2005-07-21 20:31:15

■IN THE REALMS OF THE UNREAL ヘンリー・ダーガー

テーマ:映画

■IN THE REALMS OF THE UNREAL
イン・ザ・レルムズ・オブ・ジ・アンリアル

●グリム兄弟から、パリを舞台にしたルパン、今日は現実の話だが、現実離れした世界観を持った人物を捉えたドキュメンタリーで、シカゴに飛ぼう。来年公開予定の「IN THE REALMS OF THE UNREAL」=イン・ザ・レルムズ・オブ・ジ・アンリアル。非現実的な王国、というのか。ぶっ飛びの世界のお話。
このドキュメンタリーの主人公は、ヘンリー・ダーガー。彼は1892年にアメリカ、シカゴに生まれた。彼がまだ幼い頃に、妹を出産する際に母は亡くなった。生まれた妹は里子に出されたまま、兄妹の再会は二度と叶わなかった。
やがて、彼は施設に入れられる。身体の自由がきかない父は養育出来る状態ではない、と周囲の判断によるものだった。彼は自閉的な様子を見せていた。誰とも口をきかない日も多く、施設の中でも孤立していく。少年が何を考えているのか、判断出来ないまま、彼は精神の遅れというレッテルを貼られて、次の施設へと送られる。そこはシカゴ郊外にあった精神に支障を来たした子どもたちを収容する施設。実は、彼の精神の状態は明確だった。ただ、人と会話を交わすことなどに慣れる間もなく、人生の道筋を決められた子どもがどうやって自らコミュニケーションをとることが出来るかと考えれば、それは相当に困難な事だろう。その後の彼の生きた範囲の中に往来した人々の証言で彼の置かれた状況などが明らかにされていくのだが、少年期から青年期に差し掛かる貴重な時期を日々、悶々と過ごしたと予想するヘンリー。彼は、1973年に誰にも知られずに死んでいた




17歳のヘンリー。まだ施設の中にいた。父親が亡くなったという知らせが届く。彼はシカゴ郊外の施設を脱け出して、シカゴの町を目指して歩き続けた。彼を知る人は語った。彼は目立たない。彼は内気な男。彼は人に話しかけない。天気の話はしていた。身寄りのない彼は、家もなく、貧しく、ホームレスのような状態に見えた。ただし、ホームレスではない。シカゴのノース・サイドにあった写真家ネイサン・ラーナー所有の二階建て賃貸家の一室に一人暮らした。ヘンリーは43年間、カトリックの女子校の掃除人として働き続け、誰にも相手にされず、貧しくひっそりと生きていた。亡くなった時、彼は81歳だった。 亡くなった彼の部屋。おそらく誰も足を踏み入れることはなかった、のかもしれない。家主だったラーナーが入る。彼がヘンリーに貸していた一室、そこにあったのは、ヘンリーが描き遺した300枚の絵と数千ページに及ぶメモを書き綴ったノート、日誌。さらに"The Realms of the Unreal"と表題のつけられた挿絵入りの15000枚を超える小説原稿だった。それは子ども達の奴隷からの革命、という不思議なアナザー・ワールドを創造したものだった。





彼が独自の世界を創り続けた時間、およそ60年間。誰も知らない、誰も気づかない、彼のみがその世界に飛び、主人公の少女たちを描き、動かしていた。"The Realms of the Unreal"とは、非現実の王国で、架空の世界、というような意味合いでよいのかな。

