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2008-06-21 22:40:25

■Miracle at St.Anna セントアンナの奇跡

テーマ:映画

■Miracle at St. Anna ミラクル・アット・セイント(セント).アンナ

●1983年12月19日、ヘクター・ネグロンは男を殺した。
ニョーヨークの彼の家で見つかったイタリアの文化的遺産といえる大理石の彫像の頭部…それは39年前に起きたミステリーの手がかり…だった。

スパイク・リーの新作、「Miracle at St.Anna」(直訳:聖アンナの奇跡)は、第二次世界大戦下、イタリアのトスカーナに派兵されたアメリカ陸軍の黒人兵士による第92師団歩兵連隊バッファロー・ソルジャーの物語。
この物語の発端は1944年にはじまる。
あの時代…黒人達が祖国でリンチにあい、まるで二級市民といった扱いをうけ続けていた時代、ジム・クロウ法が存在していたあの時代に、その祖国を背負い愛国のために戦う兵士として、この映画の主人公達はイタリアに派兵されていた。敵を目前にする時、3人の兵士が仲間のサムを救い出そうとしている間に敵側の背後にいることに気付く。同時に彼らは、味方のはずのアメリカ軍の人種差別主義者の指揮官によって、自分達が祖国から遠く離れた見知らぬ世界…イタリアの村に孤立無援の状態で取り残されたことを気付くのだった…



彼等の初めて遭遇する世界…イタリア、トスカーナ州のサンターナ・ディ・スタゼマ村。そしてそこで起きた出来事…現実と神話(空想…)の入り混じった時間…救いと信頼の交差する瞬間…同時にそれは残虐で最も恐ろしい行為を目の当たりにすることでもあった。



アメリカ南部から入隊した読み書きの出来ない黒人兵士。そして、恐怖、極限の状況を目撃し記憶を失った6歳の少年。彼らはこの先、どこへ行けばよいのか…。
映画は、第二次世界大戦終結寸前、ナチス占領下のイタリア、トスカーナ州の村でのアメリカ陸軍のバッファロー・ソルジャー4人と少年の繋がりを描く模様。

ジェイムズ・マクブライドは、戦争の悲劇を個々の兵士の個人的な話へと繋ぐ物語を書いたベストセラー「Miracle at St.Anna」の著者。映画は、第二次世界大戦下に起きた実話を元にジェイムズ・マクブライドが脚色を手掛けることで、本作の制作にも参加。
彼は白人の母を持つアフリカン・アメリカ人だった。




実際に、当時敗戦も色濃く後退を迫られていたナチス親衛隊は、農民などで組織された非正規軍であるパルチザンの隠れ家を教えるよう村の教会の司祭に要求。
司祭が「パルチザンはいない」と答えると、村民のほぼ全員、560人を射殺しガソリンをかけて燃やした。10歳以下の子ども72人が含まれ、惨い姿に変わり果てた妊婦の遺体もあったという。(この事件は2005年にイタリアの法廷で61年前の村民虐殺で元ナチス親衛隊10人に終身刑が言い渡された)

リーは、この映画が第二次世界大戦終結時、欧州を開放した連合軍アメリカ軍の存在を賛美・宣伝するものではないと言う。
当時、敵側にあり、各々の個性を失い人間性の欠片もなくなったかのような邪悪な行為に走った多くのドイツ兵士でさえ、端的に言えばそれは間違った側に生まれ育ち置かれ、戦っている男性の一人一人だったはず…彼らも疲れ果て、空腹で、一刻も早く家に戻りたかった…戦争の場をリーはこんな風に考えているようだ。



この物語の黒人兵士4人を演じるのが、まずヘクター・ネグロン役に、ラズ・アランゾ。彼は、ウォール街の投資銀行行員だった後に俳優に転じ、「Jarhead(ジャーヘッド)」「ストンプ・ザ・ヤード」「キャプティビティ」、日本未公開のままでちょっと見たかったゾの「This Christmas」等で頭角を現してきた若手で今回の大役ゲット。

