旧・日常&読んだ本log

流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

以降の更新は、http://tsuna11.blog70.fc2.com/で。


テーマ:
R・A ハインライン, 三浦 朱門
第四次元の小説―幻想数学短編集 
目次
タキポンプ   エドワード・ペイジ・ミッチェル
歪んだ家   ロバート・A・ハインライン
メビウスという名の地下鉄   A・J・ドイッチュ
数学のおまじない   H・ニアリング・Jr.
最後の魔術師   ブルース・エリオット
頑固な論理   ラッセル・マロニー
悪魔とサイモン・フラッグ   アーサー・ポージス
コラム   吉永良正
あとがき  三浦朱門
解説   森 毅
リスト・オブ・ブックス


それぞれの短編の頭に書いてある文がぴったりなので、引いちゃいます(臙脂色の文字の部分が引用部分)。

◆タキポンプ◆
もしあなたが、走っている電車の上を前に駆ければ、
電車より速く移動していることに気づくはずだ。
その原理を利用して無限の速度を生み出す意外な仕組みとは・・・。

数学嫌いの私が、数学教授の娘に恋をした。教授に出された課題とは・・・?

◆歪んだ家◆

一次元の直線を横に移動させると、二次元の正方形が作れる。
二次元の正方形を上方に移動させると、三次元の立方体が作れる。
それならば、三次元の立方体をどこかの方向へ動かせば、
四次元の「超立方体」、すなわち過剰空間が作れるはずだ・・・。

意気盛んな建築家のティールは、画期的な家を作ることを考えた。それは四次元の家だというのだ。
友人ベイリーのために、ティールは四次元の家を設計するのであるが・・・。

◆メビウスという名の地下鉄◆ 
細長い帯を半回転ねじって貼りあわせると、
裏も表もない輪ができる。
そのメビウスの輪のような不思議な性質が、大都市の地下鉄網に
まぎれこみ、一台の電車が忽然と姿を消した・・・。

ある日、忽然と姿を消した一台の電車に対し、タペロ教授はある考えを示すのだが・・・。
音も電流の流れすらも検知出来るというのに、消えた電車はどこに行ってしまったのか?

◆数学のおまじない◆

もし、何の努力もせずに
数学がめきめき上達する方法があったなら・・・。
できの悪い学生を救うために教授が考え出した苦肉の策は、
こんな不思議なおまじないだった・・・。

不出来な学生のために、ある馬鹿らしい約束をしたランサム教授。ところが、その学生、フィンチェルは、見る見るうちに数学的才能を発揮する。それはあの「おまじない」のせいなのか?
 
◆最後の魔術師◆

「クラインの壺」は、内も外もない不思議な空間だ。
脱出ワザを得意とする魔術師が、
なんとそのクラインの壺からの脱出に挑戦する。
むろん、タネもシカケもあるのだが、
そこには二重、三重のどんでん返しが待ち受けていた・・・。


◆頑固な論理◆ 
6頭のチンパンジーが100万年の間、
タイプライターをたたき続けたら、
大英博物館にあるすべての書物を打ち出してしまうという。
それを実際に確かめようとしたある人物が遭遇した
驚くべき結果とは・・・?

◆悪魔とサイモン・フラッグ◆
ある数の2乗とある数の2乗を足すと、別の数の2乗になる、
これはめずらしいことではない。たとえば3^2+4^2=5^2がそうだ。
ところがこれが3乗以上の場合だと見つからない。
本当にひとつもないのか? 歴代の数学者を悩ませる
世紀の難問「フェルマーの定理」に悪魔が挑む
 
リスト・オブ・ブックス
では、数学はおもしろい、数学から広がる想像力、不思議なパズルの世界、時空を超えた冒険、異次元への入口の5つのジャンルに分かれて本が紹介されている。

気になったのは以下の本。

ブルーノ・エルンスト, 坂根 厳夫
エッシャーの宇宙

ジョージ ガモフ, 伏見 康治, 鎮目 恭夫, 市井 三郎, 林 一
トムキンスの冒険



どの短編がすごくいいとか、着眼点に感服したりする本ではないのだけれど、切り口や本の作り方に好感を持った本でした。アンソロジーは楽しいねえ。
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森福 都 セネシオ

