鬱子が音を上げた。

くだらない短編小説をのろのろ上げて、結局音を上げてます。


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車が発進して、大和は助手席の窓から外を見た。

歩いている時とは比べ物にならない程のスピードで緑が駆け抜けていく。

顔一杯に風を感じていると、男性が声をかけてきた。



「本当にあんちゃん、こげんとこでなんしちょっとか?家出か?それともこいか?



そう言い、男性は器用に右手でハンドルを握りながら、左手で小指をぴんと立てた。

今時それは古いんじゃないですか、という言葉を呑みこんで大和は曖昧に笑った。



「そんなんじゃないです。ただの家出です」



「ほう、そうか。にしても気いつけれよ。昨日けな…

ほら、町草商店街近くの民家で、殺人があったっちゅう話だぞ。」





その言葉を聞いて思わず肩が跳ね上がり、大和は視界から緑を追い払った。



「ほ、本当ですか?!それで、犯人見つかったんですか?!」



大和は思わず掴みかかりそうな勢いで問い詰めた。

男性は大和の勢いに一歩引きながらも、首を振った。

それを見て大和自身、自分の肩が落胆してがくりと落ちるのを感じた。



明らかに意気消沈する大和を見る男性には大和の素性など知る由もない。

しかし、大和にとっては、いっそのことさっさと警察に捕まってしまえばよかったのに、と母に思った。



「なんかあ、知らんが。元気出せ…あんちゃん。生きてりゃいいこともあるさ」







生きてりゃ







じゃあ、死んでしまえば?









大和は何気ないその言葉に背筋が凍るのを感じた。



「そうですね」と乾いた笑いを零し、なんとか表情を繕う。

今は無理にでも表情を造らなければ恐怖で泣いてしまいそうだった。

俯いていた視線を上げ、気分を晴らすために風景を眺める。

すると、軽トラックが走る田園の中を両断する一本道の先に、何やら白い影が見えた。ぼんやりとした物体であったが、大和はすぐに目の前が真っ暗になるのを感じた。



呼吸が浅く、早くなっていく。目を見開いたまま、大和は生唾を飲み込んだ。













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大分放置してすいません、中々更新できないもんですねー





受験その他もろもろが控えているので、更新停滞します。



思いだした時にでも読んで下さるとありがたいです。





傘那。//




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商店街を抜けて、しばらく田園風景に包まれる。

しかし田園風景と言えど、周囲には所々コンビニやスーパーが立ち並び、民家もある。大手のショッピングセンターまではしばらくかかりそうだったが。

無論、途中で民家を訪ねてみたが人は一人も居なかった。





大和は空腹に胃を鳴らせながら、ひたすらに歩いていた。

一日中走りまわった体は悲鳴を上げ、眠っていないせいか時折激しい頭痛が脳を襲った。





「こんな、遠かったかよ…」





息を吐いて、悪態をつく。

大和が考えていた以上にショッピングセンターは遠く、目の前に広がる田園風景が永遠の様に続くのではないか、と疑いそうになる。

日は既に高く昇り、時刻はおそらく8時を回った頃だろう。大和の気持ちを嘲笑うような青が視界に果てしなく広がっている。

今はとにかく早く交番に着きたい一心であった。

その時、一台の軽トラックが傍らを通り過ぎ、数メートル先の方で停車した。



「パンクでもしたのかな?



大和が首をかしげていると、運転席の窓から麦わら帽子を被った男性が顔を出した。



「よー、あんちゃん。朝っぱらからハイキングけ?乗ってかんか?



「え、本当ですか?ありがとうございます!」



大和にとっては願っても無いことだった。

昨日からまともに人と話していない、むしろ会ってすらいなかった大和には、その男性がお釈迦様のように輝いて見えた。すぐに軽トラックに駆けよって、助手席のドアを開ける。

土の香りが鼻孔をくすぐり、その匂いに思わず息が漏れた。

お邪魔します、と声をかけて助手席に腰掛ける。男性はおそらく近くの農業者だろう。

日に焼けた肌に白い髪が映えている。男性は白い歯を見せて笑い、大和が乗ったことを確認するとアクセルを踏んだ。















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≫オッサンガ仲間ニナリタソウニコッチヲ見テイル!!





はい、短いです。仕方ないです、執筆遅いんで笑



のんびり書きます、のんびり。



傘那。//

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「ねえ、日和」


「なに」


授業が終わり、お昼休みが来た。二人で屋上の壁にもたれかかりながら、それぞれ持ってきた弁当を咀嚼する。口を動かしながら、瑠夏が続ける。行儀が悪い、と思いながらも耳を傾けた。


「私ね、好きな人ができたの」


「ほほぅ、なるほど。どんな人?


