藤棚

テーマ:

自転車で坂道を駆け下りて

夕暮れ前の公園を抜けていく

誰もいない遊園、鉄のにおい

藤棚の花がぱらぱらと

わたしの背後で落ちていった


同じかたちの宇宙が隣町にもあって

昔は友達に会いに、そこまで飛んで行った

夕闇が降りてきたら景色は変わるよ

花が散れば、風が吹けば

春は夏の顔を見せはじめる


曲がり角を曲がれば

またステージは変わる

ステップを踏んで

気がつけば大人になっている


いつかあの木陰で休んでいた親子は

季節が変わるのように歳を取る

春が巡れば、わたしは手を伸ばす

ベンチの上の、藤色

AD

正確な“A”

テーマ:

太陽が帰っていくところ

白い月の向こう

無から無限大を生み出した場所に

コピーライトした私の言葉が忘れ去られることのないように

旋律を名付けて

AD

桜の木の下で

テーマ:
冷たいけれど、やわらかくなった四月の夜風が頬にあたる
あなたにもらったこのカシミヤのマフラーももうしまわなくちゃ

消えてしまいそうな、薄紅
二十歳の春が来て、それはあなたと出会って三度目の春で、
もう年を重ねたいとは思わなくなった
はらはらと、花びらが足元を埋めて、焦りは募るばかり

はやく、はやくしないとさくらがおちてしまうよ

どこまで走っても続いてゆく、コンクリートの森で
いつまで経っても追いつくことは、ないのかな
からだにこころが足りないあたしを
認めてほしかったんだ

風が吹く中、散りゆく中を
息が切れるまで飛んでいく夢を見た
けれど足元では、その儚さに見蕩れるばかりだった
あたしが死んだら、どうかこの木の下に眠らせて

からだにこころが足りないあたしを
さよなら
またいつか、どこかで出逢ったら
叶えて、たとえそこが違う世界であっても
AD

テーマ:

繋がっていないと不安。


それは幻覚だ。君の所為だ。



つらくなると声を聞きたくなる。

たった今、受けた痛手は君からのものなのに。


どうかしてるだけだ、だから

現実は何とかなるはずだ、


でも涙が出てきてしょうがない。



つらいとか、悲しいとかは、辞める理由にはならないと教えられてきた。

だからどれだけ泣いてもやることはやらなきゃ、ぐずぐずしてちゃダメだ、だめだ、だめだ、だめだだめだだめだ

泣きながらメールの返信をした。不採用のメールに対して。



あたしのときは、親や友達は話を聞いてくれるだけだった。

彼氏は、あたしが間違ってると説教をして、いつまでもぐずぐずしてるなと叱咤するのだった。

欝で苦しかった頃の記憶が雨のように次々降ってきて、頭の中は白く煙って、現実と記憶との境目がよくわからなかった。


自分は弱い人間だから。

この社会では生きていけない。

じゃあ、どうすればいい?

そういう考えばかりが頭の中を駆け巡って、とりあえず眠ると、現実と願望が屈折した形で夢になって、また記憶を操作する。


弱いっていうのは頑張らない理由にならない。

しんどいな。疲れたな。もうやだな。しにたいな。

でも明日も明後日も仕事に行くんだろう、周りから見放されるのが怖いから。


受け止められないことが幾つもあった。

合わない人間と付き合ったり、いい自分だけを見せようとしたり

自分のつらさや努力を分かってもらいたくて、でも、つらい思いをしながら頑張ってるのは周りもみんなそうだったりして。

誰もみんな少なからず我慢してるんだ。凄いな、強いな。

だからあたしも我慢しなきゃいけないの?誰もあたしを認めてはくれないの?

何も言えなかった。

好きって言ってって頼んで言ってもらっても、撫でてって言って頼んで撫でてもらっても、どんどんどんどん虚しくなるだけで

余計に愛されてるのが本当なのか分からなくなっていった。

それでも何も言えなかった。

繋がろうとすればするほど淋しかった。


我慢を続けていると、些細なことや、どうしようもないことにまで気に障るようになってくる。

小さい身体で生き続けなきゃいけないのがつらい。

時間が過ぎていくのすらつらい。

記憶の中でだけ生きることを望むようになり、でもそんな自分自体嫌だった。存在自体嫌だった。

本当は、起きて食べて寝てっていう繰り返しすら苦痛で、今は呼吸も苦痛で、この言葉も苦痛で

でもそれも我慢している。

誰に言ってもしょうがないし、

だから、こんな記事読まなくていいよ。じゃあ書くなって、でも、それだけが生きている瞬間だから。