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2007-11-30 23:02:43

「ローマ人の物語2・ローマは一日にして成らず[下]」/すべての道はローマに通ず

テーマ:新潮文庫

塩野 七生

ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) 新潮文庫


図書館本の合間に、ぼちぼちと読んでおります、「ローマ人の物語」。
乗って来ると結構スピードも上がるのですが、細切れで読んじゃうと、いちいちちょっと前に戻ったり、読みながら地図のあるページを見たりで、文庫本一冊一冊の薄さの割にはどうも時間が掛かってしまいます…。

目次
 カバーの金貨について
第二章 共和制ローマ(承前)
ひとまずの結び
 年表 参考文献 図版出展一覧


相変わらず、ローマをローマ足らしめていたシステムには、色々と感心するところが多かったのだけれど、この巻で特に面白いなぁと思ったのは、「街道」のこと。

後に、すべての道はローマに通ずと言われるまでになる、ローマとローマの戦力要所を繋ぐ街道網。それらは政治・軍事・行政上の必要から敷設され、敷設された人物の名で呼ばれることになる(アッピア街道は、アッピウスが敷設させたもの)。味方にとって便利な道は、そのまま敵にとっても便利なものになるわけで、このこと故にローマは永遠に自衛の戦いを永久に続ける宿命を負ったのではないか、と塩野さんは書く。

また、このシリーズでは私は本の内容よりも、どうも後書きやら何やらに惹かれがちなのだけれど、今回もまた「ひとまずの結び」から。

同時代の研究者たちの史観に何となくしっくりいかないものを感じていた塩野さんは、原史料に当たるようになってはじめて、ローマ観が自分の中に入って来たのだという。それは、国家の興隆や衰退の要因を感性的な事に求める態度をとっていない、約二千年前に生きた彼らの姿勢によるものだ、と塩野さんは分析している。

塩野さんは、興隆は当事者たちの精神が健全であったからであり、衰退はそれが堕落したからだとする論法に納得出来ず、興隆の因を当事者たちが作り上げたシステムに求めるのだという。この辺、こういうアプローチ故に、多くのビジネスマンたちに好まれるのが分かるような気がします。

私自身について言えば、フランス革命を経た現代に生きているとはいえ、自由・平等・博愛を高らかに唱えれば唱えるほど、自由・平等・博愛の実現から遠ざかるのはなぜか、という疑問をいだきつづけてきた。歴史は、この理念を高らかに唱え追及に熱心であった民族では実現せず、一見反対の生き方を選んだ民族では、完全ではないにしても実現できた事実を示している。私などはこの頃、二十世紀末のこの混迷は、フランス革命の理念の自家中毒状態ではないか、とさえ思うようになっている。

理念は確かに大事だけれど、それだけでは人は暮らしていくことは出来ない。人が幸せに生きられるような、システムを構築することが必要なのだよね。それが、政治。逆に高らかに理念を謳うとすれば、それはシステムがおざなりにされている証拠であり、無策の証拠だと言えるのかも。国会の混迷とかを見ていると、ちょっとうんざり。言葉尻とか個人の言動がどうとかじゃなくて、例えば不正や癒着を許さないようなシステムを作ることが重要なんじゃないかなぁ。

■関連過去記事■
・「ローマ人の物語1・ローマは一日にして成らず[上 ]」/民族というもの、国家というもの

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

コメント

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1 ■読んでらっしゃるのですねぇ

ペトロニウスさんとこの記事を読むと、面白そうで、読みたくなるのですが、本屋さんで冊数にくらくらして、今度にしよう、っていつも後回しにしちゃってます(汗
塩野七生さんのは『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』が面白かったので、ぜひ読みたいのですけども……。

2 ■連投でごめんなさい

記事に関連して書こうと思った事を書き忘れてました(……別窓って不便じゃないですか?)
システムを構築するっていう話。
危機管理がまさにそれですよね。一昔前、あたしのいる業界はミス、インシデントに対して精神論一辺倒だったんです。でも、最近は、人間はミスをする生き物なのでそれが事故へつながるのはシステムが悪い、事故に発展しないシステムを作るべき、という発想に変化してきているのは当然の帰着なんだよなぁ。
……なんてことを思いながら読んでました。

3 ■>ねこ姫さん

ものっすごいボチボチとですが、読んでます。笑
ああ、確かに、これから始めるとなると、ちょっと躊躇する冊数ですよね、このシリーズ。
文庫本でも結構スペース取っちゃうし。
でも、これ読むと、もちろんこれ自体も面白いのだけれど、自分が楽しむことが出来る物語の幅が広がるんじゃないかな~、と今から期待しています。
塩野さんの本で初めて読んだのは、私は「三つの都の物語」。塩野さんには珍しくフィクションなのですが、これも面白かったですよ~。

さて、システムの話(ええ、別窓ってほんとに不便!! それもこれも、ユーザーの意見を聞かない、サイバーエージェントのせいさ…。涙)。

うんうん、おっしゃる通り。
航空業界なんかも一緒ですよね。
柳田邦夫さんの本にも、この手の話は多かったように思います。
精神論ってたち悪いですよね…。

4 ■そうそう

航空業界って危機管理がおそらくは一番進んでいて、そこ出身のひとの危機管理の講演を聞いた事があるんですけど。
「この(あたしのいる)業界は、一番危機管理が必要なのに、一番遅れてます」と言い切られたんですよね(涙)
いまだに精神論から抜けられないひとがいっぱいー><(特に偉いおじさんおばさんたちにっ)

5 ■>危機管理

>ねこ姫さん
うんうん、精神論だけではねえ。
物量的に無理ってことも、いっぱいあるし。
そしたら、その分補充しなきゃいけないし、ミスが起こるには、やっぱりそこにミスが起こりうる余地があることがいけないのだし…。
そういうところを洗い出して、構築し直すのも、偉い人たちの大事な仕事だと思います。

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