旧・日常&読んだ本log

流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

以降の更新は、http://tsuna11.blog70.fc2.com/で。


テーマ:
池田 あきこ
ダヤンと時の魔法―Dayan in Wachifield〈3〉

わちふぃーるどは、四季の美しさに溢れた世界。そう、それはこんな歌にも良くあらわれている。

 ふゆは タシルのふゆは 炉辺で ぬっくぬく
 はるは タシルのはるは お日様 ぴっかぴか
 なつは タシルのなつは 草木が ざっわざわ
 あきは タシルのあきは 夕焼け ぎっらぎら
 タシル わがタシル 愛しのタシルの街よ 永遠に(とわに)

この巻では、そんなうるわしいタシルの街の平和が脅かされる。前巻でダヤンたちを脅かしたのは、死の森の魔王だったけれど、わちふぃーるどには、実はもっと恐ろしい存在があったのだ。それは、わちふぃーるどの雪の神。魔王、死の森を出ることあたわず、との約束を破り、魔王がジタンの秘密を求めて北へと向かったことから、雪の神の怒りが天を衝く。

ダヤンはジタンとともに、わちふぃーるどを救うため、過去への旅に出る…。

この過去への旅は、本来の歴史の流れの中で、もともと定められていたものだったのだけれど、雪の神の怒りのために、この旅の様相は変わってしまい、困難なものとなってしまう。それでも、ダヤンとジタンは、タシルのみんなや、出会った動物たちに助けられながら、旅を続けるのだ。

しかし、タイムトラベルものは、読んでると何か頭がこんがらがるのです…。こんな私の頭では、SFが苦手なのもむべなるかな??

結局、この第三巻ではタイムトラベルの顛末は語られることなく、それは次の巻に続くよう。そして、この本の中で気になるのは、ジタンとセの行く末! 呪文のパンのないセに、静かに意識を手放したジタン。ああ、彼らはどうなってしまうのだ?

目次
第一部 雪の神
第二部 時の旅


臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

☆関連過去記事☆
ダヤン、わちふぃーるどへ 」、「ダヤンとジタン
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:
T.S. エリオット, 田村 隆一, エロール ル・カイン
キャッツ―ボス猫・グロウルタイガー絶体絶命

T.S.エリオットといっても、私にとってはエリック・シーガルによるアメリカの青春群像劇、『クラス』に出てきたなー(フィクションなので実際には関係ないのだけれど、主人公が名門エリオット家の末裔という設定で、いとこのトムがノーベル文学賞を受賞したという記述がある)、というくらいなんだけれど、著名な詩人なわけですよね。

そんなT.S.エリオットは児童向けの誌もかいており、彼の死後、これが大ヒットミュージカル『キャッツ』の原作になったのだとか。私は今回、この原作本を借りてきたつもりだったのだけれど、それはまた別の本で、『キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法("Old Possum's Book of Practical Cats")』というらしい。うーん、これはこれで、また借りてこなくては。きっと、基本設定はこちらに書いてあるのでしょう。

今回、私が借りてきたのは、エロール・ル・カインによるユーモラスな絵も美しい、『ボス猫・グロウルタイガー絶対絶命』。訳者も詩人、田村隆一氏!

目次
ボス猫・グロウルタイガー絶体絶命
ピークとポリクルの大げんか
ジェリクルの歌


■「ボス猫・グロウルタイガー絶体絶命」
「テムズ川のテロリスト」を名乗る、あばれん坊のグロウルタイガーがテムズ川にやってきた。
テロリストの噂を聞いたみんなは戦々恐々。
でも、グラマー美人に魂を奪われたグロウルタイガーの船に、シャムネコの大群がひたひたと忍び寄る・・・。表紙の真中の絵が、グロウルタイガーとシャムネコ。

片目の黒猫、グロウルタイガーがかっこいい。グラマー美人の色香もまた良し。

■「ピークとポリクルの大げんか」
犬同士の喧嘩に、グレート・ランパス・キャットが割って入った!
火の玉の目と大あくび。迫力のランパス・キャットに犬たちの喧嘩もおしまい。

ピークとポリクルも、表紙の左下と右下に鎮座してます。


■「ジェリクルの歌」

これ、ミュージカル『キャッツ』の歌になかったっけ?