中国宋朝物「吃逆」 が面白かった森福さん。
とりあえず、我が図書館にあったのが「セネシオ」だったので、今度はこちらを借りてきた。

宋朝からがらりと変わり、こちらは生物学を絡めたストーリー。森福さんは医学部総合薬学科卒業とのことなので、中国物よりは実はこちらが専門なのかも。

目次
セネシオ
イエロー・ガール
忘れっぽい天使
さえずり機械

何をやっても冴えない俺、梅原司は現在、「ロシナンテ」というドラッグストアでバイト中。新入社員の栗田智美に恋するものの、年上の薬剤師、泉、真衣子の二人組にはからかわれ、三流私大生の司とは異なり、一流私大生の真柴公郎には美味しい所を持っていかれがちの毎日。

ところが、何の取柄もないと思っていた司は、実は特殊能力者であった。それは、核酸やたんぱく質を動かせるというもの。数ナノメートルから数マイクロメートルの距離を正確に動かすことが出来、さらにそれらを正確に動かすための透視力(クレアボヤンス)までもが備わっているのだと言う。これを使えば、分子生物学、遺伝子工学だって思いのまま!

司にこの事を告げたのは、コギャル風の「セネシオ」。表紙のパウル・クレーの絵に似た彼女。司は彼女の指導を受け、手始めに、智美にセクハラをする、にっくき大森マネージャー(お酒に弱いので、渾名は「ゆで克」)をやっつける。

さて、司の能力を持ってすれば、世の中を混乱させることも、悪をなすことも本来は思うがまま。この世界にとっては危険な異物である司の能力を封印するために、世界の免疫力、異物排除システムが動き出す!

「セネシオ」の章のラストで、車椅子生活を余儀なくされ、入院中の司の前に現れたのは、人妻のゆかり。彼女は自覚はなかったけれど、実は自然免疫系におけるマクロファージの役割をする、プレゼンターであった。プレゼンターである彼女は、司と性交することで、司の危険なシグナルを、次なるキラーたちに知らしめるのだ。「イエロー・ガール」は主に、このプレゼンターであるゆかりの話。

次なる「忘れっぽい天使」は、キラーである康巳の話。

司は泉やゆかり、子供たちの手を借りて、何とか無事にこれらの危機を泳ぎ切り、その能力も何とか維持し続けるが・・・。 「さえずり機械」は、司の超能力を悪用しようとする、起業家の高畑の話。さて、司は此度も無事に危機を乗り切ることが出来るのか??




なかなかに目新しい超能力物ではあると思うし、こういう物語があってもいいと思うんだけど、性交することで情報を得たり、いまいち人物像が一定していなかったり、読んでて微妙に気持ちが悪い。

後あれですね、若者は性的な意味で目を舐めると聞いたことはあったんだけど、のっけからのこれが何となーく気持ち悪かった。超能力物にありがちな胡散臭さの方が勝ってしまったかなー。

うー、次回は中国物を読むぞー! 気になるのはこの辺とか。



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西原 理恵子
女の子ものがたり

事情があって、なつみの家族は父方の祖父の家に厄介になる事になる。
海の見える村から、山と田んぼと工場のある街へ。
それは朝から「しんぞうがふたふたする」ような一日だった。

なつみは、みさちゃんときいちゃんの二人と友達になる。みさちゃんのお母さんは、世界一怖そうなお母さんで、きいちゃんの家は半分がゴミで占められている。これは、経済的にも教育的にも、あまり恵まれた環境にいるとはいえなかった、三人の少女達の幼稚園から大人になるまでの物語。

amazonから引くと、こんな感じ。

出版社 / 著者からの内容紹介
サイバラの傑作「上京ものがたり」の続編!
「上京ものがたり」の女の子は、東京に出てくるまで、どんな子供時代を送ってきたのか?友達との交流を軸に、少女の成長を暖かく、そして限りなくシビアに見つめる、西原理恵子の自叙伝的作品第2弾!!

