旧・日常&読んだ本log

流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

以降の更新は、http://tsuna11.blog70.fc2.com/で。


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東野 圭吾

予知夢 (文春文庫)

探偵ガリレオ (文春文庫)


言わずと知れた月9ドラマ「ガリレオ」の原作です。

福山雅治が扮していた湯川助教授とコンビを組むのは、新人女性刑事ではなく、湯川の同級生であった警視庁捜査一課の草薙刑事。とはいえ、この草薙刑事、同じ帝都大学出身とはいえ、彼が出たのは社会学部であり、在学中は湯川助教授の研究室がある理工学部の方にはほとんど足を踏み入れることもなかったのだとか。

理系オンチを自称する草薙刑事、不思議な現象があるたびに、湯川助教授の元を訪れ…。さて、その不思議な現象には、現実的な説明をつけることが出来るのか??

「探偵ガリレオ」の解説は、俳優の佐野史郎さんが書いておられるのだけれど、実は東野さんが湯川を創り出した時、そのイメージは佐野さんだったのだとか。佐野さんと福山さんでは、だいぶ違うけれども。笑 ま、月9的には福山さんなんでしょうね。私はドラマを毎回見ていたわけではないのだけれど、たまーに出てきた北村一輝さんが扮していた刑事が、草薙刑事なんですよね? それこそ、月9的には華がないのかもしれないけれど、福山&北村コンビで見たかったなぁ、などと思うのでした。本の中でも、この二人のじゃれ合いのような空気が良いのだもの。

本の中の湯川助教授は、同級生だった草薙刑事とのシーンが多いからか、ドラマよりも若干お茶目。同じなのはスポーツ万能なところでしょうか。とはいえ、ドラマでは福山さんが様々なスポーツに挑戦されていたけれど、本の方では学生時代から続けているバドミントン一本槍ですかね。

「容疑者Xの献身」の図書館予約もだいぶ落ち着いた数字になっていたので、こちらも読んでみようかなぁ、と思いました。

苦手意識を持っていた東野さんですが、ドラマのお陰で、割合楽しく読むことが出来ました。警察小説として読むと、草薙刑事一人で聞き込みに行っちゃったり、民間人である湯川が現場に入れちゃったり、ちょっとおかしいような気もするけれど、これはだから探偵小説なんですよね。

目次
探偵ガリレオ

第一章 燃える もえる
第二章 転写る うつる
第三章 壊死る くさる
第四章 爆ぜる はぜる
第五章 離脱る ぬける
解説・佐野 史郎


予知夢
第一章 夢想る ゆめみる
第二章 霊視る みえる
第三章 騒霊ぐ さわぐ
第四章 絞殺る しめる
第五章 予知る しる
解説・三橋 暁
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向田 邦子

父の詫び状 (文春文庫 む 1-1)


最近、ちょっと向田邦子さんの小説の話をする機会があって、それで何となく読みたくなったのです。でもさ、家にあるのは、「父の詫び状」「無名仮名人名簿」と、両方ともエッセイだったので、小説は小説で別に読まなきゃダメみたい。そういえば、改めて考えると、私、向田さんの小説を読んだことがなかったのかも…。

目次
父の詫び状/身体髪膚/隣りの神様/記念写真/お辞儀/子供たちの夜/細長い海/ごはん/お軽勘平/あだ桜/車中の皆様/ねずみ花火/チーコとグランデ/海苔巻きの端っこ/学生アイス/魚の目は泪/隣りの匂い/兎と亀/お八つの時間/わが拾遺集/昔カレー/鼻筋紳士録/薩摩揚/卵とわたし
あとがき
解説 沢木耕太郎


呆れるほど完璧な記憶から紡ぎだされるのは、幼い頃の思い出、家族や友人の話。

どれも、色々なところに広がった話が、ぴたりと収斂していく様が小気味よく、面白いのだけれど、今回つらつら再読していて驚いたのが、この文庫の解説を沢木耕太郎さんが書いていたこと。しかも、この解説が書き上げられているまさにその最中に、向田さんはあの航空機事故に巻き込まれ、亡くなっていた…。ちょっと不謹慎ではありますが、こんなところまで、向田さんはドラマチックなんだなぁ。

昭和五十六年九月十二日と記されているこの解説によると、沢木さんがこの解説を書くことになったのは、向田さん直々のご指名だったのだとか(沢木さんは、「年少の者」の意見を聞きたかったのではないか、と推察してます)。知人によると、解説が書き上がったら、向田さんは食事を御馳走するおつもりでいたのだって。解説含めて、面白いなぁ、と思ったことでした。

新装版もあるのですね。む、ちょっと豪華だ。


さて、次は「思い出トランプ」だ!

