登り終了 17:51(11:01)

 

怒涛の直登に3時間近くも格闘してふらふら。ようやく舗装路(木道)が現れた。

ここは高低差600mを一気に登る黒部でも有名な難所とか。だが、この先の

雲の平山荘まで1時間半、さらにテン場まで20分を歩く元気がない。おまけに

だいぶ日も傾いて薄暗くなってしまった。

 

木道の脇にビバーク好適地を見つけた。それでも一旦は通り過ぎたが、森林

に入ると懐中電灯なしでは難しいほど暗い。ここは決断を下さねばならない。

基本的に国立公園内はキャンプ禁止なのだが、ビバークは緊急避難のため

已む得ない。無理を押して進んでも暗さだけでなく、疲労による集中力の低下

で思わぬ怪我をしかねないため致し方ないと判断。もはや当初の計画よりも

2時間近くオーバーしており、つくづく自分の限界を思い知った。

 

ビバーク地 18:40(11:50)

 

テント敷地の石をどかし、グランドシートを敷いてヒルバーグ・ソウロを張った。

幸いにして晴天かつ無風。ペグを打つ元気もなく、そのままマットとシュラフを

広げて寝転んだ。疲労のため食欲はまったく無い。19:00頃に日が落ちる頃、

自分もすっかり落ちてしまった。

 

夜中、2:00ごろ目が覚めた。少しばかり空腹になったので、食べれなかった

おにぎりとパンを貪った。もうお湯を沸かすことさえ億劫になっていた。再び

ダウンし、気が付くと5:00にセットしたアラームが鳴り、もそもそと起きた。

 

5:30(0:00) 出発

 

寒い朝だ。霜が降りるほどじゃないけど相当冷えた。急いでコーヒーを沸かし、

カロリーメイトの食べながら温まる。体を冷やすと元気に歩けないので食は重要

である。食べ終わって急ぎテントを畳む途中、初老の男性がひとり通過したが、

それ以外パトロールの人にも見つかることもなく(メンドクサイらしい)、何事も無

かったかのように装うことに成功した。相変わらず足は痛いが、すっかり元気に

なった。未だ見ぬ世界へ出発!

 

アラスカ庭園 6:00(0:30)

 

向かう方角の朝日がまぶしい。それでも、晴天は最高に嬉しいものだ。樹林帯が

終わって高層湿原のような開けた大地を軽快に進んだ。

 

やっぱり山はいい。こんな標高(2600m)まで登ったのは30年ぶりだろうか。実家

は八ヶ岳の麓で幼少の頃から身近な存在だったし、南北アルプスの経験もある。

高校でも登山部だったのであちこち合宿にも行った。それもこれも皆10代までの

思い出。18歳でバイクに乗ってしまったので、30歳頃に一度だけ利尻山へ行った

だけで四半世紀ぐらいご無沙汰である。

 

来年あたり手ごろなセロー250でも買おうかな?なんて思っていたが、もう欲しく

無くなった。バイクでは絶対に体験できない世界。すっかり山に魅せられてしまっ

たのだ。

 

崖の上に聳える雲ノ平山荘。何とも言えない雰囲気だ。前日ここまで来る予定だっ

たが無理せずに正解。体力の回復なくして山行は絶対に成功しないのである。

 

雲ノ平山荘  7:02(1:32) 標高2600m

 

何ともセンスの良いおしゃれな建物だ!

 

ここは北アルプスの最深部、黒部源流域の標高2600mにある大平原。

雲ノ平はその名の通り雲に覆われ、視界が効かないことが多いらしいが、

どっこい快晴の力で、同じ日本とは思えない絶景を瞼に焼き付かせた。

 

いつかは泊まりたい雲ノ平山荘とお別れして、一路高天原に向けて歩みを

進めた。何とも言えない佇まいだ!

 

電波中継塔 8:10(2:40) 標高2750mぐらいで今回の最高地点

 

Docomoの中継塔らしい。長らく圏外だったが、auでも弱いながらもメールの

送受信ができた。ここは雲の平山荘から150mほど高く、標高およそ2750m。

今回の山行で最高地点となった。

 

メルヘンチックな道に心が和む。この至極の時間をじっくりと味わおう!

 

やがて長い梯子の急な下りになった。とにかく慎重を合言葉に一歩一歩

ていねいに降りて行く。

 

久しぶりに沢に出たので給水。冷たくてすこぶる気持ちが良い!

 

高天原峠 9:30(4:00) 標高2250m

 

10分休憩の後で出発。ここは温泉の帰りにも通るので、よっぽど荷物を

デポ(置いて)行こうと考えたが、誰もそんなことをしている様子もない。

心を鬼にして荷物を背負って行くことにした。

 

その4へ続く

 

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