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2005年10月31日

「阿修羅ガール」舞城王太郎 / 摩訶不思議な自閉空間

テーマ:国内文学その他
舞城 王太郎
阿修羅ガール

むむむ 。なんと表現すればよいのやら。

エンターテイメントと文学の垣根を越えて嘱望されている作家、舞城王太郎。

初読である。


主人公はちょっぴりアーパーな女子高生。冒頭いきなり、後味の悪いセックスについての締りのない独り言で幕を開けるこの小説に、僕は眉をひそめる。

やれやれ。主人公に作者自らのアイデンティティを仮託して自分語りに終始する、くだらない日常のモノローグかよ。青春の不安定や存在への不安なんざ、いまさら読む気もおこらんぜ。

いくら一人称で進められる小説ったって、「つーか、それ」とか「超長く感じる」とか、地の文に崩れまくった口語を交えすぎる小説には辟易してしまう。

僕は心が狭いのである。表現技法とはいえ、弛緩した言葉遣いをこれでもかといわんばかりに続けられると一気に興ざめしてしまう。別に今風の女子高生のぐだぐだライフなんぞには興味もない。それがいかにセンシティブな代物であっても、渋谷や新宿あたりにたむろしてギャーギャーいってる連中の内面には、これっぽっちも共感できないのである。金原ひとみの「蛇にピアス」なんて、ちっともおもしろくなかった。だれかれ悩みはあるし、人間生きてりゃ覇気のない若気なんてわざわざ物語の形に凝縮して見せられる必要もないくらい飼っているもんでしょ。「情けない自分」に酔っていたい甘ちゃん以外には、どうだっていい小説です、あれは。

この「阿修羅ガール」も、どうやらその類いらしい。あほらしいから、もう読むのをやめてしまおうか。


と、心の中でひとりごちた頃合いだった。

物語がぐるりと転回しはじめたのは。


イマドキ女子高生アイコの昨晩のお相手が誘拐され、どうやら殺されたらしい。騒然とする学内の片隅でリンチをくらうアイコ。トイレを舞台に、血しぶき舞い散る女のたたかいが行われる。

おまえなにか知ってるんじゃないのか。ハァ、馬鹿いってんじゃないよ。こんな具合である。

なんですか、本宮ひろしの漫画ですか。「だっしゃー」とか「じゃっかましいんじゃ、ボケー」などの雄たけびが飛び交う空間に近づいてきてますよ。

膝蹴り一閃、最強の敵をトイレの床に沈めるアイコ。そして帰宅。

むむむむむむ。

さらに世間を騒がす猟奇殺人魔「ぐるぐる魔人」の、事件への関与が真実味を帯び始めたころから、アイコを取り巻く世界がヒステリックに駆けだしていく。

ネット上の巨大コミュニティ「天の声」から派生した中学生狩り(「天の声」では、ぐるぐる魔人の正体が中学生と推定されている)が街中いたるところで勃発し、あおりを食らったアイコは殴打されて意識を失ってしまい、そこからストーリーは超常現象や化け物の入り乱れるアイコの夢の世界に足場を移してしまう。

うははは。

もうなにがなんだかわからない。わからないまま物語はズンズン進む。ヒップとしかいいようのない筆致で、作者は突っ走る。

念力で岸壁に字が浮かび上がったり、風采のあがらないオッサンが空を飛んでアイコを助けにきたり、物語内物語がいきなり差し挟まれたり、イカレたぐるぐる魔人とアイコが合体してしまったり。

漫画です。もう完全に漫画です。奇天烈な舞城ワールドが出現しています。相変わらず崩れまくった口語体がスパークし、まったくわけがわからない。このままいくと、物語はいったいどうなってしまうのか。まったく想像つかん!知らないぞ、ホントに知らないからな!


……の、わりに妙にさわやかなラストをむかえ、どことなく地に足の着いたことをのたまうアイコの成長になぜかホッとしてしまい、僕の初舞城体験は終了したのであった。


うーん。


これってもしかして、おもしろかったのか?

よくわからないので、また別の作品を読んでみることに決めた。


引き込まれたことは引き込まれたので、

オススメ度★★★

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コメント

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1 ■無題

こんにちは。

うーん、阿修羅ガールか…。
買うか買わないか、迷うなぁ。
ま、舞城を知るには読むしかないか。
レビューを読む限り、
とんでもなく酷いわけでもなさそうだしね。

2 ■どっかの名無しさん

どうも。
コアな舞城ファンからはあまり評判がよくないみたいですよ、これ。
悪くはなかったけれど、入門編には不向きなのかもしれません。

3 ■舞城王太郎

「この文庫がすごい」ミステリー&エンタ部門3位に「煙か土か食い物」がランクされてました。
読もうかどうしようか迷っていて、tujigiriさんの記事を読んでますます舞城氏の作品が分からなくなりました。
どうしようかなぁ?

