大日本人(2007年、松竹)
監督・脚本・主演:松本人志
出演:竹内力、神木隆之介、UA、板尾創路、他
5年に渡る構想期間と、四季の移ろいを出すために費やした8か月間に及ぶ撮影で、
自分なりの“ヒーロー像”を映画で構築したダウンタウンの松本人志。
主演も務めた松本がドラマの案内役となり、日本社会が抱える現状に触れながらも、
笑いとオリジナリティーを追求した、映画史上ほかに類を見ない演出とストーリーが展開する。
ダウンタウンの松本人志が、企画・初監督・主演を務めて撮り上げた長編映画。
映画配給会社の松竹とタッグを組み、映画製作に乗り出した吉本興業の第1作目でもある本作は、
松本自身の考える“ヒーロー像”を描いた異色作。
脚本は松本の盟友で人気放送作家の高須光聖との共同執筆。
出演は竹内力、UA、神木隆之介、後輩芸人でもある板尾創路。
あくまでテレビの延長線上と位置づけ、面白さを追求するコンセプトで撮られた松本ワールドに注目。
(Yahoo!ムービーより引用)
明日から公開のこの作品の先行上映という事で、本日銀座・東劇にて鑑賞。
公開前の試写は一切行われず、カンヌ以外でのお披露目は初ということで、
平日にもかかわらず、客入りはかなり良かったと思う。
謎に包まれた作品の全貌とは…多少ネタバレもあるので注意!!!
結論から言うと、実にバカバカしくて、確かに嘗て観た事の無いタイプの映画であり、
松本人志カラー全開の面白い作品である。
一見とてもバカバカしい内容と思うのだが、実は奥が深いのかもしれないとも思える。
これは見方によってなのかもしれないが、
今の世の中に対する風刺的な作品なのではないだろうか。
松本人志監督演じる”大佐藤”という人物は、
代々”獣”を退治する”大日本人”の6代目である。
簡単に言うと、大佐藤=ウルトラマンみたいな感じだ。
この物語は、その大佐藤のドキュメンタリー作品を作っている様に撮られている。
つまり、終始、大佐藤に取材のインタビュアーとカメラが張り付いている状態だ。
そして、謎に包まれた”大日本人”の正体をそのカメラが徐々に暴いていく。
その過程で、大日本人が普通に暮らしている
大佐藤であるプライベートの部分にまでズカズカ入り込んで来るマスコミの厚かましさや、
”獣”と戦う時に一見不自然とも思われる付随事項に振り回される様や、
現在の世界情勢をこの風刺した様な、そんな場面も登場してくる。
それがイカにもバカバカしく、大日本人にとって、いかに下らない事かという事を
上手く描いていると私は思った。
しかし、松本監督の観察力はスゴイと思う。
とにかく、大佐藤やインタビュアーの芝居の付け方が素晴らしく上手い。
そして、有名な俳優を全然重要な位置づけで使っていないのに、
こんなにも上手くまとめているというのも驚かされる。
竹内力や神木隆之介が良くオファーを蹴らなかったものだと感心する。
唯一、大佐藤のマネージャー役で登場しているUAも役柄にかなりしっくり嵌っているし、
何というか、非現実的な話なんだけど、
「こんなヤツいるよー!」みたいなリアルさを登場人物に持たせているのは流石である。
先ほど、大佐藤=ウルトラマンという説明を書いたが、
大佐藤は決してヒーローとして描かれていない。
どちらかというと、”忘れられたヒーロー”の様である。
しかし、人気がある時でも、忘れられてしまっても、彼らが代々やってきた事は同じで、
時代が違っているだけで世間の扱いが変わってしまったという寂しさとか、
時代の流れに乗り遅れてしまったヒーローをまるで何かに投影させている様にも思えた。
まあ、そんなに深い事では無いのかも知れないが、
ただバカバカしいだけではない映画だと私は思ったし、
世間やマスコミに対する松本監督特有のブラックユーモアを盛り込んだ批判的な部分も
見え隠れしている、大変見応えのある作品であると思う。
この人の頭の中はどうなっているんだろう。
その一部でも垣間見たい方は、是非ご覧になって頂きたい。
これが第1作というのは、やはりスゴイ事じゃないかな。
あくまで私の意見だが、嘗て観た事の無い作品という事に間違いは無さそうだ。
ちなみに、本日「さんまのまんま 」のゲストが松本人志監督なので、
関西地区以外の方々はチェックしてみると良いかもしれない…
という事で、この作品は明日から公開!興味のある方は是非劇場へ!
ランキングに参加しています↓
良かったら、ポチっと押して下さいね^^