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宮本輝「本をつんだ小舟

あなたの読書の記憶は、自分の中のどんな記憶と結びついていますか?

これは、作家・宮本輝の青春の書を紹介したものでもあり、また自身のよるべない青春を書いたものでもある。紹介されされているのは、次の32作。

ジョセフ・コンラッド「青春」/上林暁「野」/フロベール「トロワ・コント」/ボードレール「悪の華」/山本周五郎「青べか物語」/ファーブル「昆虫記」/「寺山修司歌集」/宇野千代「おはん」/水上勉「飢餓海峡」/チェーホフ「恋について」/カミュ「異邦人」/井上靖「あすなろ物語」/ドストエフスキー「貧しき人々」/柳田國男「山の人生」/老舎「茶館」/泉鏡花「高野聖」/ドルトン・トランボ「ジョニーは戦場へ行った」/中野重治「雨の降る品川駅」/フォースター「インドへの道」/永井龍男「蜜柑」/ツルゲーネフ「はつ恋」/「山頭火歌集」/メリメ「マテオ・ファルコネ」/深沢七郎「楢山節考」/ゴーゴリ「外套」/三好達治「測量船」/樋口一葉「にごりえ」/北杜夫「どくとるマンボウ航海記」/ラディゲ「肉体の悪魔」/サマセット・モーム「雨」/大岡昇平「野火」/島崎藤村「夜明け前」

恥ずかしながら、この中で自分が読んだことがあるのは数冊だけれど、宮本輝の言葉によって、これらの名作を少し身近に感じることが出来る。いつか機会があって波長があった時に、私もここで挙げられている名作に触れたいと思っている。

今回、再読して、気になったのは『上林暁「野」』。これは、宮本さんが中学三年生の時に、家の近くの小さな書店の親父さんが勧めてくれたもの。中学生の宮本さんが、小難しい本ばかり買い込むのを見ていた親父さんの言葉には、詰め将棋の問題を出して、挑戦するようなところがあったのだそうだ。

12年後、「野」に再会して、中学生の頃には分からなかった、こういう小説も、なかなかええもんです」と照れ臭そうにいった、親父さんの言葉を理解出来たそうだ。

私たちは、ときに、それが何の糧ともならぬことを承知しながらも、観念にひたりたくなる場合もある。ときに、荒唐無稽な冒険小説でうさを晴らしたくもなる。推理小説を睡眠薬代わりにしようとして、逆に徹夜してしまう日もあれば、たまにはおとなの精神を満足させるまっとうな物語を読んで、心豊かな時間を持ちたくもなる。それが、小説を読むことのそれぞれの楽しみでもあるのだ。だが、観念小説でもなく、冒険小説でも推理小説でもない、といって別段物語が展開されるわけでもない小説の中に、生半可な観念や物語などを、静かな、しかし恐ろしいまなざしで超越してみせた作品が幾つかある。我が国では、それを私小説と呼んでいる。
そうした作品を書いた作家の中で、私が最初に出会ったのが上林暁であり、最も愛読したのも彼の作品であり、今でもときおり読み返すのが「野」である。

単に自分がこういう物語に興味を持てる年齢に達したのかもしれないけど、宮本さんの言葉の紡ぎ方、姿勢にも通じるのだと思う。

青が散る 」のコメント欄で、「物語三昧 」のペトロニウスさんが、宮本輝を「柔らかく見えても、実は世界の絶望をよく理解して、いつもその恐怖に畏怖している感じ」と表現されていたのだけれど(ごめん!また許可とってない!)、この本を読むとその理由が朧気ながら分かるように思います。
・・・・・・・・・・・追記・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その後、ペトロニウスさんが、宮本輝についての記事をお書きになりました。
私の記事も紹介していただいております。



