年の離れた男の子を好きになりました。

第2話

 

 

ここは、ソウル市にある全寮制高校・ピョンテ学園。

 

毎年多くのソウル大合格者を輩出するこの名門校は、学業の妨げになるため、男女間の接触・交際を禁止している。

 

このルールを破った者は、有無を言わさず退学となり、二度と輝かしいレールの上には戻れない―

 

 

「年男(トシナム)」第1話はこちらから

 

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「・・・僕がヌナを好きだから。

ヌナも、これからきっと僕を好きになるから。」

 

 

挑戦的な瞳をして、グクが耳元で囁いた。

 

 

「・・・」

 

 

 

台詞自体もそうだけれど、耳元にかかったグクの吐息と肌の匂いにドキッとして、私は固まってしまった。

 

 

 

そして一瞬、

ほんの一瞬だけれど

 

私の体の中にある細胞が、彼の持つものとリンクしたような気がした。

 

 

しかもさっきから、鼓動が鳴りやまない。

 

彼に興味などないと頭ではわかってても、心は違うみたいだ。

 

 

私の意思などおかまいなしに、血がドクドクと巡り、熱が肌を火照らせる。

 

 

そうして気付いてしまった。

もう、この時点で。

 

 

さっきグクが言っていたこと。

 

 

ヌナも、これからきっと僕を好きになるから”

 

 

 

―――もしかしたら、彼の言ったことは本当になるかも知れない、と。

 

 

 

 

「ヌナ、何ぼーっとしてるんですか?

先生が呼んでますよ。いきましょう。」

 

 

グクは戸惑っている私のことなど気にもしない様子で、口元だけ笑ってみせる。

 

 

(ぼーっとって・・・

あんたが変なこと言うからでしょ!?)

 

 

 

「ちょっと待って!」

 

「はい。」

 

 

「私は、あなたのこと絶対に好きになんてならない。」

 

「・・・」

 

「それと、星を取るのを邪魔したら許さないから!」

 

 

私は、威嚇するようにギロッとグクを睨みつけた。

 

 

「・・・」

 

 

しばしの沈黙の後、グクは唇に指を当てて、何か考えを巡らせるかのように「んー」と声を出した。

 

 

「それって、僕にはどうしようもないことじゃないですか?」

 

 

「え?」

 

 

「人を好きになるのって理屈じゃないですよね。

たとえば僕がどれだけヌナのことを好きでも、ヌナは僕のことを好きにならないかもしれない。」

 

 

「・・・」

 

 

「僕がどれだけアプローチしても、あなたは一切なびかないかもしれない。」

 

 

 

「・・・そうね、私がっ・・・」

 

グクが私の言葉を遮るように、語気を強める。

 

 

「でも!

 

逆に、僕が一瞬笑っただけで、あなたは恋に落ちるかもしれない。

 

そんなの誰にもわからないし、止めようがないと思うんですけど。」

 

 

「なっ・・・」

 

 

「だから、そんな怖い目して僕を威嚇しようったって無駄ですよ。」

 

 

 

 

 

―たしかにそうだ。

グクの言っていることは正しい。

 

たとえグクが私を好きでも、私がグクを好きにならなければいいだけの話。

 

グクがなにか仕掛けてきても、相手にしなければいい。

さっきのように甘い言葉を言われても、所詮は年下男の戯言だと気にしなければいいのだ。

 

 

 

でも、すでにそれを出来る自信がなくて・・・

 

私は、さっき自分を戒めるために、グクを“あえて”威嚇した。

 

 

それを、グクは見抜いたんだ。

 

 

 

 

(もうやだ・・・なんでグクとペアになんてなっちゃったんだろう。)

 

 

「はぁー・・・」

 

 

肩を落として大きくため息を吐くと、後ろから懐かしい声が響いた。

 

 

「ヌーナ♪」

 

 

 

 

「テミン!」

 

「ひさしぶり。どうしたの、溜息なんて吐いて。」

 

 

この黒髪ふわふわヘアーで、女子よりもきれいな顔をした男は、イ・テミン。

私の幼なじみだ。

 

 

 

家が近所で、親同士も仲が良く、幼稚園からの腐れ縁。

 