「担任」


ぴしり、と思考が止まる。

箸を持つ手が止まり、その衝撃で卵焼きが地面に落下する。黄色いそれは地面と接触して無残にも形を崩してしまった。

ああ、お気に入りだったのに。

落ちてしまった卵焼きから渋々視線を逸らし、瑠夏を見つめる。屋上から拭き上げる風に瑠夏の髪が揺れる。長い黒髪。この黒髪を揺らして、彼女は担任の所に行ってしまうのだろうか。きっととてつもなく遠い存在になるのだろうな。そんなことをぼんやりと考えていると、瑠夏がこちらを見つめているのに気がつかなかった。


「ねえ、どう思う?


「う?…あ、うーん、担任かあ」


私たちの担任こと、村窯先生は…まだ若い。28歳くらいじゃないだろうか。高校時代、野球部に所属していたらしく、がっしりとした体形。顔は悪い方じゃないだろう、爽やか、という言葉がよく似合う人だ。性格も温厚だし、少し熱すぎる所が欠点でもあり長所だ。


「いいんじゃないかな」


嘘。

いいはずがない。

頭の中で本当の自分が即答する。

それを掻き消して次のおかずに箸を伸ばす。また突拍子もない事を言われ、おかずを手放すのが惜しかったので次はマカロニサラダにすることにした。瑠夏はしばらく思案して、何も言うことがなかった。だが、突然に立ち上がった。何が起こったのか分からず、呆然として瑠夏を見上げる。見上げた瑠夏の表情は逆光でよく分からない。この時ばかりに、彼女の黒髪が表情を覆い隠しているようにも見えた。


「お気に入りだったのに」





そう言って、瑠夏は弁当も、バッグも、私も置いて屋上を去って行った。

突然のことで、どうすることもできなかった私はしばらくそこに座り続けていた。それから瑠夏が転校することになったのはあまりにも急な話だった。私自身、その話を瑠夏から聞いておらず、週が変わる頃には瑠夏はもう居なかった。

瑠夏の存在がなくなった教室は静かだ。だが、しばらくすると皆。その環境にも慣れたらしい。またいつものとおりにざわめき始めた。


ただ、私だけを除いて。


まるで大きな空洞が体に開いたようだ。陳腐な表現でしか表せないのが腹立たしいが、本当に心にぽっかりと穴が開く、とはまさにこういった事だろう。隣りから香る香水の匂いにも安心することも、動揺することもなくなった。時間が置き去りにされたのか。それとも私が置き去りにされたのか。分からないまま、ただ、だらだらと毎日を過ごした。




その日も突然にやってきた。他のクラスで特にこれといった面識のない女の子が、私の席までやってきて、興味深そうに訊いて来たのだ。


「瑠夏ちゃんと付き合ってたって本当?


ちょっとやめなよ、などという小言が横から聞こえる。

訳の分からない質問をされて口をあんぐりと開ける私を余所に、周囲の者は質問をしたその子に文句を言いながらも興味深そうに此方を見ていた。

さながら珍獣でも見るかのような眼差しに苛立つ。


「どういうこと」


「あ、あれ?瑠夏ちゃん、だって日和さんのこと好きだって言ってたの

よ」


「それは親友として…」


「ううん。私、瑠夏ちゃんに振られたんだから…あなたが居るからっ

て」


そう言ったその子は大きな双眼に涙を浮かべていた。白い頬が赤く染まり、涙を堪えるように下唇を噛みしめている。

まるで拗ねたときの瑠夏のように。

だが、それよりも言われた言葉に対する驚きの方が強かった。

何も言わない私を不審に思ったのか。はたまた恋敵であった私を見るに堪えなくなったのか。

その子は何も言わずに去って行った。机の木目を見つめながら、呼吸が止まったように感じる。

周囲で黙っていた子たちも、辺りのざわめきに溶けて消えて行った。


要約すると、瑠夏は私のことが好きだったらしい。


今はもう、一人の屋上のフェンスに寄りかかり、空を見上げる。

あの日、何故瑠夏は私に担任の話をしたのだろうか。

答えは簡単に、呆気ない程にみつかった。ただ、それは瑠夏が本当に私を好きだった、場合の話だ。

あの話が根も葉もないうわさ話ということもあるだろう。

そうは思っていても、何故だか嬉しく思う自分が居た。

夏風が頬に涼しい。今、あの子はどこで何をやっているのだろう。私を思ってくれていたりするのだろうか。傍に居たはずなのに、何で気付かなかったのだろう。自分はあれほどまでに想っていたのに。


「馬鹿ばっかりさ」


真夏の空に落ちた雨粒は、あ、と言う間もなくコンクリートに吸い込まれて消えた。







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はい、ということで。盲目の魚の短編はおしまいでしたー


読んでいてわかったと思いますが「百合」ですね、はい。


「百合」は凄く純粋で不純なイメージなので、小説書く際には結構いい刺激になります。



傘那。//













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