■ペトロニウスさんの記事はこちら

→『花降る午後』『蛍川』 宮本輝著

とてもいい記事ですので、是非読んでみてくださいね。

ネット兄貴のペトロニウスさん!いつもお世話になっております。笑
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私が持っている文春文庫の背表紙の言葉を引用します。

母が睡眠薬自殺をはかった夜、押入れの中で読んだはじめての大人の小説「あすなろ物語」。高校の天城旅行中、眠られぬまま一晩中読む続けたチェーホフ「恋について」。生涯に一度だけ父親を投げ飛ばした記憶が鮮やかに甦る「青べか物語」。よるべない青春時代を照らす一筋の光のような存在だった32冊の名作を紹介する読者案内。

これを読んだだけでも、決して明るくはない青春だということが分かるけれど、重く暗い青春を宮本さんは見事に昇華されたのだなぁ、と思う。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

☆関連過去記事
青春の書(大学編)/「青が散る」

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篠田節子「カノン」

文庫の裏には、「「音」が紡ぎだす異色ホラー長編」と書いてある。怪奇現象が起こる、という意味ではホラーかもしれないけど、私は天才とその音楽の物語だと思った。

主人公・瑞穂は39歳の小学校の音楽専科教員。今現在の瑞穂は、大木のようなどっしりとした母であり妻である。けれど、彼女はかつて憧れに満ちた若木のような少女だった。

経済的事情で教員養成大学に入学したけれど、演奏家になること以外は考えずに、一日八時間の練習をこなす毎日。所属していた学生オーケストラの失敗に終わった演奏会の夜、瑞穂は「闇を切り裂く稲光さながら」のヴァイオリンの音を出す男・康臣に出会う。

堅く、鋭利で、正確無比なタッチのバッハの無伴奏パルティータ

康臣と瑞穂はその晩、オーケストラを辞め、アンサンブルをすることを約束する。ピアノトリオのために現れたのは、康臣とは正反対とも言える、大柄で、秀才、陽性な男・正寛。その夏、三人は「山の家」でアンサンブルのために合宿を行う。様々な出来事があったこの合宿の後、瑞穂の青春の季節もまた終わった。演奏家への道を諦め、康臣への淡い恋も終わり、彼との付き合いも途絶える。

康臣と正寛、彼らの対比は天才と秀才の対比でもある。康臣の天才ぶり。

「原理は好きなんだけど、プラグマティックな学問は嫌いなんだ。もっとも理解は早いよ。あいつ、こっちが地道に論理を組み立てているときに、一気に思考を飛ばすんだよ」

秀才・正寛との付き合いは続いているものの、康臣との付き合いが途絶えた中、瑞穂は康臣の訃報を知らされる。康臣は瑞穂に一本のテープを残して死んでいた。そのテープを貰って以来、瑞穂の身辺に不審な出来事が多発する。なぜなのか。瑞穂は康臣の死の真相や、付き合いが途絶えた後の彼の身辺を探ることになる。

本当の天才というものは、その価値が分かる同じ道を目指す者には、絶望しか与えないものなのか。「ガラスの仮面」では、秀才・亜弓さんが頑張っているけれど、あれはマヤに抜けている部分があるからいいのだろうか。康臣は現実の社会とコミットする術を殆ど持っていなかった。一方の秀才・正寛の生き方もまた凄まじい。現実の世界の若いアスリートなどは、もっと軽やかに生きているように見えるけれど・・・。

ただの天才と秀才の話にならないのは、瑞穂が女性であるからだと思う。瑞穂も、また康臣と同じく天才であった。複層的な話だなあ、と感じた。康臣、正寛の高校時代の重要なキーパーソンである、岡宏子(ナスターシャ)と瑞穂との出会い、会話も印象的。「白い氷花のような峻厳な美貌」の持ち主であったナスターシャは、歳月を経て穏やかな微笑をたたえる女性となった。しかし、彼女は瑞穂に違和感を抱かせる凡庸な女性であった。