4 ■midareutiさん

いやぁ、どうにもおすすめしにくい小説ではありますねえ。駄作でもないし、かといって秀作でもないというのが正直な感想です。
いろいろ見て回ると、この小説は舞城作品のなかでも少しトーンが違っているそうなので、ますます判断がつかないわけで(笑)。
うーん、安価で手に入るのなら読まれてみてもいいんじゃないでしょうか。

5 ■同じ感想です

混乱の具合も良く似ています。
入門書というよりも上級編かと思います。
コアなファンには不人気とは知りませんでした。たしかにミステリ的要素を期待するのは間違えていますね。
読み始めた場合は必ず最後まで読まれることを推薦します。ちなみに私は面白かったですよ。新鮮な体験でした。

6 ■bookbath さん

bookbathさんとは案外感覚が似ているのかもしれませんね。

上級編ですか。なるほど。
一応、ミステリ畑から出てきた作家といえばいえるので、そちらの筋から読んでいくのが、正しい舞城攻略法なのかもしれませんね。

7 ■無題

はじめまして。TBありがとうございます。
私も舞城作品はこれが初めてでした。
何だか良く分からない間に引き込まれていきますよね。
他のも読んでみたいと思ったので、私的には有りでした。
こちらからもTBさせて頂きました。

8 ■ども。

おひさしぶりです。
コメント&TBありがとうございました。
確かに、この作品はかなり観念的な内容だし、上級編かもしれませんね。
でも、これ三島由紀夫賞ですよね。
因みに私が好きなのは、『煙か土か食い物』から始まる奈津川家サーガと、『熊の場所』という短編集です。
『熊の場所』も三島由紀夫賞の候補になってますし、短編だから読みやすいですよ!

9 ■つながい★かすみさん

奈津川家サーガ、そうそう、それです。
それをいっとかなくては、舞城体験とはいえないでしょうね。
機会があれば読んでみたいです。

10 ■romiさん

TB・コメントありがとうございます。

>何だか良く分からない間に引き込まれていきますよね。
他のも読んでみたいと思ったので、私的には有りでした。

僕も同じような感覚です。
せめてもう一冊は読まないと、この作家は把握できそうにないですね。

11 ■無題

私は嫌いですねぇ。舞城。

12 ■BARUさん

や、BARUさんじゃないですか。僕は舞城王太郎はまだよくわからないな。
実際、文壇ではどの程度期待されてるんでしょうね?

関係ないけど、小谷野敦はなかなか刺激的ですね。

13 ■舞城

初めまして、TBありがとうございました。
私も『阿修羅ガール』で舞城初読だったんですが、これを読んで他の舞城作品も読みたくなりました。
読んだ後にジワジワと面白くなってくる感じがして、結構この作品が好きかもしれないです。

14 ■冬里さん

コメント・TB、ありがとうございます。
そうですね。僕も読む前よりも興味は湧いてきました。
違う作品を読まれたら、またTBお願いしますね。

15 ■舞城なら

「煙か土か食い物」をお勧めします。
阿修羅も読みましたが断然、煙の方が面白かったです。

16 ■極楽天さん

やっぱりそっちだよな~、本筋は。「阿修羅ガール」では舞城の違う局面を見ていることになるんでしょうね、どうやら。
いずれ読まないといけないな。
ありがとうございました。

17 ■TB&コメントありがとうございました!

かなり前に、コメントをいただいていたのですが、ご挨拶が遅くなりました。

賞を獲ったということで、ネットの本屋の感想とか、書評サイトみたいなところでは評判が良いのですが、自分は???な部分の方が多かったです。

よくわからないという感想の人がいて、ホッと一安心。

18 ■TBありがとうございました

舞城作品は私も「煙か土か食い物」がいまんとこイチオシ(4冊しか読んでませんけどね。なんかもったいなくってちょっとずつ読んでます)
あ、「世界は密室でできている。」もワタシ的にはありでした。人が20人くらい死んじゃう密室トリック?炸裂の青春小説です。本当です。

19 ■read-bookさん

ありがとうございます。

わからないものはわからないと主張する、野生系ブログでございます(笑)。

ほかのも読んでみないことには、なんともいえないですよね。

20 ■ざれこさん

>なんかもったいなくってちょっとずつ読んでます

それ、すごくわかるな~。
僕の私淑する作家にブコウスキーという人がいるんですが、もう亡くなっているんでチビチビと著作を消化してます。

や、舞城王太郎は若い作家だからまた全然違うけれど。

青春が炸裂ですか。
そりゃすごい。
僕は密室トリック大嫌いなアンチ本格ミステリ派なんですが、なんだか大丈夫そうな気がしますね。

21 ■TBありがとうござます。

トラバあったんで、きたのですが…
阿修羅文庫オチしてたんですね!!!
知りませんでしたorz
ソロソロ落ちてるころかなぁって思ってたけれど
まさかほんとに落ちてたなんて…未チェックでした。
文庫化情報有り難うございました。

