運命にある家族は、 彼らにしてみれば上司である土地の監督主任と マリアを結婚させることに。

でも、17歳の マリアは、火山の向こうの世界を見てみたい。
コーヒー農園で働き、米国まで行くと豪語していた 同年代の若者と一緒に村を出るために 身体を許したら妊娠して…という、ある程度、 予測がつく展開ですが、乾いた風景とそびえる火山、 民族衣装とカクチケル語に魅了され、 最後にどう着地するのか、楽しみにしておりました。
 
若者は独りで去り、結婚のために、何とか流産させようとする 母の願いも空しく、お腹はどんどん大きくなる。 農地では蛇が出て、作物が育たないので、また、 追い出されるかもしれない。そんな時に母親が、 妊娠している時には蛇も追い払える、と言ったことから マリアが蛇を追い出そうとして、噛まれ、 街の病院へ運ぶために監督主任に頼む羽目に…。

街の病院でのやりとりは、すべてスペイン語で 両親や娘が何を言っても通じない。ここでスペイン語とカクチケル語、双方が分かるのは、監督主任の男だけ。子供も無事に生まれたのに、マリアを自分の妻にするために「死産」だったと 告げ葬儀まであげさせる。でも、棺が空なことに気づいたマリアが両親を通して、 当局に訴えようとして…。
 
最後は予想どおり、悲しくも美しく終わりましたが、 グアテマラが幼児売買ネットワークの拠点であることを考えると 非常に複雑な心境に。
 
思い出したのは、2004年に公開された(と記憶している) ジョン・セイルズ監督の「カーサ・エスペランサ」。 あれは、米国の子供が欲しい女性たちの視点から撮っていましたが、 ラテンアメリカの子供を養子にするためにやってくる 北米人たちへの批判にもなっていたと記憶しています。 
 舞台は南米のとある国でしたが(ロケはアカプルコ)、 まさに、あれがグアテマラで起こっていることだと思いました。

養子縁組が簡単なことから、北米やヨーロッパから養子を とりたい女性たちが大挙する中で、乳児が誘拐されることも あり、80年代から、問題になっていたグアテマラ。
 
なので今のグアテマラで描くなら、そして、これがリアリティで あるのなら、映画として、もう一歩、踏み込んで欲しかった、 と思わずにはいられません。折角、カクチケル語で通して いるのだもの。ああ、もったいない!!という感想。
 
この作品はサンセバスティアン映画祭のCine en construcción (制作中の作品賞)でも受賞していたので、後で担当者(女性)とも 話しましたが、風景と民族衣装が余りにも美しく、 ヨーロッパが観たいラテンアメリカで 終わってしまっているところが何とも残念と。
   「ヨーロッパが観たい日本を撮っている某監督作品に 通じるところあるね」と言われ、まさに!と納得した次第。

 げげげ、1本だけで、こんなに長くなっちまった!
 でも、ベルリンのコンペ初のグアテマラ映画、そして ブスタマンテ監督は初めての長編ということで、 力が入ってしまいました。

ベルリン映画祭は折角行ったので、備忘録も兼ねて、あとの作品も書いていこうと思います。
(仕事は山積みなのだが、これをやらないと次へは行けない、みたいな感じがあるので)
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冬眠中にもかかわらず、寒いベルリン映画祭に行って、

その後、また冬眠していたので、書くことが山ほど

たまってしまいました。


そろそろ、春の予感がするので、

去年のサンセバスティアン映画祭、ブエノスアイレスの

Ventana Sur(フィルムマーケット)からベルリン映画祭まで
感じて来たラテンアメリカ映画と監督たちの変化について、

少しずつ、書いていこうと思います。


と思っていたら、もうアカデミー賞も終わってしまった!


