田中洌

向こう見ずと、由緒正しきデモを梯子して、あの“死語”どものリアルな響きを、今叫ぶ。

Theme: 語り 2008年12月11日


金持ちが金持ちになりすぎると道はひらける。貧乏人が貧乏になりすぎても道はひらける。なぜなら、ことばにいいあら わせないおそろしい反抗心が人びとの心のなかで燃えあがるからである。
 

                     パールバック 『大地』


あっちでもチョン、こっちでもチョン、まるで、それがいいことみたいにNHKも朝日もネットも、ここぞとばかり、かまびすしいチョンチョン音頭の大合唱だ。かまびすければかまびすしいほど、ちょいと眉をおひそめなさったポーズを見せつつ、どんちゃん、どんちゃん、がなり立てれば立てるほど、覚え目出度いらしい。


見殺しのほうは、「みんなやっとるのさ。わしらだけじゃない。百年に一度の恐慌だぜ。寒空におっぽり出すのは、気の毒だけど、ここここに到っては仕方ないや」と、胸をなでおろし、おっぽり出されるほうは、出されるほうで、「おれひとりじゃない。みんなチョンさ。仕方ねえや。ついてないと思って、あきらめるさ」と、煙幕を喰わされて消えて無くなる……これじゃ、世を挙げて、鬼の首でも取ったみたいに浮かれ騒ぎそうな、雲行きだ。


♪ほらほら、チョンチョン、ほら、ドンドン、太郎も、いちろも、百合子も、瑞恵も、みんな、すっぽんぽんで、チン、ドンドン……♪
♪チョンチョン音頭で、ちょいな、ちょいなー……♪


「皆さま、ここはひとつ、あの、“神風特攻隊”を思いだしてください。水飲み百姓のにーちゃんたちも、喜び勇んでお国のために、飛びこんだのであります。見殺しにされることくらい、ドカーンと吹っ飛ばされる名誉にくらべたら、何でもありません。痛くもかゆくもないでしょう?ここは、あんたらあも、ひとつ、お国を守るための“名誉”だと“観念”して、我先へと、チョンになってください。ご褒美に、万札に色をつけて、“お恵み”をさしあげる予定を組んでおります。聞きわけのいい子は、大成・清水・竹中のジョイントベンチャーにお願いして、貴賓席にありつけるよう取りはからうつもりです。聞きわけのない向こう見ずもいい子を見習って、色付き万札の、ご恩を決して忘れないでくださいませ」


どうやら、年越そばも食えない、その他・大勢の有象無象を、片っ端から見殺しにしておいて、いつも、あぶらげをさらう、名うての“トンビ”のふところに、ありったけの真水をぶち込もうという腹らしい。


あんまり舐めてかかるから、見ろ。
訴訟が次から次へと群がり起こり、またたく間に、全国へ飛び火し、奈良じゃ、何でも絶滅危惧種の“ストライキ”まで、勃発したというではないか。



ルンペン放浪記-原宿のギャラリー

(出発の二時間も前から、公安の目玉とギャラリーの好奇心の渦巻く原宿・穏田区民会館のあたり 『反戦と抵抗の祭り』


せなかにブッシュの骸骨人形を括りつけられ、原宿の大通りを、ものすごい数のギャラリーの視線をちくちく浴びながら、「麻生出てこい!」のにーちゃんねーちゃんといっしょに、チンチンドンドン、踊り狂って、飛びはねて、すっかり、ご機嫌になった(11・30『反戦と抵抗の祭り』) と思ったら、それから数日後に、お目当ての12・4『派遣法の抜本改正をめざす、日比谷集会』 で、絶滅危惧種のストライキ野郎(森精機 )の“勇姿”を拝めるなんて、まさかと思ったが、まさに、その“まさか”だ。


