三重、奈良、和歌山県にまたがる紀伊山地の「カモシカ保護地域」で、国の特別天然記念物・ニホンカモシカの生息密度が1平方キロあたり0・4頭となり、全国の13保護地域で最低水準に落ち込んだことが、3県教委のまとめた特別調査報告書で明らかになった。

 紀伊山地の生息密度が低下したのは1986年度の調査開始以来初めて。専門家は「代わってニホンジカの生息密度が大幅に増加しており、ニホンカモシカが保護地域外のふもとに追いやられている」としている。

 ニホンカモシカの保護地域は青森県の下北半島から紀伊半島まで13か所に設定されている。紀伊山地の保護地域は、三重県大台町や奈良県十津川村など3県の17市町村にまたがる795平方キロで、89年に設定された。全国の保護地域で最も南に位置している。

 3県教委は86年度から8年に1度、特別調査を実施しており、2008年度から09年度にかけて4回目の調査を実施した。調査は「区画法」で、調査員が一斉に保護地域を歩いて調べ、目撃したニホンカモシカの数から生息数を推定した。

 その結果、1平方キロあたりの生息密度は0・4頭にとどまり、過去3回の0・6頭を下回った。保護地域内の生息頭数は約400頭とみられ、前回の700頭から大きく減少した。

 一方、ニホンジカは前回の1平方キロあたり2・9頭から4・1頭に大幅に増えた。ニホンカモシカとニホンジカは、冬場に針葉樹の葉を食べるなど食性の重なる部分が多く、調査員らは「ニホンカモシカが保護地域から追いやられている可能性がある」という。今回の調査では、津市や名張市までニホンカモシカの分布範囲が広がっていることも分かった。

 ニホンジカの保護地域への進出は、全国的な傾向で、滋賀県から岐阜、福井県、京都府にまたがる伊吹・比良山地でも、現在取りまとめている昨年度調査では、ニホンジカが増加し、ニホンカモシカが大幅に減少しているという。

 今回の紀伊山地の調査を指導した冨田靖男・元三重県立博物館長は「温暖化などの影響で、本来は寒さに弱いニホンジカが保護地域で増加し、ニホンカモシカがエサ不足に陥っている」としたうえで、「適切な計画を立ててニホンジカの個体数を管理し、間伐などを通してエサになる草や木の葉の生育を促すなど、ニホンカモシカの生息環境を改善する必要がある」と指摘している。

 ◆ニホンカモシカとニホンジカ=ニホンカモシカはウシ科で、体長1メートル前後。本州、四国、九州の山岳地帯に生息する。ニホンジカはシカ科で、ニホンカモシカより大きく体長約1・5メートル。森林、草原に広く分布し、奈良公園に生息するシカは国の天然記念物に指定されている。

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