交通事故などで脳に特異な損傷を負う軽度外傷性脳損傷(MTBI)について、長妻昭厚生労働相は20日の参院厚労委員会で「診断のガイドラインをどう決めていくか検討を進めたい」と述べ、診断基準作成に向けた研究を始める方針を明らかにした。MTBIは国内で認知されておらず、専門家の推定で約30万人いる患者は救済措置もなかったが、政府は方針転換した。

 山本博司委員(公明)の質問に答えた。長妻厚労相は「研究が十分ではなかった」と不備を認めた上で「診断基準を決める必要がある。まず医学的知見を蓄積していく。どういう研究が適切か、検討したい」と語った。

 MTBI患者は磁気共鳴画像化装置(MRI)などで脳内の損傷が映りにくいため、「MRIなどの画像所見が必要」と定める労災や自賠責保険では救済されず、多くは事故の加害者側に賠償を求めていた。この点に関し長妻厚労相は「画像診断技術の確立も含めて検討したい」と答弁した。また山井和則政務官は「患者団体や専門家の意見を十分にうかがいながら対応を検討していく」と述べた。

 労災基準改定を求めている患者団体「軽度外傷性脳損傷友の会」(東京都江東区)の斎藤洋太郎事務局長は「金銭的に困窮している人が多く、一日も早く改定してほしい」と語った。

 国内で初めて患者数を調べた湖南病院(茨城県下妻市)の石橋徹医師は「欧米との知識や制度の格差を解消するため、研究班を早く立ち上げてほしい」と話した。【宍戸護】

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