縁側で夕陽を見つめる官兵衛は「老子」の言葉を思い浮かべる。
>上善は水の如し。水は善く万物を利して争わず、
>衆人の悪む所におる。故に道に幾(ちか)し。(老子)
【直訳】
最上の善なるあり方は水のようなものだ。
水は、あらゆる物に恵みを与えながら、争うことがなく、
誰もが皆、嫌だと思う、低いところに落ち着く。だから道に近いのだ。
【意訳】
「水」は、大地に恵みを与え、作物を育て、
また時には、人々の喉を潤したりと、様々な利益を私達に与える。
更に、川を流れる「水」に目を移すと、柔軟にその姿を変化させながら、
岩を避けるようにして流れていく。
そして、最終的には、人の嫌がる低い場所、
沼のように濁っていたり、ジメジメとした湿地という場所に落ち着く。
こうした水の有り様を人間に例えてみると、
争いを好まない、謙虚で善良な聖人の姿になるのだ。
◆◆◆如水の天下取り◆◆◆
兵が整いつつある今、黒田三人衆を集めた官兵衛は、
「天下取りの策」を語り始める。
三成と家康の戦いは、天下を分ける大戦。
決着がつくまで時間がかかる点が、我らの狙い目。
まずは力を蓄え、九州に在する三成側の・・と言いかけると、
官兵衛の言葉に太兵衛が続く。
>ここは三成の味方ばかり。これらをことごとくと平らげ、
>九州一円を黒田の物にする。(太兵衛)
>さすれば味方は、ますます増え、今の数倍にもなろう。
>その兵を率いて、一気に中国に攻め上る。(善助)
>毛利は大坂に出兵し、領国はガラ空き。
>更に進めば、我らが故郷・・・、播磨。(九郎右衛門)
>ここまで進めば、京、大坂は目前。
>我らの手勢は゛さらに膨れ上がっておりましょう。
>その数、およそ十万。(太兵衛)
>そこで、最後の大勝負。
>家康、三成、勝ち残り疲弊しきっている方へ決戦を挑む。
>これが、大殿の策。(善助)
・ここまでが小説などに見られる、世に知られた策ですが、
台本と決定的に違うのは、官兵衛が「わしの策」としているのに対し、
本編では「大殿の策」と善助が締めている点ですね。
更に注目したのは、以下の追加&大改編といえる台詞でした。
>兵糧はすでに買い集め、長陣となっても尽きる事はございません。
>物見を各地に潜ませ、大小名、地侍などの動向も、
>すべて把握しておりまする。(九郎右衛門)
>こたび、我らをお近くに留め置いたのは、
>大殿の天下取りの為。(九郎右衛門)
>我らは三十年以上の長きにわたり、大殿に仕え、
>見続けてまいったのです。(善助)
>大殿のお考えなど、寝ていても分かりまする。(太兵衛)
>言い過ぎなんじゃ、太兵衛!(善助)
>ん? あっはははっ(太兵衛)
・軍師官兵衛に仕えてきた黒田の家臣達が、いつの間にか、
主人の命令を待つだけではない、「軍師」に育っていた。
~という設定は、かなり面白く感じ、楽しめました。
この主従は、例の「徳川ミーティング」の領域を越えましたね。
笑いあう三人に対し、深々と頭を下げる官兵衛は、
彼ら三人の名を静かに呼びながら、わしは良き宝に恵まれた、
しかも、得難き宝が三つもだ~と告げる。
>お主達のおかげで、ここまで生き長らえ、
>軍師として重用されることが出来た。
>わしはな、お主達と共に、天下を狙う!
>黒田の礎(いしずえ)となった、お主達が、
>天下の礎と成り得るかどうか、見てみたい。
>そして、天下という器が、
>わしに相応しいのかどうか、試してみたい。(官兵衛)
>我ら黒田武士、大殿の天下、見とうございます!(善助)
>やりましょうぞ、大殿の天下取り!(太兵衛)
・これは、誰のアイデアなんでしょう?
終盤にきて、新たに脚本家が書き足したのか、
現場で演出家が変更したのか、岡田官兵衛の閃きなのか?
