★注意!!! 作品の内容に触れています★
偉大な生涯の物語(1965)
予言されていたユダヤの救世主の誕生を、星の光に導か
れて東方からエルサレムにやって来た3人の博士たちによっ
て知らされたヘロデ大王(クロード・レインズ)は、エルサレ
ムとその周辺地域の幼児の皆殺しを命じる。西暦28年、エ
ルサレムはローマ軍総督ポンティウス・ピラトゥス(テリー
・サバラス)と領主ヘロデ・アンティパス(ホセ・フェラー)
によって統治されていたが、ヨルダン川で洗礼を授けてい
た洗礼者ヨハネ(チャールトン・ヘストン)の前にナザレの
イエス(マックス・フォン・シドー)と名乗る男が現れる...
という、フルトン・アワスラーの小説「偉大な生涯の物語
<イエス・キリスト伝>」の映画化であります。フィクシ
ョンを中心にして娯楽性も高かった「ベン・ハー(1959)」
とは異なり、新約聖書の福音書を元にしてイエス・キリス
トの生涯に特化して描いた作品なので、クリスチャン以外
には取っ付きにくいかもしれないなぁ。シネラマ劇場の巨
大スクリーンでの観賞を前提として撮影されたので、古代
エルサレムの広大な荒れ野を超ロング・ショットで捉えた
画面が多用されていて、スタンダード・サイズにトリミン
グされたTV放映を14インチのテレビで初めて観た時は、
画面の隅に小さくキリストの一行が歩いているのが判別出
来ず風景ばかり映っていた印象だった(注1)。イエス・キリ
ストはどんな俳優が演じても色んなトコロからクレームが
来るのだが、本作のマックス・フォン・シドーはスウェー
デン人にもかかわらずユダヤ人の雰囲気があって、存在感
と演技で他の"キリスト映画"よりもリアリティがあるから
不思議。本作のもう一つのウリは、多数のハリウッド・ス
ターがチョイ役で出演している事なんだけど、すぐに解る
のはジョン・ウェインやシドニー・ポワチエぐらいで、繰
り返し観てもいまだに何処に出ていたのか解らない俳優さ
んも居る...イエスが崖の上で出会うサタン役のドナルド・
プレザンスなんてほとんどシルエットだし。後半は、イエ
スを裏切るイスカリオテのユダ(デヴィッド・マッカラム)
の葛藤に焦点が当てられているので、クリスチャン以外の
映画ファンには共感出来る部分があるカモ。信仰的な部分
を除いても映画として完成度が高い堂々たる大作だし、素
晴らしい映像や感動的な場面、グッと来る台詞も満載なの
でオススメであります。
●スタッフ
製作・監督・脚本：ジョージ・スティーヴンス
原作：フルトン・アワスラー
脚本：ジェームズ・リー・バレット
撮影：ウィリアム・Ｃ・メラーロイヤル・グリッグス
音楽：アルフレッド・ニューマン
●キャスト
マックス・フォン・シドー、クロード・レインズ、
ドロシー・マクガイア、ホセ・ファーラー、
テリー・サヴァラス、チャールトン・ヘストン、
ドナルド・プレザンス、ジョン・コンシダイン、
ゲイリー・レイモンド、デヴィッド・マッカラム、
ロディ・マクドウォール、サル・ミネオ、
マイケル・アンダーソン・Jr.、キャロル・ベイカー、
ヴァン・ヘフリン、ヴィクター・ブオノ、
マーティン・ランドー、エド・ウィン、ジョン・ウェイン、
シドニー・ポワチエ
◎注1; 本作は、アメリカ西部を中心としたロケや巨大な
オープン・セットを建造して製作に5年をかけて65mmフ
ィルムでウルトラ・パナビジョン70システム撮影、シネ
ラマ方式で上映された作品で、特にロケ撮影された広大な
景観が素晴らしい。ヨルダン川(実際はグランド・キャニ
オンのようだ)に昇る朝日や沈む夕陽の場面は息を飲む美
しさだし、巨大な谷の下を米粒のような大きさのイエスが
歩いてくるというようなシーンがてんこ盛りなので、出来
るだけ大きな画面で観たい。さらに、アメリカでプレミア
上映された時は上映時間が序曲・インターミッション・終
曲を含んで225分あったようだが、その後199分に編集され、
再公開の時は141分に短縮されていたようだ。現在発売され
ているDVDは199分バージョンで画質もあまり良いとは言
えないので、65mmネガからリマスターされたプレミア上
映版Blu-rayが発売されないかなぁ...生きてるウチに。一
部のシーンはデヴィッド・リーンが演出しているという噂
もあるがホントなんだろうか？
ウルトラ・パナビジョン70システムとシネラマ・については
こちらが参考になります。
「ワイドスクリーン」
http://www.tok2.com/home/rionawide/
偉大な生涯の物語[DVD]
偉大な生涯の物語
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PS: 以下のサイトも運営しています、よろしかったらどうぞ。
漫画を中心とした同人サイト
「日刊...かもしれないかわら版」
http://www.geocities.jp/saitohteruhiko/index.html
伝説の漫画誌「COM」についてのサイト
「ぐら・こん」ホームページ
http://www.geocities.jp/saitohteruhiko/home/gracom/g_home.html