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2011-02-28 13:18:56

■英国王のスピーチ

テーマ:映画

■THE KING'S SPEECH

●アカデミー賞の発表で「英国王のスピーチ」が作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞を受賞。およよ、とビックリしたデスね。
ここまで受賞とは、本当にアメリカってそーゆー志向の国でありましたか。わかりやすく、的を絞って、いらんとこは省け~と。
主演男優賞は納得であります。
「ソーシャル・ネットワーク」、もっと受賞しても良かったんじゃないかい、なんてボヤキますがアカデミー賞受賞前に国内上映になって、見ることが出来て良かった良かった、としておこう。

さて、「英国王のスピーチ」は、英国王ジョージ5世の死によって跡継ぎは兄エドワードと思っていた次男アルバートが、兄の退位によって新たな王位継承者になったことを軸に、その本人の吃音を克服しようとした様子を描いた一作でありました。



現在のエリザベス女王の父にあたるジョージ6世ことアルバート(George VI、アルバート・フレデリック・アーサー・ジョージ・ウィンザー)は、幼い頃より吃音を悩み人前で話すことが苦手、苦痛だった。その彼のスピーチ矯正を受け持ったライオネル・ローグによる独自の治療方法の実践の場(脚本上の創作)を描いた物語であり、父であるジョージ5世の崩御(事実上安楽死)、兄でアメリカの離婚経験者シンプソン夫人と「世紀の恋」を全うするために王位を捨てたエドワード、ジョージ6世を常に支え夫の吃音に関する映画化を自らの存命中は拒否したという妻エリザベス(エリザベス王太后)といった人物が彼を取り囲む。





全体から受ける印象は英国王室の見える部分、見えない部分をあからさまに描き、時代性などに重きを置いた重厚な物語ではなく、あくまでもアルバート時代の演説の失態からジョージ6世としての重要な演説を核に、彼の吃音にスポットを当ててクリエイトされた物語。このような王位継承の舞台があり、そこに華やかな場を好む兄とは対照的に、吃音に悩み人前に出ることが苦手な弟にこんな場面があったということを退屈することなく見せてくれた一作でありますね。

まず、的の絞り方、話のはしょり方、脚本の簡潔さが良かったかな。
あれもこれも欲張ることなく出来上がったことが、本作の監督の技量であり、力量ともいえるかも。
であるから、戦争に突き進むエンディングであっても・・・ここではその歴史背景や人物背景、史実を物語るといったことにはそれほど重きを置いていない様子。





そこで、俳優達が水を得た魚の如く、その巧みな演技を披露した。オヒョウ~なんてね(笑)
コリン・ファース、言わずもがな。実年齢をぐぐっと下げてエレガントさは「シングルマン」とは違い、繊細ながらも行動のどこかは肉太い趣き、であります。(当初のキャスティング予定のポール・ベタニーであったらまた違った味わい深い、ぐぐっと気持ちを引き込んでくれただろう、かな)

妻エリザベスを演じたヘレナ・ボナム=カーターがお見事。
最近では、ティム・バートン等の映画など・・・キツイ役どころや暗さを味方にしたようなゴシック系の役どころが多かった・・・それがここでは、慈しみと品格を濃厚なジャージーミルクで覆ったような穏やかな、かつ胆の据わったエレガントを演じました。晩年の王太后の姿に重ねてみることができる雰囲気を巧く作り上げているのではないか、と。

スモーキーな面白い男、実直で誠実な姿に少しクセを持たせたジェフリー・ラッシュ演じるライオネルは、全く不安なく見続けることが出来ます。最近の出演作の中では役柄としても比重も重い、やりがいのある配役を巧く演じまています。あ、妻役を演じたジェニファー・イーリー、久し振りですが矢張り存在感を溢れさせるのでありますね。





さて、アルバート~ジョージ6世となる主人公を支える妻とライオネル、二人がいい。演じながらもどこか迷い思案・・・、それでいてジョージ6世の姿に希望を見ている姿を瞬間のぞかせるような細やかさを感じさせてくれるのは素敵じゃないかい。
見る前に想像した、英国王室の重厚さ、重苦しさがないというのは、吃音に悩む人々への配慮なのか。そこが多くの人に受け入れられる作品になったのかは見る側に委ねようか。制作陣にはジェフリー・ラッシュの名と共にワインスタイン兄弟も。こりゃ強いデス。

