2006-08-15 14:47:36

■父親たちの星条旗/硫黄島からの手紙

テーマ:映画

■Flags of Our Fathers
父親たちの星条旗








この映画について、また戦場となった当時の硫黄島に関する詳細は既に公式サイトでふんだんに記載されているので映画館鑑賞後にじっくり読まれることをお薦めしたい。何故、あの時米軍が躍起になったのか、何故それが硫黄島なのか、がわかってくる。

早足で伝えるとすれば、太平洋戦争時に激戦地となった硫黄島におけるジョー・ローゼンソールがピュリッツァー賞を受賞した「星条旗掲揚」の写真。この米軍の勇気、海兵隊の栄光、人種を越えた米国兵による星条旗掲揚にまつわる伝えられなかった実話をベースに物語りはすすむ。実は我もこの写真は硫黄島を陥落させた勝利記念、と思い込んでいた。が、それには当時のアメリカ側の国策がからんでいた。






映画の原作、脚本の核となったのは、映画の中にも登場する国旗掲揚に関わった海軍衛生下士官のブラッドレーの息子ジェイムズ・ブラッドリーとロン・パワーズによる著作「硫黄島の星条旗」だが、映画はポール・ハギス等による脚色が色濃い。加えてイーストウッドの抑制の効いた構成が成されていると見るのだが本書を未読のままなので如何なものなのか。

あの写真が撮影された硫黄島。その時、日本軍はといえば、栗林中将率いる日本軍の最後の攻防戦は続行中。これが12月9日公開の日本側から見た視点での「硫黄島からの手紙」となる。
映画でも描かれているが、島南部の摺鉢山は国旗掲揚した後も銃撃戦は続いた。島の北側には数多くの日本軍が息を潜めていた。
そんな中で、あの写真は米軍の勝利をイメージするに十分値する価値があった。写真に写る六人の兵士のうち、三人はその直後に戦死した。





映画はこの経緯を描くのだが、スクリーンに映し出される戦争に駆り出された当時のアメリカの若者。その映像が昔の映画を見るような感覚だった。質感なのか、色彩なのか、どこかかつて見た戦時下の映画のニュープリント、といった遡り方をしたような感覚だった。衣裳や時代考証が巧く事を運んだ、というばかりではない撮影技術なのか、ただの我の思い込みなのかもしれないか…。錯覚かなぁ。
話は生き残った兵が「硫黄島の英雄」として国債販売プロモーションに駆り出され、翻弄される姿が描かれていく。「自分たちは英雄じゃない。死んだ兵士たちこそが英雄です」と彼らはステージで言い続ける。英雄と持ち上げられながら、まるで見せ物として国中を宣伝道具に扱われる屈辱。事実を隠したまま押し黙っていなければならなかった苦悩が、映画には重ね、また重ねられる。

主人公ブラッドレー衛生下士官を演じたライアン・フィリップは期待通りの存在感。彼は映画の中で言い訳も非難も意義申し立てもしないままでそこにいる。悲惨、過酷な戦況で衛生兵としての任務。帰国後の国債販売プロモーションに駆りだされる立場に耐え、戦友の苦しみ、死を理解しながら、静かにそこにいる。一切を語らないことの説得力を、彼は睫毛くるりカールのまなざしで、確かな視線をなげかけた。見る側にそれを伝えた。








家族と共にいる主人公のある場面が出てくるのだが、何気なく見える瞬間の寡黙な中に、襲い掛かってくるようなあの戦時下の様子がフラッシュバックするのは見る側だ。あの成熟した彼の沈黙のまなざし、その静けさに感服する。
衛生下士官という役割。負傷した兵士を手当てしながら、死に直面した重傷者が最後に対する相手となる任務。その後の仕事への選択にもこうした彼の演じた様子が説得力が増すのだ。(しっかし「誘拐犯」(THE WAY OF THE GUN)の不評には参った。あれも代表作に入れていいだろーに。好きだがな~ブツブツ。「54」もラズベリー貰ったって我は買ったし…。)






無論、登場する俳優たちの全てがこの映画の中で重要な役割を果たす。ジェイミー・ベル然り、アダム・ビーチ、レイニー・ギャグノン然りだ。それは映画を見ていただければ存分に伝わるのだ。
マイク役のバリー・ペッパーがライターの炎を手にし、思う姿はこの戦争での死にゆく覚悟だったか。日本とアメリカでは戦いに向かう時の覚悟の様子が違うものなのだ、と思いながら我は見入った。良い俳優に良い役が待っていた、といった気がするではないか。

