芳賀康浩、平木いくみ 2017 『マーケティング論』  放送大学教育振興会
 
担当:あな・もは・みゆ
 
1  マーケティングとは何か
 
1-1 企業経営の両輪としてのイノベーションとマーケティング
1-1-1 消費者が対価を支払ってでも自社の製品・サービスを購入したいと思うこと
1-1-2  顧客価値の高い製品やサービス
1-1-3 「他社の製品やサービスよりも優れている」と「消費者に知覚」されなければならない
1-1-4 自社の製品やサービスが他社の製品やサービスにない顧客価値を持つ必要がある
1-1-5 「他にはない価値」を生み出す
←イノベーション
1-1-6 企業は消費者に高く評価される価値を発見する必要がある
1-1-7 イノベーションが革新的であるほど消費者が理解することが困難
1-1-8 商品の販売と消費が必要
1-1-9 価値の発見や実現をもたらす
←マーケティング
1-1-10 イノベーションとマーケティングは切り離すことができない
 
1-2 マーケティングとは
1-2-1 「販売」への注目
a 19世紀末のアメリカの産業革命
b 「大企業(big business)」の登場と消費財の大量生産
c 供給量が需要量に追いつく・追い越す
d 製造業の経営者は販売部隊(sales force)を組織
e 市場調査を行い、販売技術を洗練させていく
f 新聞を使って広告(マス広告)を行う
1-2-2 マーケティングの誕生
a マス広告は、製造業者が消費者に直接アプローチが可能
b 生産活動のゴールは消費者による購買
c 自社製品に対する選考をつくり出す
d 流通業者との取引交渉においても有利な立場に立てる
e マーケティングという言葉で呼ばれるように
1-2-3 現代的なマーケティングの確立
a 1929年に始まる世界恐慌
b 販売技術もマス広告も無力
c 第二次世界大戦後、ビジネスのあり方の反省
d 販売ありきの生産
e 多くの消費者が望む製品やサービスを提供することができれば、強引に売り込む努力は不要
f 売れるしくみづくり
 
1-3 マーケティング発想としてのマーケティング・コンセプト
1-3-1 顧客志向性
a 顧客のニーズを的確に把握し、満たすことのできる製品を提供することで顧客を満足させなければならない
b 企業経営の「常識」「当たり前」
c 実現が困難
1-3-2 顧客のニーズを満たすとき
a 明言されるニーズ
b 真のニーズ
c ほとんどの企業が把握している
d 学習されるニーズ
e 製品やサービスが消費者に提供されて初めて生じる
f カスタマー・インサイトの必要性→第7章
1-3-3 ニーズを満たすべき顧客は誰か
a 使用・消費する最終消費者
b メーカーが製品を直接販売する相手は流通業者
c 最終消費者にアプローチするための手段
d小売業者による取扱いを確保するためにはニーズに応える必要→第10章
1-3-4 誰のニーズに応えるのか
a 購買者(buyer)、支払者(payer)、使用者(user)
b 購入物の決定に最も影響力があるのは誰かを見極める必要
1-3-5 顧客志向の問題点
a 非合理・刹那的なニーズ
b 短期的に満足させることは比較的容易
c 長期的・社会的ニーズの考慮の必要性
d ソーシャル・マーケティング→第15章
1-3-6 利益志向性
a 利益が確保できなければ企業は存続・成長することができない
b 目先の売り上げにとらわれた採算度外視の販売
c 市場シェアの過度の重視・販売ノルマ・競争圧力
d 低価格販売を特徴とする総合スーパー、家電量販店、外食チェーン
e 顧客の利益と企業の利益を両立させること
f 買い手と売り手の両者が満足な売買を実現することに取り組む
1-3-7 統合性
←顧客と企業の利益の同時実現を解決する方法
1-3-8 マーケティング諸活動の統合
a 複数の部門で分担し、個別の目標に向けて行われる
b 特定の顧客ニーズの充足
1-3-9 経営諸活動全体がマーケティングを中心に統合
a 企業すべての部門が顧客ニーズの充足が利益確保の条件
b マーケティング・カンパニー
 
1-4 マーケティング・マネジメント
a 計画・実行・統制する
b 「PDS(plan-do-see)サイクル」
c 「PDCA(plan-do-check-action)サイクル」を回す
d 出発点である計画の段階に焦点
 
1-5 マーケティングの適用領域の拡大
a 当初、消費財メーカーの活動
b サービス業者・産業財メーカー
c 非営利組織の活動にも適用
d 専門的な研究領域も生み出される
e マーケティング対象も市場提供物(market offerings)という概念に拡張
f 相手から望ましい反応を引き出すための活動・方法
g マーケティングの発想の基本は、相手のニーズを充足するもの
h 新領域に拡張する意義
i 新しい解決策となる可能性
 
2  顧客価値と顧客満足
 
2-1 マーケティングにおける顧客価値と顧客満足
2-1-1 顧客価値、顧客知覚価値
← 顧客が製品について認めた価値
2-1-2 顧客満足
← さらに高い顧客価値、次回購買のベース
2-1-3 ロイヤルティ
← 顧客価値と顧客満足が複数回繰り返され、当該製品に対する一定の態度や行動傾向として表れたもの
2-1-4 顧客シェア
← ある顧客の特定カテゴリーの利用や消費について自社ブランドが占める割合
2-1-5 顧客生涯価値
a 高い顧客生涯価値を得るには顧客シェアを高める必要
 