けれど高校に入ってからは、寮に入ったため顔を合わすことはなかった。

次の年にテミンがピョンテ学園の男性寮に入ったと、母親から聞いた時は驚いた。

 

 

この学園は、全国屈指の名門校で、偏差値は77~80とかなり高い。

勉強が苦手なテミンの成績じゃ、とてもじゃないけれど合格しないと思っていた。

よほど熱心に勉強したのだろう。

 

テミンと最後に会ったのは、たしか中学の卒業式。

あの頃より随分背が伸びて、顔つきも大人っぽくなった。

 

 

「ひさしぶりテミナ。元気そうだね。」

 

「うん。

せっかく同じ高校に入ったのに全然会えないからさびしいよ。

ヌナは、僕のヒーローなのに。」

 

 

(ヒーローって・・・私、女なんですけど。)

 

 

幼い頃、テミンは可愛らしい容姿をからかわれて、いつもひとりで泣いていた。

そんなテミンを見ているといてもたってもいられず、私は、いじめっ子たちをコテンパンにやっつけていた。

だから、テミンは私を「ヒーロー」と呼び、本当の姉のように慕っているのだ。

 

 

「ヌナ、なんか浮かない顔してるね。

あ。もしかして、僕とペアじゃなくて残念がってるとか?」

 

ススス~とテミンが体を寄せて顔を覗き込む。

 

「何言ってるの、そんなわけないでしょ。

それより監視員が見てるから、あんまり近寄らないで。」

 

「え~、相変わらず冷たいなぁ。」

 

そう言いながらも、テミンはにこにこ笑って嬉しそうだ。

 

 

すると、先に行ったと思っていたグクが、大きな声で叫んだ。

 

 

「ヌナ!先生が呼んでるって言ってるじゃないですか。

早くしてください!」

 

 

「えっ・・・」

 

 

(な、何か怒ってる?)

 

 

痺れを切らしたのか、乱暴に地面を踏みながら、グクがこちらへ歩いてきた。

 

しかも、あからさまに敵意むき出しの瞳で、テミンを睨んでいる。

 

 

(何その目・・・)

 

 

「えっと・・・新入生のジョングク君だっけ?

僕は2年のイ・テミン。よろしく。」

 

テミンが殺伐とした雰囲気を和ませようと、にこっと笑って手を差し出す。

 

 

すると、その手をパシッと払い除けて、代わりにグクが私の手を掴んだ。

 

 

「行きましょう。」

 

ぐいっと手を引っ張って、グクが歩き出す。

 

 

「ちょっと何するの!?

監視員に見られるでしょ!放してよ!」

 

「監視員なら、ここにはいません。

彼らの行動パターンと配置は熟知しているので、心配しないでください。」

 

「なんでそんなことわかるの?

覆面監視員だっているかもしれないじゃない!」

 

 

この学校では、常に監視員が私たちの行動を見張っている。

 

少しでも異性と体を接触させようものなら、「カルテ」と呼ばれる行動記録表に減点をつけられ、逆に、模範的な態度を取っているものには加点される。

 

その点数が最も高い者が、「星」をもらえるという仕組みだ。

 

 

 

「どうしてわかるかは、秘密。

それより、さっきの人・・・イテミン先輩でしたっけ?」

 

「うん。」

 

「ヌナとどういう関係ですか?

随分親しげでしたけど。」

 

「テミンは幼なじみなの。

幼稚園の頃からの付き合いだから、姉と弟みたいな感じかな。」

 

「ふーん。」

 

「そんなことより、もう手、放して!」

 

 

「やだ。」

 

「なんでっ・・・」

 

 

 

すると、グクがぷいっとそっぽを向いて呟いた。

 

 

 

「僕より、ヌナのことを知ってるなんて気に入らない。」

 

 

 

 

 

グクが、ふぐのように頬を膨らまして、ちょっぴり下唇を尖らせる。

まるで小さな子供みたいだ。

 

 

「ひょっとして、テミンに焼きもち妬いてるの・・・?」

 

 

「そうだって言ったら?」

 

 

「そう言われても、困るけど・・・」

 

 

「へぇ。けっこう思わせぶりなこと言うんですね?」

 

「え?」

 

 

「本当は妬かれたいくせに、困るとか嘘吐くんだね。」

 

「そんな・・・妬かれたいなんて思ってない!」

 

 

その瞬間、自分の顔がいきなりカァッと赤くなったのがわかった。

 

(やだ・・・なんで・・・?)

