2011-02-21 23:18:54
■海炭市叙景
テーマ:映画
■海炭市叙景
●「海炭市叙景」、最初にこの題を目にした時、台湾映画かと思った。
「非情城市」・・・からの連想だ。
しかし、これは日本映画で、函館の「海炭市叙景」製作実行委員会の企画による映画と知り、上映を心待ちにした。何故か・・・題名との出会い、そして配役に加瀬亮、小林薫といった名があったのが気になった、かな。
映画は、合併でなくなっていく町名・・・合併後の架空の「海炭市」が舞台。
時代は、ここ10年前後(原作は20年前)といった感じか、特定はされないような設定になっている。
北の小さな砂州の地方都市「海炭市」。
年の暮れから正月にかけての数日、そこに生きる者達が描かれる。

プラネタリウム勤めの男は妻に愛想をつかされている様子。そんな親の姿を嫌悪する息子。
プロパンガス配給会社の社長業ながら父親の影が疎ましく、家庭内の不和に苛立つ男。
漬物を売りながら暮らす老いた女は立ち退きを迫られていた。
浄水器の営業で故郷を訪れた男は電車の運転手の父親と疎遠になっていた・・・。
小さな町の造船所の解雇に始まる物語ではあるが、どこの町でも行き過ぎる人々の中にある物語りかもしれない。ここに登場する人たちの全てに生身の息づかいが感じられる。
映画を見ながら・・・傍観者であり続けながら、問うべき言葉もないまま見続けていくことになった。
海への視線を持たない町に住むものは、ただ、市電の通る町に我が町と似通った町並みを重ねたりしながら・・・あ、少し「キッチン」も思い出したりしたか。
縁のあるもの、ないもの、そこに住む人の吐息に匂いがする。
キーンと冷えた空気の中に吐かれるため息に焦燥、喪失、怒涛、寂寥、悲嘆が混じる。
ジム・オルークの音楽も物語の支えになる。



映画は見た後で、あの人物が俳優なのか素人なのかはわかるので、ね。後で調べると、しておくれ。
因みに、映画評論家の宇田川幸洋氏は、「新人女優賞 中里あき」「新人男優賞 西堀滋樹」と評されたそうであります。お二人とも素人。これはもう~納得であります。
この映画制作の発端は、函館のミニシアター「シネマアイリス」の支配人菅原和博が思い立ち、原作者佐藤泰志と同級生だった西堀滋樹氏に相談したことから話が動き始めたという。結果、市民映画として企画制作。代表に菅原氏、西堀氏は事務局長を務め(映画にも出演)、ともに行政や企業に依存せず市民映画として資金集めに奔走。監督を受けたのは、帯広出身である熊切和嘉だった。


フィルムはスーパー16(35ミリの半分ぐらいの幅のフィルムだそうです)を使い撮影。仕上げの段階で35ミリに。全国での上映に際しては、プリント代の節約から35ミリフィルムをDCP(デジタルシネマパッケージ/高精度ハイビジョン)へ変換(デジタル起こし)したわけであります。
物語本編は無論のこと、撮影中の多岐にわたる準備、調達・・・諸々、そして上映に際しても細部にわたる工夫で仕上げられた作品に学ぶこと多しであります。発起人と局長、そして監督とのコラボがこのような作品を生み出すのでありますね。
核がぶれないことの大事さ、それが生み出す作品の明日への希望を感じさせてもらいました。
物語・・・それはぜひご覧ください。簡単に片づけられることばかりではないでしょ、生きていて出くわすことは。家族であってもそれぞれが個であり、思いが違うこともあります。気づけなかったり、気持ちがずれたり、一人で考えても埒があかない、ってことだってある。見知らぬすれ違いのままで過ぎていく・・・町の情景。
いろいろな人がここにいてね、ずっと尾を引くのであります。(2010年/製作国・日本/日本公開2010年12月18日)
▲映画「海炭市叙景」上映までの足跡
▲Official site
オフィシャルでもTRAILERはご覧になれます。
●Directer:熊切和嘉Kazuyoshi Kumakiri
●Screenwriter:宇治田隆史Takashi Ujita
原作:佐藤泰志Yasushi Satô
●Cast:谷村美月 Mitsuki Tanimura 竹原ピストル Pistol Takehara 加瀬亮 Ryo Kase 小林薫 Kaoru Kobayashi 三浦誠己 Masaki Miura 中里あき Aki Nakazato 山中崇 Takashi Yamanaka 南果歩 Kaho Minami 西堀滋樹 Shigeki Nishibori 伊藤裕子 Yûko Itô 黒沼弘巳 Hiromi Kuronuma 大森立嗣 Tatsushi Ohmori あがた森魚 Morio Agata 東野智美 Tomomi Tôno 小山耀 Akira Koyama 森谷文子 Ayako Moriya 村上淳 Jun Murakami George-K
●企画制作:映画「海炭市叙景」製作実行委員会 菅原和博 Kazuhiro Sugawara





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