旧・日常&読んだ本log

流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

以降の更新は、http://tsuna11.blog70.fc2.com/で。


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西尾 維新, あさの あつこ, 諸星 大二郎

妖怪変化 京極堂トリビュート


目次
鬼娘                     あさのあつこ
そっくり                   西尾維新
「魍魎の匣」変化抄。           原田眞人
朦朧記録                  牧野修
粗忽の死神                柳屋喬太郎
或ル挿絵画家ノ所有スル魍魎ノ匣   フジワラホウコウ
薔薇十字猫探偵社            松苗あけみ
百鬼夜行イン                諸星大二郎


表紙には、石黒亜矢子氏、小畑健氏の名前もありまして、お二方は、それぞれ一枚の絵のみで参加(石黒氏:京極堂、小畑氏:榎木津)ということだと思いますが、「デスノ」の小畑氏、流石の美しさであります。白黒なんだけど、これ、カラーで見たかった!

ええと、この本、amazonで評判が良くないんですが、うーむ、確かにむべなるかな。

京極堂シリーズは、蘊蓄の京極堂、破壊(でもないかしらん?)の榎木津、崩壊の関口、軽薄の益田、忠誠の和寅など(あ、木場の旦那を忘れちゃった)、立ちまくったキャラに、独特の「憑物落し」の世界観が特徴だけれど、これをそのままなぞっただけでは、そりゃー本歌の方が面白いのは当たり前。ちょっと違ったアプローチをしていたものの方が、面白かったです。

■鬼娘
京極堂へと至る眩暈坂で、中禅寺敦子は様子のおかしい女性に出会う。比良時子と名乗る女性を、敦子は京極堂へと連れて行き、兄嫁の千鶴子に介抱を頼むのだが…。
時子は自分は生き肝を食べる鬼女だと語るのだ。
 傑作と名高い「バッテリー」を読まずして語るのもあれなんですが、あさのあつこさん、「福音の少年」(どのへんが「福音」なんだかさっぱり分らず)がダメで、それ以来あまり良い印象を持っていません。で、この「鬼娘」は京極堂の世界をなぞっちゃったもので、あまり工夫が見られませんでした。

■そっくり
一族の中でも変わり者扱いされていた祖父。その祖父から届いた、亡くなる直前に書かれた「懺悔」の手紙の内容とは?
 戯言シリーズ(未読)や、「
魔法少女りすか 」シリーズの西尾さん。世界観はそのままだとは思うんだけど、あの人を出してきたところが巧かったです。これは、本家にほんとにありそうだもの。

■「魍魎の匣」変化抄。 
映画監督描くところのお話のようだけれど、これは読み通すことが出来ずに、途中でぶん投げました。こういう作中作みたいなのって、よっぽどうまくないと、どうも読めません…。

■朦朧記録
記憶の地獄を彷徨う「関口」。みな、同じように年老いた。彼の病室を訪れるのは、今では車椅子を操る京極堂。彼の姿は車椅子に座った黒衣の死神のよう…。
 これは、面白かったです。オチのある一点が気に入らない(というか、個人的感情としてイヤ)のだけれど、そうそう、トリビュートというのならこういうお話でしょう、という巧さ。

■粗忽の死神 
京亭三茶久なる落語家が語る死神の話。上方でもないのに、「京亭」を名乗るこの一門。実は初代の師匠が、箱根の旅館、仙石楼で出会った京極堂に心酔し、「京」の一字を貰ったのだという。さて、そんな経緯ゆえか、「京亭」一門は、一応憑物落しの一門でもあるというのだが。死神に自分を落とす様に頼まれた三茶久は、さて…。
 ほとんど京極堂には関係ないけど(だって、一字を貰ったって、ねえ?笑)、これは面白かったなぁ。落語だし、いい感じの軽みが出てます。

■或ル挿絵画家ノ所有スル魍魎ノ匣
絵を描かれている、フジワラホウコウ氏を知らないのですが、おどろおどろしい絵が十ページちょっと。

■薔薇十字猫探偵社
これは楽しかったな~。松苗さんの絵で、京極堂や榎木津が見られるだけでも楽しいんだけど(エノさん、私のイメージだと、もちっと線が細いけれども)、猫が!猫が!
お金持ちの家から脱走した、エジプトから取り寄せたという、美しく、凶暴で高貴な猫(野生のリビアヤマネコ)。そのお嬢様が京極堂に良く本を頼む関係で、京極堂のもとへも、女中が猫を探しに来るのだが…。実はその女中には、猫が人間の男の姿に見えていて、というお話。美しく、凶暴で、高貴な男といったら、ねえ? 和寅と益田の絵も好きー。石榴は割とぶちゃいくな猫になってました…(私の中では、割と美猫のイメージだったんですが)。