米国のアカデミー賞なんだから、と毎年、外国語映画賞しか

チェックしてなかったけれど、去年、「ゼロ・グラビティ」で、
メキシコ人のアルフォンソ・クアロン監督が7部門受賞。

今年は、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」が

作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞の4冠、撮影の

エマヌエル・ルビツキは2年連続の受賞。

言葉や国の枠を越えて活躍するラテン系映画人が増えて来て
嬉しい限り。

イニャリトゥ監督の次回作「The Revenant」の主演は
ディカプリオにトム・ハーディ。

アレハンドロ・アメナーバル監督の次回作「Regression」の
主演もエマ・トンプソンとイーサン・ホーク。

後へ続けというかのように、最近ではメキシコと米国、
ヨーロッパとラテンアメリカの合作が花盛りで、
スペイン語以外の言語の映画も増えて来ました。

でも、今回のアカデミー賞では、
外国語映画賞にアルゼンチンの「Relatos Salvajes」

(英語タイトル:ワイルド・テイルズ)と

短編ドキュメンタリー部門に、これまたメキシコの映画学校

CCC(映画研修センター)の卒業生でニカラグア出身の

ガブリエル・シエラ監督作品「La Parka」がノミネート、と

ラテンアメリカ映画界の鼻息荒くなってます。

Relatos Salvajes 予告編


アルゼンチン=スペイン(2014)
プロデューサーがアルモドバル兄弟なので
スペインとの合作だけれど、
監督もキャストもアルゼンチン。

アルゼンチンオールスターキャストって感じの
6つの話のオムニバス。

これまでアルゼンチン映画といえば、じっくり観る
ドラマや、皮肉で抑え気味なブラック・コメディが
多かったのだけれど、これは、もうハチャメチャ感が
満載!ショートストーリーだから、これだけ
テンション高くいけたのね、と思うけれど、
アカデミー賞ノミネートは、ちょっと驚き。

監督:ダミアン・ジフロン
出演:リカルド・ダリン
   レオナルド・スパラグリア
   リタ・コルテッセ
   ダリオ・グランディネッティほか。
音楽:グスタボ・サンタオラヤ

2015年夏、日本公開予定

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ついに出ました!
今年のラテンビート映画祭ラインナップ

これに加えて、アレックス・デ・ラ・イグレシア監督特集も
あるというから、充実しておりますね~。

落ち込み気味の今、自分に必要なのは
植木等だ!と秘かに愉しみにしているのが
「クレージー メキシコ大作戦」

あとは、ダニエル・モンソンとルイス・トサルが
「Celda 211」(プリズン211)から再び
タッグを組んだ「エル・ニーニョ」。

このルイス・トサルと「朝食、昼食、そして
夕食」
のトサルを見比べていただきたい!
というほど、トサル好きですが、
これを機に、何度もご紹介している(はず)の
「スリーピング・タイト」も、ぜひ。

ルイス・トサルの演技の幅広さと奥深さが
きっと分かっていただけると確信しておりまする。


同じく、出演作は常に
チェックしているエドガー・ラミレスの
「LIBERTADOR(解放者ボリバル)」あたりは
必ず観ようと計画しております。

ところで、そんな中、2015年度アカデミー賞、
スペイン代表の最終候補作3本が発表されました。

■ 10.000 km, de Carlos Marques-Marcet.
■ El niño, de Daniel Monzón.
■ Vivir es fácil con los ojos cerrados, de David Trueba.

おっと、ラテンビートに2本ありますねえ。
でも、今、タイムテーブル観て、きづいたのですが、
"Vivir es fácil con los ojos cerrados"
東京では上映なし?

