一人作戦会議

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昔から、算数はきらいだった。


生きていくにあたって数学が必要なものとは思わない。かと言って、不必要とも思わない。

出来るに越したことはないだろう。例えば、数学が好きで、好きで好きで、それで、数字とともに生きていくならそれは素敵なことだ。

でも、私にはそうではなかったらしい。数学に関しては、運も能もなかったのだ。ただそれだけのことだ。

だから、算数という科目が数学になって、数年経って、この歳になってもまだ苦手なまま。

だけど必修科目だから仕方がない。卒業に差し支えのない程度にやっておくとする。

3限目、数学の授業。早めに教室に着くと、座る席は必ず窓際の席。10月の、少し冷たい陽の光が学校の机特有の合板に反射して、まぶしい。

席に着いて、とりあえず教科書を開いた。パラパラと適当にページをめくり、指のとまったところ。

『二次関数』と書かれていた。中学のときに習った、一次関数ですら、もう忘れてしまった。

放物線を少しなぞってみて、それから目を閉じた。興味がまるで湧かない。深く息を吸って、椅子にもたれかかると、ぎしっと音がした。

教室の中が明るいから、目を閉じても赤い斑点のような光が見える。小学生の頃、誰かがこの赤い色は血の色なんだって、言ってたな。

いかにも子供らしい単純な発想だけど、そんな話、その頃からあんまり信じてなんかいなかった。それなのに、ふと今思い出すと不思議だ、信じてみたくなる。

そんなことを考えていると、チャイムが鳴って、授業が始まった。そして、数学の授業が始まるとともに、私の“一人作戦会議”も始まる。

y=なんぼとか、わけのわからない公式と問題が書かれたプリントが配布された。

私はその余白にまず、私の欲望とか野望をいくつか書く。

君は、いつだかこの野望を聞いた君は、うそだと思ったのだろう。私が本気で考えていること、ばかみたいだと思ったのだろう。

子供みたいに、漠然とした、甘えた夢だって、思ったのだろう。そのくらい分かる。

だけど、私は本気で考える。まずは、言い訳をするのはやめよう。時間がないとかお金がないとか。

それから、それから・・・それから。


y=・・・の、右辺のxと空白と。

代入する数字がわからなくて、私の数式はxだとかaだとかの文字ばかり。

この漠然とした感じがきらい。だから数学は。


決心することはいつも同じだ。考えることもだいたい同じ。まずは、の次、「それから」が出てこない。結局は頑張るしかないって思う。

こうして私はいつも数式を横に、“一人作戦会議”を繰り返している。

君は、うそだと思ったのだろう。

好きで、何より好きで好きな、音楽とともに生きていくならそれは素敵なことだって。

何度考えてみたって答えは同じだ。数字がわからない漠然としたxやaが不安なだけ。

8階の教室。最上階だから、空がよく見える。冬に近づきつつあるのだな、少し薄づきになった鮮やかな青。こういう空を眺めるのは、今だけなのかな。とよく思う。

授業を受けるような未熟な年頃には期待がたくさんあって、だけど不安もたくさんあって、教室の窓から空を眺めるけれど。

本気で追いかける夢を見つけたら、空なんか眺める暇もなくがむしゃらに頑張って、そのまま何もかも忘れて日常に生きるようになるのかな。

よくわからない。18歳、何もかもが現実味を帯びていくばかりの中で本当は漠然としたことばかりだと気付く。だけど、数学の授業だけはあの頃のまま。今も苦手なまま。

窓の外を眺めたまま呆けていたら、突然先生に名前を呼ばれた。今日の作戦会議は、ふと弾けて終わった。



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短編小説っぽく仕上げてみた。授業中に“一人作戦会議”と称して将来について生徒。主人公はもちろん、リアルに私です(笑。

これ、設定から見て分かるように、授業スタイルが普通の高校とは違います。教室移動してるし、席自由だし、グループ行動する友達も登場しません。だからあえて“高校”という言葉は使いませんでしたが。