物語のハイライトは、これから国をあげて戦争に向かうため、国民の心を一丸と成す演説。ジョージ6世の緊張感も伝わります。戴冠式後に見たあのヒトラーの群集を歓喜させる演説・・・あんな風に演れたらと過ぎった時もあった・・・羨望。しかし、今ここではあの男に挑む国の長でなければならない・・・国民がラジオの前で聞き耳を立てる。さ、放送開始時間が刻々と迫ってくる。

スピーチライターの優れたものがいる。それにGOサインを出すものがいる。スピーチ原稿が予め用意され、公務として読む役割を演じるという行為に、その人物が考え抜いて書いたものではない、ということに物語への思い入れ・・・我は少しかすんでしまったのやもしれない、かな。

ところでチャーチルをティモシー・スポールに演じて貰うというのは如何なものだろう。敢えて言うならば、渥美清(巧い役者さんデス)に吉田茂をキャスティングするようなものではないかと、思うのだが。監督はトム・フーパー。(2010年/製作国イギリス、オーストラリア/アメリカ公開2010年11月26日(limted)/日本公開2011年2月26日)




▲Official site
オフィシャルでもTRAILERはご覧になれます。

●Directer:Tom Hooperトム・フーパー
●Screenwriter:David Seidler デヴィッド・サイドラー
●Cast:Colin Firth コリン・ファース Geoffrey Rush ジェフリー・ラッシュ Helena Bonham Carter ヘレナ・ボナム=カーター Guy Pearce ガイ・ピアース Derek Jacobi デレク・ジャコビ Jennifer Ehle ジェニファー・イーリー Michael Gambon マイケル・ガンボン Timothy Spall ティモシー・スポール Robert Portal ロバート・ポータル Adrian Scarborough エイドリアン・スカーボロー Andrew Havill アンドリュー・ヘイヴィル Roger Parrott ロジャー・パーロット Roger Hammond ロジャー・ハモンド Patrick Ryecart パトリック・ライカート  Claire Bloom クレア・ブルーム Eve Best イヴ・ベスト Richard Dixon リチャード・ディクソン Dominic Applewhite ドミニク・アップルワイト Ben Wimsett ベン・ウィムセット

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2011-02-22 22:09:26

■エリックを探して

テーマ:映画

■LOOKING FOR ERIC

●小品の中にもイギリスの庶民生活の危うさと頼もしさが描かれた佳作といえばいいかな。
極普通に暮らしている中年男エリックの姿。それを見守る同僚の姿がなんとも嬉しい。
坦々と生きてきた男達、郵便配達人の姿を見ながら、国が違うとこんなんかなと・・・イギリスの持っている労働者階級の飾り気のない様子を面白く見ることが出来るかも。

普通に暮らしている風で、郵便物の仕分けの様子が違うと同僚から心配される男ってどういう奴・・・。ダンスステップのように軽やかに仕分けをしていないじゃないか、なんて心配するのは、エリックがその昔はロックンロール大会でも優勝するほどにダンスが上手かった青年時代が背景にある。青いスエードの靴♪。

で、自宅に息子二人。各部屋にテレビがあって、呆けている息子二人はちょっと前に出て行ったのかな、二番目の妻の連れ子だった…。なんとも物分りのいい父親なんではないかい、ってことじゃないんであります。お人好しなちょっとダメ親父なんであります。
で、どういう風にそうなっていったか・・・エリックの過去が徐々にわかってくると同時に、目の前に立ちはだかる難問。うはーイギリスというか、銃を持った警官は怖いもんです。見りゃわかりますがね。



難問抱えたエリックを助けるのは・・・彼らのヒーロー!プロサッカーチーム、元マンチェスター・ユナイテッドで活躍したエリック・カントナであります。
これ、妄想というか・・・火付け役は同僚のミートボールおっさん。も、可笑しいですよ、この御仁。なんか疑問・問題がありゃ、ハウツー本を持参。それってまたパクってきたんだろーってなもんです。(あ、火付け役はもうひとつあるんですわ、不良がかった息子の隠し持った・・・もんなんですけがね)

