ガス欠ライター

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まるでガス欠のライターみたいな気持ちだ
かじかんだ指が震える
たかがこれしきのこと、それでも
苛立たしくて、その分虚しい、惨じめ

なんでだ
なんでなんだ

目に浮かぶオレンジ色の灯火が小さく消える

もう一生、これ以上、温度なんて上がらない
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下を向いて歩こう

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涙が溢れ出てしまいそうになる
そんな一人ぼっちの帰り道には
「上を向いて歩こう」と
みんな口をそろえて謳うけれど

見上げればちぎれそうな眼差しの星たち
あっという間に滲んで何も見えなくなる
呆気なく流れ出した滴が
やけに頬に張り付くんだ

だから今は、下を向いて歩こう
足元を見て、小さくても確実な一歩を
今日の日のこの涙とともに踏み出すんだ
コートの襟を立てて、今はそれもいいと思える

冷たく吹き付ける冬の夜風だって
今なら余すことなく受け入れられるよ
行き場を失った惨めさも淋しさも
惜し気なく零していけたら

ほら、一人ぼっちが渇いていく

だから今は、下を向いて歩こう
足元を見て、小さくても確実な一歩を
今日の日のこの涙とともに踏み出すんだ
コートの襟を立てて、今はそれもいいと思える
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身体が欲しい(後編

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痛みを残して目覚めた朝
あなたの匂いすら忘れて
馬鹿馬鹿しいくらいに私
濡れた感情を吐き捨てた

些か寒いシャワールーム
取り残された滴は涙だけ

人懐こい黒猫が
この夜に潜り込んだ

言いたい事の一つも言えなかった
女の間抜け
たとえ身体を手に入れたとしても
それは変わらないんだった

惨めな事この上ない
帰りたくないと漏らして
眠れなくて
メランコリアが聞こえてきた

騒がしい祭りのようだった
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身体が欲しい

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あなたと私のあいだにある距離を嘲笑って
隙間なく埋めた夜
もうこんな近くまできたのに
降りかかる吐息に温度を感じなかったのは何故

そうか、私たち
こうやってキスをしていたんだ

立ち込める夏の
危なっかしい飽和水蒸気量
いつ溢れ出してもおかしくはないよね
あなたを感じたい




無機質な、受話器の向こう側の空気は
いつの間にかもう冬が訪れていた




あなたと私のあいだにある言葉を嘲笑って
はじめからそんなものは無かったと
もうこんなにも近くにきたのに
まだまだ足りないと感じるのは身体が無いから

私たちのあいだにある永遠は空虚
二度と言葉なんて求めないから
あなたを感じるための
身体が欲しいと思った

together

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あなたが肯きさえしてくれれば
世界が変わるような気がしている
それが勘違いだったとしても
飛び込んでいく勇気があれば
変えられるのかも知れないけれど

もう何日も続けて
あなたが夢に出てくる

あなたは笑ったり、冷たかったり
イメージは目まぐるしく変わるけど
あなたはずっと変わらないよね
今日も少し離れたところから
私を呼び寄せるでしょう

こんな独り善がり、抜け出せるかな
明日、私の世界にあなたがいるなら確実に
もっと見通しのいいところへ
走っていけるように
二人笑い合えるように

こんなにも会いたいんだって
今、気がついた

夜(メモ)

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過剰に盛んになっていく
この時代が怖いのか
物心ついたときからそうだったように
問題はない

太陽が一番高く昇る日中でさえ
凍えている昨今
遠く感じるよ
なだらかなカーブを描き終わっていく今日が

不自然なことだって世界の一部なんだ
変わっていくのが怖いのか
このまま終わってしまうのが
失っているのも同然なんだという

世界中の光がなくなったら
このまま目を閉じなくったって
凝らさなくたって
耳を澄ませて感じられる全てが

消えてなくなる
自分の中から、世界が