いや、わたくし、最近惚けているので、
見えていないだけかもしれませんが…。

"10,000km"は、オースティンで行われた
SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト映画祭)で
審査員特別賞(for Best acting duo)を受賞。
バルセロナとロサンゼルスの遠距離恋愛のお話。

エル・ニーニョと"Vivir es fácil con los ojos cerrados"
の内容については、ラテンビートのサイトをどうぞ。

この3本が最終選考に残ったことについて
スペインの映画アカデミーの選考基準が曖昧、と
厳しい指摘をしている記事も出たけれど、さて、
何が代表になるのでしょうか?
El Antepenúltimo Mohicano


10,000 km 予告編



朝食、昼食、そして夕食 [DVD]/ルイス・トサル,セルヒオ・ペリス=メンチェタ,ペドロ・アロンソ

¥4,423
Amazon.co.jp

このサブタイトルが、あれですけれど…。
スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜 [DVD]/ルイス・トサル,マルタ・エトゥラ,アルベルト・サン・ファン

¥4,104
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(あああ~ん、また更新が滞っとる!)と
自分に突っ込み入れながら…

戻って参りました、ようやくサンセバスティアンから。
せいぜい1週間だったのに、中身が濃かったので、
東京に戻ってから何もかもが新鮮!

現地時間の21日~26日まで映画祭期間中に
行われたインダストリークラブ(映画の売買を
するマーケット)と第二回ヨーロッパ・ラテンアメリカ
共同製作フォーラムに参加しました。
なぜに日本人の私が、とか諸々、詳しくは、明日。
(映画祭自体は20日~28日まで)


会議やらパネルディスカッションやらに参加せねば
ならず、思うように映画が観られなかったので、
ちと欲求不満気味。

でもまあ、仕上げに入っている作品や、
これから生まれようとする作品をプロヂューサーや
監督から聞くのもワクワク。

ということで、ここで気になった受賞作品を
ご紹介。(全受賞作は英語でこちらに

日本では是枝監督の「そして父になる」が
観客賞を受賞したので、ニュースで紹介されたろうな、
きっと。


$ラテン!ラテン!ラテン!-sansebastian1


今回のビックリはゴールデン・シェル(作品賞)の
ベネズエラ映画「PELO MALO」(BAD HAIR)
小学校のイヤー・ブック(年間アルバム)に載せる
写真を撮るために、髪の毛をかっこ良くストレートに
したい9歳の男の子と母親(シングルマザーで無職で
乳飲み子も抱えている)との物語。カラカスを舞台に、
大作を押しのけて作品賞。



すみません。この映画のシノプシスを読んで
余り興味わかなかったので観てましぇん。
監督のマリアナ・ロンドンは造形美術家でもあるので、
1本目から注目されていたけれど、2本目の「レニングラードからの
ポストカード」が、ぶっ飛んでたのを覚えてる。



シルバー・シェル(監督賞)は、久々に新作を撮った
メキシコのフェルナンド・エインビッケ。
CLUB SANDWICH。
「ダックシーズン」が公開されたので
覚えている人もいるかも。このプヨプヨの男の子が
メキシコの中流以上の男の子の典型で面白そうだけど、
エインビッケだからタダでは済まないだろうと期待。



シルバー・シェル(女優賞)は、LA HERIDA(「傷」)の
マリアン・アルバレス。



シルバー・シェル(男優賞)は、LE Weekendの
ジム・ブロードベント。これは珍しくチケット取っていたのに
会議が長引いて行けず。



30年間結婚していた夫婦が、パリに行ってお互いを
見つめ直す、と、ひと言で言えそうな映画だけれど、
役者たちを観たかった~。これは公開の可能性も
あるかな、と。

ラテンアメリカ映画賞は、ブラジルのフェルナンド・コインブラ監督の
「O LOBO ATRAS DA PORTA」(A WOLF AT THE DOOR)



正直言って、今回、コンペ作品には、余り食指が動かず
新人監督部門やとんがった映画を選ぶZabaltegiの中に
観たい作品が多かった。コンペ作品の大半は、すでにトロント国際
映画祭に出品されているので、新鮮味がなかったかも。
ラテンアメリカ映画部門もカンヌ映画祭で、すでに観た作品が
多かったし。。。(なのにHELI のことしか書いてない!)
映画館が遠かったり、満員で入れなかったり、帰国後の上映だったりで
余りリアルタイムで観られなかったけれど、
こういうのも出会いなので、逆らわないことにしてる。

