【政治部デスクの斜め書き】

 デスク番だった4日、菅直人新首相が新政権の発足にあたり、仙谷由人国家戦略担当相を官房長官、枝野幸男行政刷新担当相を党幹事長に起用する方向で調整をしているとの報告を受けたとき、「党内仕分けをやる気だな」と思った。もちろん「仕分け」の対象となるのは小沢一郎幹事長だろう。これまで民主党内には小沢氏が握っているカネの流れの不透明さ、情報独占に根強い不満があったからだ。

  [フォト]多くの人が集まる菅氏と逆に、小沢氏のもとには人影がない

 官房長官は官房機密費、幹事長は政党助成金を握っており、内閣にとっては最重要ポストだ。菅新首相が小沢グループや小沢氏に比較的近い議員ではなく、小沢氏に批判的だった仙谷、枝野両氏を両ポストに据えようということは、小沢氏の力を削ぐねらいがあるのは明白といえる。

 「小沢支配」を崩すには、小沢氏の力の源泉ともいえる「カネとポスト、それに各選挙区の情報」(民主党閣僚経験者)の独占状態を奪うことが必要だ。

 小沢氏がカネの力を使って党内を押さえつけてきた象徴的な例が、民主党静岡県連でおきた“事件”だろう。党本部は公認候補の現職議員に対して、「公認料を含めて選挙資金を一切出さない」ことを通達した。静岡県連会長の牧野聖修衆院議員によると、佐藤泰介・党財務委員長から「党本部の言うことを聞かない県連へのペナルティーだ」と伝えられ、県連の活動費も止めると告げられたという。

 県連は小沢氏が4月に静岡選挙区に2人目の公認擁立を決めたことに反発し、新人候補を支援しない方針を決めた。しかも静岡では、連合静岡の吉岡秀規会長が3月末、小沢氏が進めた2人目の候補擁立方針について「小沢幹事長が辞職願、辞任届を出す覚悟があるなら民主党の支持率は上がり、2人立てて戦うことができる」と述べ、民主党支持の連合の地方幹部としては初めて小沢氏の辞任要求をした。

 牧野氏は公認料差し止めは党本部側の意趣返しであるとして、「小沢氏の意向だろう」との見方を示した。

 党内では、鳩山政権に対して参院側から辞任要求が高まったのは、普天間問題での迷走などによる支持率低下問題に加えて、静岡でおきた「公認料差し止め」問題も影響していると指摘する議員もいる。

 「鳩山降ろし」のきっかけともなった先月26日の民主党参院議員総会で、声を上げたのは連合傘下の有力労組である電力総連、電機連合から支援を受けた議員だった。発言を聞いたある参院議員は「鳩山政権の退陣を求める連合の意向が働いている」と思ったという。

 このように小沢氏の手法への反発が広がっているなかで、鳩山由紀夫首相が退陣表明し、小沢氏も道連れにしたことで、党の雰囲気が変わることを期待する向きも強い。党内ではかねてから「参院選後の政局に備えて、他党にカネを流れているのでは」(閣僚経験者)との疑念が出ていた。新体制下で、枝野氏らが小沢時代に行われてきたことを「仕分け」すれば、世論の支持を浴びることになろう。

 枝野氏らが進めた「事業仕分け」はメディアにも大きな注目を浴び、党内では「成果」と受け止められている。枝野氏らが不明朗なカネの流れなどを追究すれば、喝采を浴びるかもしれない。

 もっとも、菅新首相の「小沢外し」路線は世論受けはするかもしれないが、参院選を直前に控えて、これまで小沢氏が主導してきた複数区での2人目の擁立方針を急に変えるわけにはいかないだろう。

 枝野氏は党で選挙対策をやった経験もないため、票獲得のためにはどこを回ればいいか熟知している小沢氏と比べると、落差は大きい。

 菅氏は小沢氏側が沈黙しているため勢いに乗っているかもしれないが、なんといっても相手は小沢氏である。菅氏らに「返り血」を浴びる覚悟があるのか。戦いの火ぶたはもう切っておろされているのである。

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