>慶長5年7月、佐和山城で蟄居していた三成が、
>家康を討つ為、大坂城に入った。
>一方、上杉討伐に向かう家康は江戸城に戻っていた。(ナレーション)
家康に「三成が罠にかかりました」と知らせる井伊直政。
>家康は東から、三成は西から味方を募っていた。
>一方、如水は新たに兵を集め、
>きたる決戦に備えはじめていた。(ナレーション)
武具を持っていない者には与え、城に来れば必ず雇うと宣伝させる官兵衛。
雇い賃を二重取りしていた者を許し、「二人分はげめ」と声をかける。
その様子を見て「ケチと呼ばれた大殿とは思えませんな」と話す家臣。
「ここぞの時に銭を使う。その為の倹約じゃ」と答える九郎右衛門。
このままいけば数千にふくらむ勢いを見せる黒田軍。
百姓や町人は鍛え、これぞと思う者は士分に取り立てる。
黒田如水が立ったという噂を九州一円に広めるよう指示する官兵衛。
■オープニング~演出:大原 拓
・中津城の金倉から銭を放出、二重取りする男の話し等々。
冒頭から如水にまつわるエピソードで始まりましたが、
今回は、そんな逸話のオンパレード。
「第46回 家康動く」で動機部分を描き終え、あとはもう、
引き絞った弓から放たれた矢の様に、ビュンビュン突き進むのみですね。
◆◆◆三成の大義◆◆◆
大坂城に入った三成のもとにかけ寄る淀君と秀頼。
味方は十万を越える大軍となる。
あの憎たらしい古狸(家康)を成敗する機は熟した。
秀吉の遺言を、ことごとく破ってきた家康。
その違約項目を書き記した弾劾状を作った三成は、
各地の大名に送るように長束正家に指示。
また増田長盛には、家康と共に東に向かった大名達の妻子を、
人質として大坂城に入れる手配を命じる。
・三成憎さで団結している福島、加藤、黒田などの諸将を、
「くだらぬ」と評しながら、人は、個人的な感情より、
義(=秀吉に対する恩義)を優先すべき~と信じている三成。
確かに理屈としては、彼の言い分が正しいのかもしれませんが、
世の中、いつも「正しい者が勝つ」とは限らないもの。
彼の下した「人質策」は、どういう展開につながるか?
>如水が新たに雇い入れた兵は、長政率いる黒田本隊、
>五千四百を凌ぐ勢いで増え続けていた。(ナレーション)
新兵が訓練する姿を見つめる官兵衛。
そこに、味方につく事を望む三成からの書状が届くが、
「九州のうち七カ国を約束せよ」とでも書いておけと九郎右衛門に命じながら、
大坂に残してきた光たちを案じる官兵衛。
◆◆◆人質を出せ◆◆◆
天満・黒田屋敷。大名の妻子は大坂城に入れ~という、
奉行所からの通達を、光と栄に知らせる善助。
役人がこの屋敷を取り囲む前に、ひとまず外に出ようとする光。
商人に変装した太兵衛は、二人を俵に詰め込むと、
天秤棒に担いで屋敷から出て行く。
・おなごとはいえ、これは重たい!という太兵衛。
「何か言いましたかぁ?」と答える光。何やら「喜劇パート」の予感。
路地では、すでに役人の取り締まりが始まっていたが、
三人は、無事、出入りの商人・納屋小左衛門の蔵の中に到着。
翌朝、妻子が城に来ない黒田家を怪しむ役人衆。
本当に屋敷にいるのかどうか?奥方への面会を求める役人達。
しかし、のらりくらりと返答する善助。
そのうち「屋敷をあらためさせよ」と高圧的な態度に出る役人。
「ならば一戦あるのみ」と答える善助。
仕方なく「遠目から拝見するのでは?」と譲歩する役人。
>あの奥じゃ。(善助)
>長政殿の御正室は確か十六と聞いたが、
>少々、お年をめされている様にも見えるが・・・。(役人A)
>はっ?ぶっ、無礼なっ!黒田家を愚弄するおつもりか?
(刀に手を置き、身構える黒田家の兵士たち)
>もうよいであろう。覗かれている事を奥方様が知れば自害しかねん。
>さよな事になれば、おぬしらにも腹を斬ってもらう。(善助)
(この言葉に、顔を見合わす役人達)
>わかり申した。今日はこれで引き上げる。(役人A)
>ただし、日限はあと三日。
>それまでに支度を整え、お城に登られよ。
>それまでこの屋敷は、しかと見張らせていただく。(役人B)
役人が去った後、裏木戸をシッカリと閉じて部屋に入る善助。
見破られなかった事に安堵する、お道とお福の二人。
・設定や台本に書かれた台詞だけを見れば、
かなりシリアスで緊迫した場面のはず、なんですが・・・、
濱田岳君(善助)の、二人の役人と交わす所作動作、台詞の「間」が、
絶妙な具合に芝居がかっていて、喜劇風に味付けされてました。
このシリアスとコミカルを混在させた演出が面白かったです。
▼軍師官兵衛:第48回 天下動乱 第2幕