遺言書って、
私が思っていたより簡単じゃ なかった。
焦っていたにも関わらず
公証人役場に提出するような正式な遺言書を作成するのは
1日 2日では とても無理だった。
それでも、何もせずに未来を恐れ悩んでるよりは
ちょっとでも前進できて。。良かった。
特に私達の場合、もし この人が駄目だったらこの人
この人も駄目だったら この人
と言う風に 万が一の事態に備え、相続人を何人もたてた。
それに加え言葉の間違えがないように
慎重に作成する必要があるらしい。
何度も何度も、文面を確認し 打ち合わせをしながら モレの無いように文書にする。
更にその他、戸籍謄本類などの書類も必要になり
結構 時間がかかっていた。
そして、まだ遺言書の提出が終わらないうちに
冬休み
が もう直ぐ やってくる。
この冬休みは、沙織ちゃんが家に遊びにくる!!
相変わらず、うちの子供達は
沙織ちゃんが来る事も また楽しみ
にしている。
過去を忘れたのか、それとも許したのか、 分からないけど
人の良い子供たちだ。
なのに、、、
私は過去を忘れることができない
そして、、表面上許していても、心からは許せずにいる
あの日のように・・・
翔だけ一人ぼっちにさせて寝るなんて 絶対に嫌。。
。
今でも、沙織ちゃんの身体が振れた時の あの ぞっと
するような感触がリアルに思い出せる。
口の悪い沙織ちゃんに 何を言われてもニヤγ(▽´ )ツけて
翔に言われたら、悪魔のような顔
をして怒鳴ったアトムの顔だって
今でも鮮明に思い出せる。
とても楽しそうに
くっついて ファミレスの中に入って行く
アトム
と沙織
ちゃんの後ろ姿だって、昨日の事のように 思い出せる
憎しみの詰まった私の心。。。
まだ健在すぎる。。。
そんな精神状態で沙織ちゃんを 家に遊びに来させていいのだろうか・・・・
私・・・心のどこかで
今度 同じことやってみろ!!
ただじゃおかねぇーーーぞ!!
って思ってる自分がいる。。。
こんな悪魔
みたいな女の居る家に 沙織ちゃんを来させちゃいけないんじゃないか・・・
と悪魔の癖に考えちゃう・・・。
私は やっぱり黙ってられない性格で
アトムに話した。
「ねっ、、、今度沙織ちゃん来たら
どこで寝かせるつもり?」
「翔の部屋に布団敷けば いいだろ! まだ小学生だし。」
「また そんな事言って・・・翔が楽しみにしてるのに
突然 夜になって やっぱり嫌だとか また言いだすんじゃないの?
私。。。もう 二度とあんなこと 嫌だからね!!」
「もう 言わないだろ。」
「そんなこと わかんないよ。
アトムは異常なほど 沙織ちゃんには甘いじゃん!!」
あ~~また喧嘩になりそ・・・
「おまえ、沙織を 来させたくないわけ?
断ろうか?」
「そうだね!
わざわざ、私達の目の前で 仲良し親子を見せつけて
翔を苛める為に来るんだったら
来させないで!!」
アトムと話しながら
過ぎ去ったあの日の事が 鮮明に思い出されて、憎しみ
が蘇る。
悪魔のような台詞が、どんどん口から出て来る。
「わかった。 じゃ~断っておくよ。」
「うん そーーーして!」
と そこで止めておけば言い物を・・・
私は続けて
「なるほどね~~。
やっぱり、嫌がらせの為に来させるんだったんだぁ~~
あ~~ 早く気付いて良かった~~!
」
もしかして、、
嫌がらせしてるのは おまえだよ!
そう 私・・・・
「どうでも 勝手に思えばいいじゃん。。。
最悪な女だな。
」
「そうだね、A子さんみたいに 素晴らしい女じゃないから
アトムとA子さん、なんで離婚しちゃったんだろうねぇ~
あの男と別れて って頼んだら?
A子さん病気だし、守ってあげたら?
」
「いい加減にしろよ!!
」
「やっぱ、沙織ちゃんやA子さんのことになると 喧嘩かぁ~
A子さんには 勝てないや~~
」
思いっきり、憎まれ口を叩く度に
心にしまって置いた重たいものを吐き出すように
スッキリしていく自分が居た。
なぜか、これだけ言っても
罪悪感を感じない。
とってもスッキリ爽快!
やはり、、あの日 私は とてつもなく悲しかったんだ・・・。
とてつもなく、翔に可哀相なことをしてしまった。。と 後悔してもしきれない程
苦しかったんだ・・・・。
だから、今
仕返し してやった!!
私は、そう感じていたんだと思う。
それにしても、翔のことは別として
私はずるい女だ。
だって、今 A子さんの所には 男の人が同居していて
それで、絶対にアトムはもう A子さんの所へは戻れない、と確信しているから
これだけデカい事を のうのうとアトムに言えるんだ。。
こんなことを言ってる私こそ
アトムに 仕返しする為に
今 アトムと一緒に居るのだろうか・・・と思う。
でも、、、
アトムって、いつも いつも
自分の子供達がここに来る事を 当たり前のようにしてる気がする。
私だって、アトムの子供達を招くことを拒否するつもりは無かったし
むしろ、そう言う関係になれることを 望んでたけど
当たり前 って何??
前妻との子供をここに呼ぶなら
少しは 低姿勢に ちょっとは肩身の狭い思いで 言うべきじゃないの??
偉そうに、何様なのよ!! アンタ達!!
と・・・・この時ばかりは、
最悪に酷い事をアトムに言ってるにも関わらず
反省の色も無い私だった。
心の中で、 アトムだって悪いじゃない!! と言う気持ちが大半を占めていた。
それから 数日、、、
やっぱりね。。。。
アトムは 沙織ちゃんを断るに断れずにいたようだった。
それを知って居ながら、
私はアトムへ 救いの声も掛けず、黙っていた。
すると・・・
「あのさ、、、沙織がなんだか 楽しみにしてるみたいなんだよ。。。」
「そぉ。。」
だから 何? それが どーーーした??
私はかなり冷たく答えた。
これくらいに 言って置いてちょうどいいのよ!!
そう思っていた。
「俺さ、、かなり反省してるよ。
2度と、翔に辛い目には合わせない。
ウランにも。。。
だから、沙織 呼んでいいかな?
今度は、信じてほしい。。。」
と やっと低姿勢に言って来た アトム。
そうだよね、、、それだけの事をして来たんだから
これくらい謙退する態度で当然だよね。
そう思った。
そして、、、少し間を置いて
どんな言い方をしよう。。。。どう 答えよう。。。
と瞬時に考えて、私の口から出たのは
「わかった。」
の たった一言。
アトムの顔も見ずに 淡々と答えた。
この短く淡々とした言い方が、 深く重く相手の心にのしかかっただろう。
アトムの顔も見ず
キッチンで料理をしながら答えた 私は
アトムがその時、その後、どんな表情だったのかも 知らない。
ただ アトムの口調は 肩身が狭そうだった。
でもね、前妻の子供を呼ぶのに、肩身が広くても今後 困るし。
ひとつ、ひとつ 過去に私達の受けた仕打ちの
仕返しが実行されていく。
そんな気がした。