旧・日常&読んだ本log

流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

以降の更新は、http://tsuna11.blog70.fc2.com/で。


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森福 都

琥珀枕


安心の森福さんの中国伝奇モノ。

此度の物語では、すっぽんの化身が出てきます。すっぽんとはいえ、非常に長い長い時を生きている徐庚先生。その叡智は限りなく、中国は東海郡藍陵県の県令の子息、趙昭之を教え導くのです。

目次
太清丹
飢渇
唾壺
妬忌津
琥珀枕
双犀犬
明鏡井

解説 末國義己


少年、趙昭之は県令の一人息子。県令たるもの、善く人々を治めなければならない。であるからして、市井の出来事にも通じているべき。そこを導くのが、すっぽんの化身たる徐庚先生。先生は全てを教えてくれるわけではないのだけれど、趙昭之と徐庚先生は今日もまた、県城を見下ろす香山の照月亭に向かうのです。さて、そこから見える景色はいかに? 七つの物語。

太清丹」では、不死をもたらすという仙薬から、美女の恐ろしさをかいま見、「飢渇」では、飢えた幽鬼に取りつかれた人間を見、またそれすらをも利用する人間の強かさを見る。「唾壺」では、矢鱈と耳の良い塩売りの秘密を知り、「妬忌津」では美女を川に引きずり込む妖怪、妬忌津の正体を知る。
琥珀枕」では、若かりし頃の徐庚先生が出会った事件が語られ、「双犀犬」では趙昭之の両親の出会いが語られる。「明鏡井」で語られるのは、趙家の官舎の裏庭にある井戸で起こる怪異。

太清丹」に出てくる、体に巣食う赤蛭や、蛭珠(ひるだま)はおぞましいし、「妬忌津」では艶やかな人面瘡が探偵役となる。しかも怪異は人間の手によるものとオチがついたかと思いきや一転…。出てくる怪異も、気持ち悪いものから、あでやかで艶やかなものからさまざま。あっつい夏にこんな怪異がぴったりくる。

連作スタイルで、最初は怪異は外部のものであり、それとの関連が薄かった少年、趙昭之も、ラストの「明鏡井」では、立派に怪異に立ち向かうことになる。緩やかな成長物語、と読むことも出来るのかも。徐庚先生は今日もどこかで、少年を導いているのやもしれません。そもそも徐庚先生が、趙昭之を教え導くことになったのも、先生の評判を聞いた昭之の父が屋敷の庭に掘らせた大きな池に玉砂利を敷き、礼を尽くして招いたからなんだよね。不思議が当たり前の顔をして隣にあるこの世界。なかなかいい感じなのでありました。森福さんの中国ものはやっぱりハズレなし!

☆関連過去記事☆
・「吃逆 」/探偵はしゃっくり癖の進士様!
・「狐弟子 」/人間は、結構ズルい

 ← 単行本の表紙もいいな。
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小泉 武夫
中国怪食紀行―我が輩は「冒険する舌」である

目次
まえがき
中国地図
【第1話】赤い色が似合う国
【第2話】犬を食す
【第3話】涙に咽ぶ魚です
【第4話】君知るや究極の蛇の味
【第5話】鶏がとっても旨いから
【第6話】草の子たちに成仏あれ
【第7話】虫は胃のもの味なもの
【第8話】永遠の熟鮓(なれずし)
【第9話】茶の国は知恵深し
【第10話】醸して変身
【第11話】豚は家族の一員である
【第12話】牛肉がいっぱい
【第13話】蘇れ珍獣たち
【第14話】悠久の蒸留器
【第15話】食うことは豊かさの象徴
【第16話】傘を差して大をする
【第17話】路上は今日も大らかなり
【第18話】スッポンと宰相
【第19話】ヤシガニの涙
【第20話】名酒は老窖(ラオチャオ)より出て胃袋に収まる
【第21話】朝の一杯、夜の三回
【第22話】焼鳥はごゆっくり
【第23話】曲は音楽にあらず
【第24話】愉快な職人たちに幸あれ
あとがき
解説 中島らも

目次と副題、『我輩は「冒険する舌」である』、これが全てを物語っていますが、豊富な写真とともに舌による冒険譚が語られています。

大きく分ければ、ゲテモノ系、専門の醸造学・発酵学関係、薀蓄系という感じ(16話、17話などは、暮らしぶりとでもいいましょうか)。何れも軽妙な語り口で書かれており、豊富な写真と相まって、スライドを見ながら、人気教授の講義を受けているような気分になります。

「椅子と机以外の四足は全部食べる」という中国の食。第13話第19話では、希少動物の話が出てきます。保護はされていても、山中までは政府や地方行政区の管理と監視が行き届かないようで、「珍しい」という価値でもって、希少動物が食材として取引される事も珍しくないそうです。食の冒険家であり、冒険する舌を持っているといっても、それは何でもかんでも食べるということではなく、考えながら味わう舌でなければならない、と教授は書いておられます。広い中国、監視を行き届かせるのも、並み大抵の労力では難しいのでしょうか。