で、随所にかつて彼らが一丸となって応援し続けたカントナのプレーが溢れます。
後ろ向きの人生になりかかったエリックをくるりと前向きに、でもって背中を押してくれるですぜ、カントナ本人がね。で、年はとってもあの頃の血がたぎるって情熱が沸騰するんですぜ、エリックとその仲間(郵便局員)のチームプレイであります。



因みに原案はエリック・カントナだったそうです。
で、ケン・ローチ(いい監督さんデス!)と組むことになった経緯は知らんデスが、ケン・ローチ組の名脚本家ポール・ラヴァーティが頼もしいコメディを書き上げたってことでしょうか。製作に携わった国が多いってのはカントナが動いたんでありましょうかな。
カントナは、見惚れた名作アラン・コルノーの「マルセイユの決着」にも出てましたがな。映画というフィールドも今や彼の活躍の場となって久しい模様デスが、ケン・ローチがサッカーファンであるように、カントナも映画好きな御仁でありましょう。

主役はテレビ俳優のスティーヴ・エヴェッツ。この作品後には映画出演も増えた模様。
息子役のジェラルド・カーンズ、若き日のエリック役マシュー・マクナルティはやるせない「キングダム・ソルジャーズ -砂漠の敵-」で好演だった二人。



さあ~て、いったいどういうドラマかといえば、人のいい親父エリックにも青春があったってことでしょか。そんなアイツを放っておけない、っては何故なのか。親父におんなじ目線の味方がいるってのはいいじゃないかい!コメディです。当たり前に描かれながらも複雑に見える家庭もなんだか、こーゆーのイギリスもありか(一瞬「ジュノ」とか思い出してました)、と見てました。

いやあ・・・男にも女にも長い年月の間には行き違ったまんまで言えないこともあるもんさなぁ~なんてね。なんというか・・・男はそう強くないのでありますよ、はい。
ところで、あのう・・・映画館、あっしたった一人でした・・・く~~~ッ。(2010年/製作国イギリス、フランス、イタリア、ベルギー、スペイン/日本公開2010年12月25日)


▲Official site
オフィシャルでもTRAILERはご覧になれます。

●Directer:Ken Loach ケン・ローチ
●Screenwriter:Paul Laverty ポール・ラヴァーティ
●Cast:Steve Evets スティーヴ・エヴェッツ Eric Cantona エリック・カントナ Stephanie Bishop ステファニー・ビショップ Gerard Kearns ジェラルド・カーンズ Stefan Gumbs ステファン・ガムス(ガンブス?) John Henshaw ジョン・ヘンショウ Matthew McNulty マシュー・マクナルティ Lucy-Jo Hudson ルーシー=ジョー・ハドソン Justin Moorhouse ジャスティン・ムーアハウス Laura Ainsworth ローラ・エインズワース
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2011-02-21 23:18:54

■海炭市叙景

テーマ:映画

■海炭市叙景

●「海炭市叙景」、最初にこの題を目にした時、台湾映画かと思った。
「非情城市」・・・からの連想だ。
しかし、これは日本映画で、函館の「海炭市叙景」製作実行委員会の企画による映画と知り、上映を心待ちにした。何故か・・・題名との出会い、そして配役に加瀬亮、小林薫といった名があったのが気になった、かな。

映画は、合併でなくなっていく町名・・・合併後の架空の「海炭市」が舞台。
時代は、ここ10年前後(原作は20年前)といった感じか、特定はされないような設定になっている。
北の小さな砂州の地方都市「海炭市」。
年の暮れから正月にかけての数日、そこに生きる者達が描かれる。



そこで育った兄妹の境遇、そして今日から明日。
プラネタリウム勤めの男は妻に愛想をつかされている様子。そんな親の姿を嫌悪する息子。
プロパンガス配給会社の社長業ながら父親の影が疎ましく、家庭内の不和に苛立つ男。
漬物を売りながら暮らす老いた女は立ち退きを迫られていた。
浄水器の営業で故郷を訪れた男は電車の運転手の父親と疎遠になっていた・・・。