■百鬼夜行イン
百鬼夜行が百物語! その一話、「書き損じのある妖怪絵巻」が主に語られ、百話語り終わった後のオチは勿論、というやつです。

私は図書館で借りたからいいんですが、どうなんだろう、これで1200円。高いとみるか、安いとみるか? 松苗さんのが、もっといっぱい載ってたら、高くはないような気がするけど、今の構成だとちと微妙かな。

■京極堂シリーズ関連記事■
邪魅の雫 」/待ってました、京極堂シリーズ最新作!
百器徒然袋―風 」/にゃんこーー!!
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新藤 悦子, 小松 良佳

青いチューリップ (講談社文学の扉)

青いチューリップ、永遠に (文学の扉)


またまた、「Ciel Bleu 」の四季さんところで気になった作家さんです。

著者、新藤悦子さんは、ノンフィクションライターでもあり、ファンタジー小説家でもあるそうな。この「青いチューリップ」はファンタジーではないけれども、ノンフィクションでもなく、この時代にあったかもしれない少年少女の物語。

ちょうど、これ、夢枕獏さんの「シナン 」と時代がかぶっているんですねー。その辺の予備知識がなく、このてんこ盛りの本を読むのはちょっと辛かったかも?

新藤さんの本のどれかを読むつもりで、最初にこの二冊に行ってみたのだけれど、うーむ、これは四季さんも書かれているけど、一冊目の「青いチューリップ」はちょっと詰め込み過ぎですね。

■四季さんの記事
・「青いチューリップ」「青いチューリップ、永遠に」新藤悦子
クルディスタンの山の民であり、羊飼いの息子、ネフィはある日、父、カワと共に、山の中で旅人、バロに出会い、彼を助ける。バロはオスマンの国の都イスタンブル、スルタンの街から来たのだという。バロが歌う「青いラーレ(チューリップ)」の歌に、父カワは顔色を変える。赤いラーレは数あれど、青いラーレは都にはない。また、その歌も父にとって特別なもののようで…。

父はその歌をバロに教えた人物に会いに、ネフィは山に咲く青いラーレを、有名な栽培家であるアーデム教授に見せるために、巡礼の旅と称し、山を下り、エユップまで旅する事になる。

ネフィは『春の使者』と名付けられた山のラーレを手渡してからも、アーデム教授の元を去らず、学校に通わせて貰い、チューリップの交配や薬草の知識もつけ、教授の庭仕事の右腕として育つ。絵師を夢見る教授の娘、ラーレと共に…。勿論、イスラムの国であるトルコでは、女が絵師になれる望みなど、あるはずもないのだが。

山のラーレが教授の庭で咲いてから七年、とうとう、二人は真っ青な色を持つラーレを咲かせることに成功する。

扉には、「こんな花、咲かせてはいけない。よからぬことが、かならず起こります」という不吉な言葉が記されているのだけれど、まさにここから青いラーレを巡って、アーデム教授の一家の元に不幸が訪れる。アーデム教授はスルタンの怒りを買い、牢に入れられ、家財一切は召し上げられてしまう。

一巻は、このアーデム教授を助けようという、ネフィとラーレ二人の冒険譚。いくら、宮廷の絵師頭、シャー・クルの孫娘だからとはいえ、こんなにうまくいくか??というところも多々あるんだけど、物語はガンガン進む。また、先ほどは「二人の」冒険譚と書いたけれど、ほんとはシャー・クルがお目付け役としてよこした、一番弟子のメフメットも、この旅のメンバーの一人。ネフィやラーレが生き生きと描かれる分、冷静沈着で彼らよりも少し大人のメフメットは少々分が悪い感じ。

二巻は、ラーレをめぐる恋の話と、成長して大人の入り口に立った、彼らそれぞれがどう生きていくか、というお話。一巻に比べると、だいぶすっきりしているけど、やはり、ここでもネフィの恋敵メフメットはどうも分が悪いなぁ。

もっともっと細かく丁寧に語る事が出来る部分も、展開を重視するタイプの児童書なのか、すごい勢いで飛ばしていきます。それでも印象に残ったのは、都が贅を尽くしている頃に、苦しんでいる東の辺境の人々の事や、スルタンの栄光がだんだんと翳って行くところ。ちょっとこの後の、オスマントルコの時代的な背景が自分には良く分らないのですが…(それでも、とりあえず、Wikipediaのスレイマン一世の項にリンク )。栄光のオスマントルコという大国と比較しても、ネフィやラーレの若さは眩しく力強い。一巻の旅の間、ネフィ、ラーレ、メフメットは、これまで自分たちが知らなかったような世界を見、それによって彼らの世界観は変わる。これまた、生き生きと伸びていくネフィ、ラーレに比べて、メフメットはマイナス面の影響しか受けていないようにも思うのだけれど…(というか、メフメットはどうやって立ち直ったんだ??)。

ペリ(妖精のようなもの)が出てくるところでは、「砂漠の宝―あるいはサイードの物語 」を思い出した。こちらは、実際の旅と物語が絡み合っていくお話なのだけれど、旅と言えば、これぐらいじっくり語れてしまうものなのにねえ。本筋ではないからか、「青いチューリップ」では、キャラバン・サライなどの話も出てくるけれど、あくまでさらり。でも、続きもありそうな終わり方なのです。次は、ネフィの砂漠への旅かな??