物珍しく、面白かったのは、第20話第23話。中国はひとり、つぼや桶、タンクといった容器を必要とせず、土に穴を掘って、それを器にして酒を醸してきた国なのだそうな。当然、液体であれば、土の中に染み込んで無くなってしまうわけで、これは原料が液体ではないからなせる業。原料の穀物を蒸して、それを窖(チャオ:前述の土に掘った穴)の中に放り込んで発酵させる、固体発酵による酒造りを行っている。主原料は蒸した穀物、これにレンガ状の麯(チュイ:麹のようなもの、「曲」ということもある)を砕いて混ぜ、その上に土を被せて土饅頭をつくる。窖の中で、麯の糖化酵素の作用によって、主原料の穀物のデンプンが分解されてブドウ糖になり、ブドウ糖に窖の壁や煉瓦に付着していたアルコール発酵を起こす酵母が作用して、アルコールが生成される。その後、これを掘り出して蒸留するのであるが、このように水を使わないために、中国の白酒は、酒精度の強い酒が生まれてくるというわけ。

この独特の製法により、得られた蒸留酒(白酒)には多種多様の個性を持った香味がついており、これを分類するのに、中国には「香型(シャンシン)」という分類法がある。香により酒を分類するのは、世界でも実に稀なこと。また、アルコール度数が高いお酒が得られるために、抽出力が高く、多種多様の薬酒が生まれる下地となった。

私にとっては非常に面白い本でしたが、蛇や虫、(食用としての)犬の写真などが、かなりあっけらかーんと出てきますので、これらが苦手な方にオススメはいたしません。「美味しそう!」とか「食べたいなぁ」と思うものは、実はかなり少なかったりもするのですが、世の中には色々な食べ物があるもんだなぁと、興味津々、面白い本ではありました。

←こちらは、日本経済新聞社による単行本。

単行本の写真の方が少しハードでしょうか。上に上げた光文社・知恵の森文庫のものは、「93:ある食堂の風景(脂肪つきの豚の皮、開いて干した鶏肉、栓抜き、金網、柄杓、干した豚の内臓が壁にかけられている)」が、単行本の方は、「45:角つきの顔も材料(農耕民族の町の自由市場で売られていた、山羊の角つきの顔の皮)」が表紙となっているようです。文庫の方は一見何だか分かりませんが、単行本の方は如何にも怪しげですよね。
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宮部みゆき「鳩笛草―燔祭・朽ちてゆくまで」

これは、超能力を持つ3人の女性を巡る三つの物語。

目次
朽ちてゆくまで
燔祭
鳩笛草

「朽ちてゆくまで」は幼いころに両親と共に事故に遭い、一人生き残った智子の物語。一緒に暮らしていた祖母の死により、それまで住んでいた家を売却しなくてはならなくなった智子。智子には、実は両親と共に事故に遭う以前の記憶がない。家の整理をする内に、智子は不思議なビデオテープを見つける。
最後に彼女の元に還って来た物とは。

いつかこの身が朽ちてゆくまで。

彼女はそれを背負って生きなくてはならない。

「燔祭」「クロス・ファイア」の青木淳子の物語。ただし、主人公は青木淳子ではない。語りは9歳違いの妹を殺された、多田一樹。これは多分、「装填された銃」として生きる、青木淳子の初めての「仕事」の話。

(新聞を見ていて。そこに載れば、あなたにはそれがわたしだってことがわかる。元気で生きているってことがわかる)
装填された一丁の銃として生き続けているということが。

青木淳子の生き方は悲しすぎる。

「鳩笛草」は、刑事の貴子が主人公。彼女はその人の持ち物に手を触れることで、時には人の呼吸を感じたりするだけで、その人の心の中を識ることが出来る。所謂、透視能力者。しかし、彼女には負い目がある。自分はこの能力のために、私服刑事になれたのではないか?もし、この能力が衰えても、自分は刑事でいられるのか?

「歌うことのできる花なんて、花の中じゃ異端児でしょう。だから、こっそり隠れて、朝早くとか夜遅くとかに、密かに歌うのよ。だけど、鳩笛草は、きっと歌うことが好きだろうって。目立たなくて、ちっとも鮮やかじゃない地味な花だけど、でも、歌うことができるってことを楽しんでるだろうって、あの人は言ってた」

彼女の同僚の、大木刑事がいいです。

オンライン書店ビーケーワン:鳩笛草

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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佐光紀子「毎日楽ちんナチュラル家事」光文社知恵の森文庫

何を隠そう家事は苦手。特に勤めていた頃は毎日の通勤で疲労困憊。ひどいものでした。 まさによれよれ。「家事劣等生でも大丈夫!これで何とかしのげます」の帯に惹かれてその当時購入。こんな私を助けてくれるの?、よよよ、という思いでした。 章立ては以下のようになっています。