凄まじいばかりの閉塞感、小さな世界、どこにも行けない子どもたちが、くっきりと描き出されている。

六歳にして既に帰りたかったなつみの気持ち、我慢していたのにお弁当の時間に口を開けたら泣き出してしまったなつみ、「私はしあわせ 私はしあわせで かわいがられてる」と呪文を唱えるなつみ、「にゅうにゅうさん」なる仕組みを考え出すなつみ、子どものころの切ない気持ちがいっぱい詰まった本。自分にはここまで大変な経験があったわけではないけれど、子供の頃のこういう気持ちって、その大きさは違えど、みんな共通なのかなー。

中学校に行く頃には、近隣のおにいさん、おねえさんと同じく、三人はお約束の不良の世界へ。とはいえ、三人は「ヤンキーになってもさえないまんま」。
途中、一人、みさちゃんだけが早く大人にならなくてはならない出来事に遭ったりしながらも、三人は成長して行く。

高校を中退したなつみは父の死に出会う。死して初めて知る父の姿。

私は
なんにも見ていなかった。
なんにも聞いてなかった。
なんにも知ろうと
していなかった。

それは
恥ずかしいことだ。

何も見ず
何も聞かず
何も知ろうと
していないことは

とても
恥ずかしいことだ。

いつまでも、呪文を唱えているわけにはいかないのだ。

この街ではろくな女の人生は無い。夫に殴られたきいちゃんは頭蓋骨を骨折し、同棲中の男に殴られたみさちゃんは内臓破裂の重傷を負う。
そしてなつみは街を出た。

こんな女の
人生を
みるのは
もう
うんざりだ。

そして、なつみは「もうかえらない」。

子ども時代にそれぞれに満足出来ず、親友を探す瓶を海に流した三人。きいちゃんは汚いし、なっちゃんは気が小さい、みさちゃんは言ってはいけないことを言う。三人は、でも友達。大人になって、「もうこんなともだちは一生できない」と思うような友達。

そう長い漫画ではないのだけれど、重く心に残る物語。
西原さん独特の色使いが美しい。彼女が育った街は、ほんとは汚い街なのかもしれないけど、絵の中では、でも、綺麗な街。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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多田 実
生きていた!生きている? 境界線上の動物たち


目次
第一章    高知カッパ狂騒曲   ニホンカワウソ
第二章     戦争が滅ぼした魚  クニマス
第三章  天狗たちの黄昏  イヌワシ
第四章  亜熱帯のUFO  オガサワラアブラコウモリ
第五章     ウドの大魚   ウケクチウグイ
第六章  神と呼ばれた鳥  シマフクロウ
第七章     四万十の怪魚  アカメ
第八章     追われる野獣  ツキノワグマ
第九章     瑞鳥は孵化した  コウノトリ
第十章   昭和に消えた海獣  ニホンアシカ
第十一章 忘れられた風景  オオヒシクイ
第十二章 溜め池の絶滅危惧種 ウシモツゴ
第十三章 五色の「火の鳥」  ヤマドリ
第十四章 有明海の珍味  エツ
第十五章 古代島の妖精   アマミノクロウサギ
第十六章 飛べないアガチ(あわてもの) ヤンバルクイナ
第十七章 長良川の妖怪  サツキマス
第十八章 基地と人魚  ジュゴン
第十九章 あとがき
参考文献

ニホンカワウソやイヌワシ、シマフクロウなどメジャーで見栄えのするものから、ウケクチウグイ、ウシモツゴなど、かなり地味~なものまで。

これらに共通するのは、古来より日本に生息する生き物だったけれど、今では絶滅寸前、「境界線上」にいる生き物たちだということ。見栄えのするものであれ、そうではないものであれ、絶滅してしまうのはやはり淋しい。

その生き物の最前線を見に行く、どの取材においても、在野の研究者、猟師さん、漁師さんたちの努力は素晴らしい。まさに、この努力は、「いつ果てるともない闘いの日々」なんだけど。

対して、良く言われていることだけれど、農林水産省、林野庁など、関連省庁の政策の出鱈目な事。ダムや道路政策など、これらの政策により、犠牲を強いられた生き物たちも数多い。