もくじ~青いチューリップ~
一 都へ
二 幻のチューリップ
三 アーデム捕らわれる
四 宮廷
五 流れ者バロ
六 キャラバン
七 山の長老団
八 洞窟に絵を
九 炎の祭り

もくじ~青いチューリップ、永遠に~
一 アーデム教授の秘薬
二 ユダヤ人医師モシェ
三 ラーレの結婚話
四 謎の招待状
五 シャー・クル倒れる
六 妖精ペリ
七 らくだとげの秘密
八 ハレムの女楽師
九 ペルシアへ
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北森 鴻

香菜里屋を知っていますか


これにて、≪香菜里屋≫シリーズは打ち止めということらしいのですが、まだ四作目なんですよね、うーむ、勿体なーい。

さて、こたび、語られるのは、店主・工藤の事情。謎解き場面では前面に出張って来たとは言え、一応黒衣の存在であることが求められたバーの主人としての顔ではない、工藤個人の顔の話。彼の過去には何があったのか、彼は誰を待っていたのか、どんな思いで夜毎、あのぽってりとした提灯を灯していたのか。脇を固めるのは、お馴染みの面子であったり、≪香菜里屋≫シリーズに出てきた懐かしいあの人であったり。なんと、今作では、例の池尻大橋のバーマン香月は、結婚してしまうんですぜー。独身主義者なのかと思っていたよ…。

香菜里屋の常連たちも、それぞれの理由でその地を離れ、また香菜里屋という存在自体も…。さみしいけれど、やはりこれが最後なのかしらん。別れがテーマになることが多く、いつもの料理もいつものようには楽しめませんでしたよ…。

目次

ラストマティーニ
プレジール
背表紙の友
終幕の風景
香菜里屋を知っていますか


「ラストマティーニ」
≪Bar谷川≫の老バーマンが出す、古き良きスタイルのマティーニは、長く香月が信頼を置いていたものだった。ところが、ある日≪谷川≫を訪れた香月に出されたマティーニは…。


「プレジール」

人には楽しむという言葉が背負いきれなくなる時がある。励ましの言葉が呪いの忌み言葉になる事がある。プレジール、楽しむ会を結成していた、三人の女性たちにも、それぞれの変化が訪れていた…。

「背表紙の友」

香菜里屋の店内で、いつものように弾む会話。ところがこの会話には、三十年前にある田舎町で起きた、ささやかな出来事が隠されていた。本に関する話題にはつい頬が緩むのだけれど、「背表紙の友」という言葉が床しい感じでいいなぁ。たとえそれが、男子中学生のよからぬ思いから来たものであっても…(ま、可愛いもんなんだけど)。

「終幕の風景」

変化はいつだって些細な事から始まるもの。常連客が香菜里屋で感じた違和感の正体とは? そして、工藤の店からタンシチューが消える。香月が語るに、工藤のタンシチューはただのタンシチューではない。それは二人がともに修行した店の直伝の料理。そこで起こった不幸は、工藤のその後にも影響し、工藤はタンシチューを作り続け、待ち続ける男となった。これに関しては、次の短編にも話が引き継がれる。

「香菜里屋を知っていますか」

この話では、工藤の姿が見えない。その代わりと言うべきか、他シリーズの登場人物たちが豪華メンバーで出演します。香菜里屋を知りませんか? その問いに答えるのは、一 雅蘭堂の越名集治、二 冬狐堂・宇佐美陶子、三 蓮杖那智。
蓮杖那智がラストを締める。香菜里屋は迷い家のようなものだったのかもしれない。山中で道に迷った旅人が、ふとたどり着く一軒の家。そこで渡された握り飯はいつまでもなくなることがなく、またその家から拝借した椀には、米が絶えることなく溢れるのだ。その話を聞きつけた他の人間が山中を歩きまわっても、決して見つからない、そんな迷い家…。
終焉はまた、開始への約束でもある。さて、香菜里屋は、工藤はどうなるのでしょうか。

■関連過去記事■
桜宵 」/広がる北森ワールド(≪香菜里屋≫シリーズ2)
螢坂 」/ビアバー≪香菜里屋≫にて・・・(≪香菜里屋≫シリーズ3)
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よしなが ふみ
きのう何食べた? 1 (1) (モーニングKC)

