2011-01-02 02:09:34

■セラフィーヌの庭

テーマ:映画

■SERAPHINE Séraphine

●セラフィーヌ、女の名前。家政婦をしながら日銭を稼ぐその日暮しの女の名前。女は啓示を受けたと言い絵を描き続ける・・・。
映画「セラフィーヌの庭」というのは、主人公であるセラフィーヌ自身が森、木々やその周辺・・・自然の中に憩う場所を見出し、さらにその中に絵の具のみならず使用したとされる具材の素があったことにも繋がるか。
画商との出会いの場であり、彼女が家政婦として雇われた家の庭からやがて彼女の意識の中に生み出された創造の庭。。。

かつて貧しい暮らしの中、ひたすら絵を描き続けた女がいた。
そしてその才能は見出され・・・後の人に伝えられる画家となった、という好奇心を満たすには充分な内容。この映画がなければ知らないままに終わったであろう人の物語だ。



始まってしばらく何の場面なのかわからない・・・水に濡れ汚れた格好のまま教会のミサを歌うセラフィーヌ。疑問は後に判明する。
ま、詳しくは・・・興味があれば是非ご覧ください。
彼女が描いたキャンバス2メートルの絵画は物語の中でふんだんに登場する。
そこで、嗚呼映画館、スクリーンで見たかったな、と上映がなかったのが残念無念。

面白いのは、彼女を見出したドイツ人画商と画家の関係。
この二人の距離感が、互いの境遇や置かれる立場を背景に情に溺れることのない描写で良かった。
ともすれば流されるままに親密化しそうな画商の位置、不安定な様子の画家の内面への干渉、互いに深入りしない辺り、安心して見ることが出来た。ま、画商の好みも背景には加わるデスね。妙な甘さの漂うロマンチック物語、ありきたりのヒューマンドラマにはならなかったことに共感を覚えた次第。「善き人のためのソナタ」での脇役だったウルリッヒ・トゥクールの押さえ方がいいと思うてます。



主役を演じるのは、映画「アメリ」「ミックマック」で登場したヨランド・モロー。
「ミックマック」からそう時間が経過していないので、ありゃ「ミックマック」のタンブイユさんだ、としばしそのイメージが離れない。が、徐々に彼女はセラフィーヌになりきっていく。。。というか、こちらが引き込まれていくわけであります。

次第に「ミックマック」の世界、イメージは払拭され、森や木々、せせらぎは誠に自然のままに染入る情景となってくるのであります。ヨランダ・モローがセラフィーヌ自身に雰囲気を重ね、かつて存在した女になりきっていく様で好演。たくましい女を見せてくれる。1912年に始まる物語の中で生き抜いた一人の女の狂気も含めた逞しさとイマジネーションの世界を堪能させてもらったデス。フランスに実在した素朴派の女性画家セラフィーヌ・ルイ。素朴派、という括り方にはちょっと、ね、ですが。



音楽はマイケル・ガラッソ。「恋する惑星」「花様年華」での旋律が今も耳に残るガラッソはこの作品でセザール賞最優秀作曲賞受賞。その翌年、2009年9月9日逝去。

映画は面白い。順位をつけることは憚られる、否そんな難しいことぁ~できまへん。
ただ、ある映画を見ることで過去に見た忘れられない映画が己にとっていかに大事な作品だったかと思い知らされることがあるわけやね。
「セラフィーヌの庭」という良い映画を見ることが出来たことで、あまりに地味な扱いで宣伝もないまま、たった一枚のスチールに惹かれて見た・・・忘れられない一作「ニキフォル 知られざる天才画家の肖像」は大したものだな、と改めて感じ入ってしまった。
いい映画は、こんな風に過去に見た映画の意味を改めて教えてくれることもあると、思わされたデスね。(2008/製作国フランス、ベルギー、ドイツ/日本公開2010年8月7日)


▲Official site
オフィシャルでもTRAILERはご覧になれます。

●Directer:マルタン・プロヴォスト
●Screenwriter:マルタン・プロヴォスト マルク・アブデルヌール
●Cast:Yolande Moreau ヨランド・モロー Ulrich Tukurウルリッヒ・トゥクール Anne Bennentアンヌ・ベネント Geneviève Mnichジュヌヴィエーヴ・ムニシュ Françoise Lebrunフランソワーズ・ルブラン Nico Rognerニコ・ログナー Serge Larivièreセルジュ・ラヴィリエール Adélaïde Lerouxアデライード・ルルー

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