■ダウンフォール The Downfall ヒトラー最期の12日間 | ツボヤキ日記★TSUBOYAKI DIARY

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■ダウンフォール The Downfall
:Hitler and the End of the Third Reich
(ヒトラーと第三帝国の終焉)

●1971年に米国・スタンフォード大学心理学部で実際に行われた実験をベースにした映画「es」は、アメリカでは公開される事が出来なかった(訴訟問題等で)作品だが、これは「状況」「役割」、そして人間の持つ「闇」を描いたオリヴァー・ヒルシュビーゲル監督の作品として、一部で話題になった。当方は、未見ながら、今も見たいと思っているもののひとつだ。

このオリヴァー監督の新作の主人公が、今回はヒトラーという事で、またまた各方面に波紋が広がったのは昨年。内容は、ヒトラーの側近などの目撃者の話と、歴史学者ヨアキム・フェストの著書を元に、ヒトラーが自殺するまでの12日間を秘書トラウドゥル・ユングの視点から描いたものという。

映画の題名は英題『The Downfall:Hitler and the End of the Third Reich』(ザ・ダウンフォール=失脚:ヒトラーと第三帝国の終焉/※直訳)。
原題は『Der Untergang:Der Hitler und das Ende des 3. Reichs』(ダ・ウンターガンク=崩壊)





映画は、1945年4月20日のヒトラー54歳の誕生日前から始まり、その10日間後にヒトラー自殺。第三帝国崩壊は迎え、第2次世界大戦の終結を迎える。
この映画の中では、戦況が不利な状態に陥り、もはや絶望的な現実を間の前にしても、既に存在しない軍部隊の派遣を指示するヒトラーの狂気的な様子や、酒を飲み交わしながら自殺の方法を話し合う側近など・・・、追い詰められたナチス上層部の人間ドラマが展開される。

批評家筋からは、ヒトラーの描き方の正当性についての疑問の声も上がっているようだが、未見なので詳細はお伝えできないのが残念。

これらの問題に関しては、本作品のプロデューサー、ベルント・アイヒンガーは「歴史を理解しようとするなら、それを作った人々を理解する必要がある」と語り、今回の作品に関しては特に、ヒトラーに対するある程度の感情移入は避けられない、との姿勢を明らかにした模様。

さらに、アイヒンガーは、ドイツ映画がナチス時代を正面から取り上げるべき時期が来たのだ、とも添えている。原題は「崩壊、もしくは没落:ヒトラーと第三帝国の終焉」というべきか。
映画は、ベルリン市街と、ヒトラーとその側近が身を潜める総統官邸の地下壕が舞台となっている。撮影にあたっては、当時のベルリンを再現するためのロケは、なんとロシアのサンクトペテルブルクで敢行。撮影のために突如現れたドイツ兵の姿に当地の市民は恐怖感をあらわにしたという。ここは、大戦中には2年以上もドイツ軍に攻撃を受けた過去を持っていたのだ。

ドイツでは既に昨年9月に封切られた。公開当時の周辺各国の反応を調べてみるとイギリスやフランス、そしてアメリカのメディアは「度を超した熱狂」「ヒトラー像の修正につながる」と、この映画のもたらす危うい部分に警鐘を鳴らした、という。

ナチスの蛮行という暗い過去を背負うドイツは、戦後、ヒトラーの著作『わが闘争』を禁書とし、ナチス式敬礼やカギ十字を掲げることを禁じている(ネオナチは存在するが)。また、スポーツ大会などで勝利の際や行進の場合に、選手が片手を斜め高く上げる事があるが、掌を開いたままであれば、「ハイル・ヒトラー」の敬礼に繋がるとして厳重な注意を受けることは否めない。ヒトラーに関しては僅かな印象の再現にも嫌悪感を持つ人々は多いのだ。

それが、今回は、ヒトラー自身が悩み、怒り、時には画面の中で優しい心遣いまで見せる人間として描かれた。そこに危惧する人々の声がある。フランスのリベラシオン紙は、「ヒトラーを人間として描くほどドイツ人は精神的に成熟していない」と報じたという。





では、映画は実際に見てどうだったのか。これは予想に反して、大河ドラマ風なわかりやすい構成、撮影の構図で幅広い層に見て欲しい一作。決して、重苦しさのみでなく、深みに引きづられるものではない。ドイツ国民の側のぎりぎりのプライドを守る様子に仕上がっていると思えた。ブルーノ・ガンツのみならず、役者皆がこの映画に参加している事に対して、緊張感を途切れさすことなく演じている、そのような印象を受けた。やはり、それだけ歴史は過酷な事実も物語る。実は、ゲッペルスが、かようにヒトラー一筋だった、とは思いもよらなかった。ゲッペルスこそが、ヒトラーを扇動しまくっていた男、時には操り、と大きな勘違いしていた。こーゆー側面があった、と今回、改めて情報を入れなおした次第だ。エヴァ役もガンツに負けぬほど、当時のエヴァを彷彿とさせる迫力を感じた。

このように当時の側近の代表的な人物が次々に出てくるのだが、歴史をおさらいせずとも、まずは見て解き明かすに良い材料となる映画には違いない。場面の結末近くには、何故、生き延びたいのか。何故死ぬのか、という問いも用意されている。

