フロリダ州南西部のマイアッカリバーで初ブルーティラピアを釣った翌日は、冷凍したブルーティラピアを携えて州の南東部のフォートローダーデールの西にあるキャナルを訪ねた。

ここを訪ねるのは 2011 年4月以来だった。あの時はマルキューのグラスミノーにバイトさせることには成功したがフッキングには至っていなかった。その際魚の切り身をウキの下にぶら下げれば釣れるだろうと確信したので、今回は前日に釣ったブルーティラピアの切り身を使うことにした。

フロリダガーならさらに西のエバーグレイズ公園内のキャナルに行けば養殖生け簀のように魚影が濃くてすぐに釣れる場所もあるようだったが、あえて2年半前に釣り落とした場所でリベンジを果たしたかったのでこのキャナルを再訪したというわけだった。

キャナルは前回と特に変わったところはなかったが、唯一の違いはブルズアイスネークヘッドという外来のライギョが増えていて、少なくとも数尾は岸辺にいて釣ろうと思えば釣れたが外来種なのでスキップした。

4月と比べてベジテーションも同じような感じだったが若干ハスのようなものが少なかったかもしれない。今回はこれらの下にはガーはおらず、キャナルの北端まで一尾も見ることなくたどり着いてしまった。そこでも全くガーは見えず、ブラインドでティラピアの背肉を流してみたがダメだった。

引き返しながらいそうなところにキャストしてごくゆっくりとした流れに任せたが、なかなかヒットはなかった。キャナルの南端まであと 250 メートルほどの所まで戻った時、ようやく 50 センチほどのガーを発見。エサを半分の約 2.5 センチのキューブにしてキャストしたが、キャストした時にはすでに見えなくなっていた。

少し下流で小魚の群が何かに追いかけられていて、そこへキャストしたがダメ。タナをウキ下ゼロから 60 センチくらいに深くして探ったが無反応だった。ちなみにタックルは 1.98 メートルのミディアムヘビーベイトタックルに 40 ポンドの PE ライン、スチールヘッド用固定フロート、オモリなし、スナップスイベル、ワイヤーリーダー、サイズ1のシャンクの長いフックというシンプルなものだった。

と、そこで下流側の少し沖合いで何かが吻を水面ぎりぎりに置いてゆっくり泳ぎ回っているのに気づいた。亀ではなさそうだがボウフィンかスネークヘッドだろうかとも思ったが、次の瞬間体全体の波紋が現れて吻の長い紛れもないガーのものだとわかった。

これにターゲットを絞り、再びウキ下ゼロにして泳ぐ方向へ先回りしてキャストしたが、数回空振りに終わった。ガーが岸近くのベジテーションのベッドに入った時はその縁でカットティラピアを微妙に震わせたが全く反応せず、こりゃ食い気ゼロモードなのだろうかと思った。

ガーはそのベッドから再びキャナルの中央の方へ出たので、上流側にキャストして流れに任せていたところ、今度はついに食いついたのがスチールヘッド用固定フロートの動きでわかり、やった!と思った。

そこからフロートの下流へのゆっくりした動きに合わせてラインを出しながらカウントダウンし、1分を過ぎたところでフロートが見えなくなったので、呑み込みに入ったと考え、そこで間合いを詰めて糸フケを取り、上流側の空へ 45 度の角度で思いっきりアワセた。

乗った! 確かな手応えだった。だがガーは特に走ることはなく、その場で少し抵抗した後は水面に上がってきて岸辺のベジテーションに突っ込んだ。40 ポンド PE ラインにワイヤーリーダーなので強引に引っ張るとズルズルと寄せられ、岸に着いたところでなるべくロッドを曲げないようにしてゴボウ抜きした。草むらに横たえられるとさすがに少し暴れたがすでに勝負は付いていた。思わず「やったー!」と叫んでいた。前回釣り落としたスポットとほぼ同じ場所でのリベンジ成功だった。


初めて釣ったフロリダガー、68.5 センチ


スポッティドガーと共通する特徴的なスポットが並んでいた


初フロリダガーの俯瞰


初フロリダガーの腹側。真っ白だった。


初フロリダガーの歯



初フロリダガー別影


フックは喉ではなく吻の中央付近に貫通していた。ということはまだ呑み込んではいなかったわけで、すっぽ抜けたかもしれなかったが、結果的には出血も全くなく最低限のダメージで済んでよかった。フックはプライヤーでも抜けなかったのでカットして鉗子で針先を引っ張って抜いた。リリースすると何事もなかったかのように元いた場所の近くに戻って行った。

撮影中、魚というよるもむしろ甲殻類の殻の成分であるキチンのような独特の匂いがしていた。正直生臭かった。

ガー目ガー科 Lepisosteus 属。スポッティドガーとほぼ同一形態であり、違いは 眼球後端から鰓蓋後端までの長さが、眼球の前端から吻端までの長さの 2/3 よりも短いのがフロリダガーで長いのがスポッティドガー。フロリダ州の半島部分とジョージア州の南東部に分布する。最大全長 132 センチ。低地の流れの遅いストリームの泥底または砂底のプールや湖に棲み、通常水生植物の近くを好む。無脊椎動物および脊椎動物食性。釣りエサは生きている必要はなく、魚の切り身でも釣れる。10 分以上かけて呑み込ませる場合はサークルフックがいいだろう。ルアーで狙う場合は靴ひもをほどいて作るロープルアーを密生する歯に絡ませる方法が効果的。

これでアメリカとカナダにいるガー類で釣っていないのはアリゲーターガーとスポッティドガーのみとなった。


フロリダガーのハビタット


2018年4月1日付けで、日本の環境省は本種を特定外来生物に指定したため、日本国内への輸入が原則禁止となり、また、日本国内で捕獲した場合に生きたままの移動が禁止となっている。