桂小五郎との出会い7

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「ところで頼みがある」

と竜馬は言った。

「どせ諜者だと明かして差し上げたい場、私もただではあなたと別れられない」

「どうするのです」

この男、また刀を抜くつもりかと、小五郎は表情を硬くしたが、

竜馬は大急ぎで手を振って

「なに、簡単な事だ。わたしに貴藩の陣地のことなどを教えてくださらんか」

「なんと?」

小五郎はいよいよ驚き、

「私に藩の秘密を明かせというのですか」


「早く言えばそうです。そうしてもらえれば私は歩き回らなくておおいに助かる。


どうせたいした陣地でもなさそうですな」

(余計なお世話だ)と思いながら



「それは出来ませんな」

「そこを曲げて頼むのだ。土佐藩にしたところで自藩の品川防備を堅固にするための

参考にするだけのことで他意はない。結果としては日本のためになる事です」



引用著書
「竜馬がゆく」
司馬遼太郎

 
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