時が止まる。
というのはまさに今のこの状態のことを言うのであろう…。
自分の耳を疑った。
にっしーが…私のことを好き??!
実「えーっ?!!」
隆「いや、そんなに驚かんでも…」
実「驚くよ!なんでよ…なんで今?っていうか、どういう意味?!」
頭が混乱する。
隆「どういうって、そのまんまの意味だけど」
目の前にいるのは、あのにっしーだよね??
ずっと一緒にやってきたメンバーのにっしーだよね?!
チャラかったあのにっしーだよね?!
隆「混乱させてごめん…でも今の気持ちに嘘はないから。宇野ちゃんのこと、一人の女性として惚れてるんだ/////」
にっしーが本気なことは…ずっと一緒にいたから、今がそうなんだってことは雰囲気で分かった。
目を合わさないまま、にっしーが続ける。
隆「ごめん…いきなり…」
実「あ…あの、あ!ちょっとお手洗い借りるねっ」
隆「あぁ、うん。そこのドアのとこだから」
実「ありがとう。じゃ…」
その場から逃げた。
トイレに入り、鍵をかけた。
心臓がドキドキ音を立てて激しく鳴っている。
突然の告白に混乱していた。
千「頑張って♡」
千晃の電話での会話を思い出した。
もしかして、千晃は何か知ってたのかな。
ふーっと大きく深呼吸した。
にっしーは私を好きだと言った。
私の気持ちはどうなんだろう。
にっしーに今回の話で声をかけられた時、どう思った?
にっしーと二人で歌えてどうだった?
にっしーの歌う姿を見て、素敵だって思ったんじゃなかった?
二人きりで会うとき、どう思ってた?
にっしーの家にあげてもらう時、心の中はどうだった?
何かを期待してたんじゃないの?
もしかして…
私…。
トイレに駆け込んでいく宇野ちゃんの後ろ姿を見て頭を抱えた。
そして深くため息をついた。
あー…早まったかなー。
でも後悔はしてない。
例えどんな結果になろうとも、行ったは嘘じゃないし、この気持ちも嘘じゃない。
だから後悔はしない。
なかなか宇野ちゃんが戻ってこないから手持ち無沙汰になり、中身のなくなったワイングラスを片付けにキッチンに向かった。
ちょうど洗い物を終えた時、ようやく宇野ちゃんが戻ってきた。
隆「大丈夫?送るよ。遅くまで付き合わせてごめんな」
タオルで手を拭き、家の鍵を手にした。
実「あのさ…」
隆「ん?」
実「さっきの話なんだけど…」
隆「うん」
実「ありがとう…。びっくりした」
隆「だよね」
実「あのね…。今、考えて…で、気づいたんだけど」
下を向いてモジモジしていた宇野ちゃんが、顔を上げて俺を見た。
隆「?」
実「私も同じ気持ちだって気づいた。にっしーが他の誰かじゃなくて私を誘ってくれたこととか、二人で歌の練習したり飲みに出て話してすごく楽しかったし…。それは単にメンバーとしてなのかなって思ってたんだけど…」
隆「けど…?」
実「やっぱり違うのかなって。私も、にっしーのことを…」
隆「俺のことを…何?」
実「もー!なんでイチイチオウム返しするの?!怒るよ?!/////」
顔を赤くして怒る宇野ちゃんが可愛くて、咄嗟に抱き寄せた。
隆「ちゃんと言って?」
耳元で囁いた。
実「私も…にっしーのことを意識してるのかなって。好きなのかなって思った/////」
隆「まじで?!」
実「マジで/////」
抱きしめてた体を離し、宇野ちゃんの顔を見ようとすると阻止された。
実「やっ…見ないで!/////今、顔ヤバイから…」
隆「見せてよ」
実「無理っ!ヤバイから/////」
ついS心が出ちゃって、腕を掴んで無理やり顔を見た。
思った通り。
実「怒るよ!」
真っ赤な顔をして俺を睨みつける。
隆「もう怒ってるじゃん。そんな顔しても、宇野ちゃんは可愛いから」
その瞬間、抵抗する力がふわりと抜けて、掴んでいた手の力が緩んだ。
実「っ…!!/////」
自然と宇野ちゃんの唇を奪った。
殴られるのを覚悟したけど、何もこなかった。
呼吸のため一度離した唇。
目と目が合うと、それを合図に再びキスを交わした。
初めてのキスは、さっき飲んだワインの甘い味がした。
隆「ねぇ、宇野ちゃん見て!再生回数凄いよ!ニュースにも取り上げられてるんだって!」
実「えー!それは嬉しいねぇ」
YouTubeで公開されてから俺達の動画がテレビやらニュースやらあちこちで取り上げられていたその効果もあるんだろう。
にしても想像以上の再生回数に喜びを隠せない。
さっき買ってきたスタバのコーヒーを飲みながら俺の部屋で二人でノートパソコンの画面を眺めていた。
実「我ながらほんといい出来だわ」
隆「俺が最後花火みたいなん入れてって言ったのが良かっただろ?ね?」
実「そうだね」
隆「絶対あれ良かったと思わない?」
実「はいはい」
隆「なんか冷たいなー」
顔をじっと見つめる。
実「何よ?」
目を閉じながら近づく。
もうすぐで唇に近づきそうだ…と思ったその時
実「あ、そうだ、忘れ物!」
そう言って立ち上がってどこかへ行こうとする。
隆「何でよ!逃げんでもいいやん!」
実「別に逃げてませんよーだ!!」
隆「照れちゃってー。可愛いなぁ、実彩子は」
実「うっせ!/////」
ねぇ宇野ちゃん。
これからも二人で一緒に歌っていこう。
そしていつか結婚して、子供が生まれたら
俺たち二人のハーモニーを子守唄にしようか。
密かにそんな夢を持ってること
いつか時が来たらまたゆっくり話すね。
♡終わり♡
二人のハーモニー、ほんと素敵でしたね( *´艸`)
お陰様でこんなストーリー思いついちゃいました♡
突発的に作ったお話にお付き合いありがとうございました♡
次回は【明日晴れたら】に戻ります(*´ω`*)