糸屑のように膨大な言葉に絡まり、生温さの中混濁して眠る日々。

意味を忘れた。何処に向かって歩いていたのかも、忘れた。


きれいな声。

きれいなメロディが聞こえる。


同じく、糸屑のように

きらきらと冬の薄い陽光を浴びながら

落ちていく。


目的地がわからなくなったのならば

今度はその目的地を探しに歩き出せばいい。

そう言いたいのだろう、恐らく。

口ずさむより他、何をすればこの夜が終わるのか。



  お気に入りの唄 一人聴いてみるの オリビアは淋しい心 慰めてくれるから

  ジャスミン茶は 眠り誘う薬 私らしく一日を終えたい こんな夜

  

  出会った頃はこんな日が 来るとは思わずにいた

  making good things better

  いいえ すんだこと 時を重ねただけ

  疲れ果てたあなた 私の 幻を愛したの


  眠れぬ夜は 星を数えてみる 光の糸をたどれば 浮かぶあなたの顔

  誕生日には カトレアを忘れない 優しい人だったみたい けれどおしまい


  夜更けの電話 あなたでしょう 話すことなど何もない

  making good things better

  愛は消えたのよ 二度とかけてこないで

  疲れ果てたあなた 私の 幻を愛したの



「悲しい歌だね」

そう話しかけられた。

優しいふりなど、しなくていい。

嘘をつかれても、いい。

いいから、ちゃんと見ていてほしい。

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コイビト

テーマ:

まだ若いから、とか、自分は自由人だから、とか、そんな理由をつけ、楽しければ大丈夫と言い聞かせてきたこの3週間目。

まだ満足し足りない気持ちの中、脳はとうの昔に眠りの中。言葉が落ちてくる。書かなきゃいけないと、呆然と思う。


 過去のこと。

小さく小さく傷付いて、傷だらけになっていくのなら、今大きな痛みを全部受け留めて終わらせたい。そう君は言った。

あたしにはその大きな痛みは受け留めようにも受け留めきれないのに。身体じゅう、心じゅうが傷そのものになってしまうのに。

互いの痛みを分かり合おうとするくらいの余裕も、もうなかったみたいだ。

何度も何度も確かめ合っていたように、ね、大好きだったのに。そんなこと、役に立たないのだ。

膨大な痛みが去った後の朝、「オリビアを聴きながら」のメロディが鮮やかな光とともに逆流し、もうこれ以上傷付くのが怖いとは思わなくなった。

過去は、幻に似せられていく。それでいいんだ。


 今のこと。

こんな風に、いつもの土曜日の終わりに、並んで歩いて帰る。これが今までになかった日常になる。

触れるか触れないかの距離。甘えてみたい気分だったけど、まだ二人の間でのその術は知らない。膨らみかけては行き場を失うような、もどかしさを吐き出す。白い息が浮き上がる。「冬だね。」思わずそんなこと呟いてしまう。

これから先、なんて想像が宙ぶらりんになって、とりあえず、来週の予定なんか立ててみる。

ねぇ、明日も明後日も、一緒に楽しいことをしよう。そうやって、飽きず明日を繰り返せればいい。そうだよね。

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明日の約束。

テーマ:

梅田行きの電車が出るその5分前、ジャケットを羽織ってブーツのかかとを叩く。少し走れば、まだ間に合う、そう思いながら。

近頃はずっとそう。11月に入ってからは掛け持ちのバイト、その後の飲み会やお茶、休みの日はレッスンとデートで毎日忙しく、15分、20分で身支度を済まして家を飛び出る。

今日は、たまたまプレーヤーをスピーカに繋いだままで。飛び乗った電車の座席に座った直後、そのことに気付いた。

学校帰りの高校生が目立つ車内。ざわめきが、やけに鬱陶しく聞こえる気がした。

なんでこんなにも落ち着かなくなるんだろうね。今日は何が聴きたかったんだろう。

用事を済ませて午後5時前。梅田の地下街にて。バイトまでにはまだ時間がある。

そこでうっかり読んでしまったメールに、目頭がふと緩んでしまう。

「これで最後」なんて、言うな。あれだけ言ったのにね。本当に終わらせたいなら、「また今度」って言えって。

だから、あなたはあたしじゃだめなんだよ。

絶対に泣いてなんかやらない。返事も、いらないでしょう。

電話をかける。明日の約束のため。

カラオケボックスでキスとか、重ねるとハートになるリングとか、もう安っぽい恋愛は嫌だな。

次に春がきたとき、どうなってるかなんて想像もつかないから、とりあえずは明日が楽しければいいと思う。

そんなことを考えながら、お揃いのストラップやリングを、箱にしまった。

着信音も変えた。

貰ったものは、多分、今まで通り大事に使い続けるけれど、また少しずつ無くなったりガタがきたりするんだろうな。

貰ったものの中で、一番かけがえのないものとなったのは、褪せることのない思い出かな。

それもこれからもっと大事になっていくし、もっともっと大事なものも、増えていくと思う。

ありがとう。

最近、楽しそうに笑ってることが多いね、ってそう言われた。

あなたがいてもいなくても、頑張れることが分かったから良かった。

追伸、髪、また伸びてたから。切った方がいいと思う。

あと、ストール、使ってくれてたね。嬉しかったな。

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また優しい声が聞けてよかったです。
その声で、もう一度「これで最後」って言われてしまったわけだけど。
聞き慣れてたはずの「んじゃ、」にも、忘れがたい気持ちにさせられる。
あーぁ、二度と聞けないと思ってたのにね。
正直ちょっと堪えました、思ってた以上に、今も涙が止まらなくて、泣き虫でごめん。
でも、それでも今は前を向いて行くしかないのか。
それもはじめから分かっていたことだけど、今の自分だって過去によって作られたものだし。
だから、淋しくなったり、泣きたくなったりはしかたないこと、だよね、時々。

今日も一日頑張った。疲れた。寝よ。明日も頑張らないといけないし。

もう…、だめだなぁ…ばか。

いいえ、それだけのこと。

テーマ:

最後に残った着信履歴は27日の午前二時過ぎ。

だからどうって話でもないけれど。

このまま時間って流れていくんだね、ほんとに。

脳みその至るところにできた隙間の、ただの記憶たち。

ただなんとなく、気になって仕方がないのです、細くなった左の薬指が。