仕事帰りに立ち寄った本屋で、むらむらと買いたくなってしまい、珍しく購入したものです。ブログを見れば丸分かりかと思いますが、私のここ数年の読書は図書館中心。お陰さまで、ハードカバーなんかはバンバン読めるのですが、どうしても弱くなるのが漫画方面(世の中には漫画が置いてある図書館も多いようですが、我が図書館にはほとんど置いてないのですー)。

漫画は嵩張るのとコストパフォーマンスが悪いので、漫画文庫以外はここ数年、ほとんど手を出していなかったのですが、これはネットなどでの評判も良かったし、えいやと購入。

結果、良かったですー。料理漫画としても、十分に読むことが出来るし、レシピがざっくり描いてあることを考えると、レシピ本としてもいけるというわけで、コストパフォーマンスも丸。

中心となるのは、弁護士の筧史郎(シロさん・43歳)、美容師の矢吹賢二(ケンジ・41歳)のゲイの同棲カップルの食生活。

二人暮しの料理を担当する筧史郎は、背は高いし、ハンサムだし、料理は出来るし、弁護士だし…、と一見、かなりの好条件に見えるのに、彼がゲイだと知らない同僚からも、「普通の男が、43歳にして、あの若さと美貌だなんて気持ち悪い」などと言われてしまう。ある程度の年を重ねると、あまりに美貌の男というのは、胡散臭いものなのでしょうか。大手の渉外事務所で死ぬほど働かされるよりも、そこそこの収入で人間らしい暮らしを望む彼。料理の様子も、仕事帰りに寄るスーパーの雰囲気や、スーツを脱ぎながら下ごしらえするところなど、現実の臨場感たっぷり。確かにこれだったら、一度に何品も作り上げることが出来るよなぁ、と納得できる手際の良さ。
一話完結のお話の最後には、よしながふみさんによる、その料理の別アレンジの仕方が載っているのも良し。

そうだなぁ、そうやってやれば出来ると分かっていても、自分はついつい手を抜くし、品数も多くは作れないんだけれど! 何品も一気に作り上げて、心の中で秘かにガッツポーズをとる勢いの達成感を得ているシロさんが可愛いです。そういう日々の達成感って大事かも。そうして二人で一緒に食べることが、また「しあわせ」なわけで(ケンジがまた幸せそうに食べるんだ)。調理法としては、一気に作るだけあって、出汁を取るとかそういう面倒なことは言わず、茹でて合えたり、だしの素や、めんつゆが登場するのも特徴でしょう。身近でそんなに値の張らないものをうまーく使いこなしています。この中で、やってみたいと思ったのが、鮭とごぼうの炊き込みごはん。ちょっと生臭くないかな?と思ったんだけど、ごぼうの香りと塩鮭を使うことで、そうはならないのかなー。

お堅いシロさんと和やかケンジの二人もいいし、周囲の人々もいいですよ。シロさんのお母さんはちょっと大変だけれど。息子がゲイであることを知って、ゲイである息子を受け入れなきゃ!!、ってなってるところが、困ったお母さんなのです…。
スイカを縁に知り合った、ご近所の主婦・佳代子さんのレシピは、これからも楽しみ♪
ケンジの勤める美容院のお話で出てきた「爆弾」の話も面白かったなぁ。私も時々、何も考えず、タートルネック着て美容院行っちゃうんですが、んぎゃー、これも時として爆弾の一員と認定されてしまうのですね…(というか、その先を読んでないところが、「爆弾」たる所以…)。

続巻も楽しみです。これは揃えよっと。
大奥」も読みたくなっちゃいました。漫画喫茶にでも行ってこようかな~。
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ルイス・サッカー, 金原 瑞人; 西田 登
歩く

」、サイドストーリー的な「 」に続くのは、アームピット<脇の下>を主人公とした物語。

あのグリーン・レイク・キャンプ少年院(文庫を確認したら、”グリーン・レイク少年矯正キャンプ”でした)を出たアームピットは、レイククリーク灌漑造園会社に時給七ドル六十五セントで雇われ、またしてもシャベルを握っていた。

地元オースティンに戻ってくるとき、アームピットが自分に与えた課題は五つ。その一、高校を卒業する、その二、仕事を見つける、その三、貯金をする、その四、喧嘩の引き金になりそうなことはしない、その五、アームピットというあだ名とおさらばする。そう、大切なのは、こういった地道な一歩一歩。カウンセラーは言う。グリーン・レイク・キャンプを出たアームピットの人生は、いわば激流の中を上流に向かって歩いて行くようなもの。それを乗り切るコツは、小さな一歩を根気強く積み重ねて、ひたすらに前に進むこと。もしも、大股で一気に進もうとしたならば、アームピットは間違いなく流れに足元をすくわれて、下流へと押し戻される…。