卑屈になることも、勘繰ることも知らないまっすぐで謙虚な視線は、しかし複雑極まる人の心の底にある真実に到達する鋭さは持っていない。そこに横たわる真の美を理解しうる聴覚もこの人は持ち合わせていない。

こんな音楽を紡ぎだせること、音楽でしか語れないことは、はたして幸せなのか不幸なのか。

「すすり泣く高音も包み込む低音」も、一時的な気分に過ぎない。優れた音楽のはらむ感情は個人的感傷を超えて、普遍的で雄大だ。

二十年前、打ち捨てた感性、能力を持つ「彼女」と共に生きていく決心をした瑞穂。それはつまり、これまで築いてきた生活を、壊すことでもある。それとは正反対の生き方を続けなければならない、正寛。

瑞穂: 「あなたは松明のような人だ。激しく燃えながら、まっすぐにつき進んでいく性を持っている。しかし今は、ぶすぶすとくすぶっている。いや、何年も、何年も、煙ばかり吐き出してくすぶり続けてきた」
正寛 :「無理して登ってきた人生なら、死ぬまで登り続けなさい。自分の心に嘘をついて生きてきたっていうなら、死ぬまで嘘をつき通しなさい。演技だってなんだっていいのよ。美佐子さんにも子供にも、有能な夫、思いやりのあるお父さんでい続けなさい」

色々な人生が詰まっている。私は、この小説が好きです。


篠田 節子
カノン


*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、御連絡下さい。

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山崎豊子「大地の子1~4」

実は山崎豊子さん、これが初読みなのです。何となく読まないままにきてしまった作家さんって、考えれば結構多い。これは義父からお借りしました。

この小説は、所謂中国残留孤児である、陸一心の過酷な生涯を辿ったもの。フィクションではあるけれど、緻密で丹念な取材により著されたもので、この中には何人もの姿が投影されている。

■満州開拓団の描写では、藤原てい「流れる星は生きている」を思い出した。あちらも想像を絶する苦難の旅だったけれど、「流れる~」では何とか帰国を果たしている。「大地の子」を読んで、帰国出来なかった場合、もっと悲惨な運命が待っていることを知った。

■文化大革命下における、労働改造所の場面では、篠田節子「弥勒」を思い出した。無能な指導者による、理屈、知識を無視した労働の暗澹たる姿。共産主義は人を大事にするといいながら、特権階級を生み出し、人間をないがしろにするのはなぜだ?

日中共同の大プロジェクト「宝華製鉄」建設では、建設への熱意という点で、吉村昭「戦艦武蔵」を思い出した。しかし、随所で出てくる「中日友好(ここでは、日本の一方的譲歩を意味する)」や、この一大プロジェクトすら政治の一齣として利用する、老獪な政治家など、日中関係(この場合、中日関係というのだろうか)の難しさを感じさせる。

何か事がある度に、「日本人」として疑われ、嫌われ、利用されながらも、「大地の子」として生きる決意を固めた、陸一心の心中は如何なるものか。「痛い」小説。

解説によると、山崎氏はインタビューに答えて、「テーマは、戦争が個人に与える運命」と語っている。これだけ色々なテーマを絡めて、一つの流れとして小説にした、山崎氏の力量は凄いものだと思う。過酷な運命を与えられている人々は、決して減ってはいないのだろう。世界各国に、その土地の「大地の子」が存在しているように思う。悲しいことだ。

山崎 豊子
大地の子〈1〉
吉村 昭
戦艦武蔵
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著者: 宮本 輝
タイトル: 青が散る
こちらは私の中では、「69」よりも真面目な青春の書として位置づけ。
青春のどうしようもない暗さが、よく描かれていると思う。
新設大学に入学した椎名燎平と、彼の周辺の男友達、女友達をめぐる
物語。

筆者はこの物語で伝えたかったことを、あとがきでこう語っている。
青春の光芒のあざやかさ、しかも、あるどうしようもない切なさと一脈の虚無とを常にたずさえている若さというものの光の糸を、そっと曳かせてみたかったと言えるでしょう