2006年10月。アメリカは中間選挙。イラクの戦況が泥沼化の中、監督であるクリント・イーストウッドがこの映画にかけた冷静なる挑み。政府の怠慢・欺瞞・腐敗を告発しているか。死にゆく無名の若者たち…兵士の犠牲をかつて共和党だったはずの彼は愁う。
映画「父親たちの星条旗」を見るものたちに投げかけられるイーストウッドの考え。そこには党派を越え、人種を越えた、人の哀しみと憤りを共感するものたちが集ってくれれば良いのだが。






この映画は日本の大人たちがもっとみなくてはならん、でしょう。
大人になった子ども達がかつて親達から聞かされてきた戦争の話。戦争を思い出話にしてきたその親達に見てもらわねば始末にならん、と思ったりもする。が、どうなのか。じわじわと見るものは増えていくのだろうか。公開初日のレイト、あまりにも少ない観客に我は哀しくなった。エンディングに用意されたシーンの素晴らしさ、そこにある若者たちの時間が刻まれ、背景に戦いの場が控え、そして天は全てを見下ろすのか…と。それにしてもあの情景の良さは沁みるぞ。






――硫黄島は第二次世界大戦の激戦地であり、戦後処理問題として遺骨収集という重要な課題が残されている。硫黄島における戦死者の数は、厚生労働省社会・援護局の調査によれば、20,129人である。その多くは、米軍の猛攻撃により戦死したものと考えられているが、火炎放射、注水、射撃、手榴弾攻撃により地下壕の最奥部に追い込まれて死亡していることも多いと推測されていることも多いと推測されている。

 遺骨の調査及び収集は、昭和27年から平成14年度末までに発見・収集された遺骨の数は8,383柱となっている。
 地上における遺体は、米軍によって処理されたと考えられており、一般に目につかないジャングル内には若干の遺骨があるものと推測されている。地下壕は全長18kmもあり、壕口も数千箇所あったといわれており、米軍の手により閉鎖された地下壕も多く、地下壕内部の遺骨の状況は不明な点が多い。

1945年(昭和20年)2.19 硫黄島に米軍が上陸し、国内における最初の陸上戦闘が行われた。3月には日本軍が玉砕し、島民の軍属82名も戦死した。(日本軍20,129名、米軍6,821名が戦死)――以上硫黄島概要から抜粋
この戦いの後に沖縄戦、原爆…と続くことになる。





実は、硫黄島の摺鉢山には、星条旗を揚げる兵士像という写真通りのものが彫り込められているのだという。それもどうやら最初は5人の像が彫られ、その後、一人がアルコール中毒症となったということを理由に後になって削り取られたのだというのだが、アイラの部分が削り取られているわけか。ネイティブのDANにはアルコールの解毒作用が弱いアジア人の流れがあるのかな、と映画を見ながら思っていたのだが、刻まれなかった残る1人は発表時に名を違えられた兵士だったのだろうか…。





ちなみに、ずっと違和感がつきまとっていた「硫黄島」=イオウジマ。我は「硫黄島」=「イオウトウ」、としか記憶になかった、だ。で、調べてみると、この呼び名は、戦後アメリカの占領統治下において「島」=「とう」の読みが「じま」と誤読されたことで日本返還後もその読みが定着してしまったというのだが、日本公開においても「硫黄ジマからの手紙」、となるデスね。

なんだか、これも時代ってことで仕方ないの、かな。アメリカさんの映画なわけだし、妙なところで突っ込んでも仕方ない、デスか。ああ、当時はこーゆーいい方するのか、と改めて聴き入った(字幕も見入った)のは、トーキョー・ローズの放送。声を担当したのはユカリ・ブラックだった。





▲Trailer


▲Flags of Our Fathers
Official site:USA




▲Red Sun, Black Sand
硫黄島からの手紙 Japan Trailer

Official site:Japan











※バロン西が登場なんだが…あまりにも違い過ぎなので哀しいゾ。伊原剛志が悪いわけないんだが、演り過ぎという感想しか残らなかった。

コメント

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1 ■この間

つい、二、三日前にこの映画のことが特集でてれびででていたきょうみがすこしあったので、、よかったです。

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