【 梅垣の手越し帯 】 8 ≪ 三十六歌仙文 ≫ | umegakiorimono ときどき日記

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京都西陣の織元梅垣織物が ≪ 作り手の気持ちを伝える為に “ 西陣織帯地 ”や“ 西陣の事 ”
そして “ 美味しいお店やちょっとした出来事 ” ≫ を紹介させて頂く日記です。
 
『 和装や京都に興味のある方は、是非ご覧ください 』

いつも “ ときどき日記 ” にお付き合い頂き有難うございます。


今回は【 梅垣の手越し帯 】 てごし について、ご説明させて頂きます。( 説明が重複しますが、お許し下さい )

“ 手越し帯 ”てごしおび とは

西陣で作られている帯地の中で、 『 引箔 』( ひきばく )= 糸状に切断された “ 金箔・銀箔 ” を織り込んでいくという技術を使用されている機屋さんは、かなり少なくなりました。

特に異なる種類の 『 引箔 』 を同時に三枚以上織り込む事は非常に難しく、『 手引き 』 をしなくてはいけません。
『 手引き 』 = “ 機 ”( はた ) を停止させて箔を織り込むという手仕事です。また、十七色前後の “ 色数 ” に制限されている緯糸 ( 横糸 ) を、【 手越し 】 することで四、五色を加えることが出来ます。
しかし、この作業をするには特に修練された技術を必要とします。

“ 西陣織 ”を織る手段として大きく分けると ≪ 手機 ≫ てばた = 手で織る作業 
≪ 力織機 ≫ りきしょっき = 機械で織る作業があります。

≪ 手機 ≫ の良さは、先程述べた『 手引き 』『 手越し 』が出来る事で箔の枚数や色数も豊富に対応できます。そして濡れ緯組織( 糸をぬらしながら織る )という特殊な技法などにも対応できます。

≪ 力織機 ≫ の良さは、早く織れる事と、均一に綺麗に織れる事です。

そして、【 梅垣の手越し帯 】は ≪ 手機 ≫ を織っていただける職人さんがいなくなってしまった為、道具としては ≪ 力織機 ≫ を使用しますが、弊社専属の伝統工芸士が 『 引箔 』 を “ 機 ”( はた )を停止しながら ≪ 手機 ≫ 同様に 『 手引き 』『 手越し 』 しています。動いている機を止める為手間がかかり、箔が裏返らないように等、高度な技術が必要になります。また時間もかかります。

しかし ≪ 力織機 ≫ なので、仕上がりは “ とても綺麗 ” です。

このように双方の利点を取り入れたのが【 梅垣の手越し帯 】なのです。  


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                         ≪ 三十六歌仙文 ≫


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この帯は、光琳の比較的初期の作品である 「 三十六歌仙図屏風 」 をモチーフに考案しました。

「 三十六歌仙図屏風 」は、時代を異にする歌仙たちをあたかも同時代の人々であるかのような “ 趣向の奇抜さ ” と “ 大画面の歌仙図という形式の珍しさ ” から、光琳以降も琳派を代表するものとして長く愛好されました。


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“ 琳派 ” とは、いうまでもなく江戸時代初期の “ 俵屋宗達 ” に始まり、中期の “ 尾形光琳 ” によって大成された装飾画の流れを言います。

草花の個々の形体は、自然の優美な姿より “ 造形的な形そのもの ” の面白さが強調されていますが、描写自体には深い観察の目がそそがれています。

    
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また、光琳自身も “ 画家 ” としての面と、初期のころより最晩年まで “ 工芸デザイン ” と深い関わりを持ち続け、創作活動・作品においても “ 工芸デザイン的な内容を取り入れる事 ” によって、 “ 琳派 ” が完成されていったと思われます。
そして、この “ 琳派 ” が日本の装飾文化にはたしてきた役割は計り知れないものがあります。


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この引箔に用いた本金箔は本金の中でも 「 縁付け 」 と呼ばれる特殊な打ち方をしたもので、非常に軟らかく、土台になる漆に馴染み易く 「 引箔 」 の質感を上げています。


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            【 参考書籍 】


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        右の写真は、( 腹文 )はらもん = 帯をお締め頂いた時にお腹にくる場所です。

                     【 色留袖 】【 訪問着 】にも合せて頂ける帯です。


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いつも難しい説明になってしまい、すみません。“ 帯の写真 ” だけでも、お楽しみ頂けたら有難いです。

お付き合い頂き有難うございました。




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