私の感想もまさにこれに尽きるのだけれど、以下に特に好きな箇所を上げておきます。

・辰巳教授のエピソード
今時の大学生とは、もう違ってしまっているかもしれないけれど。そして私の時代ですら、こんな教授はもういなかったのではないかなあ、と思うけれど。
若者は自由でなくてはいけないが、もうひとつ、潔癖でなくてはいけない。
自由と潔癖こそ、青春の特権ではないか。

・燎平への金子の言葉
これぞまさに青春。
「燎平。お前、ほんまに夏子を好きか?」
黙っている燎平の頭を指先でつつきながら、
「あのての女はなア、大きな心で、押しの一手や」

・ ガリバーが歌う「人間の駱駝」という詞

ここに上げたのはその一部だけれど、何か心にしみ入る。
摩天楼の陽炎にひたって
人間の駱駝が生きていく
汗も脂も使うべき時を失い
瘤は栖(すみか)を離れて心にもぐり込んだ
原色の雑踏にまみれて
駱駝はあてどなく地下に還る

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡下さい。

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GW中は自分の「青春の書」を上げようと思っていて、一応以上で「青春の書」シリーズ(?)は終わりです。うーん、と言っても四冊しか上げてませんね。卒業して働き始めてからは、実際に読書の空白期間があったりして、なかなかこの本と共に生きた!ってのがないような気がします。それともこの後、これから気付くのでしょうか。
実家から懐かしい児童書を引き揚げてきましたので、その内、幼年期の友であった本たちについても書きたいと思っています。
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暮らしの本が続きますが、個人的に今「暮らし方」や「料理熱」が高まっているのです。

で、今日は 桐島洋子「聡明な女は料理がうまい」

古い本です。でも今さらっとですけど読み直して、まだいけました。
「昭和五十一年に刊行されてベストセラーに(単行本の方)」って
、ほんとに古い。まだお産まれになっていない方も多そうですね。・・・私、産まれていますが。今だったら、この題名が物議を醸してしまうのでしょうか。「負け犬の遠吠え」のように。
本当は「聡明な人」や「聡明な人間」とすべきですが、そうするとこのコピーの良さが消えてしまうんでしょうね。

「負け犬」は未読なのですが、別にカテゴライズして喧嘩を売るような本ではないようですね。内容を確かめてから話してくれ~。実は「オニババ化する女たち」も気になっています。悲しい事に、他人事じゃないのですもの)

これは、私が初めて「生活者」を意識した本です。
私の手元にある文庫本の巻末には、娘・桐島かれんさん(モデルさんとして有名ですよね)の一文も寄せられております。こんな母娘関係素敵だなあ、と思います。

以下、プロローグからの引用。ちょっと過激?
しかし、こうやって言い切る桐島さんがかっこいいと思うのです。
単純なレシピ本ではありません。

男は女にできる仕事ができないのに、女は男の仕事をどんどんモノにしつつある。無能な男に女が追いつくのではなく、有能な“両性具有”の女に男が追いついての男女平等こそが望ましいのだ。
読者は、私の文章にかなりの強がりを感じられることだろう。正直言って私もしばしばへとへとになり、男のように奥さんを持ちたくなる。この分業社会で仕事と家庭を両立させるのは、口で言うほど簡単なことではない。しかし、そういう社会のしくみのほうがまちがっているのだから、屈服するわけにはいかないのである。断固強がって、人の二倍も三倍もがんばるくらいの心意気がなければ、とても社会を変えていくことはできないだろう。
ただがんばるだけで玉砕してしまっては始まらないから、男性的な自由な発想で家事を合理的に再編成し、最も快適な秩序を自分のものにして台所を賢く支配していかなければならない。私がいま書きたいと思っているのは、そういう戦略としての料理の本である。