のほほんとしたジェリクル・キャットの表情と(でも、みんな少しずつ違うんだけどね)、言葉遊びのような詩が楽しい♪
ジェリクル・キャットがお出かけするこの月の夜、月からしてジェリクル・ムーンなのだから、月までもが猫の顔なんだー。

シルクハットにステッキ持った、表紙の左上と右上にいる猫がジェリクル・キャット。

猫、それぞれの設定については、最初にも書いたように『キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法("Old Possum's Book of Practical Cats")』を読まなくては! そして、T.S.エリオットとエロール・ル・カインのタッグでいえば、魔術師キャッツ―大魔術師ミストフェリーズ マンゴとランプルの悪ガキコンビ 』もあるようですよ。こっちも探して読もうっと・・・。

エリック シーガル, Erich Segal, 田辺 亜木
クラス〈上〉
エリック シーガル, Erich Segal, 田辺 亜木
クラス〈下〉

☆関連過去記事☆
イメージの魔術師 エロール・ル・カイン
AD
いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)

テーマ:
オンライン書店ビーケーワン:ダヤンのカントリーダイアリー

塩野 米松, 池田 あきこ

ダヤンのカントリーダイアリー  

ダヤンはわちふぃーるどでどんな風に暮らしているのだろう。
アルスに住む、ダヤンの元の飼主、リーマちゃんが読んだら、喜ぶだろうなぁ、と思うような本。

目次
1.銀の輝きの2日目 4月
2.晴れのち嵐”魔女の快晴” 5月
3.ぼくの誕生日 7月
4.キャンプへ行こう 8月
5.赤トンボが山から降りてきた日 9月
6.台風が去った次の日 10月
7.山が赤く染まって5日目 10月
8.収穫祭の前々日 10月
9.タシルの冬の市1日目 12月
10.村に初雪が降った日 12月
11.軒のつららがぼくの背をこした日 1月

自然豊かなわちふぃーるどへ迷い込んだダヤンが綴る、わちふぃーるどの一年間。わちふぃーるどの皆の力を借りて、ダヤンももうすっかりカントリーライフの達人かな。

載せられているのは、春の野草や山菜の食べ方、ジャムや果実酒の作り方、アウトドアでの料理や、秋の木の実や、キノコの見分け方、蔓で作る駕籠の編み方、リースの作り方、イグルー(氷の家)の作り方など、難易度、種類も様々な「あそび」。難易度や種類がばらばらなだけに、このうちの一つくらいはやってみようかなぁ、と思えてしまう。ま、実際、やるかどうかは別ですが・・・。

 ← 文庫も

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:
オンライン書店ビーケーワン:イメージの魔術師エロール・ル・カイン

エロール・ル・カイン

イメージの魔術師 エロール・ル・カイン  

さくらももこさんの「
憧れのまほうつかい 」を読んで以来、ずーっと気になっていたエロール・ル・カイン。こんな本を見つけました。

まさに「イメージの魔術師」という言葉が相応しいエロール・ル・カインが描き出す世界は、緻密で実に美しい。東洋的とも西洋的とも言い切れない、複雑な要素を含んだ絵柄。表紙にあるようなどこかユーモラスなその表情が、また楽しい。

エロール・ル・カインが題材としたのは、古今東西を問わない、様々なジャンルのお話。それも絵本だけではなく、アニメーションまでも。細部まで拘り抜くのは、絵本であっても、アニメーションであっても、変わらない姿勢だったそう。