ちなみに舞城のお薦めは奈津川サーガかルンババです

22 ■ふたたびすいません

「世界は密室でできている。」の密室トリックは「そんなあほな」ってのばっかりですから、アンチな方でも楽しめるんじゃないかと思います。

23 ■みゆ姉さん

ル、ルンババぁ?
なんですのん、そのタイトル(笑)。
「煙か~」よりもはるかに興味がひかれてしまいますねえ。
ルンババ……覚えておきます。
ありがとうございました。

24 ■ざれこさん

うほ、そういうの好みですな~。むちゃくちゃであればむちゃくちゃなほど楽しめそうです。

25 ■はじめまして

TB&コメントありがとうございました。

挨拶が遅れて申し訳ないです。
阿修羅の位置づけということですが、阿修羅の書評をしてみたのでそちらを参考していただけたらうれしいです。(拙い書評ですが)

それにしてもすごい量の書評ですね。素晴らしいと思います。いくつか参考させていただきます!!

なぜかTBができなかったので上のURLからアクセスしてください。
お手数ですがよろしくお願いします。

26 ■かなり遅れましたが…

トラバ&コメントありがとうございました。

私のブログにもやっと「阿修羅」の番がまわってきたので、トラバ返しをさせて頂きました。

ウチは感想っつーより、オイラのHPのゲストへ趣味の押し付け的な視点で記事を書いているので、少々感想的なことは控えているんですが…

舞城はやっぱYES・NOが別れますね!
舞城バブルなんてとっくに終わってしまってるのに、このTB&コメントの数を見るといろんな意味ですげぃ。

僕は舞城のやんちゃさが好きです。
あの人だけには、掟破りし続けて欲しいです。(個人的に)

つーことで、ウチみたいな邪道なところへ来て頂いてありがとうございました。

27 ■rachelsさん

>それにしてもすごい量の書評ですね。

とんでもないです。質的には全然ですから。

書評、読ませていただきますね。

28 ■こあらさん

>感想っつーより、オイラのHPのゲストへ趣味の押し付け的な視点で記事を書いているので

僕も同じですよ。ただの放言です。

>舞城バブルなんてとっくに終わってしまってるのに、このTB&コメントの数を見るといろんな意味ですげぃ。

いや、その通り。反応の大きさが舞城人気の高さを物語ってますよね。

こちらこそ、ありがとうございました。

29 ■無題

うっわー今頃気づきました!
ありえないくらいご挨拶が遅れまして本当にすみません。
私は舞城作品で初めて読んだのは「煙か土か食い物」でしたし今もそれが一番好きですが、やっぱり阿修羅ガールはちょっと…ですね。

30 ■momoさん

いえいえ、わざわざありがとうございました(笑)。
舞城ファンでは「煙か土か食い物」を推す方が多いですね。
今後読んでみたいと思います。

31 ■TBさせていただきました

口語文体の作品にしては結構読めた作品でした。
ストーリーはかなり疑問だらけでしたが。

32 ■モーラさん

TB・コメントありがとうございます。

>口語文体の作品にしては結構読めた作品でした。

いや、まさに。
これが意外と読めてしまった(笑)。

33 ■舞城作品

少々、ご無沙汰しております。記事中リンクさせて頂きましたので、トラバ送りまーす。
私もこの作品、ほとんどtujigiriさんと同じ感想になりました。笑 その後、舞城作品、読まれましたか? ここのコメント欄、充実してて、次の舞城作品の手がかりになりますねー。次は、「煙か土か食い物」にしようかなぁ。

34 ■つなさん

お返事遅れました。
紹介ありがとうございます。

>私もこの作品、ほとんどtujigiriさんと同じ感想になりました

そのようで(笑)。独特の内容でしたねー。


「煙か土か食い物」「世界は密室でできている」はストック済みなので、気が向けば読みたいと思います。

35 ■舞城作品について

*:..。o○☆結構好きですよ!!゚・:,。*:..。o○☆
とくに「闇の中で子供」なんかは。
途中和気のわからない表現や変な効果音を
多用するところが舞城作品の
よいところなのではないでしょうか?
(ちなみに私は塾の先生にすすめられて読んだのですが)
でも、各々の作風が違いすぎるので、
中学生の立場からだと
「煙か土か食い物」は少し難しすぎます…。

36 ■訂正です。

闇の中で子供
    ↓
暗闇の中で子供

申し訳ないです(→o←)ゞ
これから何度か顔出すので
よろしくです(*v.v)。

37 ■訂正2

和気→訳

38 ■さとみさん

返事がずいぶん遅くなりました。ごめんなさい。
さとみさんは中学生なのかな?それはすばらしい。
そうだな、頭の柔らかいうちに舞城を読むのもいいかもしれませんねえ。
僕の中学生時代の読書経験は悲惨なもので、あの頃ちゃんと励んでおけばよかったのに、と今でも思うことがあります。
さとみさんも、たくさん読書してくださいね!

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