2006-12-31 21:23:41

欧米、ロシアの綱引き激化

テーマ:ブログ
かつて「ソ連の柔らかい脇腹」と呼ばれた中央アジアの最南部、イランやアフガニスタンと国境を接し、カスピ海に面する一帯にトルクメニスタンはある。このトルクメニスタンを約二十年間支配し、個人崇拝と独裁、反対派弾圧を強化してきた終身大統領、サパルムラト・ニヤゾフ氏(66)が心臓発作で急死した。

 後継をめぐる政情不安が指摘される一方、旧ソ連圏でロシアに次ぐ世界第五位の埋蔵量を誇る同国の天然ガスをめぐり、ロシアと欧米の駆け引きが活発化している。


ニヤゾフ急死が転機に

 これまでニヤゾフ大統領は欧米、ロシアとも距離を置く「中立外交」を進めてきた。独立国家共同体(CIS)には準加盟にとどめ、同じくロシアを中心とする集団安全保障条約機構にも中央アジアで唯一、加盟していない。

 天然ガス輸出ルートの大部分をロシアに握られているが、天然ガスが不足するロシアの足元を見透かし、輸出価格の大幅値上げも勝ち取った。中国やインドへのパイプライン建設計画も進めている。一方、欧米はニヤゾフ大統領の独裁体制を強く非難しており、関係は冷却化していた。

 このためロシアや欧米にとって、ニヤゾフ大統領の死は大きな転機だ。世界的にエネルギー需給が逼迫(ひっぱく)する中、欧米、ロシアはトルクメニスタンを自陣営に引き寄せるべく動きだした。

 ブッシュ米大統領は「ニヤゾフ後」の民主化を促す一方で、「トルクメニスタンとの協力拡大を期待する」と述べ、次期政権に関係改善を呼び掛けた。一方、ニヤゾフ大統領の死の直前、欧州連合(EU)は特使を派遣し、トルクメニスタン産天然ガスを欧州に供給する可能性の検討を開始した。

 これは、トルクメニスタンと、カスピ海の対岸にあるアゼルバイジャンを海底パイプラインで結び、グルジアを経由しウクライナ、欧州へと天然ガスを供給する構想だ。狙いはロシアによる中央アジア産天然ガス供給独占を切り崩すところにあり、米国も背後で支援している。

 ロシアを経由しない供給ルートを確保し、その依存度を大幅に低下させることで、ロシアの「エネルギー外交」に対抗する構えだ。

 これに関連し、これまで欧米とロシアの間でバランス外交を行っていたアゼルバイジャンが、軍装備の北大西洋条約機構(NATO)規格への一部移行を二〇〇七年一月に開始するなど、ロシア離れを加速している。欧米は既にグルジア、アゼルバイジャンと続くカフカス地方のエネルギー輸送回廊を構築した形だ。

 もちろん、ロシアは反発を強めている。ロシアのフラトコフ首相は「トルクメニスタンは今後も地政学上の戦略的パートナーであり続ける」との声明を出し、両国関係の改善と強化を訴えた。同国の天然ガス輸出ルートを握る強みを利用し政治的影響力を高め、欧米の進出に対抗するもくろみだ。

 欧米のカフカス・エネルギー回廊構築についてもロシアは、グルジアに続きアゼルバイジャンに対しても出稼ぎ労働者送還や天然ガス価格値上げなどの圧力を掛け、牽制(けんせい)を強めつつある。

 トルクメニスタンの次期大統領選は、来年の二月十九日、ニヤゾフ大統領の誕生日に行うと決まった。今後、後継者選出で国内が混乱する可能性もある。


日本も資源戦略の強化を

 わが国も前政権でようやく中央アジア外交に乗り出した形だが、今後、同地域の動向を注視し、資源確保戦略を強化すべきである。

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