さて、オースティンには、同じくグリーン・レイク・キャンプを出たX・レイ<X線>が居た。地道な生活を心がけるアームピットに対し、X・レイは浮ついた考えを捨てきれないようで…。X・レイがアームピットに持ちかけてきたのは、人気歌手、十七歳のアフリカ系アメリカ人の少女、カイラ・デレオンのコンサートチケットのダフ屋行為。

勿論、地道な生活を心がける者ならば、こんな誘いに乗ってはいけないのだけれど…。話に乗ると告げた時から、後悔が始まっているというのに、アームピットはそのままずるずるとX・レイに引き摺られることに…。

さて、このアームピットとX・レイの話に挿入されるのは、人気歌手カイラ・デレオンその人の生活。三週間半で十九のホテルのスイートに泊まるような生活だけれど、大人ばかりに囲まれた彼女の生活もまた、それはそれで大変そうで…。

アームピットとカイラの人生が交わるとき、さて、何が起こるのか?

同じく、グリーン・レイク・キャンプに居たとはいえ、やってもいない盗みのせいで捕まった、「穴」の主人公、スタンリーとは異なり、アームピットは同情の余地があるとはいえ、実際に罪を犯した少年です。その辺は、だから物語としては、高校におけるアームピットの苦労や、家族のアームピットへの目など、少々厳しくなっているようにも思います。

そんなアームピットを助けるのは、高校の同級生の女の子などではなく、隣の家の脳性まひの白人の女の子、まだ十歳のジニー。年や肌の色、性別は違えど、二人は親友。結果として、アームピットとカイラを結び付けるのも、このジニー。ジニーとアームピットとの会話はほのぼの。ガタイのいい黒人の青年と、よわよわしい白人の女の子。好対照の二人だけれど、人間は誰かに尊重されることで、初めて自分を大切に思えるもの。アームピットはまさにジニーによって、そういった感情を引き出される。

訳者は変われど、ルイス・サッカーの本のリーダビリティは全く変化なし。ちょっとのつもりで読みはじめたら、ぐいぐいと読み進んでしまいました(しかし、金原さんって、翻訳ものの児童文学の内、えらい数に顔出してませんか??)。

 小さな一歩
  いく当てはない だから
   小さな一歩で

    一日一日を生き抜いていこう
     小さな一歩で
      どうにか自分を取りもどせたら
       道の途中で いつかわかるかもしれない
        自分はいったいだれなのか
                             (P343より引用)

そして、アームピットは最後にまた五つの目標をたてる。
その一、高校を卒業する、その二、オースティン・コミュニティ・カレッジに二年通う、その三、テキサス大学に編入できるようにがんばる、その四、やばい事には手を出さない、その五、アームピットっていうあだ名とおさらばする。

爽やかな青春小説です。是非この続きも読みたいもの! そして、弁護士もしくは有名なペテン師になれるのでは?と揶揄される、X・レイの物語も読みたいなぁ(最後、ちょっと見直すものの、X・レイって調子良すぎて、ひどいのだものー。いくら笑顔が良くたって、ダメだよう。ええ、ぜひ更生して貰いたいものであります)。グリーン・レイクものとして、色々な登場人物にスポットが当たるシリーズが出来れば嬉しいな~。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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皆川 博子

猫舌男爵

人を食ったようなタイトルに惹かれて借りてきた、皆川さんの本です。味も舌触りも異なる五本の短編。どれもいいなぁ、流石、皆川さんだよなぁ、と一人頷いてしまいました。

目次
水葬楽
猫舌男爵
オムレツ少年の儀式
睡蓮
太陽馬


好きだったのは、「猫舌男爵」と「睡蓮」、「太陽馬」。
水葬楽」は侏儒が奏でる音が印象的であり、「オムレツ少年の儀式」はやはりここで小道具はオムレツでなくてはならないよなぁ、と感じました。ふわふわと調えられたオムレツって、なんか幸せではありませんか?

■「猫舌男爵
これは、ヤマダ・フタロのニンポをこよなく愛する、ヤン・ジェロムスキなる人物による翻訳本。
ヤマダ・フタロの本を漁る内、彼の手に入ったのはハリガヴォ・ナミコ(針ヶ尾奈美子)が書いたという短編集、「猫舌男爵」。日本語を学ぶ彼は、この本を訳すことに決めたのだが…。翻訳をするには、語学力に激しく難があるジェロムスキは、周りの人間を巻き込みながら、翻訳とは言い難い本を著すことになる。そして、更にこの本が与えた悲喜こもごもとは…。
老日本語教師、コナルスキ氏の怒りから受容の様子が面白かった。うん、まぁ、その生活もありだよね。
山田風太郎は、昔から面白い面白いと聞いていて、十年ぐらい前に一度チャレンジしたんだけど、ダメだったんだよねえ。今だったら、何とかなるかしらん。