生活者たるもの、合理的に家事をこなし、自らの手で美味しいものを作り出さなければなりません。凄く不思議なのですけれど、実験をきっちりこなす「理系男性」の中にも、料理は全く出来ません!という方がちらほらいらっしゃるのです。面倒くさい実験をきっちりこなすのだから、レシピがあって多少量や手順を間違えてもどうにかなっちゃう料理は、簡単だと思うのですけど。外食や店屋物が続くと、身体が辛くなってくるのになあ。平気なのかしら。一人暮らしなのに台所にはヤカンしかない、なんていう猛者もいらっしゃいました。
あ、でも「理系男性」の方々。きっと両極端で、それはそれは美味しい「ガトーショコラ」を焼いて会社に持って来て下さった、50代の男性もいらっしゃいました。この方は確か、チタンの中華鍋が欲しくて奥さまと交渉中だったはず。購入されたのだろうか。私は日々の料理はそれ程苦ではないのだけれど、お菓子作りはどうも苦手。インチキ理系人間だからでしょうか。実験での失敗も数知れず…。高い試薬を申し訳なかったです、先生…(ここで謝っても仕方ありませんが)。


*臙脂色の文字の部分は本文中より引用しております。何か問題がございましたらご連絡下さい。



著者: 桐島 洋子
タイトル: 聡明な女は料理がうまい
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椎名誠さんつながりで知った、カヌーイスト野田知祐さんの本。
アウトドア人生相談と銘打ち、読者からの様々な質問に答えていく。
この回答がいい意味で適当。長さもまちまち。すぱっと歯切れよく答える野田さんが、小気味いい。ちょっと講演を聞きに行っているみたい。
センテンスも短く、読みやすい。興味を持った質問の回答だけを、ぱらぱら捲ってもいいのかもしれない。個人的には「ナマズの美味い食い方はありますか」という質問とその答えが好き。なんでこれを、「カヌーイスト」の野田さんに聞こうと思ったのだろう。
ナマズ。泥臭くてまずいと、野田さんは答えている。そういえば、まさに「ナマズを食べに行こう会」と称し、食べに行ったことがあるのを思い出した。ふわふわと柔らかくて美味しかったように思うのだけれど(あれ、ナマズだったよなあ)。

読者から出された質問は、野田さんのアウトドアの実践方法や考え方に関するもの、日本の自然破壊に関するものなど。
野田さんは、全国の川をカヌーで下っておられたので、日本の自然破壊、ダムの問題からも離れられない。最近は護岸工事の進んだ日本の川は見限って、シーカヤックを勧めておられたように記憶している。

超インドア派で体力のない私でも、うっかりカヌーに乗ってみたくなる。
この本を読んでいる間、頭の中にはずっと「自己責任」という言葉が浮かんでいた。多分、いい意味で厳しい人なのだと思う。


昨夏、西表島でカヌーツアーに参加した。
その川は干満の差が激しく、行きには全く見えていなかった干潟が、帰りには忽然と出現していて、カヌーを寄せて干潟の上を歩き、マングローブの林をじっくりと見た。
干潟には、シオマネキ(片方のはさみだけが大きくてそれを振り回している)、コメツキガニ(米粒みたいな団子状のものをいっぱい作る。米粒を足で踏むと何とも言えない感触)なんかも沢山いた。
干潟の上を裸足で歩く感触は何とも言えない。
もう無条件で気持ちよい。

ところで「マングローブ」という名前がついた植物があるわけではない、というのは有名なのだろうか。私はガイドさんに教えられて初めて知った。「熱帯や亜熱帯地域の河口など、満潮になると海水が満ちてくる所に生えている植物をまとめてマングローブと呼ぶ」らしい(ちなみに、根っこがまるで人の手のように見えるから「マングローブ」)。
西表島では、確か「オヒルギ」「メヒルギ」「ヤエヤマヒルギ」といった種類が見られるのだったと思う。ツアーガイドさんにいろいろ教えてもらったこと、もう大分忘れてしまった。しばらく呪文のように唱えていたのだけど、勿体無いなあ。「マングローブはどうやって増えるのか」とか、確か面白かったのに。

非常に楽しい体験だったのだけど、二人乗りのカヌーにおいて私は全く戦力にならなかった。一緒に漕いでいた夫に怒られました。
違う方、違う方にカヌーが進んでしまうのですよ。一人で漕ぐと面白いように前に進みませんでした。
くるくる回るか、岸に突っ込みそうになるか…。
アウトドア派にはなれそうにありません・・・。
いいのです・・・、本を読むだけでも・・・。


*昨夕のニュースで、横浜市の親子とツアーガイドさんが、西表島と新城島の間で行方不明になっていると放送されていました。
無事見つかりますように!





