吐露

テーマ:
溜まりに溜まった洗濯物と洗い物
散らかり雑然とした部屋、いつもの景色
鏡に見るいつもの自分の顔
だけどいつもより疲れている
手を抜きっぱなしの肌の手入れも

なんかもうやだ、もう疲れた
したいことがいっぱいあるけどそれ以上に今はただひたすらに眠ってしまいたい
もういい加減にやめたいのに、性懲りもなく、ただ意味もなくお腹は減るし煙草の量も増える

二人でどっかに逃げちゃいたいね
携帯の電源もいっそ切ってさ、誰にも邪魔されないように
何も考えないでいいように

だけどそうもいかないんだね
この社会で生きて、その中のルールに従わなきゃいけないから
あたしにはあなただけって言っても
あなたにはあたしだけじゃないのは確かだもの

いつかは離れていかなきゃいけない
こんなやる瀬なさも当たり前のこととしてやり過ごしていかなきゃいけない

どこにも行かないでって泣いた
自分で自分にうんざりした

全てを振り払っていけない
向き合わなきゃいけない
だけど今だけは、あたしとあなただけ
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愛の正体

テーマ:
信じ合うことを諦めた
傷付け合うのに疲れた
真実がどこにあるのか
それが一体何になるのか

わからなくなってしまった
冷たい風が吹いて止まない
温めようとしてももう動けない
かつて与えられた愛がため

それなのに内側に宿した熱を捨てられない

今夜もあなたの傍に寄り添う
無駄だとわかっていても抱きしめる

あの愛の正体を探るように
それだけが今掴める真実

ここにいる二人
あと何度朝を迎えれば近づけるのでしょう
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春の空

テーマ:
この雨があがれば
そこに吹く風は
今のあたしには些か手痛いのかな
この寒さを今少し
耐え凌げれば
もうじきに春は来るのでしょう

本当に一番好きな人とは長く一緒にいることはできないと
昔見た映画でそんな台詞があった
信じる強さも疑う勇気もない私は
ただここで温かな香りの星を仰いでいる

冷たい眼差しで見つめる蒼い惑星
手の届かないほど遠くで輝くから
ずっとここで眺めていたいのかな

季節が巡れば星は南へ、南へと傾く
私の黒い目はあなたの光で溢れている

その温もりを一番近くで感じているから
今日もベッドの中で優しい口づけ

この物語の終結は
春が来るまで待っているつもり
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メリモ

テーマ:
友達には内緒でこっそりキスをした
愛おしげにおでこをくっつけて
好きだと君が漏らした瞬間
正直言って、動揺してしまったんだ
そしてその動揺を悟られまいとして、自分でも気付かなかったふりをした

閉じ込めていた思い出が涙になって少しずつ溢れ出す
自分が傷付いてでも、好きな人を傷付けてしまう方がつらいでしょう
精巧に作られた機械の奥の、些細で、でも大事なネジを緩め
まるで時限爆弾を仕掛けるみたいに壊した
僕はあのひとの心と身体を
捩切れた薄いピンク色を見てしまったとき悲しかった

僕の手首にはだらしの無い傷がうっすらと残っていた

誰も僕のこと守ろうとしないでいい
易々と心を預けてはだめなんだ
大事にされるのがもう怖いんだ


だから




こんなにも寒い季節が巡り巡ってまたやって来た
触れたその温かさにひどく怯えていた
君はそんな僕のこと何も知らずに
微笑んだ、本当に本当に、愛おしそうに触れた

R & B

テーマ:



狭い車内にRhythm & Beat
二人の鼓動と同期して響いていた
だけど運転席と助手席の間はこんなにも広い
私はあなたについて何も知らないことをまたかみ締める

かけられる言葉が見つからないまま
それでも平気だというように振舞うので精一杯で
決定的なことが何も探れないまま
お互いにこのままがいいと思うだけ

恋に落ちるのは簡単なことだけれど
恋をしようと思うならそれは難しいでしょう

私専用のRemote Controler今だけ貸してあげるから
失くさないようにあなたの為に、扱って

チープキス

テーマ:



安易に触れられる
後は何も考えられなくなる

何にも代え難い温もりが
心と身体を切り離す

中身は痛いけれど
それでも構わないから
怖がらずに触れてよ
愛しい表情をつくってみせる

傍で眠らせて
心が通わないこと
知っていて諦めているなら
せめて身体だけでも繋ぎたいと思った

灰色の砂時計

テーマ:


乾かない洗濯物
干からびていく食物
出しそびれたごみ
溜まる吸殻

身体に染み付く他人の匂い
覚えがないのに汚れていく
うつむくたびにこぼれる髪
かたまって動かなくなる筋肉

私の身体はもう私だけのものじゃない
だからあなただって好きにすればいい
そうやって少しずつ心と身体を切り離す作業に慣れたなら
今度は快感さえ鈍り、どうでもよくなる

目の細かい美しい砂が流れ落ちる
尽きればまた逆さにして繰り返す
何色ともつかない陽の色や
夜を染める空気の闇

感じない私なんてあなたは欲しがらない
大人になってそれくらいもう分かるようになった
だから夜毎注ぎ落とす白い声に
咽返る日常の空虚