役名のクレジットがないままだが、ヘクターの仲間3人に、「Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス?」「ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン 」「ラッキー・ユー」「悲しみが乾くまで」等のオマー・ベンソン・ミラー。
「きみの帰る場所/アントワン・フィッシャー」「エイプリルの七面鳥」「プライド 栄光への絆」「輝く夜明けに向かって」「グローリー・ロード」「大いなる陰謀」等のデレク・ルーク 「ワイルド・スピードX2」「ネバー・ダイ・アローン」「彼らの目は神を見ていた」等のマイケル・イーリーがキャスティング。



Laz Alonso   Omar Benson Miller


Derek Luke   Michael Ealy

ちょっと目を見張らせる俳優…「サイレンサー」「BRICKブリック」、「ルックアウト/見張り」(おいおい!日本未公開のままかい)等のジョセフ・ゴードン=レヴィットがTrailerでも場面を作る。

「炎の戦線 エル・アラメイン」「家の鍵 」「題名のない子守唄」「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」等のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ。
「Christie Malry's Own Double-Entry」「コレリ大佐のマンドリン」「炎の戦線 エル・アラメイン」「瞳を見ればわかる」等(イタリア映画際のファンは詳しそう)のセルジオ・アルベリ。
「キングの報酬」「友よ、風に抱かれて」「ノーマンズ・ランド」「メンフィス・ベル」「冬の恋人たち」「陽だまりのグラウンド」等のD.B.スウィーニー。
「ギャングスターズ明日へのタッチダウン」「守護神」等のオマリ・ハードウィック。「アメリカン・ギャングスター」のマルコム・グッドウィン。


Joseph Gordon Levitt   John Leguizamo


Valentina Cervi   Sergio Albelli

そして、記憶を失った少年役には映画初出演のマッティオ・シャボーディ(カタカナ表記自信なしデス)。
加えて、説明することもないか…ジョン・レグイザモ、ジェームス・ガンドルフィーニ、ジョン・タートゥーロ、アレキサンドラ・マリア・ララ等が脇を固める。

この映画の公開を前に、今年のカンヌ映画祭でスパイク・リーとクリント・イーストウッドの
舌戦がメディア で取り上げられていた。

イーストウッドの「父親たちの星条旗」では、主役を担ったライアン・フィリップに対するネイティブ・アメリカンの孤立を浮き立たせる事情もあり、敢えて黒人兵士の存在をアップさせていないと我は勝手に解釈していたのだが、2006年10月にロサンゼルスのダン・グレイスターが「The Guardian」(ガーディアン紙)に掲載した「Where have all the black soldiers gone?」の内容を見た時に、ちょっとまたもや考えが浅かった…と。
guardian.co.uk

この記事には、イーストウッドが監督した映画「父親たちの星条旗」を見たアフリカン・アメリカ人による嘆き、落胆、怒りがあった。
アメリカ軍の硫黄島上陸の際、黒人兵士は900人はいたというのだ。しかし、あの映画の中では1人として写り込んだ黒人の姿がなかった…。

サンディエゴの元海兵隊員だったトーマス・マクファター。
彼はあの上陸で味方の死体を目撃しながら戦い続けた。そして、彼は最初の旗が揚げられる時にそのパイプ部分を持ち、その上で旗を装着し、掲げられたのだという。
彼曰く「これは、我慢の限界」「私は侮辱され、虐待された」と。
この映画によって、自分の存在自体が否定されたと感じたと彼は言う。私達の国には未だに過激な人種主義が根強く残り蔓延っている、と。

メルトン・マクラーレン。
映画の大画面の中に、硫黄島でアフリカ系アメリカ人によって演じられる活発な役割を残さなかったことに対する怠慢を彼は驚かなかった。
何故なら、当時硫黄島に上陸していたニュース映画の撮影隊員(海兵隊による)は、あの戦場を撮影するにあたり、故意に黒人兵士の姿をフレームから締め出したと言うのを聞いていたからだった。