実際授業中によくするんですけど、作戦会議。周りから見たら間違いなく授業中に呆けているだけだけど、本人はけっこう真剣に考えているつもりだったりします(笑。

起承転結の、結びの部分のいい案を、バイトに行く途中に思いついたのですが見事に忘れてしまって(やっぱりネ)、

今書きながら思いつくがままに書いてみた。ほら、そうするとやっぱりわけがわからなくなる。というか展開が不自然に早いよね。ちゃんちゃん(笑。

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吐露

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その存在そのものが私に幸せを与える

想っただけで特別な気持ちが湧き上がってくる

そういうもの、私にはあっただろうか

君と言葉と音楽。本当にそれだけなのか


仕事から帰ってご飯を食べるとすぐにその場で眠ってしまった

食べた後を片付けてくれたのも、毛布をかけてくれたのもお母さん

そして今、真っ暗な部屋でパソコンのキーを叩いている

傷んだ瞼で画面を見つめて

君からのメールだけ待っている


不安


君が取られちゃったみたいで悔しい。寂しい。怖い

愛してるって言ってるのに悔しい。寂しい。怖い


どうして私より、掛け持ちのバンドのギターの為に動くのか

わからない。あんなワンマンな人の為に

どうして私のことを縛るのに君はどこかに行っちゃうのか

禁止と秩序ばっかりで意地を張り続けてる


自分はいいのか

エゴイスティックは愛されないのか


問いかけても

小さくて深い池に沈んでしまうだけなので

大人しく眠るふりをして

本当は悲しい

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勿忘草

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月夜を忘れてからどれほど経ちましょうか
私は何も変わっていません
ただ美しい存在を願ったまま
冷たい白い花が揺れていても何とも思わず

闇の深さをはかって眠りましょうぞ
もうどなたも踊らなくなったのだから
朝が来ても許すばかり
悲しい顔はしないように

あ、勿忘草

見つけるのは皆死んでからただ美しい存在を願ったまま
朝が来ても夜が来ても許すばかり
月夜なんて…皆死んでから
あ、勿忘草
悲しい顔すら、覚束ないよ
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潰されたい

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白いシーツのベットで眠っている
あなた、どうか花を手向けて
すっかり奥行きを失って
二次元になってしまった私に