仕事がない→公共事業どっかんどっかん!とならずに、仕事がない→山や川、海を守る方向の仕事!となればいいのに。仕事と環境のサイクルが、きっちり回るようにならないもんなのか。開発するな、という気は全くないけれど、きちんと管理すれば、それがまた新たなビジネスになるのでは、と思った。「開発するだけ」では、その開発が終わった段階で、仕事もなくなっちゃうわけだしねえ。

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山本 甲士
かび

主人公、伊崎友希江はごく平凡な主婦。彼女の夫は、地域一帯を支配するヤサカという企業の研究所に勤め、一人娘は幼稚園に通っている。友希江自身は、気が向いた時にパート勤めをするくらい。目下、気になるのは、近くに住む義母の、マイペースで迷惑とも言える、彼女の家族への関わり方。

しかしながら、彼女の決まった日常が、ある日決壊する。夫、文則が脳梗塞で倒れたのだ。文則は休日出勤を繰り返し、業務上の飲み会も多く、また帰宅してからも、中間管理職のストレスからか、飲酒を欠かさなかった。食生活も良好とは言い難かったが、新婚の頃とは異なり、また、文則の女性関係のトラブルが続いたせいで、彼女は夫に対する関心を失っていた。

彼女は夫が倒れたその事にショックを受けたわけではない。彼女に結婚退職を迫った「ヤサカ」が、その時と同じ顔をして夫に退職を迫る事にキレたのだ。小さい頃はクラス委員をしたり、また生家では妹が先に爆発するために、いつも爆発し損なっていたような彼女が、自分達を切り捨てようとするヤサカに復讐を誓う。

このキレ方が、方言の影響もあって、また凄まじい。日常感じていた苛立ち、全てに対してキレるキレる・・・。彼女は幼稚園の母親の間でも浮いた存在になり、義母もまた彼女を恐れるようになる。そして、若い頃に嫌がらせを受けた女性に、こんな風にまで言われるように。

「十年前のあんたとほんまに同一人物とは信じられへんわ。言うことも、やることも、顔つきまで違う感じや。時間は人間を変えるっちゅうことか」

彼女はついに、地元の大企業「ヤサカ」の不祥事をすっぱ抜き、社長の愛人宅までにも忍び込むが・・・。

桐野夏生さん描くところの、突き抜けた悪意に似たものを感じた。読んだ事はないのだけれど、平凡な主婦が・・・というフレーズからは、桐野さん著のOUT」を思い出した(こちらは一人、OUT」は仲間の主婦みんなでだから、結構違うのかもしれないけど。ううむ、やはり、OUT」もこの際、読んでみよう)。

この突き抜け方は凄まじいし、一気に読んでしまった作品なのだけれど、決して気持ち良い読後感ではない。突き抜けた先に何があるのか? それが今ひとつ見えてこないような気がする。でも、凄い迫力のある文ではあるので、後一作くらいは読んでから、この作家さんの判断をしたい感じ。

一度そこにいると知ってしまったら、もやはなかったことにはできない。

それが、「かび」。

(でも、同作者の「どろ」もあらすじを読む限り、救いのない感じ・・・。
ああ、次は何を読めばいいのだ?)

← こちら、文庫。
                  単行本の表紙の方が怖くてイメージです

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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恒松郁生・文、岡村啓嗣・撮影「英国王室御用達」

目次
ロイヤル・ワラントとは?
紳士服・礼服 etc.
女性服・革製品 etc.
宝石・雑貨 etc.
釣具、猟銃 etc.
香水、花 etc.
古書・文具 etc.
レストラン・パブ etc.

各章の後ろには、コラム付き。レストランには認定証は発行されていないけれど、本書では王室メンバーが行かれるレストランとして、部外秘の「ロイヤル・アドレスブック」に掲載されている店から選んだとのこと。

認定品の多くは、認定を発行した方の紋章を店の外に掲げている。現在ではエリザベス女王、エジンバラ公(フィリップ殿下)、皇太后、それにチャールズ皇太子の四人が認定出来るのだそうだ。四人の紋章が実際に載せられているのだけれど、チャールズ皇太子の紋章は少し地味に感じる。みんな、権威を感じる立派な紋章なのだけれどね。