ローランド・ダーデン元海兵隊員
硫黄島に着陸したのは作戦開始の3日目。それから毎日、明けても暮れても味方の戦死した遺体を葬る役目を割り当てられた。それは、終りのない日々のようだった。軍部の連中は私達(アフリカン・アメリカ人兵士)を海兵隊員という扱いではなく、労働者のように扱った。

ハリー・トールマン大統領の言葉"The only thing new in the world is the history you don't know." を引用して締めるこの記事を見た時に、自分が見ていた映画「父親たちの星条旗」に欠落していた場面が見えてきた。

あの映画で最も美しかったエンディング。硫黄島から見下ろす浜辺にひととき戯れる白人兵士の姿、それは耀くばかりの光射すタペストリーだった。しかし、その浜辺の向こう側にいた兵士たちの中に1人もアフリカン・アメリカ人兵士がいなかったというのは、イーストウッド流の描き方であっても、納得はいかない。

それは彼自身があの映画の中で、当時のニュース映画の撮影を任されていた海兵隊の一員のスタンスから踏み出すことが出来なかったということだ。
それを不思議と思わなかった映画人だった、ということだ。

イーストウッドにずっと抱いていた違和感。
「ミスティック・リバー」「ミリオンダラーズ・ベイビー」「硫黄島からの手紙」…そして、何が不具合なのか気付かないままだった「父親たちの星条旗」。それは2006年のこの記事によって、初めて…もしかしたら、装飾された真実っぽさ、ということだったか。

これはスパイク・リーの描いた「Miracle at St.Anna」を待ちながら、再考するしかないか。本当に己の情けなさにク~~~ッ!だ。(2008年/製作国アメリカ/アメリカ公開2008年9月26日/日本公開未定/追記 日本公開2009年7月)


▲Trailer


▲Trailer:YouTube


▲Official site:Japan
オフィシャルでもTRAILERはご覧になれます。

●Directer:Spike Lee スパイク・リー
●Screenwriter:ジェイムズ・マクブライド
●Cast:Laz Alonso ラズ・アロンゾ Omar Benson Miller オマー・ベンソン・ミラー Derek Luke デレク・ルーク Michael Ealy マイケル・イーリー Matteo Sciabordi マッティオ・シャボーディ Pierfrancesco Favino ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ Joseph Gordon Levitt ジョセフ・ゴードン=レヴィット Valentina Cervi ヴァレンティナ・チェルヴィ John Leguizamo ジョン・レグイザモ James Gandolfini ジェームス・ガンドルフィーニ John Turturro ジョン・タートゥーロ D.B. Sweeney D・B・スウィーニー Sergio Albelli セルジオ・アルベッリ Luigi Lo Cascio ルイジ・ロ・カッシオ Walton Goggins ウォルトン・ゴギンズ Malcolm Goodwin マルコム・グッドウィン Omari Hardwick オマリ・ハードウィック Alexandra Maria Lara アレキサンドラ・マリア・ララ
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2008-06-20 00:58:43

■CSNY Deja Vu

テーマ:映画

■CSNY Deja Vu

●今年のサンダンス映画祭で上映され、やがてアメリカの一般の映画館での公開が待たれる「CSNY Deja Vu」。

本作は、アルバム「Living in War」をリリースしたニール・ヤングが2006年に行った「Freedom of Speech Tour」の模様を記録したドキュメンタリー作品。

無論、監督はニール・ヤング自身。そこに連なるバンドマンがデヴィッド・クロスビー、スティヴン・スティルス、グラハム(グレアム)・ナッシュといったCSNYの懐かしい面子。
映画は、彼らが行ったツアーのテーマ同様に、反イラク戦争、大統領弾劾という内容に基づき、ステージから「Let's Impeach the President」(大統領を弾劾しよう!)という場面で客席にどんな反応があったのか…怒りをあらわにする者、頷く者…ブーイングと喝采という対立する観衆の姿がある…と。