実はヘンリーは、絵の教育も受けた事はない。捨てられた挿絵のひとコマ、ゴミ箱で拾ったコミックの切れ端、広告面に描かれた少女を拾い集めて、絵をなぞり、切り貼りし、コラージュのような手法で世界を作り始めていった模様。登場する子どもたちは、裸のままであったり、少女の姿に男性性器が加えられたりもしている。男たちに奴隷のようにいたぶられ、虐げられ、拷問される。邪悪な奴等に次々に惨殺されていく。そんな中に、7人の戦士の少女が登場する。悪者と戦うヴィヴィアン・ガールズ。奇妙な田園風景の中で起こる死闘。少女は追われ、絞め殺される。花々が咲き乱れ、豊かな自然溢れる田園地帯の中で成人の男性軍によって内臓さえも抜き取られる。
それらが、なぜ、見た人々の興味を惹くのかは、今ひとつわからない。
しかし、彼の不可解で不思議で奇妙な世界観で展開する小説と絵画の中の至るところに彼の生い立ちが重なっているという。戦士ヴィヴィアン・ガールズの背景にヘンリーの時代が重なるという。ヘンリー・ダーガーの絵と小説を通して、81歳までシカゴの片隅で生きた人を追いかけた監督の好奇心に満ちた一作か。評価は今ひとつだが、コレしかヘンリーを追ったフィルムはない。彼の絵画を、小説の世界を知る資料価値はある、と思えるのだ。








このフィルムが出来上がるまでに約5年がかかっているという。最初は、まずヘンリー自身の生い立ちに始まり、膨大な資料との格闘だった模様。最後の2年は、編集作業に費やされた。監督と7人のアニメーターチームが作業を続けた。これはヘンリー・ダーガーという逝ってしまった男の遺したものから、彼を追いかけたドキュメンタリー映画。シカゴのアダムズ通り一帯とその周囲。彼が子ども時代に父と共に生きたホールステッドから撮影は開始された、という。来年公開予定だが、邦題が新たにつくだろな。(2004年/製作国アメリカ/アメリカ公開2005年/日本公開2006年日本ヘラルド)






▲Trailer & Clip


▲Official site
オフィシャルでもTRAILERはご覧になれます。


●Directer&Screenwriter:Jessica Yu ジェシカ・ユー
●Cast:Henry Darger ヘンリー・ダーガー(多分、写真のみ)
 Dakota Fanning ダコタ・ファニング Larry Pine ラリー・パイン


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コメント

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6 ■無題

どうも!こちらへはご無沙汰です。日本公開は、2006年ですか?
楽しみ、楽しみ!

5 ■■■■■■■■■■■■■ツボヤキ■■■■■■■■■■■■

★しらいしさんへ
残暑になってしまったデスね。申し訳ない、すっかりそのまま状態でした。
絵画は目の前で見ないとなかなか、わからない部分もありますが、彼の生きた時間は途方もない、のか、ある時間楽園だったのか。この映画は決して評価は高くないのですが、撮りたいと無性に思い、いてもたってもいられない、そーゆー気持ちに駆り立てられたのかもしれないですね。自分がやらねば、って。その走り出す様子は、なんだか分かった気でいます。

★imaru2046さんへ
あ、そうなのですね、「real artist」というんですね。有難うございます。
既にご存知の映画だったですね。こういう場がないと何も知らないまま、でしたよ。映画、フィルムで見たいと思うのですがどうなのかな、無理なのか。迫ってきそうですね。また、面白そうなフィルムあれば、教えてくださいね。

★tomozoさんへ
どうもどうも!あれまあ~ウォーターズ君とですか(苦笑)異才って扱いなんですかね。早くから注目されていた方だったんですね。何も知らんだったな~~困ったもんです。

4 ■昔、某雑誌で

お久しぶりです。
私、昔某雑誌で特集されていたのを読んだことがあります。たしか、ジョン・ウォーターズなどと一緒に特集されてました。
まさか、映画になっていたとは…。
彼を発見した人はすごいです。

3 ■無題

ドキュメンタリーだからストーリーって言うとおかしかったですね。でも、フライヤー見たときからこれ気になってました。

2 ■すごい><

これ、すごいですね><絵がとんでもなくかっこいいです><

real artist って感じしますね><
ストーリーもかなりいい感じですね。

1 ■暑中お見舞い申し上げます

暑いですね・・・夏ですね・・・
それにしても現実から解放されたまま81歳まで生きてしまった、というのはすごいですけど、それをさらに映画にしてしまおうというのは、ふしぎです。

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