一章 他人の家事をのぞくっておもしろい
      日々発見の寮生活
      生活を支えるシンプル家電
      100人いれば家事のやり方も100通り
二章 お掃除の楽ちん安全ワザ
      ナチュラル・クリーニングに切り替えると  
      キッチンの基本的なお掃除方法 
      リビングのお掃除方法  
      洗面所とバスルーム  
      トイレ
三章 片付けられない私
      片付けと掃除は別物
      玄関収納って大事
      掃除用具はどこにしまうの?
      ごちゃごちゃキッチンを何とかしたい
      アルバムやビデオ
四章 洗濯とアイロンがけ
      お手軽お洗濯の洗剤と洗い方
      衣類の管理とお洗濯
五章 食べること
      買い物はお好き?
      食事を作る
      食べる準備と食べること
      後片付け
六章 情報とお金の管理
      時間の管理
      連絡先の管理
      お金の管理
      おわりに


働きながら、三人の子供を育てておられる著者。旦那様も「気軽に手伝ってはくれる」そうですが、結婚後「基本的には私が「主婦」として家事を担当するような状況に、事態は進んで」いくわけです。「 いわゆる偏差値世代で、小学校高学年から、「お手伝いより勉強しなさい」と言われて育った私 」には、思い当たる節がある方も多いのではないでしょうか。これはそんな著者が教えてくれる、「しのぐ」家事の本。

これを読んで、薬局に重曹(アルカリ性)とクエン酸(酸性)を買いに走りました。汚れの質を見極めて、中和して落とす所など目から鱗が落ちました。世の生活者の方々、参考になると思います。カラフルで細かく種別に分かれた洗剤を持ってうんざりするよりも、重曹とクエン酸の二種類を使ってさっさと掃除をする方が精神的にとっても楽です。一度にそんなに沢山の量を使うわけでもない、あの種の洗剤大嫌いです。(使い切ったら順次捨てていく予定ですが、まだ残っている奴らには、洗剤と埃が一緒に嫌な感じにくっ付いて泣けてきます。なんだって洗剤のボトルを掃除しなくてはならないのでしょう。)

著者: 佐光 紀子
タイトル: 毎日楽ちん ナチュラル家事

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

正確には光文社知恵の森文庫から出版されています。「知恵」という言葉がいいですよね。「知識」は簡単に増やすことが出来るけれど、「知恵」はそうではない。
周りからの伝承が途絶えている時代ですから、こうやって色々な本から「知恵」を授けてもらえるのって大変に有難いです。
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みなさん、GW中の体重の変動は如何でしたか?私はですね、ここの所せっかく減った状態で落ち着いていた体重が、実家等での暴飲暴食により、あああ・・・。実家に行く度に体重が増加してしまう私です。普段は「地味めし」を心掛けているのですけれど。「地味めし」とは何ぞや?こちらのことです。

横森理香「地味めしダイエット」光文社知恵の森文庫

この本は結構前にブックオフの100円文庫で手に入れたもの。
普段の食生活への心構えとその実践が説かれています。 あくまで「普段の」ものなので、一時的なものではなく、継続した食生活によるダイエットを推奨しておられます。魚柄 さんのものと被っている部分もあるのですが、こちらは話し言葉でガンガン書かれています。理論というよりは、現代社会における実践。

「地味めしダイエット」の基本食材は、「いい塩と、いい油、それに無添加の醤油、酒、みりん、味噌、酢」とのこと。何となく簡単に出来そう。それにこれを実践すると、冷蔵庫の中に賞味期限切れの調味料だの、ドレッシングが溢れることもなくなる。・・・私、よく調味料の賞味期限切らすんですよ。使っちゃいますけどね。

地味めしダイエットの鉄則は、以下に挙げられるもの。
①お菓子、スナック類は、絶対に買わない、②大好きなものは「お外」で!、③チョコレートを買うのは年に一回、④水は常温のミネラルウォーターを、⑤缶コーヒー、ジュース類は飲まない、⑥いただきもののお菓子はちょっとだけ味見、⑦牛乳、バター、チーズ、卵は常備しない、⑧太らないアイディア
出来ていないものも多いですが、頭の片隅に入れています。

「超おいしく超簡単な地味めしレシピ」なるレシピ集もついています。文体に好き嫌いが分かれると思いますが、「シンプルで力強く、美味しくて、お肌の調子も体調もよくなり、お金もかからない。この本では、みなさんにその方法を伝授いたします」というこの本、一読されても損はないかと。気持ちいい身体でいたいですよね。

体は魂の器だから、きちんと管理しないと魂が悲しむ―。妙にぶくぶく太ったり、逆に痩せ過ぎていたり、体のどこかが痛かったり、苦しかったり、心地よい体でいないと、気分も悪くなるでしょう。それは魂が悲しんでいるのです。まわりを見渡してみて下さい。体の大小や姿形はともかくとして、ちゃんと健康管理ができている人は、ピカピカに輝いています。その人自身の心地よさが、漂ってくるではないですか。これは、魂が喜んでいるのです。「いいうちに住まわせてくれてありがとう」ってね。

著者: 横森 理香
タイトル: 地味めしダイエット

横森理香
さん、「エステマニア」も読んだのですが、小説よりも実用書に割り切った方が私との相性がいいみたいです。無理に小説にせんでも、と思ってしまいました。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡下さい。
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