2-2 顧客価値
2-2-1 顧客価値の理解
a 総知覚ベネフィットと総知覚コストの比
b 総知覚ベネフィット
c 総知覚コスト
d 企業が顧客価値を高める方法
e 顧客価値の枠組みは顧客によって捉え方が大きく変わる
2-2-2 さまざまな知覚ベネフィット
a コモディティ化
b 企業はさまざまなベネフィットに注目
←コモディティ化が強まる傾向があるため
2-2-3 機能的ベネフィット
a 客観的な基準で評価の優劣の判断がされやすい
b 消費者の支持を得るためには技術的なイノベーションが必要
2-2-4 情緒的ベネフィット
a 客観的な基準での評価や優劣の判断が難しい
b 企業が情緒的ベネフィットを知覚させる方法は多様に存在する
2-2-5 経験的ベネフィット
a 現在の消費者は製品自体(モノ)よりも経験(コト)に価値を認める傾向
b 極めて個人的な価値を創出する
c 顧客の記憶に残りやすい
2-2-6 文脈的ベネフィット
a 好ましい文脈はその時の経験を豊かにすることによって製品やサービスの価値を高め、記憶に残る可能性を高める
b 企業にとって容易に実現できるわけではない
2-2-7 社会的ベネフィット
a さまざまな形で創出
b 自社が生み出す社会的ベネフィットを積極的に発信することが自社ブランドの好ましいポジショニング形成に寄与
c 企業の利益と相反する結果を導く場合もある
 
2-3 顧客満足
2-3-1 顧客満足の概念
a 非常に高いレベルで満足させなければ次回購買、好意的な口コミなどメリットを享受できない
b 顧客を満足させ続けることは非常にハードルの高い課題
2-3-2 顧客満足の理論
a 期待―不一致理論
b 期待←価値に対する予測
c パフォーマンス←経験した後の評価
d 「完全に」満足させ続けるには期待以上の価値を提供し続ける仕組みが必要
2-3-3 顧客ロイヤルティ
a 真のロイヤルティ
b 潜在的ロイヤルティ
c 見せかけのロイヤルティ
2-3-4 顧客満足の測定
a アンケート
b 日本版顧客満足度指数
c 不満を有する顧客への対応
 
2-4 カスタマー・エクイティ
2-4-1 リレーションシップ・マーケティング
←顧客との長期継続的な取引を実現していく企業の取り組み
a 企業は大きなカスタマー・エクイティを得るためにリレーションシップ・マーケティングに力を入れている
 
3  マーケティング戦略の構図
                      
3-1 マーケティング戦略とは
3-1-1 状況、手段、目標を論理的に関連付けるシナリオ
a 顧客のニーズや競合他社の動き、景気動向や自然環境
の変化など(状況)
b どのような製品・サービスをどのように販売するか(手段)
c 売り上げ、市場シェア、利益率(目標)
 
3-2 マーケティング・ミックス
3-2-1 企業が決定(コントロール)できる要素の組み合わせ
3-2-2 4つのPに含まれる様々な要素を適切に組み合わせたもの
3-2-3 製品(product)、価格(price)、流通(place)プロモーション(promotion)
3-2-4 顧客ニーズに適合していることが適切な組み合わせであるための必要条件

3-3 セグメンテーション
3-3-1 市場に存在する多様なニーズを識別し、同質的なニーズを有するセグメントに市場を細分化すること
3-3-2 多様化するニーズ
a 消費者間多様化(個性化)
b 消費者内多様化(多角化)
c 時間的多様化(短サイクル化)
3-3-3 細分化の基準
a 地理的変数
b 人口統計学的変数
c 心理的変数
d 行動的変数
 
3-4 ターゲティング
3-4-1どのセグメントをターゲットにするのかの決定であり、企業が満たすべきニーズの選択
3-4-2 セグメントの評価基準
a セグメントの魅力
b 企業の目的
c 企業の資源
3-4-3 選択のパターン
a 無差別型マーケティング
b マス・マーケティング
c 差別化型マーケティング
d 集中型マーケティング
 
3-5 ポジショニング
3-5-1 競合ブランドと比べた時に、消費者に自社ブランドをどのように位置づけてもらいたいかを決めること
3-5-2 知覚マップ、選好マップ、ポジショニングマップ
a 消費者がさまざまなブランドをどのように評価しているのか示す(知覚マップ)
b ブランドの評価軸に対する消費者の重視度の分布を示す(選好マップ)
c 知覚マップと選好マップを重ね合わせたもの(ポジショニングマップ)
←ポジショニングにおいてはどこに自社ブランドを位置づけるのか検討
3-5-3他社ブランドとの違いを消費者が望ましいと思う3条件
a 重要性
b 独自性
c 真実性
 
3-6 マーケティング戦略の全体像
3-6-1 マーケティング・ミックスに先立って、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングが行われなければならない