目腐れ金の口止め料を握らされて、どの道、ちりぢりバラバラの逃散(ちょうさん)だろうが、腹のまわりに百円ショップぶら下げていても、ふざけんな、と拳をあげて、おどり込んでいくやつらの、今を生きる“勇姿”は、開けっぴろげで、すがすがしく、はにかみながらも毅然としていて、小脇にコーチ抱えたイケメンなんかよりはるかにりりしく、目もくらむ美しさにひかり輝いていた。


そいつらに、バッタみたいに飛びつかれりゃ、誰だって、舞いあがるさ。
ふたつ返事で「今度ストライキやるときゃ、埼玉のはずれから、奈良まで助っ人にいくぜ」と指切りげんまんし、なけなしのありったけをカンパ袋に入れて、それでもって、ご褒美に、頬ずりいただいたみたいな、天にも昇る心地になった……さ。


それが、……いったい?


確かに、やつらの貴賓席は、さすがに絢爛豪華――民主党・菅直人に共産党・志位和夫に社民党・福島瑞穂に国民新党・亀井亜紀子に『自動車絶望工場』の鎌田慧……と、錚々たる雁首を揃え、これは、ひょっとして、全国津々浦々で目をまわしているおびただしい “青なり塩なり”に、今こそ、立ちあがれ!と、ぶつのか?
とてもラチがあかんので、国会を占拠して、解散・総選挙やるまで籠城するぞ、とやるわけか?


ばかをいえ。


雁首どもは、さすがに手慣れて、雄弁……まるで、チョンチョン音頭の手拍子でもとりかねない、吠えぶりだ。
そいつら、隔靴掻痒がどけば、まじ本番さと、固唾をのんで待ち構えていたら、あんたらあ、気は確かか?


「お願いです、ぼくたちを、どうか、ホームレスにさせないでください!」


おったまげたの、何のって!


いくら“お涙頂戴”の、やらせといっても!

泣く子も黙る“キャノン”とやりあうからには、ホームレスやるくらい屁のカッパだろうに!


それを、穴にでも入りたくなるような“恥ずかしい”真似をしなければ、後押しして貰えないなんて!
ちびりそうな猿を演じなきゃ、頼みの“ハケン切り110番”の猿まわしから、鼻も引っかけられないなんて!


わかるやつにはわかるだろうが、それでは、まるで、「薄汚い乞食なんて、飢え死にしてください」とやらせているようなもんだぜ。


もしかしたら、やつらは、我が身可愛さの余り、なにかとんでもない勘違いを起こしているのか。



ルンペン放浪記-正しきでも

(お歴々の演説に泣いて喜ぶ“動員組”たちの“勇姿”  『派遣法改正をめざす日比谷集会』



あるいは、ここを先途と、 “ホロコースト”の尻ぬぐいを買って出たのか?

まだ、何ひとつ、囁かれない先から?
「ひとつ、例の尻ぬぐいをやってくれよ」と、目くばせされない先から?
大向こうのご機嫌取りを買って出て?


そうやっておけば、少なくとも、トイレットペーパか鼻ふき紙、うまくすれば、絆創膏と雇用一千万創出という嘘っぱちを“恵んで”貰えると踏んで?
うるさがたの鼻くそを 無事“救済”していただだけば、万事、めでたし、めでたし、群れ集う関係各団体のぶらさがりだけは、末永く安泰でおられると、踏んで?


それじゃ、まるで、チョンチョン音頭の尻馬に乗って、こっそり、声援を送っているようなものじゃないか。


どうりで、拍子抜けするほど、ちびっとしか、おまわりがいないわけだ。
どうりで、いつまでたってもどうにもならんわけだ。
どうりで、みんな、すみっこにすっこんで、節約の高圧にふらつきながら、ため息ついて、ダイコン畑を耕しているわけだ。
どうりで、ホームレス虐めがあとを絶たないわけだ。
どうりで、福祉やくざがのさばっているわけだ。