実際のところ、おいらはスタッフではないので不明ですが、
・官兵衛と黒田三人衆の関係が、
実際の撮影現場の人間関係とリンクしている様な・・・。
特に、官兵衛が頭を下げるシーンは、濱田、速水、高橋という、
一番身近な三人の共演者に対する「御礼の言葉」にも思え、
独特の雰囲気をかもし出していた様に感じました。
・大河終盤の番宣内、共演者&スタッフの仲の良さを語る岡田君。
「仲が良いからって、良いドラマになるわけじゃなし」と思えますが、
このシーンを見て、彼の言葉の意味が、何となく理解できました。
役者同士のリアルの人間関係が、『演技』という枠組みを越え、
画面内に滲み出ている・・、そんな名シーンになった気がします。
徳川についている黒田本隊をどうするか?尋ねる九郎右衛門。
わしらは老兵。長政達は従わざるをえなくなる。
それに、わしは長政を信じている・・と語る官兵衛。
◆◆◆秀秋の憂鬱◆◆◆
>東西、両陣営の鍵を握る人物が京を訪れていた。
>小早川秀秋である。(ナレーション)
北政所の甥にあたる中納言・小早川秀秋。
毛利家を支え続けた小早川隆景の養子となり、小早川家を継いだ彼は、
領国での準備が遅れ、上杉討伐軍への参加に出遅れていた。
兵を整え、やっと出発、大坂付近に到達した所で三成が挙兵。
上杉討伐軍でありながら、三成の一番近くに居た為に、
仕方なく西軍に属した秀秋ですが・・・。
>されど、このままでは石田方と見なされてしまいます。
>はたしてこれで良いのかどうか・・・。(秀秋)
>ふぅ・・。相変わらず煮えきらない男じゃのう。
>子供の頃から、少しも変わらぬ。。。(北政所)
どちらに付きたいのか?真意を問う北政所だが、
「それは、勝つ方に・・」と答える秀秋。
・三成に味方しようと大坂に参陣したわけでもなく、
突然やって来た人生を左右する選択を前に、彼が迷うのも当然。
ある意味、喜劇的な立場にある秀秋くんですね。
領主たる者、自分の信じる道を突き進むべき。
そうでなければ家臣も付いてこないと論じる北政所だが、
自分には荷が重すぎると答える秀秋。
優柔不断な彼に対し、なかば呆れながら、
私が最も信用している者に相談せよと命じる北政所。
長政が属する東軍の主力・先行部隊は、ひたすら西へ移動。
8月23日には岐阜城を攻略。翌、24日には西軍の本拠地、大垣城を目指し、
美濃赤坂付近まで進軍を終えていた。
黒田の陣にて、北政所からの書状を読む長政。
小早川秀秋が長政に相談したい事があるという内容に、
「天が、この長政に味方しておるぞ!」と叫ぶ長政。
・これはアレですね。正則に続いて秀秋の説得にも成功した長政くん!
~っていう話しじゃなく、関が原の戦いの真っ最中、
家康からの使者に長政が逆ギレする逸話の布石じゃないかな、たぶん。w
>家康は江戸に戻り、出陣の機をうかがっていた。(ナレーション)
美濃にいる井伊直政からの報告を受けた家康は、
離反する武将も無く、味方の士気は高いという書状の内容に満足し、
直政からの要請に応え、自らの出陣を決める。
同じ頃、黒田の陣では、大坂を出陣する大友軍の動きを察知していた。
この戦い、時間をかけていては、味方は不利になる。
大友の旧臣が集結する前に、大友軍を叩きたい官兵衛。
>日本史上、最大の合戦が、いよいよ始まろうとしていた。(ナレーション)
【次回予告:如水最後の勝負】
九州各地、西軍に属する城を次々と攻略していく如水率いる黒田軍。
>ふっ、誰の為に戦っているのやら・・・。(家康)
>む、ここは何処だ?あれは・・自衛隊か?(官兵衛)
「図書館戦争」待望の続編・2015年10月公開決定!岡田准一×榮倉奈々が再び!(*^ー^)ノ
>台本をいただいて、前作で岡田さんからしごかれた思い出が
>よみがえりました・笑 (榮倉)
大河仕込みで迫力を増した岡田君のビンタが炸裂か?乞ご期待!(*v.v)。
▼軍師官兵衛:第49回 如水最後の勝負 第1幕