著者: 野田 知佑
タイトル: 本日順風
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「IWGP」といえばドラマも有名で、度々深夜に再放送されている。
私も深夜の再放送でまずこのドラマを見て、恐る恐る原作を手に取った。あまり期待せず読み始めたけれど、これが面白かった。

新刊は5巻まで出ているけれど、文庫化されているのは「池袋ウエストゲートパーク」「池袋~Ⅱ 少年計数機」「池袋~Ⅲ 骨音」「池袋~外伝 赤・黒(ルージュ ノワール)」まで。でも、比較的速いペースで文庫化されていると思うので、文庫化されるまでは我慢の子。
ちなみに、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲは文春文庫から、外伝は徳間文庫から出版されている。外伝では羽沢組のヤクザ・サルが活躍。文庫の違いからも、本編外伝の性格が分かるのかもしれない。

ドラマを見たことのある人なら、このエピソードをつないでこうなったんだ、と考えながら読むのもまた楽しい。原作の方がマコトは物事を面倒くさがらないし人情家、逆にキング・タカシはもっとクール。ドラマのタカシは、かなりエキセントリックで愛らしくもある。キング・窪塚君は、原作とは少し違っているけど、とても魅力的なタカシだった。私は原作の加奈とのエピソードが好きだったから、ドラマ版で名前のみが出てくる設定になっているのは少し残念だった。回を重ねていくごとに成長していくマコト。なかなかにいい男なのだ。自分の事を良く知っていて、自分が出来ることを理解しているのだと思う。

作者の石田衣良は、実は順当な道を辿った人ではない。一年留年して大学を卒業(大学時代ごく軽い対人恐怖症になったりもしている。ちなみに留年は単位の数え間違いのため)。卒業後も就職はせず、20代の前半はフリーター生活を選ぶ(地下鉄の工事、アパレルの倉庫で受注商品の発送、ガードマン、家庭教師のアルバイトや、株でこつこつ稼いだりなど)。その後、コピーライターを経て作家になった。

雑誌「ダ・ヴィンチ」のインタビューでは「いい仕事をしている人は皆、苦しみに向き合って一度は果てまで行って帰って来た人だ」と語り、その中で、世界を計る基準をこつこつと自分でつくる。世の中は例外の連続だから、自分でつくった世界観以外は使い物にならない」と続けている。

だから、一見遠回りだと思える道のりも、実はそうではなく結局は近道になるのだ。

石田氏はこういう考えや経歴を持っているので、若く、生き方に迷いもがいている人間を描くのが上手いのだと思う。けれど、大人の物語、特に大人の女性を描くのは苦手なように思う。これに関し、自分の尺度が出来ていないのではないかと感じる。
大人の物語ではないけれど、秋葉原のオタクたちの物語、「アキハバラ@DEEP」も、IWGP程の良さは感じられない。主人公であるオタク達に関する理解が多少浅薄なのだと思う。

石田衣良という人は、彼の中での理解度というか尺度によって、作品の出来が随分ブレるように思う。TVでよくお見掛けするけれど、アウトプットだけではなく、インプットも怠らないで欲しいと切に願うのだ。私が言うのも何だけれど、書くテーマに関して責任をもって、きちんとした世界観を展開して、わたしたち読者に見せて欲しい。
以降読んだ、石田氏の作品についてはこちら。
☆「4TEEN
☆「池袋ウエストゲートパークⅣ電子の星
☆「池袋ウエストゲートパークⅤ反自殺クラブ

*石田衣良氏の経歴及びインタビューは、雑誌「ダ・ヴィンチ」2003年12月号「石田衣良解体全書」から引用しました。インタビューは多少の意訳を行っています。



著者: 石田 衣良
タイトル: 池袋ウエストゲートパーク
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