今回は、自分のためにも、画像が出て、自分が気になったものについては、ガシガシと画像を貼っちゃいます。もう、綺麗なんだ、これが。
オンライン書店ビーケーワン:いばらひめ  オンライン書店ビーケーワン:雪の女王  オンライン書店ビーケーワン:フォックスおくさまのむこえらび  オンライン書店ビーケーワン:ね,うし,とら……十二支のはなし オンライン書店ビーケーワン:アラジンと魔法のランプオンライン書店ビーケーワン:キャベツ姫  オンライン書店ビーケーワン:まほうつかいのむすめ  オンライン書店ビーケーワン:キャッツ  オンライン書店ビーケーワン:魔術師キャッツ

「キャッツ」は絶対探そうっと(ミュージカルは見たんだけどね)。しかも、これ、田村隆一さんが訳者だったのですね。知らなんだ。

さて、シンガポールで生まれたエロール・ル・カインは、一歳のときに日本軍の侵攻から逃れて、インドに渡ったそうだ。彼の幼年期の記憶は、デリーやアグラのこと、砂嵐やふりそそぐヒョウ、町の匂いによって形作られ、「学校への通学路にあった古い建物」であるタージ・マハルの記憶もあった。混沌としているのに、インドには緻密で美しい建築美がある。最近、インドも気になるですよ。

目次
Ⅰ おとぎばなしの語り手
Ⅱ アニメーション作家
Ⅲ イメージの魔術師
Ⅳ ル・カイン47年の軌跡
[寄稿] ル・カイン―メルヘン絵本にイラストレーターとしての特徴を探る
吉田新一
たぐいまれな才能
リチャード・ウィリアムズ
現代の魔法使いマーリン
イアン・キール
ル・カイン賛歌
田村隆一
エロール・ル・カイン―その生涯と作品
ペニー・シブソン


いいね!した人  |  コメント(5)  |  リブログ(0)

テーマ:
 
池田 あきこ
ダヤンとジタン

目次
第一部 リーマちゃんからの手紙
第二部 アルスの針樅林
第三部 魔王の城
第四部 バジリスク
第五部 ジタンの計画
第六部 魔方陣

わちふぃーるどで暮らすダヤンに、アルスからリーマちゃんの手紙がやって来る。アルスの文字が読めないダヤンは、ジタンに読んでもらおうとするけれど、ジタンは長旅にでてしまったようで・・・。

ジタンがふらりと長旅に出るのはいつものこと。わちふぃーるどの仲間たちは、ジタンは他のやつとは違うのだから、と彼の謎はそのままにしておこうと思い遣るのだけれど、ダヤンは違う。ダヤンはジタンを追って、枯れ木のウィザーロークと共に北に向かって旅に出る。タシルの北には、サーカス団マージョリーノエルや、火の山ガルボットがある。ダヤンとロークは、芸を練習しながら、旅をすることにする。もしかしたら、サーカス団に入れてくれるかもしれないじゃない?

ダヤンとロークは、いぼがえるのエルロイや、山椒魚、ロミオとジュリエットのような肉食竜のガイウスと草食竜のザイルの助けを借りて、サーカス団、マージョリーノエルのキャラバンへと辿り着く。ところが、ジタンは既にサーカス団を立ってしまった様で・・・。ジタンを追ったダヤンとロークは、なんと魔王の城に囚われてしまう! さぁ、彼らはどうなる?

さて、リーマちゃんからの手紙は、アルスにある針樅林をわちふぃーるどに移せないか、という相談だった。これは、リーマちゃんのひいひいおばあちゃんのベルさんからのジタンへの依頼でもあった。ふたつの世界で魔方陣を開き、シュービルさんがその魔方陣を結ぶ事で、針樅林の移動が可能になるのだという。

一方、ダヤンとロークはどうなったかというと、”隠れ蓑”の助けを借りて、何とか魔王の元を逃げだしていた。ところが、魔王の使い手、バジリスクが追って来る。これにはジタンの謎も関係しているようで・・・。 この二つの問題を一気に解決するジタンの計画とは一体どんなもの??