この分じゃ、おれたちしものしものしものほうは、“生活保護”も“障害者”も“宿無し”も“拾い食い”も“首くくり”も“行路死亡人”も“調節弁”も“よいよい”も“鼻つまみ者も”“さんか”も“労災飛ばし”も“被爆二世”も“アスベスト”も“原発ジプシー”も“瓶詰め”も……、ぜーんぶ、“自業自得”の濡れ衣を着せられて、いつまでたっても、踏みつけにされたまま、虫けらみたいにおっ死んじまうぜ。


そのうち、穴倉からパチンコ玉みたいに飛び出し、しなびたおっぱいみたいな閣僚級に、しびんを投げつけ、「す、すいませんです」と、泣いて謝らせるまで、夜討ち朝駆けやって、鎮圧にお出ましになった軍隊の武器・弾薬・パトリオットミサイル・重戦車をぜーんぶかっ払って、議事堂を吹っ飛ばすしか道はなさそうだぜ。

そうなりゃ、今度こそ、麻生、御手洗、奥田の“提灯持ち”どもが、命乞いする番さ!


収容先の福祉やくざ・SSS から、おれたちの河原に逃げ込んできて、「腹へって死にそうです。ホームレスさん、どうか、助けてください。パンの耳があったら、一切れ、よろしいですか?」と泣きつかれても、おれたちゃ、人殺しにくれてやる親切心など、びた一文持ちあわせてないぜ。


ああ!
それにしても、 “国会包囲”“ゼネスト”“暴動”という“死語”の、今、ガソリンみたいにくらくらする、リアルな響きよ!





Comments

[Publish Your Comment]

1 ■こんばんは。

拙ブログで、この記事を紹介させていただきました。
近いうちにどこかのデモでお会いできることを楽しみにしています。

2 ■社会性のある文学賞

こんにちは!!

お元気ですか?
ガッツ溢れる文章、いつも楽しませてもらっています。
さてはて、小説を書いてますか?
このブログで描かれていることを小説にしても面白いかもしれませんよ。
田中さんにちょうどいい文学賞もあります。
ぜひ投稿してみてくださいね!

■短編
http://kobo-joho.jpn.org/kobo/nikkei-cyuhen.html

■長編
http://kobo-joho.jpn.org/kobo/nikkei.html

■城山三郎賞
http://kobo-joho.jpn.org/kobo/diamond.html

3 ■No Title

おもしれぇjyないか。
小説というより、歌だな。
いい歌だ。

Add your comment

Let's send a present!

Trackbacks

Trackback Ping URL for this entry :

http://trb.ameba.jp/servlet/TBInterface/10176707338/caac39c6

  • 2 Blog Title : 花・髪切と思考の浮游空間
  • Entry Title : 歳末鳥獣戯画−希望は戦争か、連帯か
  • Outline : 新しい年がすぐそこに迫ってくるこの時期は存外、残酷なのかもしれません。現在からみて好調を維持し今後はさらに有望だと予測可能な人がいる一方で、ある人にとっては、いまの自分の置かれている環境を慮り、そして年の瀬が自分の将来にたいして悲観を迫るものでもあったり
  • 3 Blog Title : リーフチェッカーさめの日記
  • Entry Title : 締め切り迫る!泡瀬干潟署名にご協力お願いいたします!
  • Outline : 英文署名サイト:http://www.thepetitionsite.com/1/save-awase-tidal-flatをJAWANの池田さんがラムサール条約関係者に回してくださいました。*転載歓迎。外国人の方に紹介してください。-----------------------------------------------------------------------------Dea
  • 4 Blog Title : 非国民研究開発
  • Entry Title : 景気対策としての再分配
  • Outline : 私のように景気の外にいるものには実感し難いが、随分と景気が悪くなったようで、確かに今月に入ってからでも少なからぬ人が職を失っている。何となくの人気だけで担ぎ上げられた麻生さんは、人気が無くなったら何も残らないので景気対策に躍起だが、どうもピントがずれてい
ホームレスだって、すてきだろう? ? ホームレスを好きになるかも知れない人たち ホームレスに関心を持ってくれた人たち since 2009/4/15
powered by Ameba by CyberAgent