■「睡蓮
ある狂女の物語。美貌と美術の才能に溢れるエーディト・ディートリヒは、なぜ「狂女」となってしまったのか。時系列を遡る書簡や日記がスリリング。

■「太陽馬
敗走中のドイツ兵が語る現況と自らの歴史、彼らが閉じ籠った図書館にあったという、言葉ではなく指弦を操るという一族の物語が交錯する。
最初は読みづらくて、取っつき難かったんだけど、読み終わった今、これが一番心に残る。

敗走中のドイツ兵である「俺」。今ではドイツ兵と共に行動している「俺」だけれど、俺の出自は、トルコ語で<豪胆なる者、叛く者、自由なる者>という意味を持つ、コサックの民。皇帝に忠誠を誓う、気高く誇り高き民。
広大な土地を有する富裕なコサックの子に生まれた「俺」は、戸外では常に馬上にあり、そして疾風を、陽光を楽の音に変え、言葉なき歌を歌った。幼き幸せな日々。しかし、運命はコサックを襲う。コサックが忠誠を誓った帝政は倒され、彼らコサックはボリシェヴィキに容赦無く襲われる。それは姉と結婚することで、ドイツ人からコサックとなった、義兄もまた…。
忠誠を尽くすべき皇帝を失い、また義兄を最悪な形で失った「俺」が新たに尽くすのは、ドイツ軍将校である「少尉殿」。崩れかけた図書館に潜伏中の彼らの手に、降伏勧告書がもたらされた。大尉、少尉、従軍牧師、ユーリイ、俺。俺たちはどう動く?

取っつき難かった主因でもある、この中で語られる指弦を持つ一族の話がまた魅力的でねえ。言葉では表しきれない響きや感動が、きっと世の中にはある。それは「俺」が馬上で歌った言葉なき歌と同じ…。

さて、コサックといえば、あの「コサックダンス」しか知らず、また騎馬民族といえばモンゴル!だった私にとって、「俺」が語る彼らコサックの歴史は全く未知の世界。ロシア革命含めて、もそっとその辺の知識が欲しいよ~。
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小野 不由美
くらのかみ

どこか懐かしい表紙が印象深い、小野不由美さんの本です。タイトルは「くらのかみ」なんだけれど、講談社のミステリーランド・シリーズから出ている本書、表紙には「zashikiwarashi」と小さく書いてある。というわけで、勿論この「zashikiwarashi」も重要なキーとなる。表紙も美しいのだけれど、更に本の作りもとても丁寧で、ページの隅も角ではなく丸く落とされている、ちょっと珍しいつくり。

表紙を見て懐かしいな~と思い、とっさに佐藤さとるさんの「おばあさんの飛行機」を思い出したのだけれど、それもそのはず、この表紙は絵本「おばあさんの飛行機」を描いた村上勉さんが描かれていたのですね。おばあさんの美しい編み物のイメージ、この絵本、好きだったなぁ。

さて、本の内容に戻ると、こちらもどこか懐かしいイメージを喚起する。小野さんには、田舎シリーズ的なものがあるのかなぁ? 舞台は、「過ぎる十七の春 」のような田舎なのです。
ただし、こちらの主な登場人物の年齢はぐっと下がる。
耕介、真由、音弥、禅、梨花。最年長の梨花は中学一年生だけれど、ほとんどは小学生の彼ら。彼らはこの夏休み、ある事情があって本家のふるい大きな家に集まった。

夏休み、親せきの子供たちと過ごす日々といえば、肝試しや探検など、やることには事欠かない。実際、彼らの周りでは不思議な出来事が起こり、また本家の跡継ぎ問題を絡めて、彼らの親にも危険が迫る。にわか探偵となった子供たちは謎に迫るのだが?

子供のころ、田舎に遊びに行って、特に何もないのに親戚の子供たちと、ほけほけと遊んだ、そんな日々を思い出す物語でした。一度しか行ったことのない親戚のふるーい家なども、子供の頃の私にとっては忍者屋敷のようで不思議だったな~。

懐かしの村上さんの絵も(わたし、どこをどう勘違いしたのだか、この絵=佐藤さとるさんで覚えていたのだけれど)、随所に挿入されて、これまた懐かしさが嬉しかったです。うーん、ノスタルジー。

目次
1 死人あそび
2 座敷童子
3 毒
4 バケツリレー
5 行者沼
6 探偵たち
7 お葬式
8 ひみつの屋根裏
9 地蔵担ぎ
10 幽霊じゃない犯人
11 井戸で待つ
12 裏切り
13 誰も犯人じゃない
14 犯人
15 若干の仲間と多少の協力