ジタンとベルさんとの関係、「死ねない」ジタンの謎。これらについては、更に続刊を読まないと分からないのかなぁ。アルスとわちふぃーるどの世界は全く異なるけれど、過去、これらの二つの世界は遠い昔は一つの星だったという。とりあえず、ダヤンはジタンにとって特別な猫ではあるみたい。

 ← 文庫も
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:
 
池田 あきこ
ダヤン、わちふぃーるどへ  

これは、ふさふさで大きなお目目、猫のダヤンの誕生と、彼がわちふぃーるどへ行くまでの物語。

目次
第一部 猫のダヤン
第二部 タシルの仲間たち
第三部 ダヤン、はじめての冒険

リーマちゃんのところで、猫のトムを母さんに生まれた、三匹の子猫のうち、ダヤンだけがちょっと特別な猫だったのだ。なぜなら、風も雨も稲妻も、みんながダヤンが生まれるのを見届けたのだから!

さて、リーマちゃんのひいひいおばあちゃんのベルさんは、『もう一つの国』で魔法使いをしていたと親戚から噂される、一風変わったおばあさん。ベルさんはダヤンに向かって、「あんたと会うのは、もっとずっと前で、ずっと後」などと謎めいた言葉を掛けるのだが・・・。そう、『もう一つの国』、それがわちふぃーるど! ある雪の日、わちふぃーるどの動物達の踊りに心惹かれたダヤンは、ヨールカの雪の魔法の扉をくぐって、わちふぃーるどへと飛び出した。

わちふぃーるどには、リーマちゃんがいない。最初は心細かったダヤンだけれど、わにのイワンや、うさぎのマーシィ、なぜかダヤンを気に入る月のおばさん、ねずみのウィリーたち、つまりタシルの仲間たちと段々と仲よくなる。一方、アルス(わちふぃーるどではない国。人間の国のこと)では、ダヤンがいなくなったことを悲しむリーマちゃんに、ベルさんがダヤンと仲間たちの話を語ってあげるのだった。

さて、第三部のダヤンのはじめての冒険とは、ダヤンがアルスから持ち込んでしまった「ヒマナシ」を退治するお話。アルスから持ち込んだものは、アルス生まれが退治すると、わちふぃーるどでは昔から決まっている。ダヤンはイワンと共に、いたずら妖精ファニイにからかわれながら、影食いの森を抜け、ひまつぶしの木を探しに行く。そして、この冒険の顛末も、ベルさんからリーマちゃんにすっかり語られる。リーマちゃんは、ダヤンの謎めいた友だち、猫のジタンが気に入ったよう。

私は先に、「
わちふぃーるど 四季の絵ばなし 」を読んでしまっていたのだけれど、いや、その時の疑問がするすると解けましたよ。結局「四季の絵ばなし」を、もう一度読み返してしまいました。

 ← こちらは文庫

 ← おお、こんなのも! 1、2、3が纏まっているよう。
池田 あきこ
愛蔵版 ダヤンとわちふぃーるど物語   でも、その分、いいお値段。笑 
                         カラーページは魅力的なんだけど。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:
ローズマリ サトクリフ, Rosemary Sutcliff, 灰島 かり
ケルトの白馬

イギリス、バークシャーの緑なす丘陵地帯には、地肌の白い土を露出させて描いた、巨大な白馬の地上絵がある(表紙写真)。これは、古代ケルト人の手による地上絵であり、時を超えて命の輝きを放ち続けている。

なぜ、どのようにして、この「アフィントンの白馬」が描かれたのか。
これは、そのあったかもしれない一つの物語。
**********************************************
イケニ族は馬を飼育する『馬族』であった。彼らは野生の馬を馴らし、仔馬を育てて、馬の数を増やしていく。白亜の丘陵地帯に辿り着いた彼らの祖先は、この草原が馬の放牧に適していることを見てとった。褐色の肌の先住民たちを追い払い、強固な砦を築き、ここを自分たちの土地とした。

族長のティナガンには、妻のサバとの間に生まれた息子が三人いた。末息子の名は、ルブリン・デュ。彼は大人びたまなざしと、白い肌と明るい色の髪を持つイケニ族には稀な、褐色の肌と黒い髪を持って生まれた。

