ドラマ「関ヶ原」~天下の博打~ | ♪ DEAR MY LIFE ♪

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ヨーロッパでスペインの作家セルバンテスが、
「ドンキホーテ」の想を練っていた頃、
日本では時の権力者、豊臣秀吉が死んだ。

時に16世紀も最後に近づいた1598年、慶長3年、
空白となった権力の座を狙うのは実力者・徳川家康

五奉行の一人、石田三成は持ち前の正義感で
家康の仕掛ける策謀から豊臣政権を必死に守ろうとするが、

三成ら官僚派を憎む、秀吉子飼いの鷹派の武将達、
加藤清正、福島正則らは、かえって三成らを討とうとする。
窮した三成が選んだ逃げ場は、なんと徳川家康の屋敷であった。

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1981年の正月に放送されたドラマ「関ヶ原」。
ここから第二夜、~さらば友よ~の始まりです。

◆◆◆灯籠の火◆◆◆
庭に潜んでいる兵の存在を知りつつ、
火の入っていない灯籠を見て、さても徳川殿は倹約家と見えるが、
せっかくの庭が悲しかろう・・と呟く三成



再び庭に眼を移した時、灯籠には明かりがともっており、
「これはどうも・・」と礼の言葉を口にする三成。
>さて、家康、このわしをどうする?(三成)

三成の、顔に似合わず大胆な行動に感心する本多正信。
「ほんと、お顔に似合わず・・」と言う阿茶の局。
「見ぃ、正信、おなごはみんな、面食いよ」と笑う家康。

>さて、上様、どの様に御成敗なされますか。(正信)
>阿茶は、どう思う?(家康)
>お殺しあそばせば。(阿茶の局)
>ふふふっ、よくぞ申されました。(正信)



女だてらに大胆な事を口にする阿茶を褒める正信だが、
彼の真意は、三成を殺すことではない。

>あの男を殺してしまえば、上様はお楽におなりあそばす。
>しかし、それだけのこと。(正信)

>それだけ、、とは?(阿茶の局)

>はい、それだけ。天下は御家に転がりこんでまいりません。(正信)
>その通り。(家康)
>もっと、豊臣家の火事を大きくせねば、火事はまだまだ小さい。(正信)
>ふっふっふっ・・・。(家康)

◆◆◆サイを投げる時◆◆◆
すでに眠る準備に入った三成。部屋の床下を這い回る忍びの者に、
「深夜に家康殿の寝所を伺ったりせぬ」と告げる。
彼(三成)は、近い将来、きっと旗を挙げるだろうと不安顔の阿茶。
一時も早く挙げてもらいたいと願っている家康。



しかし、三成側に多くの大名が集まる危険性もある。
家康は「それが博打だ」と断じ、自らの論を展開していく。

>博打をうたずに天下を奪い得た者があるか。
>だが、阿茶、博打は勝つ為にうつものよ。(家康)

>でも、博打は、博打・・・、(阿茶の局)

>だから、それ、勝つ為に知恵の限りを尽くし、
>あらゆる細工を施して、最後にこうサイを投げる時には、
>「必ず思う目が出る」という所までいってから、初めてサイを投げる。
>それが、わしの博打だ。(家康)

>それでは博打にはならぬではありませぬか。(阿茶の局)

>阿茶、考えてもみい。この博打は、わしの生涯、わしの領国、
>何万の家臣、それにわし自身を賭ける勝負だ。
>負ければ何もかも、のうなってしまうのだ。
>『運』などに頼る博打がうてるか。(家康)




>その博打のお相手に、三成殿を・・・?(阿茶の局)
>博打は一人ではうてん。だからわしは、三成を選んだ。(家康)
>でも、その博打の元手に、随分ひらきがございますこと。(阿茶の局)

家康は関東に250万石、一方の三成は近江に17万石。
阿茶が指摘しているのは、兵の動員数のことである。

>おなごは、すぐ男前に同情する。(家康)
>あは、そんな・・・。(阿茶の局)

>阿茶様、御心配は御無用です。今の三成殿には、
>上様と博打をうつだけの身代はございませぬ、しかし、
>佐和山の城に帰れば、八方に密書を走らせ、
>旦那衆をかき集めます。(正信)


>ふふふふっ。(家康)
>さすれば三成も、上様と対等に、
>博打をうって見せるでしょう。(正信)


>その為にも、あの男を佐和山に帰すのだ。
>のう、阿茶・・・。(家康)

>御苦労なさいますこと。(阿茶の局)
>苦労、する・・のう。ふっふ。(家康)

この場面、原作では本多正信の隣に井伊直政がおり、
  側室も阿茶の局ではなく、孫ほど年の離れた若い側室・お勝。
  ドラマ版では、彼らの会話を見事にシェイプアップさせ、
  家康の戦略論(=博打)も、より分かりやすく解説されています。

翌朝、三河の雑炊を共に食べる三成正信
もはや神経戦の領域に突入している三成と家康。

>殺せるものか、そう読んだからやって来たのだ。
>今、この広い天下で、石田三成を一番大切に考えているのは、
>家康じゃぁないのか?はっはは、そうだろう、正信・・。




三成がそんな事を考えながら、正信の顔を見つめていると、
「三成を出せ!」と叫ぶ声が二人のいる部屋にまで聞こえてくる。
加藤清正、福島正則をはじめとする七将達だった。

▼ドラマ「関ヶ原」 ~琵琶湖の鮎~