■「病児保育」働く母親支援

 朝起きたら、子供が発熱。でもどうしても今日は仕事を休めない-。そんなとき、自宅に保育スタッフを派遣し、子供を預かる「病児保育」サービスを2月、大阪で始めた。

 「大阪ではうまくいかないよ」「病気のときは親が見てあげるのが一番いいのに」。そんな声があることは百も承知。でも現に困っているお母さんは大勢いる。そんな現状を変えていきたいという。

 今、30歳。結婚も出産もまだ未経験。実は3年ぐらい前までは「子供はいつも元気なものだと信じていました」と告白する。子供はすぐ病気になると知ったのは、勤務先の先輩女性が漏らした「子供がいながら働くのは大変やわ」という一言だった。なんで?と疑問に思うと、「子供は急に熱を出す。会社は休めないけれど誰も面倒を見てくれないから休むしかない。これが何度かあると会社も『またか』となる。ホンマに大変」と先輩は説いた。

 「驚きました。無知だったんです」。保育所の待機児童問題は知っていたが、保育所に入れれば、あとはうまくいく、と思っていた。

                   ◇

 大学卒業後、旅行代理店に入社。関西で女性初の営業担当となり、転職した会社でも営業を担当。男性と同じように仕事をするのは、ごく自然だった。

 一方で、周囲の友人たちは結婚や出産を機に、次々と職場を去っていた。そのたびに「女性は働き続けられないのか」と疑問を感じていた。自分には頼れる実家もあれば親戚(しんせき)もいて、将来ピンチが訪れてもなんとかなるという気はした。しかし、世間は違う。

 自ら「おせっかい」と評する気質が頭をもたげ、病児保育の現状を調べ始めた。定期的な収入が見込めない病児保育は経営側にあまりメリットがない。しかし、東京では既に病児保育を行うNPO法人「フローレンス」が活動を始めており、注目を集めていた。

 早速連絡をとり、1年間、ノウハウを学ぶ。大阪に戻ると、フローレンスの支援を受けながら、NPO法人「ノーベル」を設立した。会員が月会費を払う「共済型」として一定収入を確保。一方、利用会員には、当日朝8時までに連絡すれば「100%対応」を打ち出した。大阪市内の2区でサービスを開始。次第に「ぜひうちの地域でも」との声が高まり、7月からはさらに4区を追加する。

                   ◇

 母親からは切羽詰った声を聞き、1人で背負い込んで我慢する様子も目の当たりにする。企業側の理解も進まない。事業を通して現状を伝え、「働きやすい環境を整え、子育ても社会のみんなでやっていこうと発信したいです」。

 そしていつの日か、病児保育のサービスが必要ない社会になればいいな、と思っている。(岸本佳子)

                   ◇

【プロフィル】高亜希

 こう・あき 昭和54年12月10日、大阪市まれ。30歳。平成15年、関西学院大学商学部卒業後、JTB入社。リクルートHRマーケティングを経て、20年、NPO法人「フローレンス」入社。21年、NPO法人「ノーベル」を設立。

事業仕分け 審査せず交付で収入11億円…「資格・検査」法人(産経新聞)
政権運営で自己点検を=首相に苦言呈す―連合会長(時事通信)
<セクハラ>愛知県吉良町の副町長 指摘受け退職願を提出(毎日新聞)
中田宏氏「危機管理は過剰でもOK」口蹄疫対応を批判(産経新聞)
普天間「持続可能な解決策を」…米国務長官(読売新聞)
AD