2003-12-29 22:37:20

「「ケータイ・ネット人間」の精神分析」 小此木 啓吾

テーマ: ┣【あ~さ行】
「ケータイ・ネット人間」の精神分析 (朝日文庫)/小此木 啓吾

¥714

携帯などの普及に伴い「ケータイ・ネット依存症」が広がり始めている。
この本は、ケータイ・ネットの心理構造についての洞察を深め、ネット社会にふさわしい強靭な自我をどのおうに発揮していくのかに応える手がかりとなっている。




非常に興味深い内容の多く詰まった1冊でした。
引きこもりにしても「外的な引きこもり」の他に「内的な引きこもり」というのがあります。「内的引きこもり」は人にうまく順応し世の中と調子を合わせてやっていく滑らかな適応法でもあります。一見やさしいけれど、実はつめたく、人と表面上の関係しか結ぶことができません。
摩擦や意見の衝突を最初からなくすよりも、それを解決していくことの方が重要だということを私たちは忘れている、もしくは知っていてもできなくなっているんじゃないでしょうか。
「外的な引きこもり」のように目には見えないけれど、私自身もそうである「内的な引きこもり」の広がりを恐ろしく感じます。

私たちは直接人と関わる機会をどんどんなくしています。
それでもテレビなどの機械により退屈することなく過ごすことができます。
機械相手というのは大変居心地がいいものです。
テレビなどは消したい時に消せばいいし、飽きたらチャンネルだって替えられる。
そこには人間的配慮が全くいりません。そういったものに慣れてくると、今度は人と関わるのがわずらわしくなったり、好ましくなくなります。
結婚する人の年齢が上がっていることや、生涯シングルでいる人が増えていることは、男女差別などの他にもこういった背景からくるものだという見方もあります。なるほどと思うのと同時にやはり怖くなります。未来への不安に対して。

他にもやりたいことがわからないまま、親元に依存しながら過ごす「終りのないモラトリアム症候群」やヴァーチャルな世界が現実に感じ、もとの現実が空虚に感じるという「現実感の逆転」などについて実例を含め詳しくわかりやすく書かれています。
読むことで危機感を覚えることのできる本です。
ホラーじゃないけど、怖いです。


いま求められているのは、遊びながら決して狂わない心の自由さである。


★★★☆
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