さらにアメリカの兵士や戦争で被害を受けた被害者、家族などのインタビュー、戦争に影響を受けた人たち、過去の映像等を挿入し、構成された本作。メンバー以外にもイラクとアフガニスタンに5回派遣されたジャーナリスト、マイク・セレがヤングの招きで行動を共にした。




現実に起きている戦争に対する賛成、反対を叫ぶ権利。2006年、アメリカの中での対立がここに映像として記録されている、という。

60年代、70年代…時代は変わり、世の中の何かが変わったのか、と考える。
歴史が過ちを繰り返すのであれば、今の我々が何を覚えていなければならないか。
過去に何があって、それはいったいどう解決されたか。過去にいたはずの自分が今も存在しているということ、その背景を振り返った時に何を語ればいいのか…。



これはニール・ヤングの自ら課した作戦。
彼が問う事をひとつひとつ明確に、世の中に伝える行為。
彼は、頭部の動脈瘤の術後に"Living With War."をリリース。その2ヵ月後にこの「Freedom of Speech Tour」を開始。そして、それはある種のファンを怒らせた。コンサート会場を後にするファン、中指を立て煽る若者の存在、脅迫状…といった騒ぎをもたらし、一時はヤング自身も身の危険を感じていたという。



しかし、ヤングはこのツアーをやめようなどと感じたことはなかった、という。ニール・ヤングは、自らの軌跡を振り返り、この前進から一歩も引かぬことを決めているのだと思う。

ヤングは、人生の残りの間にこの種の問いかけをするのは、例えばそれはCNNのようなものだと感じている、という。ただし、それはノーカットの番組でありたいと。

ヤングは、映画「CSNY Deja Vu」が上映され、見た者たちの「Discussion. Debate.」を求めている。
この戦争、政治、アメリカの現状を1人でも多くの者達が気付き、議論、討論の場を持つことを求めている。この映画を見て、インターネット上で話し合って欲しいと。



今年1月に開催されたサンダンス映画祭に集まったCSN&Yは、この映画「CSNY Deja Vu」が今年11月の大統領選挙前にリリースされることを願っていた。
そして映画は7月、全米の映画館での拡大公開ではないらしいが、アメリカ15都市で上映されることになった模様。

オランダ(アムステルダム)に本拠を構えるフォルテシモ・フィルムは、すでにオーストラリア、ヨーロッパ、イスラエル、日本とラテンアメリカ等に映画の配給権を売っているそうだ。おいおい、じゃ日本でみることが出来るんだ。いったいそれはいつなんだい!

この夏、アメリカでこのドキュメンタリーを見るのは…まずはエルパソからロングアイランドへと旅を続けている
「不良老年のNY独り暮らし」 さん(失礼ッ)なのではないか、な。羨ましいなッ!



2006年…今から2年前のアメリカにおけるヤングの意図したコンサート。
自分達と同じように現状に疑問を持ち、変化を望んだ者たち。希望を持っていた者達に対して、軍を称え、愛国者を自賛し、変化を望まない者たちもいる。それが間違いではないともいえる…アメリカが見えてくるか。
カナダ国籍のヤングは言う。しかし、2年の間にこのバランスは変わってきたのではないか、と。

相変わらず中指を立てる者達はいなくなるはずはないが、希望を持った者達が大きく動いていることは確かだ、と思う。

ヤングは、この映画の中で、2006年のあの時起きていたことを自分達が存在し、多感な思いに駆られていた60年代と比較しようとした。しかし、60年代との比較はできなかったという。ただ、そこにも共通点はあったのだ。なぜなら、事実、自分たちはその時代に生きていた…そして50年近く経った今も同じことをしている、と。
それが「Deja Vu」…といえるか、と。

ベトナム戦争、反戦運動、アメリカのトップの交代、世界の緊張を助長するモノ、失われつつあるこの星の環境、再びイラク、911、軍事産業の温存、油と穀物の高騰、貧困層のせめぎ合い、欲の分配…。



