新規事業というと誰もやっていないような全く新しい


事業を思い浮かべる人が多い。


例えばGoogleやアップルみたいな。






でもGoogleだってもともと検索エンジンとしては


かなりの後発だったし、adwordsだって最初は


goto.com(今のオーバチュア)のマネだったし、


iPodだって既にMP3端末はたくさん出ていた後であり、


先行している企業の製品やサービスがあったという


ことを忘れている場合が多いように思う。






もちろん彼らはその後に、そこで得た知見をベースに


自分たちなりのオリジナルさをどんどん加えていき、


結果として独創性あふれるサービスや製品になっていったのは


事実ではあると思う。







記者の人に取材をうけるときに時々、「ECナビって後発で


始めるサービスが多いですよね」といわれることがある。


そういうときは正直悔しい。


でもそこは後発の弱みとして耐えるしかない。


そのうえで結果が出るまでやり続け、マーケットや競合を


理解し、その上で徐々に自分たちのオリジナル性を


加えていき、結果ふと振り返ってみたときに、


独創的でユニークなサービスにまで昇華させればいいんだと思う。






これと似たような考えに世阿弥が残した『修破離』という言葉がある。


これは物事の上達の段階を示した言葉で


1.『修』とは、師匠の教えをそっくりそのまま守る。

すべて師匠の教え通りにやる。


2.『破』とは、師匠のものを自分のものにした上で、

自分の新しい工夫と努力を加え、師匠の教えから

少しずつ抜け出し、破ってゆく。


3.『離』とは、自分の工夫と努力によって師匠の

教えから脱皮し、さらに修練を積み重ねて自らが

ひとつの境地を築き上げる。


を指す。






世の中には既に『離』の段階にあるサービスはたくさんある。


だからといって自分たちもすぐに『離』にはなれない。


まずは『修』から始めなければならない。


これによってビジネスの成功確率を上げながら徐々にそこに


改善を加え、独自性を加えていけばいいんだと思う。


『修』の段階で周りからの批判や非難には甘んじて受ける。


でもそれはしょうがない。ある意味では事実なんだから。







インターネット上には良い師匠となるサービスは日本だけではなく


世界中にたくさんある。


変なプライドを持たずにたとえ競合であっても自分たちのサービスに


とって良い師匠となるサービスを見つけ出し、そこから一歩づつ


前進していきたいと思う。








■今日の名言


「一事を必ず成さんと思わば、


他のことの破るるをもいたむべからず。


人のあざけりを恥ずべからず。


万事をかえずしては、一の大事成るべからず」


(吉田兼好)