講談社のミステリーランドって、あまり知らなかったんだけれど、気合入ったシリーズだったのですね。「かつて子どもだったあなたと少年少女のための―”ミステリーランド”「本」の復権を願い、第Ⅰ期刊行開始」との煽り文句付きで、巻末に紹介されておりました。小野さんのこの本は、確かに「かつて子どもだった」私のための本でもありました。

佐藤 さとる, 村上 勉

おばあさんの飛行機 (日本の童話名作選シリーズ)

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西尾 維新
新本格魔法少女りすか
講談社NOVELS

西尾維新さんという人、ずっと気になっていたのです。そんなところ、古本屋でこの本を見つけたので、早速ゲット。

結論からいえば、そして、作中人物、『赤き時の魔女』りすかの口調を真似れば、
 この本をとっても面白く読んだのは、私だったの
面白かったよー。

目次
第一話 やさしい魔法は使えない。
第二話 影あるところに光あれ。
第三話 不幸中の災い。


『城門』の向こうは長崎、『魔法の王国』で育った水倉りすかは、その血液内にあらゆる魔法式を織り込まれている(&ある魔法陣も)。彼女が齢十歳にして、『赤き時の魔女』という称号と、乙種魔法技能免許を取得済みであるのは、そういうわけ。りすかの血は魔法式そのものであるからして、りすかは愛用のカッターナイフで自らを傷つけ、血を流す事により、魔法を発動出来るのだ。きちきちきちきちきちきち…。彼女の魔法の属性(パターン)は『水』であり、種類(カテゴリ)は『時間』。十歳の彼女はそんなわけで、時を前に進めることが出来る。つまり、余計な時間を「省略」出来るというわけ。

さて、りすかは『城門』を越えて、普通の人間が住む世界へやって来た。それは、自分の血液内に高度な魔法式を織り込んだ父、現在行方不明中である水倉神檎を追ってのこと。彼は偉大にして強大な力を持つ魔法使いであり、六百六十五個(半端なのは、一つをりすかにあげたから)の称号保持者でもある。普通の人間に『魔法』を教えることの好きな父親を追い、また、県外(ソト)の人間の「魔法使い」への目を考える内、りすかはいつか県外(ソト)の魔法使いを狩る側へと回っていた。魔法を裁く、『魔法狩り』のりすか。

そんなりすかを『駒』とするのは、りすかの同級生、供犠創貴(くぎきずたか)。ここではまだ明かされていないけれど、大いなる目的とやらのために、『魔法使い』使いを目指す彼。何やら尊大でもあるこのキズタカ。ある魔法使いを自分の手下にならないか?、と勧誘する時の彼の口調はこんな具合。

「魔法使いなんて言っても、奴ら全然魔法を使いこなせていやがらない―まるで、駄人間と同じだ。両者仲良し、駄人間(できそこない)と半魔族(できそこない)。だったら仕方ない、ぼくが使ってやるしかないだろう。ぼくが使ってやらなきゃ誰が使ってやるって言うんだい?」

とにもかくにも、りすかとキズタカの目的はある一面で一致した。りすかは父を探すため、キズタカは自分の『駒』を探すため。そんな彼らが出会う戦いとは?、の三本立て。

不幸中の災い」のみ、「戦い」というにはちょっと違うかなー。そして、俺様キズタカとりすかの関係に変化が現れる。

はっきりいって、キズタカのやっていることは、道徳的、道義的に見て、正しいことではないのだけれど、それでもやっぱり面白いです。それはこの先、キズタカがそのまんま俺様で尊大なままであったとしても、きっと変わらない。うまく言えないのだけれど、世間一般に正しいとされること以外をやる場合、そこには何らかの痛みを引き受ける覚悟がいる。キズタカの場合、その覚悟があるんじゃないかなー。りすかも可愛いよー。現在「3」まで出ているようだけれど、まだ完結してないんだよねえ。途中まで読んでも、欲求不満になるのかしらん。

今後のためのメモ。

・『城門』の向こう長崎には、かつて『核』が落とされた
・キズタカの父は、佐賀県警の幹部
・魔法使いは海を渡ることが出来ない
・りすかの従兄妹、水倉破記の称号は『迫害にして博愛の悪魔』、属性(パターン)は『水』、種類(カテゴリ)は『運命』
・『にゃるら!』の『ニャルラトテップ』ってナニ?

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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テーマ:
 
恩田 陸
酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記  

旅行とはすべからく、楽しいもの?
直前には、ドキドキわくわくして仕方のないもの?
ましてや、その地は恩田さんが憧れ続けたという、イギリス・アイルランドだというのに。

「酩酊混乱紀行」とあるとおり、紀行文にも関わらず、その始めの文章は「なぜか新国立劇場にいること」と題され、ビールを飲みながら書かれた、旅行前の観劇の話なのである。そう、恩田さんの「酩酊」と「混乱」は、冒頭から既に始まっていたのだ・・・。

憧れのイギリス、アイルランドに渡るためには、そう、「あれ」に乗らなくてはならない! 恩田さんが恐怖してやまないその乗り物といえば、そう、「飛行機」なのだ!