ヤングは歌で世界は変わらない、という。
彼はガソリンを使わないで走ることのできる車の開発を支援している。ある種の人々はそれをクレイジーと遠巻きに見ているという。しかしながら、世界のどこかで1人孤独にその開発(発明)に取り組んでいる化学者がいる、はずだと彼は信じている。

時代を変えるには歌だけでは変わらない…しかし、今、歌があるから自分は歌い続けているとヤングは精力的なツアーをこなしている。アメリカから、ヨーロッパへ…。
新たな人、未来を拓く人を彼は掴む旅の途上にいると思えてくる。

そこにヤングの歌があり、その歌が彼を前に推し進める力になっている、それが確かなこと。2006年の夏、ヤングがやめなかった「Freedom of Speech Tour」の意味がこの映画「CSNY Deja Vu」を見ることで分かるのだと思う。

2年かけて、もしくは3年かけて私達はそれを見ることになる…。なんだか、我は遅れていると悔しいぞ。(2008/製作国アメリカ/アメリカ公開2008年7月(limited)/日本公開:いつなんだッ)


CSNY/Deja Vu Promo


SUNDANCE '08 - MY PREMIERE: CSNY DEJA VU


▲Official site
オフィシャルでもTRAILERはご覧になれます。

●Directer:Neil Young ニール・ヤング
●Screenwriter:Mike Cerre マイク・セレ Neil Young ニール・ヤング
●Cast:Steven Colbert スティーヴン・コルバート(なんと!) David Crosby デヴィッド・クロスビー Josh Hisle ジョシュ・ハイズル Graham Nash グラハム(グレアム)・ナッシュ Stephen Stills スティヴン・スティルス Neil Young ニール・ヤング
George W. Bush(archive footage)(uncredited)


現在、ヨーロッパツアー中!カッコよろしいなッ
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2008-06-06 19:50:23

■The Curious Case of Benjamin Button

テーマ:映画

■The Curious Case of Benjamin Button
キュリアス・ケース・オブ・ベンジャミン・バトン

●近作では「ゾディアック」があるデヴィッド・フィンチャー監督作、というからこれまたこの物語にフィンチャーが嵌った。嵌ったから彼流のこだわりで作りこむ、からちょっと目が離せない、じゃないか。

彼が嵌ったのはフィッツジェラルドの短編「The Curious Case of Benjamin Button」(キュリアス・ケース・オブ・ベンジャミン・バトン)ベンジャミン・バトンの奇妙な物語…とでもしておこうか。いや、フィンチャーのみならず、幾人かの映画人たちがその映画化を臨んでいた作品だった。

1922年にフィッツジェラルドによって書かれた短編「The Curious Case of Benjamin Button」は、その舞台となったボルチモア、メリーランドだったことも縁で1994年にメリーランド・フィルムフェスティバルのチーフ、ジャック・ガーベスによって映画化が臨まれた。その後、何人かのライターによって脚本化されながら、書き換えられ、監督候補も代わり、落ち着いた先がフィンチャーだった。(映画化に際して舞台は変えられた…ニューオリンズ)





物語はある男子の誕生…その子は80代という様子でこの世に産声を上げる。
幼子は無論小さな身体で必死に生きようとしている…が、その顔や皮膚は生まれたての赤ん坊ではなく、80歳をこえた老人の様子だった。

一目見た瞬間の父親の驚きをどうする…。
母はどう認めたか…自分達の愛息子の衝撃の姿。




しかし、その子は周囲の暖かな視線を受けて…(多分)、成長していく…生まれて数年、十年…普通の成長過程を踏まえ、身体は少しずつ大きくなり、老いは少しずつ逆行し、若くなっていくのだった。