もうひとつ付け加えるならば、ドイツにはこんなに存在を見せ付けてくれる俳優がいた、という事実。これ、この映画を見終えた時の大きな発見のひとつだっただった。



因みに、主役はブルーノ・ガンツだが、ヒトラーに肉迫し、演じきったと注目・評価は大。然しながら彼のコメントでは、理解出来ない役を演じることは難しかった、とある。彼はヒトラーを理解出来ない、と言い切って、役に臨んでいることを忘れないでおこう。凄い俳優はここにもいるのだ。ヴィム・ベンダース監督映画「ベルリン天使の詩」に共感したファンが多かった日本の観客は、またしても彼の姿、演技に釘付けになることに違いない・・・。そう、あの時は天使だった・・・今度は。

【BRUNO GANZ】ブルーノ・ガンツ=1941年3月22日、スイス・チューリヒ生れ。母イタリア人、父スイス人。60年代初期にスイス映画でスクリーン・デビュー。64年から69年にはクルト・ハブナーが主宰するブレメン映画に参加。ヴィム・ヴェンダース監督作品などへの出演で、国際的にも評価が高い俳優。(2004年:製作国ドイツ/ドイツ9月16日公開/米NY公開2005年2月18日/LA公開2月25日予定/日本公開2005年)






TRAILER

Official site

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Official site:USA

●Directer: Oliver Hirschbiegel オリヴァー・ヒルシュビーゲル
●Screenwriter: Bernd Eichinger (screenplay)/Joachim Fest (book)
●Cast: Bruno Ganz ブルーノ・ガンツ Alexandra Maria Laraアレクサンドラ・マリア・ラーラ Christian Berkel クリスチャン・バーケル Daniel Bruhl ダニエル・ブルール Fabian Busch ファビアン・ブッシュ Heino Ferch ハイノ・フェルヒ Gotz Otto ゴッツ・オットー Juliane Kohler ユリアーネ・ケーラー Thomas Kretschmann トーマス・クレッチマン Justus von Dohnanyi ユストゥス・フォン・ドホナーニ Corinna Harfouch コリナ・ハルファウフ Andre Hennicke アンドレ・ヘニケ Ulrike Krumbiegel ウルリケ・クルムビーゲル Ulrich Matthes ウルリヒ・マッテス Michael Mendl ミヒャエル・メンドル Birgit Minichmayr ビルギート・ミニヒマイル Ulrich Noethen ウルリヒ・ネーテン

※どなたか、ドイツ語名のカタカナ表記ご教授ください!

★★★★★このようなところにお立ち寄り頂いた『通りすがりの相川様』のお陰で上記キャストのカタカナ表記を表示することが出来ました。感謝の念にたえません。誠にありがとうございます。本当にこのようなお心遣いをいただき、blog上にてお礼を申し上げます。泣きそーに嬉しいッ。相川さん、多謝!(2月12日)
追記:劇中にでてくる少年がいるのだが、プレス関係にはピーター、となっていた。やはり、ペーターの方が良くはないか、と話が出たが。(8月28日)


※1月14日付のイギリス大衆紙サンによると、ヘンリー王子は、イングランド南西部ウォルトシャーの友人宅で8日行われた仮装パーティーでナチスのナチスの軍服を着て、カギ十字の腕章を着用したことにより、世界中から強い批判を招いている。
ヘンリー王子は声明で、「誰かの気に障ることをしたとすれば本当に申し訳ない。コスチュームの選択がまずかった」と述べた。ナチスの軍服を着たヘンリー王子の写真は大衆紙サンの一面を飾り、「若きヒットラー」「ナチスのヘンリー王子」といった見出しがつけられた。同紙によると、チャールズ皇太子はヘンリー王子に「憤怒」し、ホロコーストについてもっと理解を得させるため、強制収容所を個人訪問させたい意向。同紙はまた、匿名の王室筋の話として、チャールズ皇太子がウィリアム王子にも、ヘンリー王子に同行するよう命じたと伝えた。
ヘンリー王子の謝罪に対し、英国のユダヤ人団体は「確かに悪趣味だったが、王子が謝罪したことに関しては受け入れる」としている。だが、今月27日にはヘンリー王子のおじにあたるエドワード王子が英王室を代表して、アウシュビッツ解放60周年の式典に出席する予定だけに、後味の悪さが残りそうだ。

かつて日本にも、仮装パーティーの席上でヒトラーの格好を真似た人物がいたという。1937年4月15日、永田町の近衛邸で開かれた仮装パーティの席で、首相になる2ヵ月前の近衛文麿がヒトラーに扮した格好で登場し、写真に収まっているという。この写真を見た元老の西園寺公望は、「つまらんものになったな」とつぶやいたそうだ。
この内容はコチラから ⇒okagaminさんの生々流転blog

この年を振り返ると、4月26日にはドイツ空軍が、スペイン・バスクのゲルニカを爆撃。ピカソ、思い出しますね。5月6日ドイツの飛行船ヒンデンブルク号がアメリカで爆発炎上。「スカイ・キャプテン」ですね。