明日は、フォーラムで出会ったキューバの監督とプロデューサー
メキシコの女性映画人トリオについて書くことにしまっす。

早く書いてしまわないと忘れるからなあ。。。。
(あ、カンヌで書き残したことも、そのうち)
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今日がカンヌ最終日。これを書いている間に
受賞発表が終わってしまいますタ。

いやはや、ビックリ!
「Heli」のアマ・エスカランテが監督賞だと!
なぜ、ビックリなのかは、後ほど書くとして、
今回のカンヌ映画祭、昨年よりもラテン系作品が
少なく感じたのは監督週間(これは映画祭と主催が
別なのですが)に、余りなかったからかも。

でも、初カンヌで何を観るかといわれたら、
やっぱりスペイン語映画!
ということで、まずは2本あったメキシコ作品から。
この2本に共通して強く感じたことは、メキシコ以外の
人々が「こう思いたい」メキシコが描かれているのでは
ないか、と思ったこと。

テーマは「麻薬」と「移民」

私にとっては、またかよ、な感じです。
もちろん、映像としてほ~っと感心するところも
多々あるのですが、なぜに、このテーマなのだ?と
いうのが監督に一番聞いてみたいことです。

「Heli」Amat Escalante
$ラテン!ラテン!ラテン!-エリ

このタイトルみるとヘリコプター?てな感じに
思ってしまうのですが、これは主人公の名前「エリ」です。
今回、ラテンアメリカ唯一のコンペ作品。

(監督名、スペイン語の発音に合わせて日本語表記を
「アマ」にしていますが、できれば「アマッ」にしたい。
でも、ちょっとお笑いな感じになるかも?)

はいはい、横路にそれましたが、そういうことで、この監督、
初監督作品「サングレ」がカンヌのある視点部門に出品され、
東京国際映画祭にも出たので、覚えている方もいらっしゃると思います。
これが3本目でカンヌのコンペ、というラテンアメリカ生まれは
スペイン、バルセロナ。今はグァナファト在住で、
キューバのアントニオ・デ・ロス・バニョスで映画を学び、
初監督作品の後、カルロス・レイガダスの
「Batalla en el cielo」で助監督をつとめています。

「Heli」の幕開けは、乾いた大地の中の道を走るトラック。
荷台に乗せられている男2人。
そうとう痛めつけられて、生きているかどうか分からないほどの
2人がじっくりと映されます。
その後、トラックが橋のところで止まると…。
このあと、何が起きるか、というのは
メキシコの麻薬組織セタのやり方をみれば想像がつきます。

そして、そこから、この2人は誰なのか、
なぜ、こんなことになったのか、
という物語が展開していきます。

主人公のエリは、妻と自分の父、
そして中学生ぐらいの妹エステラと
貧しい小屋に暮らしながら、
かなり遠くの自動車製造工場まで、自転車で
通いながら働いています。エリが一家の大黒柱で、
自分の家族を守るために黙々と働いています。

その村には軍の駐屯地もあって、エステラは軍隊の
うだつがあがらないヤツとつき合っています。
2人でここを出て結婚しよう、という恋人の言葉に
夢を抱くエステラ。

もう、このあたりから不穏な空気。
ある日、軍が大量の麻薬を摘発して、それを
燃やすのですが…。

と、ここまで書けば何が起こるか予測可能。
でも、この映画の中で一番感じたのは「孤独」です。
彼らは別の土地から仕事を求めてやってきたので、
村からするとよそ者。その村は軍と自動車工場で
何とか住人が生きて行けるようなところなので、
大きな権力にははむかえない。
だから、皆、見て見ぬふりをする。

でも、エリは寡黙で正義感強く、何とか真っ当な道を
歩みながら家族を守ろうとします。その孤独感は、
周りを映す随所にやどっています。
広大な大地の中の小さな車、とかに