認定証は会社の株主か取締役個人宛に発行され、認定が正しく使われているか、責任を持つ義務がある(五年ごとに厳密な審査。認定取り消しもあり得る)。ロイヤル・ワラントを持つ店は、現在約八百軒あるが、毎年二十軒から四十軒が取り消され、ほぼ同数の新しい店が認められている。一つの店で王室全員の認定を受けている店はわずか七軒に過ぎない。

素敵なものばかりだったけれど、自分でも使えそうなのは、フローリス(香水)ペンハリゴンズ(香水)プレスタート(チョコレート)ぐらいかな。後のものは、私には使いこなせそうにない。プレスタートの常連は、王室から画家のルノワール、マティスやピカソ、それに作家ではシャーロック・ホームズの生みの親のコナン・ドイル、最近では「チョコレート工場」の著者ロアルド・ダールがいるそうだ(チョコレート好きだから、ああいう本を書かれたのでしょうか)。

マッグズ・ブラザーズ(古書店)フランク・スマイソン(文房具)も素敵。イギリスでは、個人用の便箋や封筒を作っている人が圧倒的に多く、いかなる理由があろうとも、会社の便箋を私的な手紙に使うのはイギリスの紳士・淑女の間では、恥ずべきことなのだそうだ(会社のものは使わないにしても、日本では個人用まではなかなか作らないですよね)。このフランク・スマイソンでは、便箋の端を好みの色で一重とか二重の線で囲むサービスをしてくれて、これが何と印刷ではなく、一枚一枚熟練した職人が手書きで線を引いてくれるのだそうだ。

伝統の手仕事にうっとり。


恒松 郁生, 岡村 啓嗣
英国王室御用達

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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江國香織「間宮兄弟」

これ、良かったです。私には久々の江國香織さん。
「きらきらひかる」はちょっと最後ドタバタ?と思うものの結構好きで、「落下する夕方」「ホリーガーデン」なんかにはついていけたのだけれど、なぜか「流しのしたの骨」で脱落。今だったら、これも読めるのだろうか。
ちょっとね、あまりにふわふわして綺麗で、それでいて残酷な女性像が、一時期苦手に感じたのだと思います。どうも彼女達に振り回される、周囲の方に気が回ってしまう。…脇役気質?

居心地のいい空間で、二人暮らす間宮兄弟。外見や内面は対照的なのだけれど、昭信と徹信の共通点は女性にもてないこと。夏から冬にかけて、彼らの生活に変化が訪れる。切っ掛けは、レンタルビデオ屋の店員直美ちゃんと、徹信の職場の同僚依子を、自宅でのカレーパーティーに誘ったこと。これを機に、直美ちゃんとその妹の夕美ちゃん姉妹、夕美ちゃんのボーイフレンドとの交流も生まれる。昭信の会社の先輩、賢太の妻沙織も後半で登場。夏が過ぎ冬になって、彼らの生活には何の変化もなかったのだけれど、彼ら兄弟の存在は周囲に確かに影響したのだ。

明信は先輩の賢太が評する所、こんな人物。
「何よりも好ましいのは、明信が不快な話を決してしないことだ。愚痴もなければ噂話もない。二人で酒を飲んでいるときでも、明信が話すのは弟のこととか野球のこと、美味いものを食べたとか妙な映画を観たとかいうことばかりで、退屈ではあるが聞いていると我知らず心和む」。
中々好もしい人物なのです。この間宮兄弟のマンションが本当に居心地良さそう。「ダイヤモンドゲーム」、祖父の家にあってよくやったなあ、とか「怪盗ルパンシリーズ」、ケストナー、リンドグレーン、懐かしい!とか。音楽もなかなか。 でもやっぱり「もてない」んですよね。この兄弟もずっとこのままというわけではないのだろうか。それともこのまま、二人生きていくのだろうか。浮世離れした理想郷では、ある。

ところで同性のきょうだいって、こんなにも仲のよいものなのでしょうか。間宮兄弟は勿論、直美ちゃん、夕美ちゃん姉妹も、ちょっとびっくりするくらいの仲のよさ。私は残念ながら、きょうだいは弟一人なので、大人になってからはそんなには仲良くしていません(物理的距離もありますが)。考えれば、母と叔母は今でも仲良し。兄弟、姉妹の絆が少し羨ましくなりました。

