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2006年04月28日

「タンジェント」グレッグ・ベア / 童話のようなSF短編集

テーマ:SF小説・スペースオペラ

深みのある、どこか神秘的な語り口と、繊細な心をもつ少年少女たち―――。

SF小説のページを開いたはずなのに、いつのまにか童話の世界に迷い込んでしまったような錯覚を覚えさせられる本書は、現代SFの大家グレッグ・ベアほぼ唯一の短編集なのだそうだ。

編者によれば、長いキャリアにしたがって漸次変容していくベアの筆質に合わせ、収録作品を特にチョイスしたとのこと。


抑圧された科学者階級の女が、打ち捨てられた外宇宙探査用小惑星を占拠し、地球への大墜落か、探査計画の頓挫に隠された秘密の告白かを体制側に迫る「「炎のプシケ」、遺伝子をデザインされた優生学の申し子たちに混じって学生生活を送る未加工人少女の苦悩と成長を描いた「姉妹たち」、魔法のように辞書から産まれた男と、理知的なハイミスの哲学的愛憎物語「ウェブスター」、何者かによって時空を超えて寄せ集められた、異なる宇宙出身の知的生命体たちの遭遇小説「飛散」、世界を成り立たせるすべての概念が消失した神死(モルデュー)以後の混乱をゴシックな舞台設定で表わした「ぺトラ」、不思議な老夫婦との交流によって、少年が禁断の物語創作に導かれていく「白い馬にのった少年」、四次元に感応する能力を持った孤独な少年と悲運の数学者の体験する次元超越小説「タンジェント」、「美女と野獣」の設定を反転させ、幻惑的な架空世界を描ききった中篇「スリープサイド・ストーリー」のどれもが、僕の心をそぞろ騒がせ、妙なる異世界を堪能させてくれた。

これほどのストーリーテリングの冴えは、いままで読んだSF作家のなかでも突出している。

興奮とは位相のことなる没入を余儀なくされ、僕はこの本を貪るように消化した。

SFの有力賞を受けたのはこのうち表題の「タンジェント」だけだが(「ぺトラ」はネビュラ賞候補にとどまった)、どれをとっても佳作ばかりのように思う。


グレッグ・ベア。

またしても、こなしておかねばならない小説家と出会ってしまったようだ。



グレッグ ベア, 山岸 真, Greg Bear
タンジェント



オススメ度★★★★★

読みたくなってきた! という方は→ごほうびクリック プリーズ


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コメント

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2 ■ぼのさん

さすが!

1 ■グレッグ ベア

最も、敬愛しています。礼。

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