共同体の中にいれば、何とか生きながらえることも
それを敵にすると恐ろしい。誰も助けてくれない
状況に陥ることになるのです。

そういう意味では、とても納得がいく作品に
なったのに、カンヌでの上映では、拷問や暴力シーン
ばかりが注目され、エリの孤独には誰も触れない。

この作品が、センセーショナルなものになってしまったところが
残念です。この監督はレイガダス同様、プロの俳優を
使わず、オーディションで選んだ人々と長い時を
すごしながら、映画を作って行きます。なので、
演出に対する監督賞なら、分かる気がします。

余りのショックで拒絶反応を起こす人もいるからか、
批評家の判定は、ほぼ悪く、だからこそ、監督本人も
含めて驚きの受賞、ということになりました。

ああ、長く書き過ぎてしまったので、もう1本の
メキシコ映画は帰国してから書くかなあ。

いつも怠惰ですみません。


ティーザー予告
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<監督週間のスペイン・ラテンアメリカ映画>

こちらは、何と、驚くなかれ、3月のリビエラ・マヤ映画祭の
RivieraLabのワークインプログレスに出ていた、メキシコの
女性監督作品「Fogo」が上映決定。
DCPへのポストプロダクション費用を獲得したのだが、もう出来たのか?

「Fogo」(英語)
監督:ユレネ・オライソーラ (メキシコ)

ニューファンドランド島でロケ。厳しい自然環境と
主役の男性(地元の人)の表情で、目がひきつけられる映画。
vimeoは貼付けられないのね~ クリップ映像


「3」
監督:パブロ・ストール(ウルグアイ)

懐かしいですねえ、あのウルグアイ映画「ウイスキー」の監督のひとり。
もうひとりの監督、フアン・パブロ・レベリャが自ら命を絶って、しばらく
映画を撮っていなかった。2009年に前作「Hiroshima」(といっても広島とは関係ないんですが)で、監督復帰。それで吹っ切れたのか、今度はコメディ。娘と母とのターニングポイントに、離婚した父が戻って来る、というお話。


「No 」
監督:パブロ・ラライン(チリ)

みなさま、覚えておいででしょうか?
暗い顔でナイト・フィーバーを踊る「トニー・マネロ」。
パブロ・ララインはデビュー作「Fuga」からファンなのだが、
いかんせん、商業公開難しいと思わせる頑さがある。
でも、今回は、ガエル・ガルシア・ベルナル主演!!
その上、舞台は、1988年のチリ。ピノチェト続投か否かの国民投票の
際に行ったNo!と言おうキャンペーンを作り上げた若き広報担当の
話(だと思う)。これは、ガエルの制作会社も出資しているし、
商業公開もありだよね。

映画を紹介するチリのテレビ局



「Infancia Clandestina」
監督:ベンハミン・アビラ(アルゼンチン)

1979年が舞台。軍事政権のアルゼンチン。
まだまだ、このテーマの映画は作られるのね。
でもなあ、折角「瞳は静かに」で市井の人々が
やっと描かれたのに、また反体制側の物語に逆戻り?の
感はぬぐえず。観てみないと分からないけど。
子どもはアンドレスのほうが断然かわいい…。ヾ(▼ヘ▼;)


「La Sirga」
監督:ウィリアム・ベガ(コロンビア)

武力闘争のトラウマから逃れるためにアリシアがたどり着いたのは、
アンデス高地の湖岸にある民宿、La Sira。そこには、唯一の
血縁であるオスカルが、ひとり静かに住んでいた…。


「Sueño y Silencio」
監督:ハイメ・ロサレス(スペイン)

この監督、キューバは、ハバナ郊外のアントニオ・デ・ロス・バーニョスに
ある国際映画テレビ学校の出身。本人はバルセロナ出身。
これはモノクロなのかもしれないけど、物語は、パリに娘たちと住む女性2人が、スペインで休暇を過ごしている時に、何か事件が起こるようだ。
(と、全く興味がないことがバレる書き方をしちまったぜ)

以上、監督週間が面白い、今年のカンヌ映画祭だした。
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