心に不可解な謎を持ち続けながらも、その子は70代の様子でありながら一歩一歩歩き出すことが楽しくてたまらない!その無邪気な様子に見る側は目が釘付けになる…だろう。

生まれて20年…普通は20代の若者だが、その子は60代。
生まれて30年…その子は50代、同時期に生まれた子達が中年に差し掛かる50代を迎える頃にその子は30代、といった具合。






老いた時期に出会った少女が大人になっていくのを己は若返りながら見てゆくのはいったいどういうものか。人とは違った経験を基盤に培われていく精神。反して身体の衰えは減少し、若さに溢れていく様とはどういったものか。

奇妙で不思議な彼の時間旅行は続く…。
物語は1918年に始まる、という。彼は19年に生まれ…その旅は2000年へと続けられる。
その内に、彼は周囲の人々を失いながら、時間を逆行するかのように若く若く、成長していく。

奇妙で、胸を突かれ、ロマンチックで、切ない人生の旅…。
人とは違った速度を内と外に認めた子が若者になり、その夢や希望の果てに何を見出すのか。

やがて、若者は幼子に育つ…幼子の様子でありながらその記憶は想像を超えて充満する。その子の穏やかな寝顔がなんだかやるせないか、と胸キュンですか。

フィンチャー監督作としての脚本は、「ラッキー・ユー」「グッド・シェパード」「Ali」「フォレストガンプ」等を手がけたエリック・ロスによるもので、F.スコットフィッツジェラルドの原作から時代背景などを加味して作られている模様。

さて、映画「セブン」「ファイト・クラブ」以降、久しぶりのフィンチャーとブラッド・ピットの組み合わせ。合成でここまでやります、という視覚効果なしでは出来なかったベンジャミン・バトンの奇妙な物語。
で、ベンジャミン役としては、ブラッド・ピットが主に演じるわけだが、逆行して若くなり…36歳の役をパトリック・オーランドなんですと。36歳だと出来なくもない、と思うがフィンチャーの考えでしょか。合成に生かしたか…?!




ベンジャミン12歳の役をスペンサー・ダニエルズ。8歳をチャンドラー・カンタベリー、そして5歳の役はチャールズ・ヘンリー・ワイソン。今回の子役には、ちと心揺さぶられそーです。その力がないと、しまらない物語になるデスね。
さらに合成のためのキャストか、こちらもよーわからんのですが、ピーター・ドナルド・バダラメンティⅡも役名を連ねている。

因みにベンジャミンが恋する相手デイジーを演じるのはケイト・ブランシェット。その少女期をエル・ファニング、その赤ちゃんの頃をブラッド・ピット実娘シャイロー・ヌーヴェル・ジョリー=ピットが演じるのだそーです。ま、ちょいとだけでしょが…。

古いんだけどネ、「ジェニーの肖像」なんてのも思い出してしもうたデスが、時間の流れが違うので、今回は更に酷な気配もします。
いったい…ジャズ・エイズの夜に、フィッツジェラルドは何を思うたデスかね。映画見てから再度追ってみようと、思うとります。

さ、本作はいったいどう締めるか…原作の最後辺りは読まないことにして、この際、来年の春までじっと我慢の子(苦笑)、耐えて待つことにしたデスよ。(2008年/製作国アメリカ/アメリカ公開2008年12月19日/日本公開2009年4月18日)



▲Spanish teaser


▲Official site
Not Available

●Directer:David Fincher デヴィッド・フィンチャー
●Screenwriter:Eric Roth エリック・ロス
●Cast:Brad Pitt ブラッド・ピット Cate Blanchett ケイト・ブランシェット Tilda Swinton ティルダ・スゥイントン Jason Flemyng ジェイソン・フレミング Elias Koteas イライアス・コティーズ Julia Ormond ジュリア・オーモンド Elle Fanning エル・ファニング Taraji P. Henson タラジ・P・ヘンソン Patrick Holland パトリック・オーランド Spencer Daniels スペンサー・ダニエルズ Chandler Canterbury チャンドラー・カンタベリー Charles Henry Wyson チャールズ・ヘンリー・ワイソン
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