あなたの滑らかな背中に
そっと爪を立てながら
潰されたいと願った
花とキスに埋められ窒息したいと

目が覚めたらそこが朝ではないように
夜の世界であるように
あなたの穏やかな顔があって
愛しく髪を撫でる

彩度を失った
蒼白い部屋で
私は永遠について考える
ならば、やはり、潰されたいと
蒼白い部屋で
彩度を失った

苦いまどろみ

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今は、食べたいものも飲みたい酒もべつにない。

雑然とした部屋の窮屈なスペースに横たわると、びっくりするくらい身体が重く沈んでいって、どっと疲れを感じた。無意識のうちに呼吸は深くなり次第にまどろむ。

いろんな人がいた。だけどわたしは誰にも興味がなくて

手元だけを見ている。


滴る。

大小のワイングラスに綺麗に赤と白のワインを注ぐと、その彩りが綺麗で

赤と白に“めでたさ”を連想する日本人はまさに“いとをかし”。


今日は仕事ができたとかできなかったとか

怒られたとか怒られなかったとか

明日の仕事では苦手な人がいるだとか、プランがどうとか

君に会えるまでの時間を数えて

そういうことばっかりに頭がまわるようになった。


音楽にまどろみ

疲れた身体に不眠

時間は今も確実に進んでいく


夜の冷えた空気


音楽にまどろみ

うじむし。

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なんで

同じ部品を同じように組み立てて創られているのに

一人一人どこか弱くて

わたしには見えないもの

誰かは知っている。

みんなには見えないもの

わたしは知っている。

なのに、なんで。


くちの悪い人は嫌だ。って、そう呟いた。

おまけに、上司のくせに下っ端の所為にする。

だけど、自分の所為にされてしまったら結局自分の所為。表情を変えないように徹しているのだ。

時々、やさしい人たちから笑うように言われる。

ほんとうは、心の中では

君に抱きしめられるのを待っていて

どんなに頑張っても我慢しても、その時間は限られている。


たらこのスパゲティーをくるくる巻きながら溜め息を吐いた。

せっかくの飯が不味くなるからやめようって言ったけれど

それ以外明るい話題は見当たらなくて

愚痴を言う友達すらいないことを思い知る。


溜め息は限りない。

こういう性分に生まれたわたしだ。

見えてない、って

あんまりにも人から言われて泣きたい。

恥ずかしい話だけれど、学校で勉強だけしていれば良かったあの頃は

自分で自分を頭の良い人間だと思っていたんだ。


いつまでうじうじしているんだろう。叱られてなんぼ、だったけれど

ほんとうは、ちょっと慰めてほしいだけなんだぁ。。

歓喜

テーマ:
連続する メロディー メロウ
幾つも数え 歌いは
震える 潮の満ち引き
あなたに触れた
歓喜に歪んだ
それすら美しかった

それが最後に見る景色なんだ
そう思い込んで死んでいく、海

たった一度の歓喜の雨が
海を創り出した 渡って
メロディーが交じり合う
あなたに溺れて 愛を呼吸して

すなあらし

テーマ:

テレビはあんまり好きじゃないよ


そもそも騒がしいのが好きじゃない

騒いでいる連中はそれでいいかも知れないけれど

私はそれをよそ目にカーテンを閉める

それが一番落ち着くんだ


地球の裏側を知る好奇心も尽きたし

実際に起こったという出来事にも現実味はない

わざとらしい見え透いた展開のドラマも

繰り返す情報も、砂嵐と然して変わりない


あんまり好きになれないよ


夜は

食事の後

明日を前に何も考えたくない

砂嵐の画面を見つめている


ちょっとだけ考えてみた

もしかして、誰かを傷付けたということ

それによって僕はまた孤独を抱える

それが何度目かのループでも、きっとまた


できるだけ誠実な言葉を選ぼう

使い古された「ありがとう」や「ごめんね」で

やっぱりたまには騒いでみたいよ、みんなと

孤独も涙もあんまり好きじゃない


傷付けあうとしても僕ら

幸せでいられたらいい

できるだけでいいから

幸せでいられたら

不安と現在形

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不安がないなんてあり得ない。

ただ、時によって気まぐれに密度を変えていく。今は気体みたく低くなって心はモヤモヤ。

どうしてかわからんが悪いときに悪いことが重なる。思えばいっつもそう。

カーテンの付いていない小窓から薄っすらと月明かりは差したり止んだり。先日から雨が降ったり止んだり。眠れなくて夜。

でも、そのたびに不幸と数えたりするのは止めた。時計の針が進む音が聞こえなくなったと思ったら、電池が切れていただけだった。針がさしていた位置は8時12分。

全く気が付かなかった。一体いつから止まっていたのだろう。


仕事をしていたら、食に頓珍漢になる気がする。そのくせ、酒が呑みたくなる。

知らない間に肩が凝っている。肌が荒れていてもスキンケアが面倒くさい。ベッドに入るまで睡眠不足に気付かない。疲れていることに気付かない。

文字通り、身を削って稼いだお金はあっさりと簡単に流れていく。

生活の為の仕事って一体何の為。

音楽をかけて眠ろうとするけど、まるで右から左へと筒抜けてしまって、眠たいのに眠れない。

目を瞑ると、ベッドごとブランコみたいに揺れている感覚。今日の失敗、今日の断片(ゴミくず)がフラッシュバックする。

むりやり眠ろうとする為、リピートする音楽と、枕元に大好きな匂いの香水。君を思い出す。その為に眠ろう、と。


不幸と数えたりするのは止めた。

雨を避けて歩こうとするならそれは愚かなことだと思う。

短い今日を重ねていく膨大な月日を大切にしたいだけ。ずっとここに留まっていたくはない。

明日、時計の電池を買いに行こう。一分一秒惜しむからこそ、止まるなと

明日も針を目で追う。