■On a Clear Day | ツボヤキ日記★TSUBOYAKI DIARY

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映画 [新作・旧作・TRAILER] を中心に、ツボにはまり、ボヤキもチラホラの果てしない
日記になるか、カッカッしながらも、とほほの日記になるか・・・
ツボとボヤキで「ツボヤキ」日記。では参ります!


■On a Clear Day

●ヘルシンキの「かもめ食堂」でおにぎり作っている女がいた。ちょいと近場に飛んでグラスゴー。ここには、いきなりクビになった男がはたと自らの人生を振り返っている…。
お正月だからネ、清々しくも元気でないと、前向きでないとイカンね。凄い大作でも感情震わす名作、というわけではないが、映画「フルモンティ」「カレンダーガール」辺りお好きな方にはお薦めかも、と思うデスよ。





さ、この映画「On a Clear Day」…邦題つくでしょか。「ある晴れた日に」Mバタフライじゃない、「ある晴れた日に永遠が見える」ってか。あ、そーゆーことには繋がるかもしれんデスね、この物語は。
華々しくも船の完成、しかしその造船所をいきなりクビになった男。さあ~どーするか。今まで優雅とは無縁ながらなんとか暮らしてきた生活の保障はない、穏やかな人生、晩年はもう約束されない…、さりとて沈みこんでしまうわけにもいかない。男は自己崩壊をどうやって免れるのか。なにやら泳いでますねぇ~泳ぐんです、人生を(笑)





すい~すい~スイムで行こう、じゃないデス、わからんデスよね、こんなおバカな事(お正月デスからぁ~苦笑)
で、泳ぐんだ、男は。プール、いや男の先にあるのはイギリス海峡(English Channel)。イギリスとフランスを隔てている海峡だそーだ。ドーバー海峡は北端になるんだと、そっか。で、そのイギリス海峡に挑む。これをやれなきゃ、ってな意気込み、自らに言い聞かせて挑んでいくんだ、と。こーゆーとこは国が違っても重なる部分ってあるもんさな。ただ、同僚やら家族の様子も面白そうだ。ここ、グラスゴーの労働階級の様子が分かる。生活の有様が見える。綺麗で余裕のある中年じゃ~ない。お先真っ暗になりそーで、ヤケを起こしそうで、そうならないのは自分で自分を救えそうな拠り所を見出す事ができたからだ。





それは出来ねぇ~や、と遠い日に放り出した、いつの間にか忘れかけていた夢、かもしれない。人の才能というのは大概がその人の得意なことであって、得意な事とはその人の一等楽しみに繋がることだったりする。それをいろんな言い訳で脇に置いたまま、日々の暮らしを支えるという大義名分で労働するのかもしれんデス。どちらも手にすりゃいいんだが、それがなかなか出来ないの、さ。そこに歳月が加わった後に、ある日いきなり一方を取り上げられた格好になって、改めて気づいたりする。

男はフランク、55歳か、な。ある日、何かに気づいて、考え出して、自分に決めたことを成し遂げる。これ、大人が、充分に大人な男がまた成長していくって事が有り、なんだと。そーゆー姿を見せてくれそうだ。フランクを見ている仲間や妻、その存在が大。







人は1人では生きてゆけない、なんて訳知り顔で説教臭いことを言われると蹴り返してやろうか、という気にさえなる。我は気性の激しい小心者デス。しかし、だ、決めた事を成し遂げる時に周囲に褒めてくれる人たちがいた時には嬉しいだろー。年齢を重ねていくと、褒められたりけなされたり叱咤激励といった刺激も薄れていく事が多くなる。どこかで激しさや熱さを卒業しなければならんのか、などといった錯覚を学習させられていく。この国の中産階級の子ども達はそーやって育ってきたかもしれん。そーじゃないさ。
息子と疎遠になっていたフランク。では、妻は夫をどう見ているか。妻ジョーンは、夫の落ち込んだ様子を見ながら、彼をおだてることも出来ないし、茶化したりヨイショもできない。はぁ~というため息で沈みがち。どうするんだろ、と思いきやTrailerでの彼女はまたまたいい表情もあるよーだ。つまりこの映画は、後味の悪いもんじゃ~ない。ただ、最後に見終わって、どの程度歓喜させられるのか、これは見ないとネ、わからない。しかし、きっとこの映画のファンは、あそこやあちらやらにおられるのではないか、と思うデスね。






主人公フランクを演じるのは「クリミナル」(楽しかったス)、「猟人日記」「マグダレンの祈り」等のピーター・ミュラン。邦画「この世の外へ クラブ進駐軍」にも参加していた。彼は以前、「マイ・ネーム・イズ・ジョー」という映画に出演。これ、彼が30代後半だった当時の作品だが、今回の映画に繋がった模様。
妻を演じるブレンダ・ブレシンは、昨年公開「ビヨンド the シー ~夢見るように歌えば~」では芸達者な面も披露。「秘密と嘘」という秀作、あったデスよね。コレ是非お薦めです。
「ワールド・アパート」のジョディ・メイが大きくなって~(笑)。「ロード・オブ・ザ・リング」で人気を博したビリーボイドが可笑しな奴っちゃな~を演じて好演の模様。ベネディクト・ウォンもアジア系俳優としては貴重な役どころを押さえた。ショーン・マッギンレイがわからないさ。「ブッチャー・ボーイ」に出てたはずなんだが、どこに出てたっけ…健忘症や~~~。脚本がアレックス・ローズというのだが、これが初脚本。「ビッグ・ウェンズデー」等の製作者アレクサンドラ・ローズ(略名アレックス・ローズ)とは別人です。

これ、グラスゴーの労働者階級を背景に描かれることから言葉にもこだわって作ってあるそうだ。そこで、英語といってもアメリカでは???が続出するだろう、と。しかし言葉を超えて可笑しさも誘い、楽しめる映画に仕上がったという話。
身に降りかかった問題というやつは、たった一人で向かっていかねばイカンですね。でもふっと見回すと、あっちこっちに拍手してくれる仲間やニヤニヤ笑いながら遠巻きで見守る奴等がいてくれる。あれ、真後ろに連れ合いが立っている、ってわけかな。淋しかないぞ、と男は海に入っていくんだな。ザブ~ンッ。(2005年/製作国イギリス/アメリカ公開2006年4月7日一部公開/日本公開、多分あるでしょ2006年)


▲Trailer


▲CLIP 1


▲CLIP 2


▲CLIP 3


▲CLIP 4


▲Official site:UK
オフィシャルでもTRAILERはご覧になれます。


●Directer:Gaby Dellal ギャビー・デラル
●Screenwriter:Alex Rose アレックス・ローズ
●Cast:Peter Mullan, ピーター・ミュラン Brenda Blethyn ブレンダ・ブレシン Billy Boyd ビリー・ボイド Ron Cook ロン・クック Jodhi May ジョディ・メイ Sean McGinley ショーン・マッギンレイ Paul Ritter ポール・リッター Jamie Sives ジェイミー・サイヴス Anne Marie Timoney アンヌ・マリーティモシー Benedict Wong ベネディクト・ウォン