 

 

「ほら。顔真っ赤じゃん。」

 

 

「み、見ないでよ。」

 

 

「もう僕のこと好きになったの?」

 

 

 

 

 

 

 

「だから違うってば!」

 

 

「言ってることと、表情が伴ってないけど。」

 

 

(あぁ~、もう熱い!)

 

 

私はグクの手を振り払って、パタパタと手で顔を仰ぎながら目を逸らした。

 

本当にこの男といると、自分が自分でなくなりそうで嫌になる。

 

 

「照れちゃって、可愛い。

その顔見てたらちょっと機嫌直った。」

 

 

そう言いながら、仰ぐ手をグクがまたぎゅっと掴んだ。

 

 

(可愛い?!)

 

(って、また手掴んでるし・・・)

 

 

「大体、あなただって私のこと好きとかさっき言ってたけど、今日初めて話したのによくそんな軽口叩けるわね!それこそ嘘でしょ?」

 

 

「初めて?」

 

 

「え・・・」

 

 

「今日が初めてじゃないよ。

ヌナと話すの。」

 

 

「そう・・・なの?」

 

 

「忘れちゃったんだね。」

 

 

グクの声のトーンがいきなり暗くなった。

目を伏せて、切なそうな顔をしている。

 

 

そんな表情を見ていたら、なぜだか無性に抱きしめたくなった。

 

 

「・・・憶えてない、ごめん。」

 

 

(って、なんで謝らなくちゃいけないの?

しかも抱きしめたくなるとか・・・私、どうかしてる。)

 

 

 

「前にね、病院で会った。」

 

「病院?」

 

「俺、廊下で財布出そうとしたらお金ばらまいちゃって。

そしたら、ヌナが一番に来て拾うの手伝ってくれたんだよね。」

 

「・・・」

 

 

「その時、足怪我してたから屈めなくて・・・

すごい助かった。」

 

 

 

“お金、これで全部かな?”

 

“あ・・・はい。”

 

“足、お大事にしてね!”

 

 

 

 

「そうだったんだ・・・」

 

 

「お礼言おうと思ったら、もうヌナいなくて。

 

そしたら・・・」

 

 

「ん?」

 

 

「高校の願書出しに行った時に、ヌナのこと見かけて。

絶対にこの高校に合格して、また会うんだって思った。」

 

 

「・・・」

 

 

「けっきょく、柵があるせいでヌナに全然会えなかったけどさ。」

 

 

「そう・・・」

 

 

「だから、今回ヌナとペアになってめちゃくちゃ嬉しかった。

やっと会えた。やっと話せるって。

 

っていうか、今こうしている事自体、俺にとっては奇跡みたいなんだよね。」

 

 

 

 

 

「そういえば、俺まだあの時のお礼言ってなかった。」

 

 

「え・・・」

 

 

「ヌナ。ありがとう。

一番に俺を助けてくれて。

笑って“お大事に”って言ってくれて。」

 

 

「そんなの、大したことじゃないよ。」

 

 

「ヌナにとっては、大したことじゃなくても、俺にとっては、大したことだったから。」

 

 

「そんなに?」

 

 

「うん。

 

あの時、俺・・・ヌナにひとめぼれしちゃったんだ。」

 

 

 

そう言って、目じりを下げてくしゃっと笑うその顔に・・・・

 

私は目を奪われた。

 

 

 

(どうしよ・・・

 

グクから目を逸らせない。)

 

 

 

 

「ヌナ、課外学習頑張ろうね。」

 

 

 

 

 

 

2人の手は繋がれたまま。

 

 

気が付くと、素直にコクン・・・と頷いている私がいた。

 

 

 

 

 

つづく。

 

 

 

 

 

※画像お借りしました。

 

 

「まだ続くんすか?( ゚∀゚; )」

「だから、グクって誰?」

 

というご質問には、この話が終わってからお答えいたします(笑)

 

 

 

※画像お借りしました。

※ちなみに、これは新作の小説ではありません(笑)

 

 

 

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