パイレーツ




 まず、はじめに。
 見る前にパンフレットを読んではいけない。(ネタばれしてしまう)
 エンドロールの時に席を立ってはいけない。ラストに印象的なシーンがあるので。


 3作に亘った、ディズニーの海賊ものの最終話。大団円に向かって2時間50分もの怒涛のクライマックス。


 七つの海を自由に駆け巡る海賊たちの時代は、終わろうとしていた。
 世界の海から海賊を駆逐しようと企む、東インド会社のベケット卿が、ジャックの宿敵である、『深海の悪魔』デイヴィ・ジョーンズと結託。海賊たちを次々と葬っていく。彼らに対抗するには9人の“伝説の海賊”の結集が不可欠だが、その最後の1人はデイヴィ・ジョーンズが放った怪物クラーケンの餌食になったジャックだった…。ジャックは蘇るのか? そして今や,海賊たちと行動を共にしている、ウィルとエリザベスの運命は?


 登場人物が多い。少し交通整理したほうが良かったのではとの声も聞こえる。しかし、1作目から見て来て、予習復習をして、この日を待っていた我々にとっては、何も混乱することがなかった。ちょい役のキャラのささやかな行動や台詞にも大いに笑わせてもらえた。
 2作目は、中途半端だった。ああいう終わり方は、嫌いだ。いかにも次回作への複線で。だが、完結編は見事だった。飽きずにスクリーンに釘付けになった。
 登場人物が多いので、それぞれにエピソードもある。あちこちに見せ場がある。裏切りとどんでん返しの繰り返しで、誰が信用できて誰を疑うべきなのか混乱するのも、楽しい。

 やはり、予習をしていかないと、苦しい映画なのか? 頭が悪いと、楽しめない?

 私は、大いに楽しめ、笑い、じんわりとした。
 もう、このキャラクターたちとは、お別れなのかーと、さびしくも感じた。


 そんで、ジャックはやっぱり、ジャックだった。
 ウィルとエリザベスが人間的にも成長し、変化していったのに、ジャックは相変わらず。
 ジョニー・デップが、ジャックのモデルにしたと言うあまりにも有名なエピソードがあるが、ついに、その本人、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズがスクリーンに登場した。ワールドツアーの最中でスケジュールが合わないとか、木から落ちて怪我をしたとか、色々聞こえて来ていていたが、無事に撮影が出来た。
 ジョニーがいそいそと見繕った何パターンんかの衣装を、次々に着せ替えられたとか。
 そうして出来上がった、ジャック・スパロウの父親役のキースは、見事な海賊だった。ほんの数シーンしか出てこないけれど、存在感がある。いつも嵌めている「髑髏の指輪」を、そのままに、登場。見慣れたファンにはすぐ分かる。台詞をしゃべっているし、(渋い声だー!)ギターを弾くシーンもあって「うおーーーっ!」な感じだった。
 まあ、そんなお楽しみもあって、実に楽しい映画だった。3時間弱が、あっと言う間。
 エンドロールが流れる中、感慨深くいろんな思いをかみ締めた。そんな最後に、ロマンティックなエピソードのシーンがあるのだが、よけいに余韻に浸ってしまった。


 久しぶりに、満足のいく映画が観られた。そんな感じ。楽しかったぞ。



パイレーツ2



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ハンニバル




 またも、ハンニバル! トマス・ハリスは『ブラック・マンデー』以外、ハンニバルばかりを書いているな。しかも、10年に1作の上梓だったのが、スパンが短くなっている。
 ミステリー好きには、面白くてたまらない作家だ。そして、作品が少ない。これが5冊目の本。
 だが、前作の『ハンニバル』は酷かった。トマス・ハリスは力尽きたか? と思ってしまった。映画も酷かった。
 今回も当然の事ながら、原作を先に読んでから観た。(当方、ミステリ好きである故)
 う~ん。映画では、これが限界か。
 原作では、孤児院を出て美しい叔母に出会うのはもう少し年齢が下で、だからこそ人格形成に影響が大きかっただろうし、子供ながらに残酷な殺しをして行くのだが。
 映画で子供が殺しをしちゃ、まずいって事よね。悪事は青年期から。それが映画では限界だと言う訳だ。ハンニバルが頭部に怪我をした故に悪魔的な天才頭脳を得た、とか。絵画の腕は、叔父譲りだとか、父親の双眼鏡を手放さない、とか。微妙なところが映画化のときに抜けていて、物足りなさを感じた。
 第一、日本女性の役を、またも、日本人が演じていない! 原作にある「無礼者!」と叔母が叫ぶシーンを映像で見たかったぞ。
 原作では、かなり歴史を感じる。古城や、爵位とか古都とか。多数の言語とか。映画では少しも感じないのは、さすがに中世が存在しないアメリカ製作の映画だな~と、おかしな感慨を覚えた。
(アメリカには中世が存在しないから、判りえない所がある。日本には中世があるので判る。と言ったのは、リュック・ベッソン監督。そんなことまで思い出してしまった)

 物足りなさを感じつつ、まあ、仕方ない。こんなものか、頑張った方だ、と思ってしまった。
 そこそこの映画である、としか言えないのが残念。
 1作でもこれまでのハンニバルシリーズを観たことのある人ならば、それなりに楽しめるだろう。
 しかし、彼が成長して、あのレクター博士になるとは、思えない。やはり、別物。
 
『羊たちの沈黙』が映画化されると聞いたミステリファン達は、「やめて~~」と叫んだものだ。小説があまりにも素晴らしかったので。だが、映画は成功した。それによって、過去映像化された『レッド・ドラゴン』まで、新たに映画化されたりした。売れそうならば、なんでもかんでも映画にしちゃうって所だね。
『羊たちの沈黙』は、小説が出てから映画になるまで数年を要した。今回はなんとまあ、短いことか。なんかねー、即席ー? って感があるんですが。

 読後、3週間後に映画を観てしまったので、原作の印象が強すぎた。素直に映画だけを楽しめなかった。
『羊たち~』の時は数年たっていて、新たな衝撃を受けることが出来たし、『レッド・ドラゴン』にいたっては、読んだのは20年以上前だってば。。



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