小さな町の造船所の解雇に始まる物語ではあるが、どこの町でも行き過ぎる人々の中にある物語りかもしれない。ここに登場する人たちの全てに生身の息づかいが感じられる。
映画を見ながら・・・傍観者であり続けながら、問うべき言葉もないまま見続けていくことになった。

海への視線を持たない町に住むものは、ただ、市電の通る町に我が町と似通った町並みを重ねたりしながら・・・あ、少し「キッチン」も思い出したりしたか。

縁のあるもの、ないもの、そこに住む人の吐息に匂いがする。
キーンと冷えた空気の中に吐かれるため息に焦燥、喪失、怒涛、寂寥、悲嘆が混じる。
ジム・オルークの音楽も物語の支えになる。







俳優のみならずオーディションで選ばれ、地元函館や旭川からの素人の出演者。この物語を演じるために出ているはずの皆が、実は演技という部分を越えて、生身の町びとに写るのが優れた監督の手腕なのか、ずっと見続けることに繋がった。

映画は見た後で、あの人物が俳優なのか素人なのかはわかるので、ね。後で調べると、しておくれ。
因みに、映画評論家の宇田川幸洋氏は、「新人女優賞 中里あき」「新人男優賞 西堀滋樹」と評されたそうであります。お二人とも素人。これはもう~納得であります。

この映画制作の発端は、函館のミニシアター「シネマアイリス」の支配人菅原和博が思い立ち、原作者佐藤泰志と同級生だった西堀滋樹氏に相談したことから話が動き始めたという。結果、市民映画として企画制作。代表に菅原氏、西堀氏は事務局長を務め(映画にも出演)、ともに行政や企業に依存せず市民映画として資金集めに奔走。監督を受けたのは、帯広出身である熊切和嘉だった。





驚くほどの低予算ゆえの創意工夫にも感服です。
フィルムはスーパー16(35ミリの半分ぐらいの幅のフィルムだそうです)を使い撮影。仕上げの段階で35ミリに。全国での上映に際しては、プリント代の節約から35ミリフィルムをDCP(デジタルシネマパッケージ/高精度ハイビジョン)へ変換(デジタル起こし)したわけであります。

物語本編は無論のこと、撮影中の多岐にわたる準備、調達・・・諸々、そして上映に際しても細部にわたる工夫で仕上げられた作品に学ぶこと多しであります。発起人と局長、そして監督とのコラボがこのような作品を生み出すのでありますね。
核がぶれないことの大事さ、それが生み出す作品の明日への希望を感じさせてもらいました。

物語・・・それはぜひご覧ください。簡単に片づけられることばかりではないでしょ、生きていて出くわすことは。家族であってもそれぞれが個であり、思いが違うこともあります。気づけなかったり、気持ちがずれたり、一人で考えても埒があかない、ってことだってある。見知らぬすれ違いのままで過ぎていく・・・町の情景。
いろいろな人がここにいてね、ずっと尾を引くのであります。(2010年/製作国・日本/日本公開2010年12月18日)


▲映画「海炭市叙景」上映までの足跡


▲Official site
オフィシャルでもTRAILERはご覧になれます。

●Directer:熊切和嘉Kazuyoshi Kumakiri
●Screenwriter:宇治田隆史Takashi Ujita
 原作:佐藤泰志Yasushi Satô
●Cast:谷村美月 Mitsuki Tanimura 竹原ピストル Pistol Takehara 加瀬亮 Ryo Kase 小林薫 Kaoru Kobayashi 三浦誠己 Masaki Miura 中里あき Aki Nakazato 山中崇 Takashi Yamanaka 南果歩 Kaho Minami 西堀滋樹 Shigeki Nishibori 伊藤裕子 Yûko Itô 黒沼弘巳 Hiromi Kuronuma 大森立嗣 Tatsushi Ohmori あがた森魚 Morio Agata 東野智美 Tomomi Tôno 小山耀 Akira Koyama 森谷文子 Ayako Moriya 村上淳 Jun Murakami George-K
●企画制作:映画「海炭市叙景」製作実行委員会 菅原和博 Kazuhiro Sugawara
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