ルブリンが他の者たちと違っていたのは、その外見だけではなかった。彼はつばめが舞うように飛ぶのを見ては、空に描かれる華麗な模様をつかまえようとし、竪琴弾きのシノックの音楽と詩を聞いては、それらが心の中で織りなす模様をつかまえようとする。

春が来て、ベルタイン祭りの火が消えた翌日、その年に九歳になった一族の少年は、揃って少年組に入る。少年組の子供たちは、背の低い長い建物で一緒に暮らし、戦士となる訓練を受ける。槍での戦い方や馬の群の扱い方、獲物の追い方、刀や投げ槍や投石器の使い方。戦車の組立て方。覚えることは数多い。祭司である樫の木の賢者イシュトラからは、呪文の読み方と書き方を、竪琴弾きのシノックからは、自分たちの歴史が読み込まれている歌を習う。一族の少年が、一人前の男になるとはこういうこと。

ルブリンとダラは、その性質は違うものの、言葉ではなく互いを理解したもの同士、親友として育つ。少年組三年目のある秋の日、一族のもとに北方から商人がやって来る。この商人の何気ない言葉と古い歌の記憶が重なり、二人の少年の間に一つの夢が生れ落ちる。彼らの一族は遠い昔この土地にやって来た。海と山の間に広い草原がある国、その北の国を求めて、祖先と同じようにダラとルブリンとで若者たちの集団を率いていけたら・・・。

ルブリンの部族では、族長の跡継ぎとなるのは、息子ではなく族長の娘と結婚した男。母サバの死により、ルブリンの妹テルリは十二歳で婿選びの儀式をしなくてはならなくなった。樫の木の賢者、イシュトラが告げた婿の名は、ダラ。ルブリンとダラの立場は、もう同じではない。二人で北の地へ向かうという夢は潰えた。

平和に暮らしていた彼らのもとに、南から不穏な影が忍び寄る。そしてそれは、テルリが十四歳となり、テルリとダラの婚礼がとり行われた新月の晩に、現実のものとなった。アトレバテース族が、とうとうルブリンたちの砦を攻めてきたのだ。闘いに出た一族の戦士たちから、ルブリンははじき出され、ドロクマイルとともに、残留組となり砦に残る。敵の襲撃に立ち向かうよりも、実は残ることは一番難しい仕事であると諭され、ルブリンは父ティナガンの信頼に応えようと思う。

戦い虚しく、ルブリンたちの一族は、敵であるアトレバテース族に征服される。ルブリンは唯一人生き残った族長の息子として、一族の生き残りをまとめること、敵の族長の口となり耳となることを要求される。族長とはそういうこと、敵の指揮官クラドックにもそれが分かり、ルブリンにも勿論それが分かる。そして族長の重責は、代わってくれるものもない。

ルブリンたちは、アトレバテース族の奴隷として、彼らの砦をより強固なものにするために働いていた。冬が過ぎ、春となった。クラドックは偶然、数本のゆれる線だけで、馬の群がすさまじい勢いで走る様子を描くことが出来る、ルブリンの絵の才能を知る。ルブリンの絵に執着するクラドックと、ルブリンはある取引を行う。

緑の丘いっぱいに広がる白い馬。丘の斜面を掘って描く、巨大な馬。

それは、もしクラドックの望みどおりの馬を作ることが出来たなら、一族の生き残りを自由の身とし、どこかよその土地で馬を飼う事が出来るように、雄馬と仔を産める雌馬を分けてくれ、というもの。ただし、族長である二人の男の約束は、そこで語られたことが全てではない。言葉にはされなかった何物かがあり、それは暗闇の中で時が満ちるのを待っている。

ルブリンが子供の頃から夢に見た白馬は軽やかに丘を駆け、一族の生き残りたちも自由の身となる。しかし・・・
**********************************************
全編を流れる風、彼らの女神エポナ、ルブリンのハルニレの木、彼らの慣習、全てが美しい本。最後のルブリンとダラの友情には、短い物語であるにも関わらず、涙が出た。
いいね!した人  |  コメント(13)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。