九月、晴れ。

テーマ:
真夜中過ぎ。
久々にゆっくりと湯舟にも浸かって
時間をかけてスキンケアもする。
パズルをふたつ解き、溜息。
簡単に食事をつくって食べる。
煙草を一本。猫を撫でてから、ベッドに入る。
あっさりとしたセックス。
ふたりで並んでまた煙草を一本。

ベッドで微睡みながら、ネクタイをしめる彼を眺めていた。
また電話するね。そう言って。

もう九月が終わるんだね。
道理で風が涼し過ぎるわけだ。
新しい時を重ねていってるのは確かなんだけれども。

また会いたくなったりするかな。
わたしは正直かな。
昔よりさっぱりしたのかな。
もう泣きたいなんて思わないし、いつか淋しい夜もある。
もう誰も本気で好きになったりしないんじゃないかな。
そんな気がしてしまって、少し安堵するけれど。
思わず唇を噛み締めたくなる程、現実感のない、九月よ。
AD

電話。

テーマ:


ツー。ツー。ツー・・・ブツッ。


電話の途切れる音。

受話器の向こう側の、あなたの匂いがする、空気が
唐突に途切れるのが淋しくて
いつまでもいつまでも、電話を切れずにいました。

最初の何度目かは、数秒すると、
「なんで切らないの?」って吹き出す声が聞こえたけど
三度目には「いい加減にもう切るね」と言って
やっぱり最後には途絶えるんだ。

最後の最後まで優しく。



「もし、会えなくなっちゃったら、どうする?」

「君はきっと、俺よりもっといい男を見つけるんだよ。そしたら、俺のことなんか簡単に忘れる。」

何の躊躇いもなく、あなたはそういうこと言うんだよね。
それは本当にそうなるんだと、信じて疑わないから。

「俺は。」

自分に自信がないんだ。
そりゃ、あなたの勝手だけれど。
あたしがあなたのこと好きなのは、あなたがいい男だからとか、そんなのは全く関係ないこと、分かってて欲しい。
じゃなきゃ、好きになるわけないじゃない?あなたのことなんて。

「俺は。そりゃあ、時々は思い出すよ。君のこと。・・・元気にしてるかな、とか。」



どうでもいいよね。
あたしが元気にしてたって、あなたよりいい男見つけてたって、関係ないよね。
あなたはきっと、あたし以外の女にもそういうこと躊躇いもなく言うんだ。


元気にしてるよ。
何も変わっちゃいない。

受話器の向こう側は、今は空っぽなんだ。


あなたが元気にしてるかなんて、傍に誰かいるなんて、どうでもいいけど、想像してみる。
何も変わっていない、元気で、かわいい彼女がいて、でも時々あたしのこと思い出してみる、あなたの切ない顔。
AD

退化論

テーマ:
冴えない毎日を優しく包む
やわらかなリズム、ブルース
潰える芽、退化していく五感
消費するだけの欲望、不必要な感情

底辺から底辺へ這いずり
限界ライン、霞んで

どうでもよくなっていくんだ
どうでもよくなってしまったんだ

欠けた人間性を埋めるピースなら
いくらでもこの手で
鮮烈に、だけど一瞬のうちに消える世界を
まだ美しいと感じられるうちに
切り取って飲み込め

この血に、肉に、感情になって
生きて腐って、また生命に成り代わるなら

まだもっと、強くなれるはず
AD