飛行機と小説家の関係のこと」でつらつらと語られるのは、飛行機嫌いの小説家や監督のこと。スティーヴン・キングしかり、アーサー・C・クラークしかり、レイ・ブラッドベリしかり、スタンリー・キューブリックしかり、・・・。ただでさえ、普段から半ば妄想のように荒唐無稽なプロットを考えている連中が、飛行機を怖がるのはむべなるかな、と恩田さんは考える。勿論、これは恩田さんにも当てはまるわけだけれど・・・。「あれ」に乗る前には、「あれ」に対する恐怖に煩悶し、憧れの地を踏んでも、「あれ」のことが頭にちらつき、帰国が近付けば、再度訪れる「あれ」との遭遇に頭を悩ます・・・。混乱の様すらさえ面白いとは、さすが小説家とも思うのだけれど、じっとりと脂汗が滲むような様が読んでいるこちらにもひしひしと伝わってくる・・・。

というわけで、これは恩田さんの酩酊(ほんとに良く飲んでおられるんだ、これが! ビール、ビール、ビール!という感じ)と混乱、時に妄想が楽しい紀行文。随所に小説や劇、映画についての感想がさらりと忍び込むのも嬉しいところ。飛行機に乗る直前の、成田エクスプレスの中では、「のだめカンタービレ」の千秋真一に感情移入していたりもする。勿論、恩田さんも書かれているとおり、飛行機嫌いの千秋さまに助けてもらう事は出来ないんだけど。きっと、恩田さんの中では、日常とその他の物語の区別がないのだろうな。ま、今回の場合、恐怖に駆られて、思考が特に飛んでいるのかもしれませんが・・・。

そして、興味深かったのが、恩田さんが旅先でよくやるというゲームの事。恩田さんは気に入った場所、雰囲気のある場所に出会ったとき、その場所を舞台にして何が起こるのか、自分やその場所に聞いてみるのだそうだ。ここで何が起きたら驚くか、何が出てきたらお話になるのか。タラの丘で恩田さんの頭に浮かんできたイメージも、いつか小説として紡がれ、形をなすのだろう。

ところで、この明らかに「地球の歩き方」シリーズを模したこの装丁。最終章の「そして、一年後のこと」では、恩田さんはスペイン北部にあるオビエド空港で、冷や汗を流し、立ち尽くしているわけですが、また、こういうの書いてくれないものかな。恩田陸、「酩酊混乱紀行」シリーズ。楽しそうなんだけど。ま、でも、恩田さんの寿命が何だか縮みそうで、それはあんまり嬉しくないわけですが。
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テーマ:
山本 一力
牡丹酒

江戸で請負仕事をこなす、四人の若者を描いた、「深川黄表紙掛取り帖 」の続篇。
短篇が連なっていくのが前作のスタイルだったけれど、今作で流れるのは一つの大きなお話。南国土佐の酒、「司牡丹」を江戸に広めるという、広目(広告宣伝)の請負仕事の話。

目次
ひねりもち
ながいきの、ます
酒盗
酒甫手
仏手柑
黄赤の珊瑚
油照り
六つ参り
痩せ我慢
土佐堀の返し
土佐の酒、江戸へ
大輪の牡丹
もみじ酒
終章


前作では広目の仕事もあれば、少々怪しげな仕事もありといった感じだったのが、本作では蔵秀らの背後にずらり控える、紀文(紀伊国屋文左衛門)や、幕府側用人、柳沢吉保などの実力者の力を得て、横槍が入る事もなく、メンバーが広目の仕事に専念します、という感じ。前作の因縁のある大田屋親子が、ちょろりと邪魔をしないでもないのだけれど、ま、彼らは如何にも小物だしね。その分、とんとん拍子に物事が進み過ぎて、前作に比べ少々呆気なくもあるのだけれど・・・。

蔵秀の父、山師の雄之助が、土佐は佐川村の酒蔵、黒鉄屋と知己を得、その美味さに驚いた事から、江戸でこの酒を広める事を考えた。となれば、蔵秀たちの出番である。「一筋縄ではいかない」この仕事、さぁて、どのようにして広めましょうか? 蔵秀たちは、広目の仕事のために、土佐まで赴く事になる。

本作の魅力の一つは、南国土佐の生き生きとした描写。土佐の方言、情に篤い人々・・・。佐川村の、ひな、金太母子と親交を結んだ、江戸では少々気難し屋であった宗佑。この三人はどうなるのかな。ま、そこまで書いてはやり過ぎだとは思うのだけれど、蔵秀に雅乃の二人は、前作にそして、さくら湯」という章があったけれど、今作では無事にさくら湯が飲めそうですよ。
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