でも、「たしけてくえー」と叫ぶきょうだいはいらないかも。笑 
酔っ払いとしてよく分かる言葉ですが、私は酔ってもそんな風にはならないぞー(赤い顔してるか青い顔してるかどっちかで、尚且つ青い顔の時は、そんな風に叫ぶ余裕すらない気がする。や、もういい年なので、最近は赤い顔になるばかりですが) 。

著者: 江國 香織
タイトル: 間宮兄弟

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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今日は宮部みゆき「模倣犯」について。
通勤時は、持ち運びに便利な文庫本であることが必要条件だったので、単行本をほとんど読んでいませんでした。ようやく読めました、「模倣犯」。文庫になったら読んでやる~、とずっと待っていたのですが、これ全く文庫化されませんよね。どうしてなんだ。

ここから、「模倣犯」の感想です。

週間ポストに長期連載され、2001年に単行本化されたもの。
世間を震撼させる連続女性殺人事件を、加害者、被害者、その周辺を含めて丁寧に描いています。
殺人事件を描いた小説ではあるけれど、単に“面白がらせる”“怖がらせる”ことを目的としたものではありません。

(大好きだったパトリシア・コーンウェル「検屍官」シリーズ。最近はまさに、粗筋のみで“面白がらせる”“怖がらせる”ためだけに書かれているようで悲しいです。真面目に誠実に書かなければ、読者は離れていくよ。ケイさんの料理とか家への拘り、大好きだったのに。私の年末の楽しみが。泣 しょうがないので、登場人物の生存確認のためだけに、立ち読みで最後の部分だけを読むという荒業に出ております。とほほ)

私はこの本に、エンターテインメントとしての犯罪小説を多く描いてきた、宮部みゆきの矜持を感じました。
事件は加害者、被害者の周辺の人々の人生をどう破壊してしまうのか。
若い女性であるというだけで、幼い子供であるというだけで、弱い老人であるというだけで、犯罪に巻き込まれてしまう事がある現状を、正しく描いています。
この本が書かれた当時よりも状況は悪くなってきていて、本当にこんな事件が起こっても不思議ではないし、ネット上で犯罪者をまるで英雄のように祭り上げる事もある。悲しいことです。
宮部作品お得意の、老人と少年のコンビが活躍しています。

宮部作品、娯楽本に分類されることが多いのではないかと思いますが、「模倣犯」「火車」は歯ごたえあるものだと思うし、時代物もまたいいです。私が薦めるまでもなく、有名ですけどね^_^;。

有馬老人、かっこいいです。きちんとした大人がいないといけないんだ。
そして直ぐに手を貸してあげられる優しさと強さ。

人間はな、ただ面白がって、ただ愉快に、ただ世間様からちやほやされて、派手に世渡りできりゃ、それでいいってもんじゃないんだ。それは間違ってるんだ。絶対に間違ってるんだ。本当のことっていうのはな、あんたがどんなに遠くまで捨てに行っても、必ずちゃんと帰り道を見つけて、あんたのところに帰ってくるものなんだよ。世間を舐めるんじゃねえよ。世の中を甘く見るんじゃねえ。あんたにはそれを教えてくれる大人がいなかったんだな。ガキのころに、しっかりとそれをたたき込んでくれる大人がいなかったんだな。だからこんなふうになっちまったんだ。

「だけどあんたら若い人は、よくそういうものの言い方をするね?自分には何々する資格はないとかさ。私なんざ、不思議でしょうがないよ。いちいち自分のすることを深く分析するなんてやめておけって。心配なら心配、お節介だが手を出さずにいられないならお節介、それでいいじゃねえか」


*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用しています。何か問題がございましたらご連絡下さい。



著者: 宮部 みゆき
タイトル: 模倣犯〈上〉
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書き出してみるといろいろなことを思い出したり、普段の生活の中で「あ~、この本についても書きたいなあ」と考えたり、ブログを書く効果って「強靭な自己を培う」だけではなく、その他にもいろいろありますね。
読者になって下さった皆さん、コメント下さった皆さん、ありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。
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