【もんじゅ・14年の空白】(上)

 わが国の将来的なエネルギー政策の柱として成果が期待される高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)。28日、西川一誠知事が川端達夫文部科学相に了承の意向を伝え、14年5カ月ぶりの運転再開が正式に決まった。再開を急ぎたい国側と、対価としての地域振興策を引き出したい県側。微妙な駆け引きのはざまで、地元にはさまざまな思いが交錯した。

 「県民の安全確保と信頼を前提に、地元としてしかるべき協力をします」

 28日午後、福井県庁の知事応接室。了承を伝える西川知事に、川端文科相は「安全確保と情報公開に万全を期すよう取り組みます」と神妙に答えた。知事は「北陸新幹線をはじめとする地域振興の諸課題について、政府全体で着実に実行するよう、努力をお願いします」とも念を押した。

 再開了承は当初、3月中にも表明される見通しだったが、西川知事はじらしにじらした。

 福井県内には14基の原子力発電所があり、県にはこれまで、原子力立地による地域振興として、国などから3千億円以上の資金が流れ込んだ。道路や公民館などインフラ整備の恩恵を得てきたが、もんじゅ再開も、地元振興に利用できるバーター材料の「切り札的存在」となった。

 再開了承までの過程で、県側は北陸新幹線の延伸などを求め、国側の前向きな姿勢を引き出すことに成功した。「(再開は)新幹線や中部縦貫自動車道の早期実現を求めることへの引き換えだ」。地元関係者からは、そんな声も漏れる。

 高速増殖炉は、ウラン燃料の“燃え残り”を再処理した燃料で、使った分以上の核燃料を生み出すことができ、資源小国の日本にとっては、まさに「夢の原子炉」だ。国などが再開に執念をかけてきたのには、純国産エネルギーを確保するという国策を維持する観点がある。

 一方、「原発銀座」とも呼ばれる福井において、安全性への関心は当然高い。地元では、今も運転再開に反対の声がくすぶる。

 「これだけの時間止めていた原発を動かして大丈夫な例を知らない。地元としては不安だ」。市民団体「高速増殖炉など建設に反対する敦賀市民の会」の代表委員、吉村清さん(84)は、「結局、国のメンツや事業者の組織防衛のために動かすとしか思えない」と不信感をのぞかせる。

 一方、再開賛成派の「敦賀市女性エネの会」会長、平山禮子さん(84)は「やっと動き出すのかという思い。海外ではナトリウム漏れの事例は珍しくないのに、14年の停止は長すぎた」と話す。

 今年は、敦賀市で原発が動き出してちょうど40年にあたる。この間、地元はさまざまなトラブルを経験してきた。平山さんには、地元でもさほど気にしない小さなトラブルを、現場を知らない都会の人が大問題のように騒ぐのは心外だという思いが強い。

 「もんじゅの安全対策は慎重すぎるくらいに念入りにやってきた。今後も小さなトラブルは出るだろうが、日本中が過剰に騒がず、長い目で見守ってほしい」

 元敦賀市議長の橋本昭三さん(81)も「ささいなトラブルが起きるたびに止めていたら、研究が進まない」と懸念し、かみしめるように語る。「もんじゅは研究施設なんだから、問題が起きるのは当たり前。むしろ、研究段階に問題を洗い出すことの方が重要だ」

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