2006-05-29 07:51:15

The Queen Is Dead/The Smith

テーマ:(P・Q・R・S・T)

スミス
ザ・クイーン・イズ・デッド

セックス・ピストルズとザ・スミスは本質的に同じものである。


なんて書いたら、両バンドのファンに

「何言ってんだ、音楽的にもイデオロギー的にもまったく違うじゃないか。むしろ、正反対のバンドじゃないか。耳おかしいんじゃねえか。このアホ。ファッキン馬鹿。」

なんて言われて、袋叩きにされて、ボコボコにされてしまうだろうか。


まぁ、落ち着いて聴いてください。

確かにピストルズとスミスは違う。

こんなに性格の違うバンドも他にいないでしょう。

正反対の性質を持ったバンドだといえます。


「ほれ見ろ。やっぱり俺の言ったとおりじゃないか。腹切って詫びろ。ファッキン馬鹿。」

って、待って待って。

確かに正反対だけど、それはコインの裏と表という意味です。


ピストルズのヒステリックな破壊衝動や反抗精神、スミスのメランコリックな自虐感、理由のない不安感は、共に思春期のもやもやした感情を表現しているのです。

言ってみれば、青春時代の陰と陽、両極です。

だから、コインの裏表であり、本質的に同じものだというわけです。


青春を歌った曲は、多くありますが、どれもこれも恋愛や友情や夢なんかを主軸としています。

しかし、本来、思春期の感情というのは、そんな爽やかなものであるはずがなく、もっとドロドロとしているはずです。

そんな感情をストレートに表現しようとすれば、ピストルズのような破壊衝動、反抗精神か、スミスのような自殺してしまいそうな程のメランコリーに陥るのは当然のことです。

まぁ、両者とも青春を表現しようとしてやっていたわけではありませんが。


スミスが歌っているのは、自分みたいなダメな人間は死んでしまった方がマシだというような自虐感、誰も本当の自分のをわかってくれないというひねくれた自尊心、何で自分だけがこんなに辛いめにあわなきゃいけないんだという甘ったれた被害妄想など、言葉にすればとても醜い感情であり、他人をよせつけない茨です。


しかしスミスは、その醜い感情を、この『クイーン・イズ・デッド』で、こんなにも美しく鳴らした。

そして、その醜くも美しい歌は人々の共感を勝ち得ることに成功した。

それは、そうした思春期特有の閉じこもった感情は、誰もが抱えている、あるいは抱えていた感情だからだと思います。

だから、こんなにも強く僕達の心に響くのでしょう。


だけど、スミスのメランコリーもピストルズの反抗心も、成長していくにつれて乗り越えていかなければならない感情であるとは思います。


思春期の頃の自分を思い起こすと、何でこんな馬鹿げたことに悩んでいたのだろうかというようなことが、いっぱいある。ちっぽけなことに悩んでました。

そんな風に過去を客観視できるようになった僕は、思春期を乗り越えることができたんだろうか。

だけど、今でも悩みは尽きないし、今もスミスの曲に強く心を揺さぶられてしまう。

スミスに自分を重ね合わせてしまう。

結局、まだ、何も解決していないし、何も変わっていないかもしれないです。



01.The Queen Is Dead

02.Frankly,Mr.Shankly

03.I Know It's Over

04.Never Had No One Ever

05.Cemetry Gates

06.Bigmouth Strikes Again

07.心に茨を持つ少年 音譜

08.Vicar In Tutu

09.There Is a Light That Never Goes Out 音譜

10.Some Girs Are Bigger Than Others


01.The Queen Is Dead

タイトル曲です。

他の曲より、比較的、ロック的なアプローチが目立ちます。

「女王が死んだ」なんて、イギリス皇室を嫌味ったらしく皮肉しています。

しかし、結局、独りぼっちの自分を見つめて内省的になっていきます。

同じ、皇室批判の曲でも、皇室批判から破壊衝動へと突き進んだピストルズの『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン』とは、意味しているものが違います。


02.Frankly,Mr.Shankly

「この仕事を続けていると魂が腐りそうなんです。」

って上司に向かって歌う曲です。

雇用主が馬鹿でどうしようもない人間なのに、そんな男の下で働く自分・・・

こういう風にはなりたくない。


06.Bigmouth Strikes Again

ジョニー・マーのギター・カッティングが美しく冴える曲。

醜い感情を世の中にさらけだしたスミスが、ここまで人々に受け入れられたのは、ジョニー・マーのメロディとギターがあってこそだと思います。

彼のソングライティングが無ければ、醜い感情は醜いまま、美しいものだとは捉えられることは無かったでしょう。


07.心に茨を持つ少年

「生きてみようと思ったら一体どうやって始めたらいいんだい?」

心に茨を持つ少年は、自分を守るために茨によって身を隠す。

本当は近づいて抱きしめて欲しいのに。

モリッシーの心がストレートに表れた曲です。


09.There Is a Light That Never Goes Out

モリッシー&マーの最高傑作といえるかもしれません。

独りぼっちの夜に出会った人が、自分と一緒に死んでくれたらいいのにというモリッシーのひたすら悲しい哀願。

それを悲しくも綺麗なメロディーとして奏でるジョニー・マー。

レノン&マッカートニーなど、ロック史上には才能あふれるコンビがたくさんいますが、彼らもそのうちの一つでしょう。




食肉は殺人だ。

The Smiths
Meat Is Murder

ディス・チャーミングマン収録。

The Smiths
Hatful of Hollow


コメント

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1 ■ども

 はじめまして。
TBありがとうございました。
TBいただいたのがオコガマシイと感じるほど感性を感じるblogですね。
ブリティッシュ系、ワタクシまだまだ勉強中でありますんで、またいろいろと教えていただきたく。m(__)m

2 ■はじめまして!

いえいえいえ、ROOFさんのブログも非常に興味深かったです!
CDを紹介するブログは大好きです。
今後ともよろしくお願いします。

3 ■無題

はじめまして、ナカジンと申します。
トラックバックいただきましてありがとうございます。
なるほど、セックスピストルズとザ・スミスですか。
僕が若い頃、最初にパンクにのめり込んだ時、UKのグループではじめに憧れたのはピストルズでした。ファッションなども真似をしました。
しかし、何かが違ったのです。
そう、それは美学の感覚の違いだったのです。
破壊する美学。内面性の美学。
僕が後々、歩んだのは内面性の美学でした。
生意気言いましたが、今後ともよろしくお願いします。

4 ■はじめまして!

内面性の美学・・・
確かに、今の僕が惹かれる音楽も「内面性の美学」を追求している音楽が多いかもしれません。
興味深いコメントありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。

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