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2007-07-08 21:32:41

「夏への扉」/扉の外には…

テーマ:ハヤカワ文庫
 
ロバート・A・ハインライン, 福島 正実
夏への扉  

図書館のリサイクルコーナーから拝借してまいりました。

自分の中で、このタイトルは古典的SFとしてインプットされていたので、へっぴり腰で読み始めたのだけれど、SF的出来事が描かれるとはいえ、そんな風に怖がる必要もなく(バリバリのハードSFは苦手なんです…)、楽しく読むことが出来ました。

 The Door into Summer.

実に印象深いこの「夏への扉」というタイトル。それは、主人公ダニイの猫、ペトロニウス(ピート)の性癖に由来している。

忌々しい冬が来ると、ピートはダニイに家中の扉をあけるように迫る。たくさんある扉の内、どれか一つは夏へと通じているはずなのだ。何度同じことを繰り返し、それが失望に終わったとしても、ピートは夏へと続く扉を探すことを止めなかった。

そして、この1970年12月の3日。ピートの飼い主であるダニイもまた、夏への扉を探していた…。自らが立ち上げた会社を乗っ取られ、発明は取り上げられ、旧友にも婚約者にも裏切られたダニイは、人生の冬を迎えていたのだ。自棄になったダニイは、冷凍睡眠(コールドスリープ)に入って、この現実をやり過ごそうと考えるのだが…。

技術一辺倒のダニイとは異なり、経営を任されていた旧友マイルズ、秘書兼オフィスマネージャーであった元婚約者のベルは、遙かに強かであった。とうとう、ダニイはベルによって、直前に取り止めようとしていた、30年にも及ぶ冷凍睡眠(コールドスリープ)へと押し込まれてしまうのであるが…。

窮地に陥りっぱなしだった、ダニイの反撃には胸がすく。

30歳になるダニイだけれど、何よりも発明を愛する技術者だからか、年齢から考えるよりは、ちょっと子供っぽいところもある。であるからか、ちょっと変形の青春物語にも読めちゃうんだよね(30歳の青春小説って、ちょっと薹が立ってるかもしれないけど)。

ダニイの夏への扉は、希望へと繋がっていた。手酷い裏切りにあったダニイだったけれど、人間を信じることを止めず、復讐に血道をあげることもなく、最初に読者の前に現れた時の腐った感じから、瑞々しく生き返ったよう。ま、最初は信じていた二人に手酷く裏切られたせいで、ちょっとおかしくなっていたのだけれどね。このなんだか瑞々しいところにも、やっぱり「青春」を感じるのだ。

相棒のピートも素敵! でも、ジンジャーエールを舐める猫なんて、ほんとにいるのかしらん。ジンジャーエールを飲む猫がいたら、それはどこかの扉を開けてやって来たピートなのかもしれないね。

2000年を迎えても、ダニイが発明したような機械は未だ現れてはいないけれど、そのネーミングも含めて、彼の発明した機械は魅力的。実際にあったら、私も欲しいよう。笑 にしても、彼の機械の重要なパーツの一つである、"トーゼン記憶(メモリー)チューブ”って、原語ではどうなっているのでしょうか…。やはり、これって、日本製品なのか?(この頃のメイド・イン・ジャパンは、どういうイメージだったんだろう。安かろう悪かろうからは、脱却してる?)

古い作品で、今では”未来”として描かれた時代さえ追い越してしまったけれど、全く古さを感じさせることなく、今でもキラキラと輝いているような物語。楽しかった!

コメント

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1 ■最近読んで

私もとても気に入りました。
その日一日や、近い将来にばかり
意識を奪われていますが、
このお話しで30年後からいまを
眺めてみる、みたいな視点を
知らされたきがします。

2 ■ハインラインは大好きなんです

あれまあ、初読ですか? ぼくは確か二回読みましたが、二度目も楽しかった。ハインラインのよいところが詰め込まれた作品です。
ハインラインは好きなのでたくさん読みましたけれど、歳をとってからの作品は独善のにおいがしてきます。初期の作品やジュヴナイルに楽しいものがいっぱいあります。

3 ■>きままカフェさん

いらっしゃいませ。
きままカフェさんも、最近読まれたのですね~。
そうですね、一日一日の目先のことだけではなく、どんなに八方塞の状況に見えても、どこかに「夏への扉」があるのかもしれません。
相棒のピートも良かったです♪

4 ■>ディックさん

そうなんです、ハインライン自体が、思いっきり初読だったのです。笑
図書館のリサイクルコーナーに感謝しなくては。

この作品はハインラインの中では、どの時期の作品になるのでしょうか。もうちょっと他のも読んでみたいなぁ、と思っていたので、参考にさせていただきます♪ 初期やジュブナイルですね!

5 ■無題

長寿を扱った話や、戦争賛美の話(『宇宙の戦死』など)があります。それらは避けたほうが無難です。
印象に残っているのは、創元推理文庫の『太陽系帝国の危機』、後に改題されて、どういう題名になったのだったか…。それと『宇宙の孤児』(ハヤカワ)もよかったなあ。
本書は1957年の作品。1959年以降は小説が長すぎるし、作風が変化したと言われています。

6 ■>ディックさん

ありがとうございます♪
そう、ハインラインとか、スタージョン、良かったので、他にも読みたいなぁ、と思いつつ、つ、次はどれを読めば?状態だったのです・・・。笑
amazonを見ていても、たくさんあり過ぎて、結局よくわからなくなってしまうのです。しかし、改題って曲者ですよね! 

7 ■無題

科学が難しくなってしまって、最近のSFは物語の楽しさがなくなってしまいました。初期のおもしろいSFを、ぼくはたくさん知っていますけれど、入手はかなり困難です。
『太陽系帝国の危機』→改題して『ダブル・スター』でした。
ジュブナイルは一時角川文庫でたくさんあったのですが…。男の子が火星などの植民地で家族と生活していて、革命騒ぎに巻き込まれる、というような話が多かったかな。
それから、『宇宙の戦死』→『宇宙の戦士』の間違いです。少々俗悪な感じの映画になりました。えーと、題名が出てきません。

8 ■>ディックさん

私、実はSFはほとんど読んだことがないんですよ…(ブログを見ればお分かりかもしれませんが。笑)。
「ダブル・スター」ですね。改題して、全然違うタイトルになったのですねえ。これは、教えて頂かないと、分らなかったわ。笑
ハインライン、読んだことないと思っていたのですが、そういえば、「第四次元の小説」で、短編を読んだことがありました。でも、随分イメージが違いました。うーん、あれはどの時期のハインラインのものだったのでしょう。

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